独占企画!スペシャル対談 SESSION-01 独占企画!スペシャル対談 SESSION-01

全3編でお送りするSBI証券の独占スペシャル対談
SESSION1では、あの「ひふみ」藤野氏が認める2人のファンドマネージャーの運用に迫ります。

「ひふみプラス」と同じく日本株アクティブ運用を行い、実績を残している「自由演技」と「厳選投資」、その運用はどのようなものなのでしょうか?そして、藤野氏はそれをどう見るのでしょうか?

~ 藤野氏が考える「自由演技」の柔軟性 ~

「ひふみ」に通じるところがあると感じた。 ― 藤野(レオス・キャピタルワークス)

<酒井> 2004年に運用会社に入社し、日本株の運用経験は12年あまりです。この間、様々なタイプの運用を経験しました。12年は決して長くはありませんが、前半の8年間はクオンツ運用、後半の4年間はジャッジメンタルな運用を主に担当しています。公募投信でのロングオンリーの運用から、金融法人向けのロング・ショートを使ったヘッジファンド運用、その中間にあるスマートβ(ベータ)の運用もやっています。あらゆるタイプの運用に携わったという点では、日本のファンドマネージャーの中で珍しい存在だと思います。

 「自由演技」の運用は2014年春から担当しています。ファンドの愛称のままに、リターンの出し方を決めないで、あらゆる収益機会を求め、どのような市場環境下で投資していただいても、6カ月後にはインデックス(TOPIX)にプラスのリターンになるような運用をめざしています。

<藤野> 「自由演技」の基準価額の推移をみていて、運用者は「手の多い人」なんだろうなという印象を強く持っています。α(アルファ=超過収益)獲得の手段が幅広い。守備も攻撃も強いので、マーケットへの対応力が凄いと思っていました。ある時のマーケットでメチャ勝ちをするわけでもなく、メチャ負けもしない。いつもなんとかするところが「自由演技」の凄いところだと思います。「ひふみ」に通じるところがあると感じていました。

 毎日の基準価額チェックは、ある種の対話といえて、ポートフォリオの中身やリスク特性などが見えてくるところがあります。今の酒井さんの話を聞いて、クオンツの手法やセンスを取り入れていることがわかりました。ファンドの特性としてはポートフォリオの出来が素晴らしいのだと思います。個別銘柄の一つ一つの勝ち負けというよりは、ポートフォリオの構築の仕方が優れているのではないでしょうか。

<酒井> 基準価額を必ずチェックするという点では、私は日本で一番、「ひふみプラス」と「厳選投資」の基準価額を熱心にチェックしていると思いますよ(笑)

 「自由演技」の担当になって3年間は、毎日、必ず両ファンドの基準価額をチェックしています。「ひふみ」の基準価額を見ていると、“最近はやや大型株を増やしたのかな”とか、個別銘柄で何を売った買ったということまでは分からないのですが、藤野さんが考えていることは何となく伝わってくるように思っています。

 私も「ひふみ」と「自由演技」は似ていると感じることがあります。「自由演技」の方が、「ひふみ」よりもやや重心の位置が高いといいますか、株式市場の動きにリターンの出方が近い運用になっていると思います。「ひふみ」で藤野さんが考えていることは、マーケットが下がる時にあまり下がらずに、上がる時は全体と同じか少し上がるという動きで、結果的に数年がたつとリターンがしっかりと出ていて、かつ、シャープレシオも高いということだと思います。結果的に、投資家はいつ買っても儲かるというような投資信託をめざしておられると思っている。

「厳選投資」は、大学のファイナンスの授業で「分散投資こそが正しい」と学んだのですが、それがまったく違うことを証明しているファンドだと思っています。厳選することによって分散するよりもいいリターンを出しているし、優良銘柄を買うことによってリスクも抑えられている。結果的にシャープレシオが高く、タイミングを選ばずに投資できるファンドになっていると思います

~ 藤野氏が驚く「厳選投資」のポートフォリオ ~

「集中しているけれど、分散している」という言葉には、「厳選投資」の極意があるように思う。

― 藤野(レオス・キャピタルワークス)

<藤野> 「厳選投資」は、現在の投資銘柄数は15銘柄ということですが、その銘柄数に対して、ポートフォリオのリスクは低い。私は、このマネはできないと感じています。実は、その秘訣を教えていただきたいと思っているのです。

