社債投資でリスクを抑えながら利回りを高める方法

投資情報部 土居 雅紹
2025/12/11
米ドル建社債で利回りアップ
米ドル建社債は好利回り
外貨で運用しようと考えた場合、まず米ドル預金や米ドルMMFを選ぶ方が多いと思います。外貨運用に慣れてくると、次に利回りが良いことが多い外貨建債券へとステップアップしていきます。その際、最初の選択肢は多くの場合、米国国債です。
米国国債は投資可能な残存期間が1年~30年程度まであり(SBI証券の場合)、長期発行体格付けはS&PでAA+、Moody'sでAa1と信用力が非常に高いため、安心感があります。
米国国債と社債の利回り比較
SBI証券で米ドル建債券を探すと、同じ残存期間なのに米国国債より利回りが高い社債が目に留まることでしょう。そこで、現時点の利下げ局面で投資妙味が大きいと思われる残存期間20年~30年の銘柄を比較します。
図表1は、残存期間20年~30年の米ドル建債券について、残存期間と償還まで保有した場合の利回り(複利・税引前)をプロットしたものです(2025年12月8日時点)。
・青点:米国国債(利付債)
→ 20~30年の残存期間にわたり4.6%程度の利回りが得られます。
・赤点:米国国債のストリップス債(ゼロクーポン債)
→ 4.7%超の利回りとやや高めです。満期まで利払いがない代わりに割引価格で購入します。
利付債は途中で利子を受け取れるため、実質的な資金回収期間は残存期間より短くなります。一方、ストリップス債は利払いがないため、残存期間=資金回収までの期間となります。この結果、同じ残存期間ならストリップス債の方が利回りは高くなります。
・オレンジ点:社債
→ 米国国債のストリップス債よりもさらに高い利回りとなっています。
オラクル:格付けBBB/Baa2(投資適格の中では低め)
メタ:格付けAA-/Aa3(信用力が非常に高い)
同じ残存期間でも利回りが異なるのは、格付けの差によるものです。なお、社債の場合、残存期間が長くなるほどより高い利回りが求められる傾向があります。
図表1 残存20年~30年の米ドル建社債の利回り比較(2025/12/8)
社債は分散投資のメリット大!
集中投資のメリットとは?
「卵を一つの籠に盛るな」という投資格言は、分散投資の重要性を語る際によく使われます。 株式投資では、銘柄数を数十銘柄に増やすことで企業固有のリスクを大きく減らせます。銘柄数が増えるとリターンもリスクも平準化され、日本株ではTOPIX、米国株ではS&P500といった株価指数のパフォーマンスに近づいていきます。
一方、株式投資では少数銘柄に集中投資して高いパフォーマンスを目指す手法もあります。代表例は「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイ社です。しかし、集中投資には綿密な分析とタイムリーなフォローが不可欠です。対象銘柄の業績が急激に悪化したり、不祥事や事故が発生したりすると、ポートフォリオ全体に大きな影響を与えてしまいます。
債券投資の場合は?
債券を発行する企業の業績が多少変動しても、債券価格はほとんど動きません。企業が急成長しても確定利回りは変わらず、逆に業績が悪化しても、償還日まで企業が存続していれば満額償還されます。ただし、企業が破綻すれば元利金の一部または全部を受け取れない可能性があります。
一般に、社債の利回りが国債より高いのは、この信用リスクがあるためです。しかし、債券のリターンは青天井ではありません。ハイ・イールド債(かつてジャンク債と呼ばれた低格付債券)を除けば、債券に集中投資してもリターンは大きく増えません。つまり、社債に集中投資することは、株式のような大きなメリットがないのに、リスクだけは変わらないということです。
逆に、同程度の格付け・残存期間を持つ債券に分散投資してもリターンはほとんど下がりません。それでいて信用リスクは分散によって軽減できます。つまり、社債の分散投資は「リターンを維持しながらリスクを下げる」という理想的な投資手法といえます。
図表2 株式と債券の分散投資の効果比較
SBI証券で米ドル建社債を探す
SBI証券で残存期間が20年~30年の米ドル建社債を探してみましょう。
- SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建債券」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
- 次に、検索条件の「絞込条件」で通貨「米ドル」、商品区分1で「社債等」を選び、特約条件は別途確認が必要なのでここでは「劣後債およびハイブリッド債を除く」にチェックを入れ、残存期間(年)に「20~30」を入力して「検索」をクリックします。
→この操作で、対象の銘柄が8件に絞り込まれます(2025年12月8日時点、図表3参照)。
最低買付額面が2,000USDとそれほど大きくないので、例えば10,000USDなら5銘柄といった具合に分散投資するとよいでしょう。なお、下記の例で残存期間約23年10カ月の銘柄にナイキとウォルト・ディズニー・カンパニーがありますが(オレンジ枠)、購入前には必ず「詳細」(黄色枠)をクリックして、それぞれの格付けを確認しましょう。
便利な機能も活用しましょう
気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
「試算」機能を使えば、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
米ドル建債券の銘柄選びのポイント・SBI証券で人気の銘柄のご紹介です。米ドル建債券(既発債)の人気ランキングと米ドル建債券を購入された方の購入理由をまとめてあります。銘柄選びのヒントとして、ぜひご活用ください。 SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。
図表3 米国国債(ストリップス債)の既発債 検索結果
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