マザーズ指数は底入れ!?~大幅下落後の反発に期待の銘柄は?

マザーズ指数は底入れ!?~大幅下落後の反発に期待の銘柄は?

投資情報部 鈴木 英之

2022/06/01

東証マザーズ指数が底入れの兆しをみせています。5/24(火)~5/31(火)の同指数は、日経平均株価やTOPIXのパフォーマンスを上回りました。背景として、グロース銘柄にとって逆風になっていた米長期金利の上昇が落ち着いてきたことが考えられます。

仮に、東証マザーズ指数の反発が本格化してくるならば、指数の下落局面で大きく下げてきた銘柄の反発が本格化してきそうです。今回の「新興株ウィークリー」では、東証マザーズ指数の下落過程で、同時に大きく下げてきたグロース株のうち、反発が期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

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東証マザーズ指数に底入れの兆し?

5/24(火)~5/31(火)の東証マザーズ指数は2.7%上昇し、同期間の日経平均株価(+2.0%)やTOPIX(+1.8%)のパフォーマンスを上回りました。背景としては、NYダウが5/20(金)~5/27(金)に6連騰するなど、米国株が総じて堅調に推移したこと、米10年国債利回りが2.7%~2.8%台で比較的落ち着いた動きとなっていたこと等が考えられます。

なお、東証マザーズ指数は4/5(火)終値842.01から5/12(木)終値620.63まで26.3%下落しました。その後、5/31(火)終値は671.25と反発しました。決算発表シーズンが終わったことや、一時に比べれば米長期金利の動きも落ち着いてきたことから、東証マザーズ指数は反発局面が継続しやすいタイミングになってきたといえそうです。

そのような中、東証が5/31(火)、グロース市場時価総額トップのメルカリ(4385)の上場市場について、6/7(火)から東証プライム市場に「指定替え」になると発表しました。機関投資家によっては、東証プライム市場以外の銘柄へ投資するのに制限があるケースも多い為、投資家層の拡大が期待されます。その上、インデックスファンドによる買いも期待できる為、6/1(水)のメルカリ株は大幅高となっています。

個別にはQDレーザ(6613)の上昇が目立ちました。5/25(水)に同社が、トヨタ(7203)やデンソー(6902)とともに、半導体レーザー装置に関する特許を出願していたことが明らかになり、大幅高につながりました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/9/30終値を1として指数化。 期間:2021/9/30~2022/5/31

図表2 主なグロース市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(5/31) 週間 年初来
4385 メルカリ 2,129 9.3% -63.7%
4194 ビジョナル 6,030 0.2% -37.9%
4478 フリー 2,880 -4.0% -54.7%
4485 JTOWER 6,190 -1.1% -35.9%
4565 そーせいグループ 1,153 -2.2% -39.4%
7342 ウェルスナビ 1,865 2.2% -8.7%
4480 メドレー 2,697 0.5% 13.7%
4180 Appier Group 866 10.6% -35.0%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,157 0.2% -32.2%
6027 弁護士ドットコム 3,625 2.1% -40.5%
【ご参考】 日経平均株価 27,279.80 2.0% -5.3%
  TOPIX 1,912.67 1.8% -4.0%
  東証マザーズ指数 671.25 2.7% -32.1%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場の時価総額上位10銘柄について、5/31時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/24~2022/5/31の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と5/31時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 5/24(火)~5/31(火)で株価上昇が大きかったグロース市場銘柄

コード 銘柄名 株価(5/31) 週間 年初来
2370 メディネット 71 36.5% 42.0%
6613 QDレーザ 597 29.8% -19.1%
4371 コアコンセプト・テクノロジー 5,320 18.0% 50.3%
3773 アドバンスト・メディア 637 16.0% -0.9%
6597 HPCシステムズ 2,469 13.8% -13.9%
4376 くふうカンパニー 489 13.7% 13.2%
6255 エヌ・ピー・シー 467 13.3% -18.4%
7048 ベルトラ 543 13.1% 20.7%
2158 FRONTEO 1,193 12.7% -64.0%
3991 ウォンテッドリー 2,213 12.4% 45.0%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/24~2022/5/31の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と5/31時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

大幅下落後の反発に期待の銘柄は?

前項でご説明したように、東証マザーズ指数が底入れの兆しをみせています。仮に今後、相場の反発傾向がより鮮明になってきた場合、「リターンリバーサル」の発想を重視するのであれば、大きく下げた銘柄ほど、大きく戻りやすいと考えられます。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、4/5(火)~5/31(火)に大きく下げた銘柄の反発に期待することとしました。

ただ、業績の悪化が鮮明になってきた銘柄については、株価がいくら下げても致し方のない場合もあります。そこで、業績や株式の流動性(出来高)にも配慮しつつ、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場上場銘柄であること。
(2)時価総額が100億円以上の銘柄であること。
(3)4/5(火)~5/31(火)の株価下落率が20%超。
(4)今期会社予想営業増益率が20%超。
(5)過去20営業日(4/28~5/31)の平均出来高が3万株以上。