<武田> 特別に難しいことをしてはいません。株主として自分自身がその会社の株主になりたいかどうかが最大の判断基準です。

 良い会社はみんなが知っています。どういうところに投資機会があるかというと、どんなにいい会社でも、5年-10年の間には何かのきっかけで大きく下落することがあるのです。2008年のリーマンショック、2011年の大地震もそうでした。そういう時にこそ、目先の収益を犠牲にしてでも買い向かいます。これは言うのは簡単なのですが、実際には精神的にキツイところがあります。私は、けっこう、そういうのが好きなんです(笑) 辛い時も含めて運用の仕事は楽しいと思います。もちろん、最終的には辛さが報われなければ意味がないのですが・・・。

 投資でリターンをあげるには、まずは自分の意見が市場において少数意見派である必要があり、のちにそれが正しいと証明されなければなりません。ほとんどの場合に市場は正しいので、市場が間違っているといえる機会は少なく、それがいずれは正しいと証明されることは確率的にもっと少ないので、自ずと回転率は下がってしまいます。売買は付加価値を高めるため、売買することによってリターンが少し上がらなければ意味がないと思っていますので、慎重に行っています。

 経験則上、リスクを抑えつつ、リターンを最大化するアプローチが集中投資だと思っています。ビジネスの本源的な価値に基づいて投資するには、結果が出るまで時間がかかってしまいます。何かアクションを起こし、結果が出るまでには3年~5年の時間がかかるのです。ですから、お客様には、私はこういう考え方に基づいて運用していますので、その考え方に共有していただけなければ、ご期待に応えることはできませんと申し上げているのです。

 銘柄が多いと、下値リスクは抑えられても、相場の下落そのものを避けることはできません。ただ、少数銘柄に集中投資していれば、全体が下げている中でも、自分の銘柄だけが上がっているということはあり得るのです。一方で、集中して投資しているので、過度なリスクを取ることは避けています。自分の中では、「高度に分散された集中ポートフォリオ」になっていて、頭の中では投資している15のビジネスモデルは、かなり高度に分散されているという意識はあります。地理的な分散、ビジネスの特性も含めて分散しています。そして、自分だったら投資したいと思うようなポートフォリオにして、私自身の資金も投じています。

<藤野> 「集中しているけれど、分散している」という言葉には、「厳選投資」の極意があるように思いますね。

 「厳選投資」をウォッチしていて一番強く印象に残っているのは、2015年に大手の販売会社が取扱いを開始したことをきっかけに、100億円単位で月間の資金流入があった時に、見事に対応して、哲学も変えずにパフォーマンスも維持されていたことです。あの数カ月間の対応をみて、相当の手練れがやっているなという印象を持ちました。

<武田> 最初から数千億円の資金を任されても、この銘柄のポートフォリオなら大丈夫だろうという銘柄に投資していたこともあって、大きな資金が入ってきても、あまり変化はありませんでした。15や20という数字に縛られているわけではありません。日本企業約3600社の中で、本当にずっと持っていたいなと思える、長期の時間軸に耐えられるビジネスはそれほど多くはないというのが現実ではないでしょうか。

 ポートフォリオ理論上は10銘柄に分散されていれば、分散効果は享受できるといわれています。銘柄数が増えることによって追加的に得られる効果は小さくなって、一方で、インデックスに収れんしていきます。アメリカは圧倒的に効率化が進んでいるので、アメリカのアクティブマネージャーはきついと思うのですが、日本はいくつかの構造的な要因があって非効率なので、アルファは出せる環境にあると思っています。

経営者をみるところが重要なスパイス

― 藤野(レオス・キャピタルワークス)

<藤野> 「ひふみ」は、大型、中小型、小型が180銘柄以上入っています。私は、武田さんのように、少数の銘柄を選び抜くことができません。信じる力が不足しているのか、……、いや、実際は全部信じているのですが、同時に全部疑ってしまうところがあります。そのために、分散して、リスクとリターンのバランスを取っているところがあります。

 運用手法としては、企業業績の変化に注目する定量調査の部分が大きく、そこが主軸になっています。それに加えて、人間の付加価値というか、経営者の気合いと根性といった定性情報を見て銘柄を選んでいます。経営者をみるところが料理でいえば重要なスパイスになっています。スープもスパイスで味が変わってしまうように、会社訪問や経営者に会うということはとても重要だと考えています。ただ、ベースのところのスープを作るところは、定量的にやっています。

<酒井> 私も企業を強く信じているということはあまりありません。今入っている銘柄が、1年後はすべて入れ替わっているということもありえるくらいだと思っています。ひとつの会社にほれ込むということもなく、上場したばかりの企業から日本を代表する大企業まで、同じ距離感でみるようにしています。

<武田> 私も、投資先の企業にほれ込むことはないですよ。それほど、熱いオトコじゃないです(笑)

