ウエルスアドバイザーレポート
ウエルスアドバイザー社が提供する、主要国の金利・為替に関するレポートです。
前週分の振り返りと、今後の為替見通し・注目すべき経済イベントなどの情報をお伝えしますので、ぜひ債券をご購入の際に、ご参考として本レポートをご利用ください。
対象期間:2025年12月19日~2025年12月26日
更新:2025/12/30 10:00(更新予定時間:毎週第2営業日10:00頃)
金利為替動向
為替介入への警戒感から円高進行
主要通貨は対円で下落した。週初22日、三村淳財務官や片山さつき財務相の円安けん制発言を受けて、日本の通貨当局による円買いの為替介入が警戒され急落した。23日、米7-9月期GDP(国内総生産)速報値が市場予想を上回り一時反発するも、米12月コンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回り、下押し。24日は引き続き日本の為替介入が警戒され、上値の重い推移が続いた。25日、植田和男日銀総裁の講演があったものの新味に乏しく反応は限定的。同日は米国がクリスマスの休日で、方向感は出なかった。週末26日、12月の東京都区部CPI(消費者物価指数)の伸びが市場予想以上に鈍化し、円が売られドル・円は反発した。
新興国通貨は対円で下落が目立った。週初22日は、円買い介入への警戒感がくすぶるなかで円が買われ、新興国通貨はほぼ全面安。23日も、円買い介入への警戒感が新興国通貨の重しになった。24日、韓国の通貨当局が韓国ウォン相場に言及したことでウォンが買われると、円もほかの新興国通貨に対して上昇した。25日は、クリスマスで多くの市場が休場となり、まちまち。26日は、日銀の追加利上げには時間がかかるとの見方が広がったほか、高市政権による財政拡張策が意識され、円売りに傾いた。
通貨毎の金利と為替動向を確認
米ドル
- ドル安円高 156.57円(▼1.18円)
- 債券利回り 短期債 ほぼ横ばい/長期債 低下
- 予想レンジ:1ドル=155円00銭-158円00銭
■為替
ドル・円は下落した。週初22日、三村淳財務官や片山さつき財務相の円安けん制発言を受けて、日本の通貨当局による円買いの為替介入が警戒され急落した。23日、米7-9月期GDP(国内総生産)速報値が市場予想を上回り一時反発するも、米12月コンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回り、下押し。24日は引き続き日本の為替介入が警戒され、上値の重い推移が続いた。25日、植田和男日銀総裁の講演があったものの新味に乏しく反応は限定的。同日は米国がクリスマスの休日で、方向感は出なかった。週末26日、12月の東京都区部CPI(消費者物価指数)の伸びが市場予想以上に鈍化し、円が売られドル・円は反発した。
■債券
短期債利回りはほぼ横ばい、長期債利回は低下した。米国がクリスマス休暇をはさみ市場参加者が細る中、方向感の定まらない相場となった。ドル建て2年債利回りは前週末の3.48%からほぼ横ばい、ドル建て10年債利回りは前週末の4.15%から4.13%に低下して越週した。
■為替見通し
ドル・円は、12月開催分FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨を確認し、FRB(米連邦準備制度理事会)による2026年の利下げペースを探る展開。経済指標では米10月S&Pコタリティ(旧コアロジック)・ケース・シラー住宅価格指数、米12月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)などが発表される。日本は年末年始の大型休暇期間にあたるが、米国は新年の1月1日のみ休場。商い閑散の中でドル・円が急変動する可能性もあるため注意したい。
ユーロ
- ユーロ安円高 184.24円(▼0.50円)
- 債券利回り 短期債 低下/長期債 低下
- 予想レンジ:1ユーロ=182円00銭-186円00銭
■為替
ユーロ・円は下落した。週初22日は、日本政府・日銀による円買い・ドル売りの為替介入が意識される中、ユーロ・円は上値の重い展開となった。23日は、片山財務相が足元の為替相場の動きについて「ファンダメンタルズを反映しているとは思えないと発言したことから、ユーロ・円は下落した。24日は、韓国がウォン買い・ドル売りの為替介入に動くとの観測が浮上し、ユーロ売り・円買いにつながった。25日は、欧米市場が休日で市場参加者が減少する中、ユーロ・円は方向感に欠ける動きとなった。26日は、12月東京都区部CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことから、ユーロ・円は上昇した。
■債券
短期債利回り、長期債利回りともに低下した。シュナーベルECB(欧州中央銀行)理事が当面ECBは利上げを予想していないとの考えを示したことから、利回りは上昇した。ユーロ建て独2年債利回りは前週末の2.15%から2.14%に低下、ユーロ建て独10年債利回りも前週末の2.90%から2.86%に低下して越週した。
■為替見通し
ユーロ・円は、もみ合いか。12月東京都区部CPIが市場予想を下回ったことで日銀の利上げ観測が後退する一方で、政府・日銀による為替介入への警戒感も強まる。年末・年始で市場参加者が減少することから、変動の大きな相場展開になる可能性に注意したい。
豪ドル
- 豪ドル高円安 105.17円(▲0.88円)
- 債券利回り 短期債 横ばい/長期債 低下
- 予想レンジ:1豪ドル=102円50銭-106円50銭
■為替