図表4の銘柄は、上記の条件をすべて満たしており、掲載の順番は4/5(火)以降の株価下落率が大きい順になっています。

図表4 投資チャンスの銘柄も~株価が大きく下落した大幅増益予想銘柄は?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価(5/31) 騰落率(4/5~) 予想増益率
7351 7351 7351 7351 グッドパッチ 1,513 -45.5% 27.5%
4053 4053 4053 4053 Sun Asterisk 1,129 -43.9% 21.2%
6522 6522 6522 6522 アスタリスク 1,834 -35.8% 71.1%
4194 4194 4194 4194 ビジョナル 6,030 -31.6% 153.3%
2438 2438 2438 2438 アスカネット 1,029 -26.3% 59.0%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート 13,470 -25.6% 25.1%
6562 6562 6562 6562 ジーニー 862 -24.6% 49.1%
4055 4055 4055 4055 ティアンドエス 1,589 -24.2% 33.2%
4377 4377 4377 4377 ワンキャリア 2,530 -22.0% 40.3%
  • ※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。予想増益率は会社予想ベースの今期営業増益率。
  • ※ジーニーの2023年3月期予想営業利益は10~12億円。よって、増益率の計算には、中央値である11億円を使用。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

グッドパッチ(7351)~クライアントの課題と並走し、同時に成長

  • ※データは2022/6/1(日足) 13:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■デジタルサービスのデザインを支援

当社は2020年6月に上場しました。主要な事業としては、「デザインパートナー事業」(2022年8月期・上半期の売上高構成比は67.3%)と、「デザインプラットフォーム事業」(同32.7%)の2事業があります。

デザインパートナー事業では、当社がデザインパートナーとして、プロダクト開発、新規事業立ち上げ、ブランド構築、組織支援など、クライアントの課題に並走し、ビジネス成長に貢献します。デザインプラットフォーム事業では、同社自らがデザインに関わる様々な課題に向き合い、自分たちで事業を作り、解決していきます。

2021/11/10(水)に伊藤忠テクノソリューションズ(4739)と資本業務提携を締結しました。伊藤忠テクノソリューションズは当社株を市場買い付けの形で6000万円を上限に購入しました。今後、サービスの共同開発や、共同での顧客営業、人材交流等を行う予定です。

■高成長を継続中も、第2四半期は足踏みの印象

2021年8月期までの3期、売上高成長率は年平均26.0%、前期の売上高営業利益率は14.8%と高めです。2022年8月期、会社側は売上高37.7億円(前期比37.8%増)、営業利益5.18億円(同27.5%増)を予想しています。

ただ、2022年8月期は第1四半期(2021年9月~11月期)が前年同期比91.4%の営業増益となったのに対し、第2四半期(2021年12月~2022年2月期)は同2.5%の営業減益でした。月額平均顧客単価の減少が影響した可能性もありそうです。

株価は第2四半期決算の発表日終値(4/14)2,664円から5/12(木)終値1,331円まで約50%下げ、現在は少し落ち着きを取り戻しています。当面は四半期単位での足踏みから早急に立ち直れるか否かが鍵になりそうです。

今後3年の営業利益については、2022年8月期は6.4億円、23年8月期は9.1億円、24年8月期は12.2億円と年平均44.8%の利益成長を市場では予想しています。人材が鍵となるビジネスとみられ、その確保の成否が成長を左右しそうです。

アスカネット(2438)~「空中ディスプレイ」の将来性に期待

  • ※データは2022/6/1(日足) 13:35 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■遺影や個人向け写真集など写真関連事業を展開

遺影や個人向け写真集などの写真関連事業を展開しています。2022/4期・第3四半期(累計)の売上構成比は、フューネラル事業(葬儀社向けに遺影写真のデジタル加工や配信を行う)が43.0%、フォトブック事業(本格的な写真集をネットで受注)が54.4%、空中結像技術を用いた「空中ディスプレイ事業」が2.6%となっています。

3/7(月)に発表された2022/4期・第3四半期業績(累計)は売上高46.88億円(前年同期比11.9%増)、営業利益3.69億円(同162.6%増)でした。主力事業は経済再開を受けて増益となり、「空中ディスプレイ事業」の広告宣伝費増を吸収しました。
会社側は好決算を受けて、通期(2022/4期)業績予想を上方修正し、売上高62.7億円→63.2億円(前期比9.6%増)、営業利益2.85億円→4.41億円(同59.0%増)としています。

■新型コロナ感染拡大で「空中ディスプレイ」拡大のチャンス

当社の空中結像技術は、光源からの光を結像させることで空中表示を可能とするものです。新型コロナウイルスの感染拡大で、画面に触れることなく表示可能な空中ディスプレイの需要は増えそうです。

1月には、セブン-イレブン・ジャパン他とともに、2月から非接触・空中ディスプレイPOSレジ『デジPOS』の実証実験を開始すると発表し、すでに実験が始まっています。キャッシュレス化の促進や店舗面積の有効活用のみならず、非接触が武器となり、感染症拡大下でも受け入れが進む可能性が出てきそうです。

株価は上記した業績予想上方修正を経て、3/22(火)に1,758円の高値を付けた後、東証マザーズ指数に連れる形で下落基調に転じました。ただ、足元は業績予想上方修正を発表した3/7(月)終値1,250円を下回り、5/25(水)には一時1,000円を割り込むなど「下げ過ぎ」感が強くなりつつあります。

なお、足元は5/26(木)に当社が「スマートフォンを使って不動産相続の手続きを手助けするサービスを始める」との報道があり、株価は少し戻しております。当面は、6/10(金)に本決算の発表が予定されており、一応の注意が必要です。

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