利上げ観測浮上?2026年6月の米ドル建既発債人気ランキング

投資情報部 土居 雅紹
2026/07/16
2026年6月の米ドル建債券(既発債)の人気ランキング
■市場環境
2026年6月は、中東情勢の緊張緩和と再燃が交錯しました。米国とイランが戦闘終結に向けた了解覚書に合意したと発表されて以降、原油価格は低下し、インフレ再燃への警戒はいったん和らぎました。もっとも、FRBが重視する5月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+4.1%となり、4月の前年同月比+3.8%から上昇し、物価上昇圧力の粘着性が意識される状況が続きました。また、5月に就任したウォーシュFRB議長が物価安定を重視する姿勢を維持していることから、金利の高止まりに加え、一部では利上げの可能性も意識されています。
為替市場では、日米金利差や日本の財政支出拡大懸念を背景に米ドル/円相場が160円台へと円安方向に進み、為替介入への警戒感も高まりました。このように6月は、「停戦期待による原油安・インフレ懸念の後退」と「高インフレの持続や円安・金利上昇」という二つの力が綱引きする、方向感を定めにくい地合いだったといえます。こうした環境の変化が、米ドル建債券の人気ランキングにどのように表れたのかを見ていきましょう。
■米国国債(既発債)の人気ランキング
5月の米国国債(既発債)ランキングでは、1位が「米国国債5.000% 2045/5/15満期」でしたが、6月は「米国国債4.125% 2027/9/30満期」が1位となりました。残存3年以内の短期・中期債が上位5銘柄中3銘柄となり、5月の2銘柄から増加しています(図表1)※。長期・超長期債では2位に「米国国債5.000% 2046/5/15満期」、4位に「米国国債(ストリップス債) 2035/5/15満期」が入っています。ランキングの変化だけから個々のお客さまの投資行動を特定することはできませんが、6月は、金利上昇局面での価格変動リスクを抑えたい投資家が短期・中期債を選好する傾向が相対的に強まったといえそうです。一方で、5.000%の高い表面利率を長期間確保したい投資家が超長期の利付国債(2位)を、将来の金利低下による値上がりを狙う投資家が長期のストリップス債(4位)を選ぶという長期運用ニーズも根強かったと考えられます。
※6月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026/6/30時点。
■米ドル建社債(既発債)の人気ランキング
5月の米ドル建社債(既発債)の人気ランキングでは、三井住友信託銀行の債券が上位5銘柄中3銘柄を占めていましたが、6月は1位に「日本たばこ産業 5.850% 2035/6/15満期」(コール条項付き)が新たに浮上しました(図表2)※。また、2位「三井住友信託銀行 5.350% 2034/3/7満期」、3位「同 5.050% 2035/3/13満期」、5位「丸紅 5.383% 2035/4/1満期」(コール条項付き)と、残存8年前後で表面利率5%台の長期債が上位に集まり、4位には残存約2年9ヵ月の「三井住友信託銀行 5.200% 2029/3/7満期」が入りました。ここでもランキングの変化のみから投資行動を断定することはできませんが、米国国債で短期・中期債へのシフトがみられた一方、社債では相対的に高い表面利率による利金収入を重視し、投資適格の日本企業が発行する社債で年限をやや長めに取る動きが窺えます。なお、1位・5位はコール条項付きで、期限前償還された場合、想定していた利金を得られない可能性や、再投資条件に影響が生じる可能性があるため、条項の内容を十分に確認する必要があります。
※6月の人気ランキングの利回りと残存期間は2026/6/30時点。
図表1 米国国債(既発債)の人気ランキング(2026年6月)
図表2 米ドル建社債(既発債)の人気ランキング(2026年6月)
今後の見通しと投資アイデア
■米国の金利見通し
米国の政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標レンジは、現在3.50~3.75%です(2026/7/13時点)。引き続き中東情勢と物価統計から目を離せません。注目イベントは2026年7月28〜29日のFOMCです。労働市場の減速を示した6月雇用統計を踏まえると、7月会合は政策金利が据え置かれるとの見方がありますが、5月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年比4.1%と高かったことから、原油価格が再び急騰すれば、利上げ観測が再燃する可能性も残ります。米10年債利回りは、中東情勢が再び緊迫化すれば4.7~4.8%に上昇し、沈静化が確認できれば4.4%前後に低下する展開が見込まれます。
■米ドル/円相場の見通し
今後30日間の米ドル/円相場は、日米金利差と日本の財政拡張・積極財政への懸念を背景に、円安地合いが続きやすいとみられます。もっとも、160円を超える局面では為替介入への警戒感が上値を抑える要因となりやすいでしょう。中東情勢が緊迫化すれば原油高と貿易赤字懸念から一段の円安となる可能性があり、逆に休戦協議が進むなら円が反発する余地があります。想定レンジは158〜164円とし、覆面介入を含め為替介入時には大幅な円高もあり得ます。さらに、日本の長期金利上昇が円高圧力として働くかどうかを見極める必要があります。
■投資アイデア
現状の不確実性の高さを踏まえると、特定のシナリオに限定して考えるよりは、年限を分散したバーベル型の組み合わせが選択肢の一つと考えられます。米国国債では、残存期間が1〜3年程度の中期債で価格変動リスクを相対的に低く抑えながら再投資余力も確保しつつ、残存期間が20年程度の超長期の利付国債で利金と将来の金利低下時の値上がりを狙う構成などが考えられます。米ドル建社債では、投資適格の日本企業が発行する表面利率5%台の中長期債が、外貨ベースで、信用リスクを抑えつつ利金収入を得る手段になり得ます。ただし、コール条項付き銘柄については期限前償還に留意し、為替変動リスクも含めてトータルリターンの観点から検討することが大切です。
SBI証券で前月販売件数上位の米国国債(販売中)を探す
ここでは「かんたん検索」を使って、前月販売件数上位の米国国債(販売中)を探してみます。
- SBI証券のトップページにアクセスし、PCの場合は「債券トップ」の左横のメニューから「外貨建」の「+(プラス)」でメニューを広げて、「既発債券」をクリックします(スマホの場合は「債券トップ」から上段メニューの「外貨建」を選び、ページ中央に表示される「既発債券」をクリックします)。
- 次に、検索条件の右に表示されている「かんたん検索」(図表3)から「前月販売件数上位 米国国債(販売中)※残存年数順」を選んでクリックします。
→この操作で、対象が6銘柄に絞り込まれました(2026年7月13日時点、図表4参照)。
便利な機能も活用しましょう
- 気になる銘柄は「登録」しておくと、いつでもまとめて確認することができます。
- 「試算」機能を使えば、外貨建債券の場合には、為替変動の影響を含め、購入後の損益をシミュレーションすることもできます。
SBI証券での債券取引の流れやお役立ち機能については、債券取引ガイドをご覧ください。
最後にひとこと
SBI証券で取り扱っている債券の銘柄や条件は、日々変わります。購入前には、必ず最新情報をWEBサイトで確認してください。
図表3 かんたん検索
図表4 前月販売件数上位 米国国債(販売中)※残存年数順(2026/7/13時点)
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