独占企画!スペシャル対談 SESSION-02 独占企画!スペシャル対談 SESSION-02

全3編でお送りするSBI証券の独占スペシャル対談。
SESSION2では、さらに深く、各々がアクティブファンドへの想いを語ります。

日本の株式市場がもつ問題点とは何なのか、そして、彼らが思う「アクティブファンドの役割」とは何なのでしょうか。

いかにして高パフォーマンスをあげるのか?
~アクティブファンドマネージャーの投資哲学とその原点~

<藤野> 武田さんは、バフェット氏の考え方に近いと思うのですが、自分ではどう思っていますか?

<武田> 私は96年卒で、最初は銀行に就職して、99年からスパークスで運用の仕事を始めました。スパークスを通じ、ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウェイや、バフェット氏の教えを受け継いでいる会社から運用の考え方を学びました。アメリカの優れた運用者が出しているインベスターレターやファンド保有者との会議の議事録などを取り寄せて、投資の哲学や投資の背景を学びました。

 バフェット氏も、もちろん研究した運用者の一人ですし、その他にもグロース系、バリュー系など、様々な運用者の考え方をお手本にして学びました。ほとんどは、アメリカ人ですが、そのうちの誰が、ということはなく、集合体として学んできたと思います。その結果が、「高度に分散された集中ポートフォリオ」という「厳選投資」の投資哲学になっています。

<藤野> 私は、マゼランファンドの運用を担っていたピーター・リンチ氏に学ぶところが多くあります。ピーター・リンチ氏は1992年ごろに運用を辞めているのですが、私が野村投資顧問に入社したのが1990年で、当時はピーター・リンチ氏の書いた本などを読んで投資の魅力を考え、マゼランファンドの成長の歴史などに刺激を受けました。

 ピーター・リンチ氏には、投資マネージャーとしての考え方や、1000億ドル以上の規模にファンドを育てて国民的ファンドといわれるほどにまでにしたマーケティング手法も含めて学ぶところは多いと思っています。「ひふみ」は、日本のマゼランファンドを目指す、と言っているのです。

 もちろん、当時のアメリカの状況と現在の日本では環境が大きく異なります。1990年当時はインターネットもなかった時代です。「ひふみ」は、現在の日本で育っているファンドなので、今の日本の状況に応じた育て方があると思っています。ただ、ピーター・リンチ氏が今、日本にいたらどうしたろうというようなことは、けっこう意識してやっています。

<酒井> 私は、ファンドマネージャーである前に、ビジネスマンという感覚をもっているので、特に誰を意識していることはありません。ファンドマネージャーという仕事も面白いのですが、投資家の方々に投資のきっかけになるようなファンドを企画し、セールスにも回りたいという思いもあります。

 また、ビジネスマンである前に、サービス業の人間だという意識が強くあります。サービス業という観点で、運用商品を考えると、消費者の方がそこに期待しているのは、やはり運用収益だろうと思うので、いつ購入した人も、6カ月もっていただければ、プラス収益を届けるということの意味は、私の中では大きいのです。

 アセットマネジメントOneには、ファンドマネージャーも日本株担当だけで50人ほどもいます。その一人ひとりの先輩は、それぞれに学ぶべき点があります。誰かのようにという考えではなく、先輩ファンドマネージャーひとり一人の良いところを組み合わせたような存在になりたいと思っています。

武田氏が語る、”非効率”な日本株市場?

<藤野> 武田さんの話に、アメリカの市場に比べると日本は非効率な市場だという話がありました。どの点が非効率と感じているのですか?

