アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~8月高値からの上昇率大の銘柄、ネットフリックス、イーライリリー、スターバックスほか~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~8月高値からの上昇率大の銘柄、ネットフリックス、イーライリリー、スターバックスほか~

投資情報部 榮 聡

2022/12/05

先週はパウエルFRB議長が12月にも利上げ幅を縮小する可能性を示唆したことを受けて、S&P500指数は200日移動平均線の上に浮上しました。今週の株価材料として、11月ISM非製造業景気指数、11月生産者物価指数物、S&P500指数の200日MA維持、などが注目されます。

今回は8月の高値を起点に直近までの株価上昇率が高い銘柄(S&P100指数採用銘柄対象)から、ネットフリックス(NFLX)メルク(MRK)イーライ リリィ(LLY)キャタピラー(CAT)スターバックス(SBUX)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数のローソク足(日足、6ヵ月)

上値抵抗が想定された200日移動平均線を終値が上回って3営業日が経過しています。このまま、同移動平均以上で滞留する期間が長くなると一段高に進む可能性が高くなると考えられます。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
コミュニケーションサービス 3.3% 13.9% -5.1%
一般消費財・サービス 2.1% 5.9% -7.5%
ヘルスケア 1.9% 6.8% 11.8%
素材 1.5% 10.7% 12.6%
情報技術 1.3% 11.6% 1.6%
S&P500 1.1% 8.0% 3.8%
生活必需品 1.1% 7.5% 6.7%
資本財・サービス 1.0% 7.4% 11.2%
不動産 0.4% 7.7% -5.5%
公益事業 0.1% 5.4% -4.8%
金融 -0.6% 5.7% 9.2%
エネルギー -2.0% -2.1% 12.9%
騰落率上位(5日) 騰落率
ネットフリックス 12.2%
メタ・プラットフォームズ 10.8%
テスラ 6.6%
アルトリア・グループ 6.5%
フィリップ・モリス・インターナショナル 6.2%
騰落率下位(5日) 騰落率
コストコホールセール -7.3%
ペイパル・ホールディングス -6.8%
セールスフォース -5.7%
バンク・オブ・アメリカ -4.3%
キャピタル・ワン・ファイナンシャル -4.0%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.1%、NYダウは0.2%、ナスダック指数は2.1%の上昇でした。

11/28(月)は中国全土に広がったコロナ規制に対する抗議活動を巡る懸念に加え、米金融当局者の発言も株価を下押して下落、11/29(火)は材料難でもみ合いとなりました。

11/30(水)はパウエルFRB議長が、早ければ12月にも利上げペースを縮小する可能性があると示唆して、株式は大幅に上昇しました。S&P500指数は3.1%上昇して上値抵抗として意識されていた200日移動平均線を上回りました。

一方、12/1(木)は前日の大幅上昇後の売りをこなしてもみ合い、12/2(金)は11月雇用統計の非農業部門雇用者数や平均時給が強く、株価は大きく下げて始まりましたが、米10年国債利回りが落ち着いていたことから、引けにかけて前日比変わらず近くまで戻しました。

米10年国債利回りは、12/1(木)に10月個人消費支出物価指数の伸びが鈍化、11月ISM製造業景気指数が50を割り込んだことをうけて3.5%台前半まで大幅に低下しました。さらに週末の強い雇用統計への反応も限定的で、3.4%台まで低下して引けています。

業種指数では、業種が物色されたというよりは、個別企業の株価の動きが反映された面が強いとみられます。「コミュニケーションサービス」はネットフリックス、メタプラットフォームズの上昇、「一般消費財・サービス」はテスラの上昇が効いています。個別銘柄では、マスクCEOの株式大量売却が判明して大きく下げていたテスラ(TSLAが、先週は中国、欧州での販売好調のニュースが出て好感されました。一方、コストコ ホールセール(COST)は、11月の既存店売上(ガソリン販売を除く)が前年比4.3%増と市場予想の同7.7%増を大幅に下回って嫌気されました。同社は12/8(木)に9-11月期決算を発表の予定です。

経済指標では、9月ケースシラー住宅価格指数が前年比10.4%増へ5ヵ月連続の伸び率低下、10月個人消費支出物価指数が総合指数は前月の前年比6.3%増から同6.0%増へ、コア指数も同5.2%増から同5.0%増となり、インフレの鎮静を示唆しました。一方、11月雇用統計の平均時給は前年比5.1%増となり、前月の同4.9%増、市場予想の同4.6%増を上回ってサプライズとなりました。この指標はインフレ高止まりを示唆するものと捉えられます。

今週の米国株式市場

S&P500指数は、インフレピークアウトを織り込む中で来年初にかけて戻り基調となることが期待されます。来週12/13(火)の11月消費者物価指数、12/14(水)のFOMC結果発表に向けて市場の期待が高まりやすいと考えられます。

今週の株価材料として、11月ISM非製造業景気指数、11月生産者物価指数物、S&P500指数の200日移動平均線維持、などが注目されます。

12/5(月)に発表予定の11月ISM非製造業景気指数は、前月の54.4から53.3に低下の予想です。先週発表された11月ISM製造業景気指数は前月の50.2から49.0に低下して、パンデミック発生直後以来の50割れとなりました。米10国債利回りの低下につながり、株式もネガティブに反応した形跡がありますので、非製造業景気指数への反応も注目です。

