老人ホームの費用はいくら?1か月の目安と10年の総額、親の資産で足りるかの計算方法
「親を老人ホームに」と考え始めたとき、最初に気になるのは「いったい、いくらかかるのか」ではないでしょうか。老人ホームの費用は、施設の種類やグレードによって大きく違います。月額は8万円ほどからですが、有料老人ホームには、家賃を含めた月額が100万円を超える施設や、入居金が1億円を超える施設もあります。
そして実際に大切なのは、毎月の金額そのものより、「その金額を何年払い続けられるか」です。
この記事では、首都圏で老人ホーム探しのお手伝いをしている「住まいる」の相談員の立場から、1か月の費用の目安、80歳から入った場合に10年でかかる総額、親御さんの年金と資産で足りるかの計算方法、そして負担を軽くする公的な制度までを、順を追って解説します。
老人ホームの費用は「入居時」と「毎月」の2つで考える
老人ホームの費用は、入居するときに一度だけ払う「入居時の費用」と、毎月払い続ける「月額の費用」の2つに分かれます。
入居時の費用|0円から1億円を超えるものまで
・特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの公的な施設では、入居時の費用はかからないのが一般的です。
・民間の有料老人ホームでは、入居金(入居一時金・前払金)が0円のプランから1億円を超えるプランまであり、同じホームの中に複数の料金プランが用意されていることもあります。
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は賃貸住宅なので、入居時は敷金(家賃の2〜3か月分程度)が中心です。
入居一時金は「家賃の前払い」
入居一時金の多くは、将来の家賃を前もって払うお金です。入居したときに一部が「初期償却」として差し引かれ、残りは「償却期間」をかけて少しずつ償却されていきます。償却期間の途中で退去した場合や亡くなった場合は、まだ償却されていない分が返還金として戻ります。
また、入居から3か月以内に契約を解除した場合(亡くなった場合を含む)は、住んだ日数分の家賃などを差し引いて前払金が返還される決まりがあります(いわゆる「90日ルール」)。
「0円プラン」と「一時金プラン」、どちらが得か
入居一時金が0円のプランは、そのぶん毎月の家賃が高く設定されているのが一般的です。住む期間が短ければ0円プラン、長ければ一時金を払うプランの方が総額は安くなりやすい、という関係にあります。どちらが得かは「何年住む想定か」で決まるため、このあと紹介する「何年分を見込むか」とあわせて比べてみてください。
入居一時金の償却と返還金の仕組みは、住まいるのコラム老人ホームの費用相場と内訳|入居一時金・月額費用と軽減制度で、図を使って解説しています。
1か月の費用はいくら?施設の種類ごとの目安
老人ホームの1か月の費用は、首都圏の目安で、特養や老健などの公的な施設なら月8万円〜17万円ほど、民間の有料老人ホームは幅が広く、家賃を含めて月15万円ほどから、月100万円を超える施設まであります。入居金も、0円から1億円を超えるものまでさまざまです。施設の種類ごとの目安は次のとおりです。

※首都圏における目安です。有料老人ホームの月額は、家賃(家賃相当額)を含めた額です。入居金を払うプランでは、家賃の前払いにあたるぶん月額が下がります。同じ種類でも、立地・居室の広さ・職員の配置などによって金額は大きく異なります。実際の金額は、各施設の重要事項説明書でご確認ください。
公的な施設と民間の施設の違い
・特養は費用を抑えられる一方、原則として要介護3以上の方が対象で、地域によっては入居まで待つこともあります。
・老健は、自宅に戻ることを目指してリハビリを行う施設で、長く住み続ける場所としては位置づけられていません(看取りまで対応する老健もあり、施設によって差があります)。
・有料老人ホームやサ高住は費用が高めですが、空きが見つかりやすく、立地や設備、サービスの内容から選べます。
施設ごとの費用の内訳や入居の条件は、住まいるのコラムで詳しく解説しています。特養(特別養護老人ホーム)の費用|月額の目安と料金表、特養とは|入居条件・費用・申し込み、老健(介護老人保健施設)とは、サ高住とは、有料老人ホームとは|介護付・住宅型の違いもあわせてご覧ください。
月額に含まれるもの・別にかかるもの
施設の資料にある「月額費用」には、含まれるものと、別に請求されるものがあります。資料の月額だけで比べると、実際に毎月払う金額とずれることがあります。

なお、特養や老健などの介護保険施設では、おむつ代は介護保険の費用に含まれ、別にはかかりません。
