株も金も高値圏──次の一手は米ドル建2年債?

投資情報部 土居 雅紹
2025/10/28
AI革命か、金余りバブルか? 景気下押し懸念の中で株・金が大幅上昇
図表1は、2019年以降のS&P500、日経平均株価とドル建金価格の推移を示しています。2025年4月、トランプ政権による高率関税で日米株式は大きく下落しました。しかしその後は、まるで「のど元過ぎれば熱さを忘れる」かのように、株価は再び上昇。世界的な資金余剰も手伝って、株価は最高値を更新しています。さらに、米ドル以外の資産を求める投資資金や、各国中央銀行による外貨準備としての金購入が続いていることもあり、金価格も力強く上昇しています。
コロナショック後との共通点
今回の株高は、コロナショック直後と同様に暴落後に急速な回復を見せています。コロナショック時は、経済活動の制限で企業業績が急速に悪化しましたが、各国政府の財政出動と潤沢な資金供給により「金余り」が発生し、株価と金価格は大きく上昇しました。
今回は政府の後押し弱く、むしろ逆風 一方、今回は政府の支援が株高の要因ではありません。むしろ逆風の方が強いとも言えます。米国では景気を冷やす高率関税が導入され、政府機関の閉鎖も発生。金利は引き下げ局面にあるとはいえ、依然として高水準で、FRBによる資金供給も限定的です。 日本株はAI、副首都構想、防衛費増額、核融合などテーマ株が牽引していますが、関税と米国経済の減速により、日本企業の収益には今後数年にわたり下押し圧力がかかるとみられます。高市政権の積極財政は株価にはプラスですが、日銀は金融引き締めに動いています。
株高・金高は続くが、不安も
それでも日米ともに株価は高値を維持し、金も強い動きを見せています。金は「通貨」とも言える存在であり、米ドルへの不安が続く限り需要は根強いでしょう。 とはいえ、株も金も急騰しているチャートを見ると、「これはバブルでは?」と感じる方も多いはず。「どこかで大きな調整が来るのでは」との不安も拭えません。
図表1 コロナ前年からの日米株とドル建金価格の推移
米ドル建2年社債で利回りを固めて待つ?
図表2は、米国のコアPCE(個人消費支出価格指数)、FFレート(政策金利)、2年米国債利回りの推移を示しています。 コロナ前、米国はすでに景気後退局面にあり、利下げが進行。コロナショック後にはゼロ金利政策と大規模財政支出が導入され、これが株高の大きな要因となりました。しかし、経済活動回復後の利上げが遅れ、ウクライナ戦争による原油高も重なってインフレが急進。その後、FFレートの急速な引き上げで物価は落ち着き、現在は再び利下げ局面に入っています。
市場の見方と懸念
現時点では9月のPCEは未発表ですが、2年米国債利回りの低下から、市場は「トランプ関税による物価上昇はほぼ出尽くした」「仮にあっても一過性」と見ているようです。したがって、FFレートの再上昇は可能性が低いと考えられます。
米ドル/円相場の焦点は利上げVS.高市トレード
日本では年内に政策金利を0.25%引き上げるとの予想が大勢です。通常なら円高ドル安に進むところですが、実際には円安が続いています。 背景には、「経済あっての財政」を掲げる高市政権による積極財政があり、財政悪化懸念が根強いことが挙げられます。さらに、日銀が来年複数回の利上げを実施できるかというと、高関税による輸出減や採算悪化で企業収益が圧迫されている現状では難しいでしょう。
資金退避の選択肢
「今から株は買いにくい」「金は上がりすぎ」「円高より円安かも」――そんな状況では、米ドルで資金を置く方が有利と考える人もいるでしょう。 この場合、「休むも相場」で資金を退避させる選択肢として、まず米ドルMMFが候補に挙がります。2025年10月27日時点で、SBI証券で取引可能な米ドルMMFの年換算利回り(税引前)は3.4340%~3.7646%と、まずまずの水準です。※利回りは直近7日間の運用実績平均を年換算したものですが、その運用実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
米ドルMMFより米ドル建債券?
ただし、FFレートが下がれば、米ドルMMFの平均実績分配額や利回りもほぼ確実に低下するはずです。そこで、残存1~2年程度の米ドル建債券を購入し、現在の利回りを確定させる方法が考えられます。 この1~2年の間に、米国の関税政策による世界景気への影響や米中間選挙の結果も見えてくるでしょう。株価や金価格の荒波を避けつつ、米ドル建社債で安定的に運用する――そんな「利回りを固めて待つ」戦略は、有力な選択肢となりそうです。
図表2 米国コアPCE、FFレートと2年国債利回り
SBI証券で残存1年~2年の米ドル建新発・既発の社債を探す
SBI証券で1年~3年程度の残存期間を持つ米ドル建社債を買いたいと思ったら、まずは銘柄を探すところから始めましょう。
いつもあるとはいえませんが、新発債券が売り出されていることがあります。その時の実勢水準に近いクーポンがついて、額面金額で購入することができるので、外貨定期預金に置くようなイメージ(もちろん、定期預金とは商品性が異なります)で取引することができます。現時点(2025/10/27)ではSBIホールディングス(米ドル、4.300%、2027/10/27満期)が10/30までお申し込みが可能です(図表3)。
注:10/30を待たずに販売を終了することがあります。
- SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建債券」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
- 次に、検索条件の「絞り込み条件」で通貨「米ドル」、商品区分1「社債等」を選んで「検索」をクリックします。このままでは残存期間で探しにくいので、並び替えで「残存期間(昇順)」を選択します。
→この操作で、対象の銘柄が113件になり、残存期間が短い順に並びました(2025年10月27日時点、図表4参照)。黄色でハイライトした3銘柄(ウォルト・ディズニー・カンパニー、コカ・コーラ、NTTファイナンス)がちょうど1年5カ月~8カ月の残存期間で今回の目的に合っていると考えられます。
便利な機能も活用しましょう
気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。 「試算」機能を使えば、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
米ドル建債券の銘柄選びのポイント・SBI証券で人気の銘柄のご紹介です。米ドル建債券(既発債)の人気ランキングと米ドル建債券を購入された方の購入理由をまとめてあります。銘柄選びのヒントとして、ぜひご活用ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。
図表3 (新発債)SBIホールディングス 4.300% 2027/10/27満期
図表4 米ドル建社債(既発債)の検索結果
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