円安に負けない!海外旅行資金の運用法

投資情報部 土居 雅紹
2025/12/25
円安時代の資産戦略:海外旅行資金をどう準備する?
円安とインフレの現実:なぜ円高転換は難しいのか?
日本がデフレの30年を過ごしている間、海外では着実にインフレが進みました。最近の円安も加わり、「ハワイでラーメン一杯5,000円!」や「空港でポテチを買ったら一袋2,000円」といった海外旅行にまつわる話を耳にすることが増えています。
さらに円安が進めば、政府による円買い介入で一時的に為替水準が戻る可能性はあります。しかし、12月の政策金利引き上げ決定当日に2円程度の円安となったように、円高への転換は容易ではないと考えられます。
総務省が今月19日に発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は前年比3.0%の上昇でした。一方、12月に引き上げられたとはいえ、日銀の政策金利は0.75%です。銀行預金はほぼこれに連動しているため、日本円を現預金で保有していると実質的にお金が目減りしているのが現状です。とはいえ、積極財政を掲げる高市政権の政策に対し、日銀が利上げで水を差すのは難しく、利上げはあっても限定的で円金利は低水準のままとなるでしょう。その結果、日本円は調達通貨としての位置づけが変わらず、国内外の投資家による円売りはまだ続くと考えられます。
リスク資産で旅行資金を増やすのは危険?
「でもやっぱり海外旅行に行きたい。3年かけて資産運用で増やすぞ!」
その気持ち、よく分かります。人生は一度きり、楽しめるときに楽しみたいですよね。
しかし、株式や金などのリスク資産で運用した場合、必ず増えるわけではありません。リスク資産は価格変動リスクがあるため、平均すればリターンが高いことがあっても、短期的には大きなブレがあります。例えば、2025年1月から4月初めにかけての「トランプショック」では、日経平均株価が40,000円台から一時的に23%下落しました。その前の2024年7月にも、1カ月で26%の下落がありました。個別株ならさらに下落率が高くなる場合もあります。
旅行資金をリスク資産で運用すると、予定していた時期に大きく下落し、予算不足で旅行を断念する可能性があります(図表1)。
図表1 3年後に海外旅行に行く!
3年で1万ドル積み立てる方法
そこで、海外旅行の予算を米ドルで決め、米ドル建債券を使って積み立てる方法をおすすめします。株式や投信では価格変動リスクがあるため、3年後の資金を確定できませんが、米ドル建債券なら有利に運用しながら着実に目標金額を貯められます。
仮に3年後の旅行予算を1万ドル(1ドル=155円なら155万円)とします。やり方は簡単で、以下のステップです(図表2)。
ステップ
① 3年前から1年半前までの4回に分けて、額面2,000ドルの米ドル建債券を購入
これで旅行開始時点で8,000ドルを確保できます。ただし、割引債の場合は満期時に償還差益に課税されることに注意してください。
② 5回目となる1年前に米ドル建MMFを2,000ドル分購入
期間が長い債券より利回りは低いものの、いつでもコストなしで換金できます。
③ 出発の半年前に航空券やホテルの予約開始
この時点で代金が確定するため、米ドル建MMFを日本円に替えて支払いに充当します。この際、米ドル→日本円の為替スプレッドが4銭(片道2銭)と安い、SBI証券のリアルタイム為替取引を利用するとお得です。
④ 旅行に持っていく現金を500ドル準備するなら
出発数週間前に米ドルのままSBI新生銀行に出金し、「外貨宅配サービス」を利用して米ドル現金を入手します。
※詳細はSBI新生銀行のHPをご確認ください。
⑤ 旅行後、残った米ドルをSBI証券で日本円に替え、クレジットカード決済に充当
ここでもSBI証券のリアルタイム為替取引を上手に使いましょう。
これで出発の1年前には1万ドルの資金が準備でき、3年間は債券と米ドル建MMFでしっかり運用できます。
運用益でお小遣いが増える!
外国債券を上手に使って積み立てれば、旅行専用の資金をしっかり分けておくことができる上に、3年間好利回りで運用できます。現在の金利水準であれば、1万ドル積み立てるなら、日本円で約10万円の運用益が旅行のお小遣いに回せるので、海外旅行が一層楽しくなること必至です。
図表2 米ドル債と米ドル建MMFで海外旅行資金を積み立てる
SBI証券で短期運用に向いた米ドル建社債を探す
SBI証券で残存期間が2年~3年の米ドル建社債を探してみましょう。
1.SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建債券」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
2.次に、検索条件の「絞込条件」で通貨「米ドル」、商品区分1で「社債等」を選び、特約条件は別途確認が必要なのでここでは「劣後債およびハイブリッド債を除く」にチェックを入れ、残存期間(年)に「2~3」を入力して「検索」をクリックします。
→この操作で、対象の銘柄が絞り込まれます(2025年12月23日時点、図表3参照)。
残存期間が3年に近い4銘柄のうち、メタ・プラットフォームズ(残存期間2年4カ月)とフィリップ・モリス・インターナショナル(残存期間2年7カ月)の最低買付額面が2,000ドルなので、今回の旅行資金積立の目的に合っているといえます。旅行開始前に償還された資金は、米ドル建MMFで運用しながら旅行開始前の支出に充当していくとよいでしょう。
便利な機能も活用しましょう
・気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
・「試算」機能を使えば、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
米ドル建債券の銘柄選びのポイント・SBI証券で人気の銘柄のご紹介です。米ドル建債券(既発債)の人気ランキングと米ドル建債券を購入された方の購入理由をまとめてあります。銘柄選びのヒントとして、ぜひご活用ください。
SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。
図表3 米ドル建社債の既発債 残存期間2年~3年 検索結果(抜粋)
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