おひとりさまの相続|元気な今だから、できること

執筆:株式会社Fan

監修:木村 晴彦(株式会社Fan IFA)

更新:2025年11月07日

「もし、私に何かあったら、財産はどうなるのだろう?」

独身で、お子さんのいらっしゃらない、いわゆる『おひとりさま』として人生を歩まれる方が増えています。

長年かけて築き上げられた大切なご資産を、将来、どなたに、どのような形で引き継いでいくのか。元気なうちにしっかりと準備することは、ご自身の思いを未来に繋ぐ上で、非常に大切なことです。

1. 誰が相続人になるか

まずは、誰が相続人となる予定なのか把握しましょう。

子どものいない「おひとりさま」の場合、法定相続人は以下の順で決まります。

  • 親(直系尊属):配偶者がいない場合、財産は全て親が相続します。両親が健在なら、それぞれ2分の1ずつ相続します。
  • 兄弟姉妹:配偶者も両親もいない場合に相続人となります。複数人いる場合、法定相続分を人数で割り、相続分を決めます。

そして、兄弟姉妹が既に亡くなり、甥もしくは姪がいる場合、その甥や姪が相続人となります。

もし上記の誰も相続人にあたらなければ、財産は最終的に国庫に帰属します。ご自身の意思を反映させるため、「誰に託したいか、託したくないか」を元気なうちに決めておくことが非常に重要です。

2. 相続財産の確認

相続の対象には、自宅や預貯金、株式などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。

<確認すべき資料の一例>

  • 通帳:生命保険料や年金保険料、固定資産税などの引き落としから、ご自身の契約状況が確認できます。
  • 証券会社の資料:株式、債券、投資信託などの残高を確認します。
  • 固定資産税の納税通知書:所有不動産を確認します。 

このような情報を明確にするため、財産目録を作成し、相続人になる予定の方と共有しておきましょう。目録は紙媒体とデジタルデータの両方で作成し、共有しておくと安心です

3. 生前にできる相続対策6選

元気なうちに以下の対策を検討しましょう。

1.遺言書の作成

財産を誰にどう分けるかを法的に示せる最も重要な手段です。遺言書がないと、法定相続人の間で話し合い(遺産分割協議)が行われます。

遺言書を作成する際は、専門家(弁護士、司法書士、税理士など)に相談することをおすすめします。

2.生命保険の活用

生命保険を利用することで受取人を指定でき、法定相続人以外の人にも確実に財産を遺せます。

また、他の財産と比べて比較的短期間で保険金が支払われるため、葬儀費用や当面の生活費に充てることができます。

非課税枠についてもおさえておきましょう。「500万円 × 法定相続人の数」までは相続税がかからない優遇措置があります。(ただし、甥・姪など法定相続人以外が受け取る場合は適用されません)

3.不動産の活用

安定した家賃収入が得られる見込みのある賃貸物件などは、残された家族の生活を支える柱になります。

ただし、現金のように分けにくいため、相続人同士のトラブルにつながらないよう、事前に専門家と計画を立てることが重要です。

現在所有している不動産があれば、不動産の管理・維持の負担を考慮し、誰に引き継ぐか明確に決めておきましょう。ご自身で判断ができるうちに現金や分けやすい金融商品(投資信託など)にしておくという選択肢もあります。

4.生前贈与をする

1年間の贈与額が基礎控除額の110万円以内の場合、贈与税は原則としてかかりません。財産を少しずつ贈与することで、将来の相続財産を減らし、相続税を節税できます。

ここで大切なのは、税務上の「定期贈与」とみなされないようにすることです。毎年同額を贈り続けると、複数年分の贈与が最初から計画されていたものと判断され、合計額に対して贈与税がかかる可能性があるので注意が必要です。

5.養子縁組をする

法律上の親子関係を結び、養子を法定相続人にして財産を相続する権利を与える制度です。ご自身の意思で「託したい人」に法的な相続権を与え、兄弟姉妹や甥・姪よりも優先して財産を引き継ぐことができます。

6.家族信託を使う

認知症などで判断能力が低下しても、信頼できる家族に財産の管理・運用・処分を任せられるようにする制度です。

4. おひとりさまの相続で特に注意すべきこと

納税資金の準備にご注意

相続税は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から原則として10ヶ月以内に現金で納めなければなりません。不動産など現金化しにくい資産が多いと、納税資金が不足し、慌てて不利な条件で売却することになりかねません。

生命保険の活用など、計画的に納税資金を準備することが、残された相続人の方の負担を大きく減らします。

相続対策において最も大切なのは、「ご自身の想い」を確実に実現することです。節税だけでなく、「誰に、どのように財産を引き継ぎ、その後の生活を支えたいか」という視点で考えましょう。

「何から手をつけてよいか分からない」、「一人で準備を進めるのは不安だ」という方は、相続の専門家に相談することをおすすめします。

投資信託相談プラザのIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)は、あなたの状況に合わせた対策の提案や、円滑な手続きをサポートします。相談は何度でも無料です。

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