景気指標は、ここ数ヵ月は「(経済の)Bad news is (株式相場の)good news」という流れでしたが、今後は徐々に「(経済の)Bad news is (株式相場の)bad news」に変化していくとみられますので、いつ頃その変わり目を迎えるかにも注意が必要でしょう。

12/9(金)に発表予定の11月生産者物価指数は、総合指数が前年比7.2%増の予想(前月は同8.0%増)、コア指数が前年比5.9%増の予想(前月は同6.7%増)と、いずれも前月から伸びが低下する見込みです。インフレピークアウトに対する市場の期待を一段と強めるか注目されます。

S&P500指数の200日移動平均線は現在4,046ポイントにあります。パウエルFRB議長の発言で一気に上抜け、直近3営業日の終値は同移動平均を超えて推移しています。このまま同移動平均以上を維持できれば、一段高となる可能性が高まると考えられます。

経済指標では上記のほか、12/5(月)に米国の10月製造業受注(前月比0.7%増の予想)、12/9(金)に米国の12月ミシガン大学消費者信頼感速報値(前月の56.8から横ばいの予想)、などの発表が予定されています。

企業イベントでは、オートゾーン、ブロードコム、コストコホールセール オラクルなどの決算発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回はS&P500指数が8月に高値を付けた8/16(火)を起点に12/1(木)にかけての株価上昇率が大きい銘柄(S&P500指数は同期間に5.3%の下落)を、主要銘柄からなるS&P100指数採用銘柄から選んでご紹介いたします。

上記の期間は8/26(金)のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの発言、9/13(火)の8月消費者物価指数、9/21(水)のFOMC結果発表などを受けて下落基調となり、一方、10/13(木)の9月消費者物価指数で底入れ、11/10(木)の10月消費者物価指数で上昇と、主にインフレ指標とFRBの利上げ姿勢に対する期待が市場の動きを支配しました。

このような相場環境で個別に好材料が出て市場平均を上回るパフォーマンスをあげてきた銘柄をピックアップしようというのが主旨です。図表3に抽出された銘柄について、来期予想EPS増加率がプラスとなっている銘柄から、ネットフリックス(NFLX)、メルク(MRK)、イーライ リリィ(LLY)、キャタピラー(CAT)、スターバックス(SBUX)を選んでご紹介いたします。

図表3 8月高値の8/16から12/1にかけての株価上昇率が大きい銘柄(S&P100指数採用銘柄対象)

コード 銘柄名 株価騰落率
8/16~12/1
(%)
株価
(12/1)
(ドル)
予想PER
(倍)
来期予想
EPS増加率
(%)
GILD ギリアド・サイエンシズ 32.5 87.90 13.2 -5.9
NFLX ネットフリックス 29.0 316.95 32.2 4.3
COP コノコフィリップス 22.9 123.06 9.8 -9.3
MRK メルク 21.2 109.80 15.7 1.3
XOM エクソンモービル 21.1 110.80 9.3 -19.0
LLY イーライリリー 19.3 370.33 44.0 17.4
CAT キャタピラー 19.3 235.69 15.9 7.7
CVX シェブロン 16.7 182.49 10.4 -11.9
SBUX スターバックス 15.6 103.37 30.4 17.9
ABBV アッヴィ 13.4 161.63 13.1 -16.0

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

買付 チャート 銘柄 株価
(12/2)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートネットフリックス(NFLX)320.41ドル28.8

【広告付きプランの導入に注目】

・11/3(木)に米国や日本を含む主要10ヵ国で導入された広告付きプランの導入効果が注目されています。同社の広告主向け説明資料では、同プランによる視聴者数(加入契約当たり複数人が視聴できるため、加入者数よりも多いと考えられます)は、2022年末に4.4百万人(うち米国が1.3百万人)、2023年7-9月期に40百万人(うち米国が13.3百万人)に達する計画で、市場の注目を集めています。

・7-9月期の加入者純増が241万人で100万人の会社ガイダンスを大きく上回り、10-12月期のガイダンスも450万人と4-6月期の98万人減から回復傾向が続くことが示唆されました。加入者純増が1-3月期、4-6月期と2四半期連続でマイナスとなって「中期的な成長力を失ったのではないか」、との懸念が後退したとみられます。7-9月期の売上は前年同期比6%増、EPSは同3%減、市場予想に対してはそれぞれ1%、46%上回りました。

買付チャートメルク(MRK)110.0414.7

【主力のがん治療薬「キイトルーダ」が伸びる】

・世界売上4位の製薬会社です。がん、循環器系疾患、糖尿病、肝炎・感染症の医薬品・ワクチンを手掛けます。がん治療薬の「キイトルーダ」が主力薬で、2021年12月期の売上が171億ドル、売上構成比は35%です。糖尿病治療薬「ジャヌビア/ジャヌメット」、子宮頚がん予防ワクチン「ガーダシル/ガーダシル9」なども売上貢献が大きい製品です。2017年にアニマルヘルスの事業を買収して拡大に注力しています。