 スパークスは、中小型銘柄のボトムアップ運用で成長してきた運用会社なので、会社訪問をして経営者の話を聞くことの重要性はわかっていますが、「会社訪問=ボトムアップ」ではないですよね。会社訪問はひとつの手段だと割り切って考えています。

 経営者やIRの方は、基本は自分の会社を良く見せようとしますから、その言葉を鵜呑みにすることはありません。ただ、過去の実績は良くみています。2008年の金融危機の時に、どのような対応をしたのか。好景気の時にどうしているのか。大型株については、様々な情報があふれています。経営者の経営方針や当期の業績推移など、わざわざ訪問して確認するまでもなく、様々なデータが出そろっているといっても良いくらいです。

会計上の数字が、企業の本源的価値を常に正しく反映しているとは限りません。財務諸表を細かくチェックすることで、そのビジネスがどれくらいのキャッシュフローを長期にわたって生み出し続けることが可能なのかを自分なりに判断する必要があります。そのために会計制度の深い知識を持つことも重要だと思います。キャッシュフローをベースにして企業の現状を把握しながら、その業界が置かれている環境や歴史、競合他社、海外の状況など、その点に関しては、様々な資料を読み込んでいます。

 ほれ込まないようにするというのは、ひとつのヘッジだと思っています。実際に受益者に向けたレポートでも、自分はこのような考え方で投資をしているが、うまくいかない場合もあるということを伝えています。ただ、うまくいかない場合でもファンドに与える影響は大きくないなど、かなり冷静に投資先を捉えているつもりです。

  同僚には建設的な批判をしてほしいと言っています。見落としているポイントなどの意見を積極的に聞きます。新規に組み入れる場合は、ストレステストと呼んでいるのですが、あらゆる仮定を置いて徹底的にビジネスをつぶそうとしてみます。つぶそうとしてもなかなかつぶれない会社は、いい会社といえます。それがマーケットの中で評価が低ければ、スムーズに投資することができます。そうまでして買った後も、本当にその判断に間違いはないのかと自問自答の繰り返しです。

「ひふみプラス」「厳選投資」「自由演技」について

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プロフィール

酒井 義隆(さかい よしたか)
運用本部 株式運用グループ
ファンドマネジャー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

2004年、興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社(現アセットマネジメントOne株式会社)に入社。2005年よりファンドマネジャーとして国内株式運用やオルタナティブ運用を担当。アクティブ運用のみならずクオンツ運用も手掛け、ロングショート、スマートベータなど幅広い運用経験を持つ。「DIAM国内株オープン(愛称:自由演技)」を2014年より担当、「自由」な運用スタイルと精度の高い銘柄選びでTOPIXを安定かつ大きく上回るリターンを出している。

武田 政和(たけだ まさかず)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
ファンド・マネージャー

1996年、国際基督教大学教養学部卒業。同年、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。1998年、長銀ウォーバーグ証券(現UBS証券)に出向。管理部にてオペレーションリスク管理およびコスト管理を担当。1999年、スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

酒井 義隆(さかい よしたか)
運用本部 株式運用グループ
ファンドマネジャー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

2004年、興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社(現アセットマネジメントOne株式会社)に入社。2005年よりファンドマネジャーとして国内株式運用やオルタナティブ運用を担当。アクティブ運用のみならずクオンツ運用も手掛け、ロングショート、スマートベータなど幅広い運用経験を持つ。「DIAM国内株オープン(愛称:自由演技)」を2014年より担当、「自由」な運用スタイルと精度の高い銘柄選びでTOPIXを安定かつ大きく上回るリターンを出している。

武田 政和(たけだ まさかず)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
ファンド・マネージャー

1996年、国際基督教大学教養学部卒業。同年、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。1998年、長銀ウォーバーグ証券(現UBS証券)に出向。管理部にてオペレーションリスク管理およびコスト管理を担当。1999年、スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

ご注意事項

  • 本ページは、投資一般に関する情報提供を目的としているものであり、投資その他の行動を勧誘したり、推奨したりするものではございません。銘柄の選択などの投資にかかる最終判断は、お客様ご自身の判断でお願いいたします。
  • 本情報は、2017/10/13の取材時点のものです。
  • 「毎月分配型」の投資信託については、お取引の前に必ず「毎月分配型投信の収益分配金およびNISAでのご注意事項、ならびに通貨選択型投信に関するご注意事項」PDFです。新しいウィンドウで開きます。の内容をご確認いただきますようお願いいたします。
  • 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
  • 投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
  • ご投資にあたっては、目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。
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