<武田> ひとつは、「投資家層」の構造にあると思います。日本の一般投資家に株の経験が浅く、機関投資家はサラリーマン的な意識が強くて、まだプロの意識が十分でないと感じます。また、外国人投資家は、日本独特の企業カルチャーや言葉の壁があるのではないかと思います。このため、日本株投資家の層が薄いと感じます。

 もう一つは、「市場構造」の問題です。現在は、超大型企業がものすごい勢いで成長するような産業構造の変化があり、それを如実に反映している米国のS&P500に対し、日本は良くも悪くも旧態依然としています。日本の大型企業は、成熟しきってしまったオールドエコノミーが多く、また、成長が難しくて、閉塞感のある日本に縛られている企業が多いと思います。長い目で見れば、企業の時価総額は企業の本源的な価値の増加に歩調を合わせるので、優れたリターンをあげるのは、持続的に成長を続けられる企業に投資対象を絞ることで可能だと思います。

 アメリカは市場構造の他に、市場で機関投資家比率が高まっていることによる影響もあります。半世紀以上前は、機関投資家が情報量で個人投資家より勝ることでリターンを上げていました。それほどの情報ギャップがあったのです。ところが、90年代、2000年代になって市場の機関投資家比率が7割、8割に上がってくると、そこでの情報アドバンテージがなくなってきました。百戦錬磨のファンドマネージャーだけが勝ち残って、しのぎをけずって戦っているような状態になり、そこで勝ち続けるのは非常に難しくなっています。

 なので、勝ち残った少数のファンドマネージャーは互いに削りあって消耗し、アクティブファンドの運用成績は5年、10年の期間で検証すると運用手数料控除後ベースでは9割がインデックスに負けてしまうということが起きているのです。ただ、市場参加者がインデックス投資家だけになってしまうと、企業そのものがダメになって市場がおかしくなっていくので、アクティブファンドの価値発見の役割は必ず見直されると思っています。

<藤野> 完全に同意します。私は、日本のインデックスは3分の1か、半分くらいは腐っている幕の内弁当だと言っています。この腐った部分を取り除くだけでも、ずいぶん高いパフォーマンスを出すことができると思っているのです。

 ただ、日本の運用は、年金の運用をはじめとして、インデックスを意識した運用から自由になれないでいます。アクティブファンドといいながら、トラッキングエラーの足かせをつけているので、結果的にベンチマークを意識して、ベンチマークに対して勝った負けたで評価しています。この「トラッキングエラー呪縛」をどう外すかということがものすごく重要になっていると思います。

 インデックス化が進めば進むほど、市場の非効率が拡大します。そこで、日本の市場の非効率性について分かっている一部のファンドマネージャーの価値が高まります。だから、いずれはアクティブファンドのブームが、日本にやってくるのではないかと思っています。そして、アクティブファンドがしのぎを削るような競争があって、そのことによってマーケットが効率化し、その効率化した市場においてインデックスが改めて見直されるということが起こると思っているのです。もしそうなると、アクティブマネージャーにとって厳しい時代といえますが、日本にとっては望ましい状態だと思います。

酒井氏が思う、アクティブファンドの役割とは?

<酒井> インデックスから、時代に合わないオールドエコノミーを排除すれば、インデックスに勝てるということは、その通りなのですが、現実として1年のうちに、1カ月や2カ月は、オールドエコノミーの株価が値上がりすることがあります。その銘柄を持っていなければ、その期間はインデックスに運用成績が負けてしまうことになります。

 市場とのかい離を、受益者の方々にどのように伝えるのかということも大事なことです。特に大型株は、市場との連動性が強いので、それを持っていないと市場との関係が離れてしまうので、それがお客様にとって使い勝手が良いのかどうかということも考えなければなりません。その点では、市場を代表する大型株ともうまく付き合っていくことが必要になります。

 また、アクティブファンドは全てが、インデックスに勝ることをめざすと捉えられがちですが、たとえば「スマートβ」という運用手法はシャープレシオを高めることを目的にしてTOPIXに勝つことをめざしていないというものもあります。そして、アクティブの中でも「テーマ型」は、長期投資の目線では良い評価は得られないかもしれませんが、分かりやすいパフォーマンスのイメージを伝えて投資のきっかけを提供するという点では優れた商品性を持っていると思うのです。

