外国株式ワクチン普及で早いうちに高値を付ける可能性

米国株式市場、2020年を振り返って

2020年の米国株式市場で印象深かったのは、COVID-19のパンデミックによる2月下旬から3月にかけての暴落です。(1)株価は短期的には市場参加者の心理で大きく動くことがあること、一方、(2)心理中心に動いた相場は長続きせず、いずれ中長期のファンダメンタルズに戻っていく、という2点を再び確認できました。

暴落局面の最大下落率は3月16日の12%で、4%以上下落した日は8日もありました。疾病を克服してきた人類の歴史を思いつつも、市場参加者の経験にない「都市封鎖」に至り、恐怖心が市場を支配しました。一方、恐怖心が収まると、大幅減益の2020年業績ではなく、回復が見込まれる2021年業績に基づいて株価が決まっていったことは市場の奥深さを感じました。

米国株式市場、2021年の展望

有効なワクチンの開発でCOVID-19を克服、企業業績は回復が見込まれます。S&P500指数の予想EPSは現在172ポイントですが、年央にかけて190ポイント前後まで上方修正されると予想、S&P500指数は3,800~4,000ポイント辺りが目標値となるでしょう。

一方、経済の成長軌道への復帰が確実になるとFRBによる金融緩和が後退して株価はPERの縮小による調整が想定されます。21年の早いうちに高値を付け、その後は一旦調整モードに入る可能性が高そうです。その後は、消費者や労働者の行動がどこまで変化するか、世界的に増大した政府や企業の債務への対応、などパンデミック後の世界の変容を消化しながら進んでいくと考えられます。

2021年の注目のテーマ

世の中の流れから注目できそうなのは、以下です。
・EV化関連・・・世界的な環境意識の高まりで電気自動車へのシフトが加速中。
・5G関連・・・パンデミックでつまずいたが5Gの普及ははじまったばかり。
・DX(デジタルトランスフォーメーション)・・・COVID-19が終息しても業務効率化に資するデジタル化は続きそう。
・旅行関連・・・COVID-19終息でペントアップ需要が発現か。

バイデン次期大統領の政策から注目されるのは、以下です。
・クリーンエネルギー・・・バイデン次期大統領の看板政策。
・インフラ投資・・・これまで何回も裏切られたが、今回は発動されるのではないか。
・医療用大麻・・・米民主党は大麻の利用に寛容とされる。

また、SPAC(特別買収目的会社)を通じた上場が増えそうなことも注目されます。

榮 聡
SBI証券投資情報部(日本証券アナリスト協会検定会員)

1986年一橋大学商学部卒業、1991年カーネギーメロン大学テッパー・スクール・オブ・ビジネス卒業。
大和証券、大和証券投資信託委託、野村證券を経て15年4月よりSBI証券投資調査部に所属。国内外株式のファンド運用、ファンド運用助言、調査業務に長年携わる。欧州株式、アセアン株式について現地での調査経験があり、企業をグローバルな視点から評価できることに強み。

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