住宅型有料老人ホームとサ高住は「介護を使った分」が加わる
介護付き有料老人ホームの介護サービス費は、要介護度ごとの定額で、月々の支払いを見通しやすいのが特徴です。一方、住宅型有料老人ホームやサ高住では、外部の事業所と契約して使った分だけ介護サービスの自己負担を払う形が一般的です。要介護度が上がって使うサービスが増えると、入居後に毎月の支払いが上がることがあります。
見学のときは、「月額に含まれないものの一覧」と「入居している方が実際に毎月いくら払っているか」を聞いてみると、資料の数字との差がつかめます。
総額はいくら?80歳から入る場合と10年間の計算
老人ホームの費用は、月額に住む期間をかけた「総額」で考えると、判断を誤りにくくなります。
総額 = 入居時の費用 +(月額費用 + 月額に含まれない費用)× 12か月 × 住む年数
何年分を見込むか|80歳で入るなら10年前後が目安
厚生労働省の「令和7年簡易生命表」によると、80歳の平均余命は男性9.10年、女性11.95年、85歳では男性6.44年、女性8.47年です。80歳で入居するなら、10年前後を見込んでおくと安心です。平均余命はあくまで平均なので、それより長く暮らす方もいらっしゃいます。
介護が必要だった期間の平均は4年7か月という調査もあります(生命保険文化センター)。ただ、施設の費用を考えるときは、入居してから暮らす期間の全体で見込んでおく方が安全です。
10年間の総額の早見表

月20万円なら10年で2,400万円、月30万円なら3,600万円です。入居一時金がある施設では、これに入居時の費用が加わります(そのぶん月額が下がるのが一般的です)。
計算例|80歳の母が介護付き有料老人ホームに入る場合
・月額費用22万円+月額に含まれない費用(医療費・おむつ代・日用品など)3万円=月25万円
・入居一時金0円のプラン
・見込む期間:12年(80歳女性の平均余命11.95年をもとに)
・総額:25万円 × 12か月 × 12年 = 3,600万円
住宅型有料老人ホームやサ高住では、介護サービスの自己負担が月額とは別にかかるため、「月額に含まれない費用」をもう少し多めに見込んでおきます。
親の年金と資産で足りるか|不足額の出し方と資産の使い方
総額の見当がついたら、親御さんの収入と資産でまかなえるかを確かめます。有料老人ホームの場合、年金だけで月額をまかなえないことも多く、足りない分を資産から何年取り崩せるかを見るのが現実的です。
3つのステップで計算する
1.毎月の不足額 = 月額費用(月額に含まれない費用も含む)- 毎月の年金などの収入
2.必要な資産 = 毎月の不足額 × 12か月 × 見込む年数 + 入居時の費用
3.手元の資産と比べる:医療費や、将来の住み替えに備えた予備のお金も残しておきます
先ほどの例で、年金などの収入が月15万円なら、不足額は月10万円です。10万円 × 12か月 × 12年 = 1,440万円に、予備のお金を加えた額が、資産から用意したい目安になります。
この計算は、住まいるの老人ホーム・シニア住宅の費用シミュレーションで試すことができます。年金などの毎月の収入と使える資産を入れると、ご年齢から想定居住期間を自動で計算し、無理なく払える月額の目安が分かります。気になる施設の月額から、資産が何年もつかを逆に計算することもできます。
使える資産を洗い出す
預貯金のほか、株式や投資信託などの有価証券、保険、そして自宅も、費用にあてる候補になります。自宅を売る・貸すことで費用にあてる方もいらっしゃいます。
株式や自宅を売って利益が出た場合、確定申告の内容によっては、翌年度の介護保険の自己負担の割合(1割・2割・3割)や保険料に影響することがあります。売る時期や申告の仕方は、税理士などの専門家に確かめてからにすると安心です。
認知症に備えて、お金を動かせる準備を
親御さんが認知症などで判断が難しくなると、本人名義の預金や証券口座の手続きが難しくなることがあります。判断できるうちに、金融機関への代理人の届出、任意後見、家族信託などの備えを検討しておくと、入居の費用を滞りなく支払えます。
段階ごとの備え方は、住まいるのコラム親のお金の管理|施設の費用を、誰がどう払っていくかで解説しています。
相続の準備は「介護の費用」を見込んでから
生前贈与などで資産を子や孫に移す前に、親御さん自身の介護と住まいにかかる費用を見積もっておくと安心です。また、有料老人ホームの入居一時金を払ったあとに亡くなった場合、まだ償却されていない分の返還金は、相続税の計算に含まれます(受取人を契約で指定する形もあります)。子が親の費用を負担する場合の贈与税の扱いなども含め、税金の判断は税理士などの専門家にご確認ください。
