為替コロナ禍で生まれた新たな価値観が為替市場に及ぼす影響

2020年の振り返り

2020年の金融市場を振り返る10のキーワードを並べると①コロナショック ②流動性供給、金利なき世界 ③コロナからの回復 ④EU復興基金、EU財政統一への布石 ⑤米大統領選 ⑥英国のEU離脱後の紹介関係を巡るEUとの交渉 ⑦コロナ拡大再燃 ⑧ワクチン開発から接種開始、リスク選好の世界的株高・ドル安 ⑨流動性相場の継続 ⑩暗号通貨の台頭 となります。
感染拡大に対する景気減速に対応するためFRBは大量のドル資金を供給しました。また、ゼロ金利政策を当面続けると共に、主要各国も緩和に動き、為替市場では金利なき世界へ突入しました。
年終盤にはワクチン開発で良好な治験結果が確認され欧米でワクチン接種が始まり、経済活動正常化期待とともにNY株式市場の主要三指数は史上最高値を更新しました。ドル需給の緩みを背景にドルインデックスは2018年4月以来の水準へ低下するなどドル安が進行すると同時に株高が進んだ一年となりました。
ドル円は101円18銭から112円23銭までの反発を経て102円88銭まで下落、103円31銭で、クリスマス休暇前週(12月3週目)の取引を終えました。

2021年の展望

2021年の金融市場、カギを握るのは①コロナ禍からの脱却とともに経済活動正常化がどこまで進むのか ②ワクチンの普及が急速に進んだ場合、FRBは量的緩和縮小の可能性に言及する可能性があるのか、この点が為替市場を占う上で大きなポイントになると思われます。
ワクチンにより米国及び世界経済の正常化が進むことになれば、米国のバイデン新大統領の政権運営もスムーズに進行すると思われます。
強い米国経済は中国やロシア、一部中東の対米戦略にも影響が及ぶだけに、政治的安定を確保する大きな材料となります。中国やロシアなどと上手く渡り合うためにも感染拡大によるリスクの後退が大きなカギとなります。
同時に行き過ぎた金融緩和策の正常化への兆しが見られることになれば米長期金利の上昇とともに健全な金利上昇、健全なドル高といった流れが見えてくることになるかもしれません。

2021年の注目のテーマ、キーワード

①コロナからの脱却がどの程度進行するか ②経済活動の正常化により行き過ぎた金融緩和策の修正に向けた動きが確認できるか ③金利なき世界から大量に投資資金が流入した暗号資産の上昇に一服がみられるか、こうした点がポイントになると思われます。
米国では緩和策の継続を背景に住宅市場の好調が続いたほか、NZ中銀も緩和策による住宅市況の過熱に警戒を示すなどゼロ金利、低金利政策の弊害に言及しました。ワクチン接種が想定通り進み経済活動の正常化が進んだ場合でもコロナ禍以前の生活様式、社会システムには容易に戻らない新たな生活様式が進むと見られます。

為替市場でも金利なき世界となり、暗号資産の存在感が増したほか、デジタル通貨への関心も一段と進みました。徐々にコロナ禍以前の経済活動を回復した場合でも、コロナ禍で醸成された新たな価値観の創造による暗号資産やデジタル通貨の更なる市場規模の拡大に、従来型の金利差をベースにした為替市場がどのような変化を見せるのか注目されます。

SBIリクイディティ・マーケット社

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