豪ドル・円は上昇した。週初22日は、前週末19日の日銀の植田和男総裁による会見がハト派的だったことから豪ドル・円は堅調な推移が継続、23日は商品市況の上昇を受けて豪ドル・円は上伸。その後、狭いレンジでもみ合い、26日は12月の東京都区部CPI(消費者物価指数)の伸びが市場予想以上に鈍化したことで円が売られ、豪ドル・円は上昇した。
■債券
短期債利回りは横ばいとなった一方、長期債利回りは低下した。豪ドル建て2年債利回りは前週末の4.03%から横ばい、豪ドル建て10年債利回りは前週末の4.75%から4.74%に低下して越週した。
■為替見通し
今週は31日に9-10日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表される。FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げのペースが伺えるかどうか。
NZドル
- NZドル高円安 91.27円(▲0.42円)
- 債券利回り 短期債 ―/長期債 上昇
- 予想レンジ:1NZドル=89円00銭-92円50銭
■為替
NZドル・円は上昇した。週初22日は、前週末19日の日銀の植田和男総裁による会見がハト派的だったことからNZドル・円は堅調な推移が継続、23日は商品市況の上昇を受けてNZドル・円は上伸。その後、狭いレンジでもみ合い、26日は12月の東京都区部CPI(消費者物価指数)の伸びが市場予想以上に鈍化したことで円が売られ、NZドル・円は上昇した。
■債券
長期債利回りは上昇した。NZ債は弱含みでもみ合う展開。NZドル建て10年債利回りは前週末の4.40%から4.45%に上昇し、越週した。
■為替見通し
今週は31日に9-10日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表される。FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げのペースが伺えるかどうか。
南アフリカランド
- ランド安円高 9.38円(▼0.02円)
- 債券利回り 短期債 ―/長期債 低下
- 予想レンジ:1ランド=9円20銭-9円60銭
■為替
ランド・円は下落した。週前半は、南アの主要産品である金価格の上昇を材料に底堅く推移したが、片山さつき財務相が円相場について「投機的」と述べたことや、一部のインタビューで為替介入を辞さない姿勢を示したことから円買いが優勢となり、上値が重くなった。週半ばに韓国の通貨当局による為替介入も警戒され、韓国ウォンが買われると、アジア通貨の動きに連動して円買いが加速、ランドに対しても円高が進んだが、週末は東京都区部の12月CPI(消費者物価指数)の鈍化や、26年度政府予算案の閣議決定などを材料に円売りが優勢となった。
■債券
長期債利回りは低下した。手掛かり材料難に加え、週後半は25日のクリスマス、26日の親善の日で休場となるため、方向感は乏しかったが、南ア株高などを背景にリスクオンの債券買いがやや優勢となった。南アランド建て15年債利回りは前週末の9.19%から9.12%に低下して越週した。
■為替見通し
ランド・円は、もみ合いか。年末年始ムードの中で引き続き方向感の掴みにくい展開が予想される。ランド・円は約10年ぶりの高値圏にあることから引き続き利益確定目的のランド売りが出やすい一方、高市政権による積極財政策への懸念から円を買う材料は乏しく、ランド・円の下値は限定的となりそうだ。週内の主な南ア経済指標は、11月財政収支、11月貿易収支など。
ブラジルレアル
- レアル安円高 28.24円(▼0.21円)
- 債券利回り 短期債 低下/長期債 ―
■為替
レアル・円は下落した。週前半は、ボラティリティ(価格変動)が高まる中、レアル売り優勢となった。23日発表の12月中旬時点のIPCA(拡大消費者物価指数)の伸びが市場予想より弱かったことからレアル・円は堅調に推移した。ジャイール・ボウソナロ前大統領が獄中から長男のフラビオ氏に宛てた書簡で、フラビオ氏を26年大統領選候補者に指名することを確認したことが好感された。市場ではフラビオ氏が大統領に勝利すれば、財政均衡が回復するとして好意的に見ていることが背景。週後半にかけてはクリスマス休暇で商いは閑散となった。
■債券
短期債利回りは低下した。26年の次期大統領選挙で、フラビオ氏の出馬の可能性が高まったことから、ブラジル債券は買われた、ブラジルレアル建て3年債利回りは前週末の13.33%から13.31%に低下して越週した。
トルコリラ
- リラ安円高 3.65円(▼0.03円)
- 債券利回り 短期債 ―/長期債 低下
■為替
リラ・円は下落した。三村淳財務官や片山さつき財務相の円安けん制発言を受けて、日本の通貨当局による円買いの為替介入観測がくすぶり続け、リラに対しても円が買われた。期間中に発表された経済指標では、トルコ11月外国人観光客(前年比)の伸び幅が前月から大きく縮小。一方、トルコ12月製造業景況感指数、トルコ12月設備稼働率は前月からおおむね横ばいだった。
■債券
長期債利回りは低下した。低調なトルコ経済指標もありトルコ債券は一時売られる場面も見られたが、週後半に米金利が低下基調となりトルコ金利も連動して低下した。ドル建てトルコ10年債利回りは前週末の6.44%から6.43%に低下して越週した。
※為替および債券利回りは、12月26日のニューヨークの終値を使用
※( )内は、先週末比の数字
※リラ債券:債券マーケットが小規模のため、ドル建ての債券利回りを指標として用いています。
提供:コメント/ウエルスアドバイザー社、グラフ/SBI証券
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