家族信託とは・・・ご家族に財産管理を信じて託す方法のこと (SBIマネープラザ株式会社 2024.12.13)

家族信託が注目されている理由は大きく分けて2つあります。

  1. 活用の幅が非常に広く、現代社会における多様なニーズに対応(柔軟性に優れる)
  2. 今からできる認知症対策として有効

今回は家族信託について、詳しく解説します。

家族信託の登場人物

  • 委託者

財産の持ち主。

  • 受託者

財産を託される人。

  • 受益者

経済的利益の所有者。

家族信託では「委託者=受益者」となることがほとんどです。

家族信託とは?

家族信託とは、自分の財産(不動産・預貯金・有価証券等)を信頼できる家族や相手に託し、特定の人のためにあらかじめ定めた信託目的に従って管理・処分・承継する財産管理手法です。認知症などにより判断能力が低下した場合にも、家族信託の目的に応じて本人の財産を柔軟に活用することができます。

出典:鳥取地方法務局(2021) 「未来に繋ぐわたしの相続(エンディング)ノート」 20頁より一部転載  https://houmukyoku.moj.go.jp/tottori/page000001_00268.pdf

家族信託の流れ

①信託契約時

当事者間(上記図では委託者である父と受託者である娘)で信託契約を締結します。信託財産につき、例えば、不動産は登記名義を変更して、金銭は受託者名義の信託口銀行口座を作成します。

②信託契約中

〇不動産の取扱い

上記図では、委託者兼受益者である父が受益権を有し受託者である娘が管理権を有しています。管理権を有する娘は、不動産の売却・賃貸・管理等につき、裁判所の監督などの制約なしで遂行できます。

〇金銭の取扱い

上記図では、委託者兼受益者である父と受託者である娘が信託契約を締結しています。受託者である娘は、受託者名義の口座で、①信託された金銭、②信託された不動産を売却した後の金銭、③信託された不動産からの賃料などを管理して、受益者である父に対して年1回の報告義務を有します。また、裁判所の監督など制約なしで、委託者兼受益者である父へ生活費や介護施設の入居金として金銭を給付できます。

③信託終了時

信託された財産は信託契約で定められた者が承継します。信託が終了する場合の例としては、委託者である父の死亡時などがあります。信託契約に信託財産の承継先(相続する者)を定めることにより遺言の代わりとなります。

家族信託のポイント

上記図では、委託者兼受益者である父と、受託者である娘が、信託契約を締結しています。父は受益権を有し、娘は管理権を有しています。家族信託のポイントは下記となります。

  1. 信託すると財産の名義が変わります。
  2. 贈与とは異なり、委託者=受益者である限り名義が変わっても贈与税は発生しません。
  3. 財産から生じる収益は委託者の所得のままです。
  4. 財産の管理・処分権は受託者に移ります(不動産の売却、賃貸など)。
  5. 信託できる財産は、不動産・金銭(預金)・有価証券等(自社株式など)になります。
  6. 信託財産の承継先を定めることで、遺言の代わりとなります。
  7. 信託契約は委託者の判断能力があるうちに締結しなければなりません。

家族信託以外の主な財産管理方法(成年後見制度)

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々について、本人の権利を守る援助者を選任し、本人を法律的に支援する制度のことです。

法定後見制度・任意後見制度とは?

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて、家庭裁判所が適切な成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)を選任します。一方、任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに将来判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に自分の生活、療養看護や、財産管理に関する事務について代理権を与える契約を公正証書で結んでおくものです。

出典:大津地方法務局 「~未来につなぐ相続登記~相続ハンドブック」14頁より一部転載 PowerPoint プレゼンテーション (moj.go.jp)

家族信託・法定後見制度・任意後見制度のメリット・デメリット

法定後見制度(判断能力不要)

【メリット】

  • 家庭裁判所が監督してくれます。
  • 身上監護にも対応可能です。
  • 後見人に取消権があります。

【デメリット】

  • 誰に何を頼むかを本人が自由に決められません。
  • 財産の自由な運用は不可となります。
  • 本人の財産を本人以外の人の為に使うことができません。

任意後見制度(判断能力必要)

【メリット】

  • 誰に何を頼むかを本人が自由に決められます。
  • 家庭裁判所が監督してくれます。
  • 身上監護にも対応可能です。

【デメリット】

  • 後見人に取消権がありません。

家族信託(判断能力必要)

【メリット】

  • 誰に何を頼むかを本人が自由に決められます。
  • 健康な時はもちろん、判断能力が衰えてきた時や死亡後も含めて対応可能です。

【デメリット】

  • 財産を任せられる信頼できる家族(親族)の存在が不可欠です。
  • 形式上の名義変更が必要です。
  • 財産管理に限定されるので、身上監護は別途対応が必要です。

受託者の判断で財産の管理運用が可能な家族信託

家族信託であれば、受託者の判断で『建替え』『売却』『取得』などの財産の管理運用ができますので、将来的な財産の凍結防止から死亡後の相続まで全て対応が可能です。

家族信託は実務経験豊富なコンサルタントにおまかせ

ご家族に財産管理を信じて託す家族信託は、上述のように、受託者の判断で財産の管理運用が可能です。ただし、形式上の名義変更や、身上監護は別途対応が必要などデメリットもあります。家族信託などに関する「お悩み」「ご不安」「ご要望」はありませんか?その悩みコンサルタントにお任せください。相続・事業承継の実務経験豊富なコンサルタントが、お客さまの「お悩み」「ご不安」「ご要望」を整理。SBIグループ内外の必要な専門家をご紹介します。お気軽に「個別相談」にお申し込みください。

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