費用の負担を軽くする公的な制度
老人ホームの費用には、所得や施設の種類に応じて使える公的な軽減の制度があります。いずれも申請しないと受けられないため、当てはまるかを確かめておくと安心です。
高額介護サービス費|介護の自己負担に月の上限
介護保険サービスの自己負担が1か月の上限を超えると、超えた分が申請によって戻ります。多くのご家庭では、上限は世帯で月44,400円(住民税課税世帯)または月24,600円(住民税非課税世帯)です。家賃や食費、おむつ代などは対象になりません。詳しくは高額介護サービス費とは|対象・上限額・申請方法をご覧ください。
負担限度額認定|特養や老健の食費と部屋代が下がる
世帯全員が住民税非課税で、預貯金などが基準額以下(単身で500万〜1,000万円以下など、段階によって異なる)の場合、特養や老健などの食費と居住費(部屋代)が軽減されます。
医療費控除|施設の種類で対象が変わる
特養は、介護サービス費・食費・居住費の自己負担の2分の1が、老健と介護医療院は全額が、医療費控除の対象です。介護付き有料老人ホームとグループホームの費用は対象外ですが、住宅型有料老人ホームやサ高住で使う訪問看護などの医療系のサービスは対象になります。いくら戻るかは老人ホームの医療費控除|特養・老健・有料老人ホームの違いで試算できます。
高額介護合算療養費|医療と介護を合わせた1年の上限
1年間(8月〜翌年7月)の医療保険と介護保険の自己負担の合計が基準額を超えると、超えた分が戻ります。
施設か在宅か、所得はどうかによって使える制度が変わります。制度の一覧と申請の時期は、住まいるのコラム介護費用を抑える制度一覧にまとめています。
費用が足りないとき・お金に余裕がないときの選択肢
計算してみて足りないと分かっても、選択肢がなくなるわけではありません。
・費用を抑えられる施設を候補に入れる:特養(原則要介護3以上)、ケアハウス、グループホームなど。特養では所得に応じた軽減も使えます。
・探すエリアを広げる:同じような施設でも、都心から少し離れると月額が下がることがあります。ご家族が面会に通える範囲で、探す範囲を広げるのも一つの方法です。
・居室のタイプを見直す:個室から多床室(相部屋)へ、ユニット型から従来型へ、といった見直しで月額が変わります。
・自宅を売る・貸す:空き家になる自宅を費用にあてる方法です。税金や名義の確認が必要になるため、早めに専門家に相談しておくと進めやすくなります。
・生活保護を受けている方でも入れる施設があります:住まいるでは、生活保護を受けている方のご相談も承っています。
年金の範囲で探す方法は、住まいるのコラム年金だけで入れる老人ホームはある?で解説しています。
【出典・参考】
・厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」(主な年齢の平均余命)
・生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(生命保険に関する全国実態調査 2024(令和6)年度)
・国税庁 タックスアンサー No.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」、No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」(令和8年4月1日現在法令等)
・厚生労働省「介護・高齢者福祉」(高額介護サービス費・負担限度額認定)
※本記事は2026年9月時点の情報にもとづく一般的な説明です。施設ごとの料金や制度の詳細は、各施設やお住まいの市区町村にご確認ください。
老人ホームの費用と施設探しのご相談は「住まいる」へ

東急ウェルネスが運営する老人ホーム紹介サービス「住まいる」では、首都圏の約3,000施設の中から、ご予算やお身体の状態、ご家族が面会に通いやすい場所に合わせて施設をご提案しています。最初のご相談からご入居まで、介護の現場を経験した同じ相談員が担当します。ご相談は無料です(紹介料は、ご入居が決まった施設からいただいています)。
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「親の年金と資産で、どのくらいの施設なら払い続けられるか」は、住まいるの費用シミュレーションで試算できます。そのうえで、具体的な施設選びをご一緒に進めることもできます。
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