・2022年12月期は主力薬「キイトルーダ」に加えて、新型コロナの経口治療薬「ラゲブリオ」(一般名:モルヌピラビル)も売上拡大に貢献します。一方、2023年12月期は新型コロナ治療薬の減少の影響もあり、全体も減収となる見込みです。主力の「キイトルーダ」は、適応拡大が続くことで2021年12月期の172億ドルから、2022年12月期に210億ドル、2023年12月期に241億ドルと順調に拡大する見通しです。

買付チャートイーライ リリィ(LLY)374.76ドル41.0

【肥満治療薬の開発が注目されている】

・製薬業界で世界大手の一角。第3相臨床試験以上の開発薬が30種類あり、パイプラインが充実していることから、大手医薬品メーカーの中でも特に高い成長が期待されています。パイプラインの中で注目されているのは、糖尿病薬と肥満治療薬の「チルゼパチド」、アルツハイマー治療薬「ドナネマブ」、皮膚炎治療薬「レブリキズマブ」などです。特に肥満治療薬としての「チルゼパチド」は、被験者の体重が21%減少したとする第3相臨床試験の結果を発表(4/28(木))して、市場の注目が高まっています。

・7-9月期は、売上が前年同期比2%増、調整後EPSが同12%増で、市場予想を上回り、4-6月期決算が市場予想を下回ったことで高まった不透明感をかなり払拭しました。売上は数量が前年同期比14%増と伸びた一方、価格が同7%減、ドル高による目減りが同4%減となっています。通期ガイダンスは、売上・EPSとも引き下げられましたが、主にドル高の影響によるものです。

買付チャートキャタピラー(CAT)236.13ドル15.8

【需要は堅調】

・建設機械および鉱山機械の世界的大手です。サプライチェーン問題、長期金利上昇、経済成長率の鈍化など向かい風は強いものの、7-9月期決算で示された最終需要の堅調、受注残の増加などを考えると2022年の二桁増益に続いて2023年も増益が可能と考えられます。

・7-9月期決算は、売上が前年同期比21%増、EPSが同49%増で、市場予想をそれぞれ2%、24%上回って好調でした。売上増は販売価格引き上げのほか、ディーラーの在庫引き上げに加えて最終需要も堅調で販売数量も伸びました。部門別売上は建設が前年同期比19%増、資源関連が同30%増、エネルギー&運輸が同22%増でした。受注残は前年同期比94億ドル、2022年6月末比でも16億ドルの増加となりました。

買付チャートスターバックス(SBUX)105.05ドル30.9

【中国事業の回復に期待】

・同社業績の足を引っ張っている中国事業では、「ゼロコロナ政策」に緩和の兆しが出ていることから、2023年9月期には改善が期待されます。7-9月期の中国の既存店売上は前年同期比16%減でした。10-12月期も前年同期比マイナスが見込まれますが、通期では徐々に改善となる期待があります。

・7-9月期決算は、グローバルの既存店売上が前年同期比7%増(客単価の上昇が8%ポイント貢献)と市場予想の同4.1%増を大きく上回りました。米国の既存店売上は同11%増と伸び、経営陣は店舗改装の効果が表れているとコメントしています。売上は前年同期比3%増、調整後EPSが同18%減で、いずれも市場予想を上回りました。売上については、今年度は13週間、前年同期は14週間での比較ですが、前年度も13週間に揃えた比較では同11%増でした。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、スターバックスが20232年9月期、その他は2023年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
5(月) ・ユーロ圏小売売上高(10月)
・米製造業受注(10月)
・米ISM非製造業景気指数(11月)
 
6(火) ・ジョージア州上院決選投票
・米貿易統計(10月)
オートゾーン
7(水) ・ユーロ圏実質GDP(7-9月期、確報値)
・米消費者信用残高(10月)
 
8(木) ・日本実質GDP(7-9月期、確報値)
・米新規失業保険申請件数(12月3日に終わる週)
・「ディズニー+」が広告付きプランを導入、既存プランを値上げ
ブロードコム、コストコホールセール
9(金) ・中国生産者・消費者物価指数(11月)
・米生産者物価指数(11月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(12月、速報値)

・米家計純資産変化(3Q)
オラクル
12(月) ・日本工作機械受注(11月)  
13(火) ・ドイツZEW景気指数(12月)
・米NFIB中小企業楽観指数(11月)
・米消費者物価指数(11月)
 
14(水) ・日本機械受注(10月)
・日銀短観(4Q)
・ユーロ圏鉱工業生産(10月)
・米FOMC政策金利
 
15(木) ・中国鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資(11月)
・米小売売上高(11月)

・米ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月)
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月)
・米新規失業保険申請件数(12月10日に終わる週)
・米鉱工業生産(11月)
アドビ、レナー
16(金) ・auじぶん銀行日本製造業PMI(12月)
・S&Pグローバルユーロ圏製造業PMI(12月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(12月)
・トリプルウィッチング
(株価指数先物・オプションの取引期限満了日)
アクセンチュア

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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