好スタートとなった米国株式(S&P500) 1月に上昇した年の勝率は?

好スタートとなった米国株式(S&P500) 1月に上昇した年の勝率は?

投資情報部 川上雅人

2023/02/06

米国株式(S&P500)は4年ぶりに1月上昇

2月3日時点の国内公募株式投信(ETFを除く)で純資産額1位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(以下、AB米国成長株投信D)、純資産額2位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(以下、Slim S&P500)の純資産額首位争いが熾烈となっています。2月3日時点でその差は約64億円(AB米国成長株投信D:17,799.30億円、Slim S&P500:17,735.59億円)です。Slim S&P500の好調な資金流入が継続していることから今週中にもSlim S&P500が初の首位になるかもしれません。

そこで今回は、アクティブファンドのAB米国成長株投信DとインデックスファンドのSlim S&P500の共通べンチマークとなっているS&P500指数(以下、S&P500)について、長期の傾向を確認します。まず、約25年間のS&P500の推移は図表1となっています。S&P500は配当を考慮していない指数となります。
2022年は下落したものの長期では世界経済の成長などを背景とした米国企業の利益成長とともにS&P500は右肩上がりの上昇となっています。

2023年1月のS&P500は、インフレ鈍化による長期金利の低下と前年下落の反動などもあって月間では6.2%の上昇となり、好スタートを切りました。
1月の月間リターン+6.2%は、過去26年では2019年の+7.9%に次ぐ2番目の好成績でした(図表2)。
長期で上昇している米国株式(S&P500)ですが、1月のリターンは意外にも低迷しています。過去26回のうち13回がマイナスリターンとなっています。2020年から2022年までの3年間では1月下落が3回も続いていました。2023年は4年ぶりの1月上昇です。

「1月の株価が強いとその年の株価は強い」というアノマリーがあります。アノマリーとは、理由ははっきりしないが季節や月など一定の規則に応じて起こることが多い経験則を指します。
1月の株価が強いとその年の株価は本当に強かったのか? 過去のデータをさかのぼって検証してみます。

図表1 S&P500指数の推移 (1997年12月末~2023年1月末 月末値)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表2 S&P500指数の1月リターン (1998年~2023年)

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

1月に上昇した年の勝率は? 長期の積立投資ではどう考える?

S&P500が1月に上昇した年(計12回)の勝率と年間リターンを調べてみました(図表3)。

数字で見た勝敗は9勝3敗となっていますが、詳細を見ると3敗のうちの2011年は▲0.003%とほぼ横ばいのため負けは、2回といえそうです。9勝2敗1分とすると勝率は80%を超えるため、「1月の株価が強いとその年の株価は強い」というアノマリーは米国株式(S&P500)では高い確率で当てはまっていました。

1月に上昇した過去12回における平均の年間リターンは+12.0%となっています。

このようなアノマリーですが、2023年に関しては世界景気の減速がもたらす企業業績への影響、米国の金融政策の行方や世界的なインフレ動向などの不透明な要因が多く、2月以降の継続的な株価上昇には警戒が必要といえます。

2023年は上昇と下落を繰り返しながら、最終的には年間リターンがプラスで終わるというシナリオが当てはまるのではないかと予想します。

こうした株価推移になると仮定した場合、長期の積立投資においては、下落局面は購入のチャンスといえます。「1月の株価が強いとその年の株価は強い」というアノマリーを信じて、積立投資を継続しながら下落局面において追加で一括購入するのも有効といえます。

また、米国株式ファンドへの投資においては、一部のファンドを除き、米ドルの為替変動の影響も受けます。2023年に関しては、ある程度の円高ドル安が進むことが予想されるため、円高ドル安となった場面での購入も収益を高める上でのポイントになると考えます。

まとめますと、好スタートとなった米国株式ファンドですが、積立投資においては長期の視点を持ちながら(例えば、長期の価格推移をイメージしながら)、株価の下落や米ドルの下落にも備えておくことが有効と考えます。

米国株式が上がることだけに期待するよりも下がることも許容する姿勢が、積立投資を継続していく上で重要といえます。

図表4は主なS&P500インデックスファンドのリターン(2022年12月末基準)です。1ヵ月リターンと1年リターンは類似しており、2022年の下落はすべて12月の下落が要因だったことが分かります。昨年12月からを振り返ると短期的な下落を許容すること(積立投資の継続、あるいは積立投資とは別に追加で一括購入すること)が有効だったといえます。

図表3 S&P500指数 暦年別のリターン(1月と年間) 

※QUICKデータをもとにSBI証券が作成

図表4 主なS&P500インデックスファンドのリターン等

ファンド名 1ヵ月
リターン
1年
リターン
3年
リターン
(年率)
信託報酬
(年率)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) -6.94% -6.09% 14.40% 0.0968%以内
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500) -6.91% -6.11% 14.27% 0.0938%程度
iFree S&P500インデックス -6.97% -6.25% 14.25% 0.2475%

※ レーティング5つ星のS&P500インデックスファンドを残高順に3ファンド表示
※ データはSBI証券ホームページより抜粋(2022年12月末基準)

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