トランプ対策で高金利・資源国への債券投資

投資情報部 土居 雅紹
2026/02/26
米ドル離れで南アフリカランド上昇?
■短くてもあと3年?
米国連邦最高裁は、トランプ政権の「相互関税」に関し、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税は権限逸脱との判断を示しました。これを受けて、トランプ大統領は「駆け引きをする国には高い関税を課す」とSNSに投稿したうえで、全世界を対象に10%の新たな関税を課しました(米通商法122条に基づく措置で上限は15%、最長150日で延長には議会の承認が必要)。
米国株はトランプ関税の混乱に加えて、「AIで仕事がなくなる」と思われた企業が幅広く売り込まれ、米国株安・債券高・金高となっています。さらにイラン攻撃の可能性も高まっています。仮に攻撃が行われれば、中東諸国を中心に米国への不信感が募り、新興国の中央銀行や米国外の投資資金の米ドル離れを助長する可能性があります。実際に米ドル安が進むなら、米ドル以外の通貨や金を中心としたコモディティ全般のニーズがさらに高まることも考えられます。
2026年11月3日に予定されている米中間選挙にも、トランプ大統領の議会を無視した行動は裏目に出る可能性があります。さらに、エプスタイン文書の影響も支持者のトランプ離れにつながっていると考えられます。では、中間選挙で仮に共和党が上下院どちらかの過半数を失った場合に、トランプ大統領がおとなしくなるかというと、今回の米国連邦最高裁判決後の行動のように、実際にはその逆になり、ますます市場に混乱をもたらす可能性が高いと考えられます。
つまり、トランプ大統領の任期が終了する2029年1月20日までの3年弱は現在の混乱が続き、米ドル以外の債券、それも資源国通貨への投資ニーズが継続する可能性があると思われます。なお、トランプ路線を継承する人物が次期大統領になる、あるいはトランプ大統領が副大統領として立候補する可能性もあります※。その場合は、3年ではなく少なくとも7年先まで現在の米国の外交スタンスが継続することになるでしょう。
※大統領の2期経験者が立候補できるかどうかに関しては憲法上の解釈論争があります。
■インフレが収まり、トランプ起因の米国離れは南アフリカランドにも影響?
南アフリカランドは高金利の資源国通貨として知られていますが、今までは「高金利は魅力でも、インフレが無視できない」という声もありました。しかし近年はインフレが収まりつつあります(図表1黄色線)。
さらに、2025年4月のトランプ関税ショック直後こそ南アフリカランドは対円で弱含みましたが、その後は順調に南アフリカランド高・円安となっています(濃青色線)。同時にインフレ率と逆行する形で南アフリカ10年国債利回りが低下(債券価格は上昇)しています(緑色線)。つまり、トランプ大統領の振る舞いで米ドルから離れたい資金が南アフリカに流れていると推察できます。
■南アフリカランドは資源国通貨+高金利
南アフリカはプラチナ、マンガン、クロムをはじめ、金、ダイヤモンド、銅、石炭、チタンなど豊富な地下資源を産出しています。これから短くとも3年、長い場合は7年も「ドンロー主義」に基づく関税外交が継続するのであれば、米ドル代替資産としてユーロやスイスフランなどに加えて南アフリカランドなどの新興国通貨もさらに上昇する可能性があります。さらに実物資産に流れる資金が増えることによってコモディティ価格が上昇しやすい状況が続くと考えられます。
加えて、南アフリカ10年国債利回りは米国10年国債利回りと比較して4.0%pt高い水準(2026年2月20日時点、税引前)です。南アフリカ10年国債利回りは2025年4月以降下げていますが、仮にこれからも金利が下がるとすれば、債券保有者は、保有期間中の高利回りに加えて、債券価格の上昇によるリターンも得ることができる可能性があります(図表2)。
図表1 南アフリカ10年国債利回りと南アランド/円レート(2021.3.1~2026.2.20)
図表2 南アフリカ10年国債と米国10年国債の利回り推移(2021.3.1~2026.2.20)
資源国・高金利・新興国のメリット
■南アフリカランドは長期下落から反転
2020年のコロナショック直後の4月下旬(4/23頃)までは南アフリカランド/円レートは長期下落傾向にありました(図表3黄色矢印)。しかし、その後は他通貨と同様に対円で上昇しています。特にトランプ関税ショック(2025年4月2日発表)直後にその年の最安値をつけたものの、以降は再び上昇しています。
■高金利だけでなく、米ドル・ユーロとの相関の低さに投資妙味
南アフリカは2011年からのBRICSメンバーで、西側先進国とは政治的な立ち位置が異なっています。また、高金利通貨であることに加えて、世界有数の地下資源を保有していることも西側先進国と異なります。
図表4は、南アフリカランドの対円レートと米ドル・ユーロ・豪ドルの対円レートの過去20年の相関を調べたものです(毎月末終値の対数変化率を基に計算)。これを見ると、米ドルと南アフリカランドの相関は0.476と最も低くなっています。南アフリカランドのユーロとの相関は0.633である一方、豪ドルは同じ資源国通貨であるためか0.760とやや高くなっています。
投資理論に従って考えれば、米ドル建資産を保有している場合に組み合わせる資産としては、過去の相関が今後も長期間にわたって変わらないとすれば、南アフリカランド建資産がもっとも高い分散効果によるポートフォリオのリスク低下を期待できることになります。
■リスク回避なら3年、トランプ路線継続とみるなら7年?
南アフリカランド建債券に投資を考える場合に、3年後に民主党政権が誕生して米国主導の国際ルールの復権に努める可能性を考えておく必要があります。この場合、すぐに同盟国との協調を重視する路線に戻るとは限りませんが、米ドル離れはいったん収まり、米ドル高・コモディティ価格下落となるかもしれません。このリスクを考慮するなら、残存期間が3年未満の南アフリカランド建債券が相場観に合った銘柄といえそうです。
一方、「トランプの次もトランプ」と、トランプ大統領の傀儡政権が誕生するか、同様の「ドンロー主義」思想を持った大統領というシナリオを考えるのであれば、さらに4年を加えた計7年間は南アフリカランド建債券に投資妙味があると考えることもできそうです。なお、この前提が崩れた場合は期待するリターンを得られない可能性があるので、留意する必要があります。
■まとめ
・トランプ政権発の混乱は続き、さらなる米ドル安を招く可能性あり
・南アフリカランドは高金利・資源国通貨で米ドル・ユーロとの相関が低い
・米国の政治状況を考慮して、残存期間3年未満または7年程度の債券が検討対象となりうる
図表3 南アランド、米ドル、ユーロ、豪ドルの対円レートの値動き比較(2006.2.28~2026.1.30)
図表4 南アランド、米ドル、ユーロ、豪ドルの対円レート変化率の相関
SBI証券で南アフリカランド建既発債を探す
SBI証券で南アフリカランド建の既発債を探してみましょう。
1.SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
2.次に、絞込条件の設定画面が閉じられている場合には、「絞込条件を開く」をクリックします。通貨「南アランド(ZAR)にチェックを入れ、ここでは3年または7年程度の残存期間の銘柄を探すと仮定して、残存期間(年)に「2~9」を入力して「検索」をクリックします。
この操作で、対象の銘柄が5銘柄に絞り込まれます(2026年2月24日時点、図表5参照)。最低買付額面が10,000ZARから100,000ZARまで幅があることに注意しながら、相場見通しと予算に合った銘柄を選択するとよいと思われます。
便利な機能も活用
・気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
・「試算」機能を使えば、外貨建債券の場合には、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。
図表5 南アフリカランド建既発債 検索結果(2026年2月24日時点)
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