 このようにアクティブファンドにも、いろんな役割があり、それを一括りにアクティブファンドと呼んで評価しようとすると無理があります。純粋にアクティブリターンだけを追っているアクティブファンドのパフォーマンスだけを取り出すと、アクティブファンドの評価は少し違って出てくると思います。

<藤野> その通りです。アクティブファンドの情報提供力が弱いという側面もあります。運用会社側の問題でもありますが、伝える側の努力も、もっと必要だと思います。そして、アクティブファンドには様々な考え方のファンドがあり、投資はわくわくして面白いものだという、その楽しさをもっと伝えていきたいと思います。この3ファンドだけでなく、優れたパフォーマンスを上げているファンドは、他にもあります。もっともっとアクティブファンドの個性を知っていただきたいと思います。

 SBI証券はプラットフォームとして大きな可能性を感じます。特定のファンドばかりを売らずにより多くの方々に投信を買っていただける場を提供しています。今後も「場」としていろんな情報をどんどん提供していただけると良いなと思います。

「ひふみプラス」「厳選投資」「自由演技」について

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プロフィール

酒井 義隆(さかい よしたか)
運用本部 株式運用グループ
ファンドマネジャー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

2004年、興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社(現アセットマネジメントOne株式会社)に入社。2005年よりファンドマネジャーとして国内株式運用やオルタナティブ運用を担当。アクティブ運用のみならずクオンツ運用も手掛け、ロングショート、スマートベータなど幅広い運用経験を持つ。「DIAM国内株オープン(愛称:自由演技)」を2014年より担当、「自由」な運用スタイルと精度の高い銘柄選びでTOPIXを安定かつ大きく上回るリターンを出している。

武田 政和(たけだ まさかず)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
ファンド・マネージャー

1996年、国際基督教大学教養学部卒業。同年、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。1998年、長銀ウォーバーグ証券(現UBS証券)に出向。管理部にてオペレーションリスク管理およびコスト管理を担当。1999年、スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

酒井 義隆(さかい よしたか)
運用本部 株式運用グループ
ファンドマネジャー
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

2004年、興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社(現アセットマネジメントOne株式会社)に入社。2005年よりファンドマネジャーとして国内株式運用やオルタナティブ運用を担当。アクティブ運用のみならずクオンツ運用も手掛け、ロングショート、スマートベータなど幅広い運用経験を持つ。「DIAM国内株オープン(愛称:自由演技)」を2014年より担当、「自由」な運用スタイルと精度の高い銘柄選びでTOPIXを安定かつ大きく上回るリターンを出している。

武田 政和(たけだ まさかず)
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
ファンド・マネージャー

1996年、国際基督教大学教養学部卒業。同年、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。1998年、長銀ウォーバーグ証券(現UBS証券)に出向。管理部にてオペレーションリスク管理およびコスト管理を担当。1999年、スパークス・アセット・マネジメント株式会社入社。

藤野 英人(ふじの ひでと)
レオス・キャピタルワークス
取締役・最高投資責任者(CIO)

1966年、富山県生まれ。1990年、早稲田大学卒業後、国内外の運用会社で活躍。特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。2003年に独立し、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を直接販売する直販ファンドの「ひふみ投信」を運用し、ファンドマネージャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。

ご注意事項

  • 本ページは、投資一般に関する情報提供を目的としているものであり、投資その他の行動を勧誘したり、推奨したりするものではございません。銘柄の選択などの投資にかかる最終判断は、お客様ご自身の判断でお願いいたします。
  • 本情報は、2017/10/13の取材時点のものです。
  • 「毎月分配型」の投資信託については、お取引の前に必ず「毎月分配型投信の収益分配金およびNISAでのご注意事項、ならびに通貨選択型投信に関するご注意事項」PDFです。新しいウィンドウで開きます。の内容をご確認いただきますようお願いいたします。
  • 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
  • 投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
  • ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。
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