2026年5月の米ドル建既発債 人気ランキングと今後の見通し

2026年5月の米ドル建既発債 人気ランキングと今後の見通し

投資情報部 土居 雅紹

2026/06/18

2026年5月の米ドル建債券(既発債)の人気ランキング

■いま買われている米ドル建債券

2026年5月22日に、FRBの新議長にウォーシュ氏が就任しました。市場では、政権の利下げ志向を背景に、金融政策がハト派化するとの見方もありました。しかしながら、イラン情勢を背景としたエネルギー価格上昇などにより、インフレ再燃への警戒感が強まっています。このため、利下げ期待は後退し、政策金利が高止まりする、あるいは利上げの可能性も一部で意識される展開となっています。

2026年4月の米国国債の人気ランキングでは残存期間1年前後の短期債が上位を占め、金利上昇に備えるスタンスが見てとれました。また、米ドル建社債では、表面利率が5%を超え、残存期間が8年から18年程度と比較的長めの日本企業発行の米ドル建社債が上位を占め、利金収入を重視した可能性がありました。では、5月のランキングではどのような変化が見られたのでしょうか?

▶いま買われている米ドル建債券(既発債)

■米国国債(既発債)の人気ランキング

4月の米国国債ランキングでは、1位が「米国国債 4.125% 2027/9/30満期」、2位が「米国国債(ストリップス債)2027/5/15満期」となっており、2027年満期の短期債が上位を占めていました。

5月は、1位に「米国国債 5.000% 2045/5/15満期」、3位に「米国国債 4.875% 2045/8/15満期」が入り、2045年満期の長期利付国債が上位に浮上しました(図表1)※。ランキング上の変化だけから投資家の資金移動を特定することはできませんが、5月は長期利付国債の条件に魅力を感じた投資家の購入が増えた可能性があります。特に、利率が5%前後ある長期国債は、米ドルベースで長期間利金を受け取りたい投資家に選ばれやすい銘柄だったとみられます。

※5月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026年5月29日時点。

また、4月の米国国債ランキングでは、5位に「米国国債(ストリップス債)2048/5/15満期」が入っていましたが、5月はこの銘柄が上位5銘柄から外れ、代わって2045年満期の利付国債が2銘柄ランクインしました。一方で、2位には「米国国債(ストリップス債)2027/5/15満期」、4位には「米国国債 4.125% 2027/9/30満期」が入り、残存1年前後の短期債も引き続き選ばれています。このように5月のランキングからは、同じ米国国債のなかでも、長期債の利回り水準に魅力を感じて長期利付国債を選ぶ投資家と、長期債と比較して価格変動リスクが相対的に小さい短期債を選ぶ投資家に、人気が分かれている様子がうかがえました。

■米ドル建社債(既発債)の人気ランキング

4月の米ドル建社債(既発債)の人気ランキングでは、1位が「中国電力 5.742% 2035/1/14満期」、2位が「三菱商事 5.125% 2034/7/17満期」、3位・4位は同じ発行体の「三井住友信託銀行 5.050% 2035/3/13満期」と「三井住友信託銀行 5.350% 2034/3/7満期」、5位が「武田薬品工業 5.650% 2044/7/5満期」でした。

5月は、三井住友信託銀行の米ドル建社債が上位5銘柄中3銘柄を占めました(図表2)。1位の「三井住友信託銀行 5.050% 2035/3/13満期」・2位の「三井住友信託銀行 5.350% 2034/3/7満期」は残存期間が7~8年程度、5位の「三井住友信託銀行 4.500% 2028/3/13満期」は残存期間が1年9ヵ月※と、同じ発行体でも年限が大きく異なります。中長期で利金収入を得たい投資家には2034年・2035年満期債が、より短い期間で運用したい投資家には2028年満期債が選ばれたとみられます。

※5月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026年5月29日時点。

3位には「丸紅 5.383% 2035/4/1満期」が入りました。利回りは4.756%、残存期間は約8年7ヵ月です※。この銘柄には、コール条項(発行体が一定条件のもとで期限前償還できる権利を有する条項)が付いています。この条項が付されていることにより、利回りが相対的に高くなる一因になると考えられますが、一方で、満期前に期限前償還される可能性があります。期限前償還が行われた場合、当初想定していた利金収入を得られない可能性があるほか、償還後の再投資条件にも影響する可能性があります。そのため、コール条項付き債券を購入する際は、条項の内容を十分に確認する必要があります。

※利率と利回り、残存期間は2026年5月29日時点。

図表1 米国国債(既発債)の人気ランキング(2026年5月)

図表2 米ドル建社債(既発債)の人気ランキング(2026年5月)

今後の見通しと投資アイデア

■米国のインフレ

米国では、FRBが目標とするPCE価格指数ベースのインフレ率は、目標である2%をなお上回っており、足元ではエネルギー価格やサービス価格の動向を背景に、物価上昇圧力が再び意識されやすい状況です。コアインフレは総合インフレほど強くないものの、FRBが早期に大幅な利下げへ転じるには、物価の鈍化がもう一段確認される必要があると考えられます。

また、米国とイランの間で一時的な合意が成立しても、双方の隔たりは大きく、情勢が再び流動化すれば、原油価格が急騰する可能性があります。このため、米ドル建債券投資では「金利はいずれ低下する」と決め打ちするのではなく、インフレ再加速によって利下げ開始が後ずれする可能性や、場合によっては再利上げ観測が高まる可能性も念頭に置く必要があると考えられます。米国金利が高止まりする局面では、米ドル建債券の利回り水準に注目が集まりやすい一方、長期債ほど金利変動による価格変動リスクが大きくなります。

■米ドル/円相場

米ドル建債券を購入する場合、債券そのものの利回りに加えて、米ドル/円相場の変動も投資成果に大きく影響します。今後、日銀が追加利上げを進める場合、日本の金利上昇を通じて日米金利差が縮小し、米ドル/円相場には円高・米ドル安圧力がかかりやすくなります。

一方で、米国のインフレが高止まりし、FRBの利下げ転換が後ずれするのであれば、米国金利が相対的に高い状態が続きやすくなります。その場合、米ドルの金利面での魅力が維持され、日銀の利上げによる円高圧力を相殺する可能性があります。 なお、直近の値動きを見ると、米国とイランの戦闘終結の合意が近いとの報道で原油価格が下がっても、米ドル/円相場の円高・米ドル安への動きが限定的なことから、米国金利の高止まりが米ドル/円を下支えしている可能性もうかがえます。

■投資アイデア

米国のインフレに粘着性が残る一方、イラン情勢を巡っては、米国とイランの双方が交渉決裂を避けたいとの見方もあり、原油価格や金利の先行きには不確実性が残ります。

米国のインフレが落ち着き、将来的に金利低下が進むと考える投資家は、米国国債や米ドル建社債の長期債に注目しやすくなります。一方、インフレが高止まりし、FRBの利下げが後ずれする、あるいは再利上げ観測が高まると考える投資家は、金利変動リスクを抑えやすい短期債を選好しやすいと考えられます。

5月のランキングでは、長期債と短期債の双方が上位に含まれており、投資家の見方が分かれている様子もうかがえます。現状の不確実性の高さに鑑みると、特定のシナリオに決め打ちするのではなく、長期債と短期債を組み合わせるバーベル型の考え方も、選択肢の一つになり得るでしょう。

SBI証券で前月販売件数上位の米ドル建社債(販売中)を探す

ここでは「かんたん検索」を使って、前月販売件数上位の米ドル建社債(販売中)を探してみます。

▶ SBI証券の外貨建 既発債券ページ

  1. SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
  2. 次に、検索条件の右に表示されている「かんたん検索」(図表3)から「前月販売件数上位 米ドル建社債(販売中)※残存年数順」を選んでクリックします。

→この操作で、対象が5銘柄に絞り込まれました(2026年6月15日時点、図表4参照)。

便利な機能も活用しましょう

  • 気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
  • 「試算」機能を使えば、外貨建債券の場合には、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。

SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。

最後にひとこと

SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。

図表3 かんたん検索

図表4 前月販売件数上位 米ドル建社債(販売中)※残存年数順(2026年6月15日時点)

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【手数料等及びリスク】

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