「メルカリ」に続け!~アナリストが高成長を予想しているグロース銘柄は?

「メルカリ」に続け!~アナリストが高成長を予想しているグロース銘柄は?

投資情報部 鈴木 英之

2022/06/08

東証マザーズ指数は底固めの様相を呈しています。同指数は4/5(火)終値から5/12(木)終値まで26.3%下落した後、トレンド的には少しずつ下値を切り上げる形になっています。5/30(月)に25日移動平均線を回復した後は、そこが下値支持線となっているようです。

そのような中、これまでグロース市場時価総額トップであったメルカリ(4385)が東証プライム市場に「指定替え」になりました。そもそも、グロース市場に投資する醍醐味は、将来プライム市場に格上げされるような成長企業を発掘し、中長期的視野で
投資することにあると思います。現在、アナリストは、どのような銘柄の成長を予想しているのでしょうか。

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メルカリが東証プライム市場に指定替え

5/31(火)~6/7(火)の東証マザーズ指数は1.5%下落し、同期間の日経平均株価(+2.4%)やTOPIX(+1.8%)のパフォーマンスを下回りました。米国で5月ISM製造業景況指数(6/1発表)や、5月雇用統計(6/3発表)などが、同国経済の底固さを示し、米10年国債利回りが上昇したことから、世界的にグロース銘柄が売られやすい環境となりました。

しかしながら、東証マザーズ指数は底固めの様相を呈しています。同指数は4/5(火)終値842.01から5/12(木)終値620.63まで26.3%下落した後、トレンド的には少しずつ下値を切り上げる形になっています。5/30(月)に25日移動平均線を回復した後は、そこが下値支持線となっているようです。

そのような中、これまでグロース市場時価総額トップであったメルカリ(4385)の上場市場について、6/7(火)から東証プライム市場に「指定替え」になりました。図表2では、東証グロース市場の時価総額上位の動向を示していますが、今回からはメルカリを除外することにしました。ちなみに、6/7(火)現在、東証グロース市場の時価総額トップはビジョナル(4194)で、会員制転職サービス「ビズリーチ」を展開しています。

その他の時価総額上位銘柄では、AI(人工知能)を活用した資産運用一任サービスを展開しているウェルスナビ(7342)の上昇が目立ちました。5/13(金)に発表された2022年12月期・第1四半期の営業収益は、前年同期比62.9%増となりました。それ以降、収益拡大を期待した買いが優勢となったようです。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2021/9/30終値を1として指数化。 期間:2021/9/30~2022/6/7

図表2 主なグロース市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(6/7) 週間 年初来
4194 ビジョナル 5,730 -5.0% -41.0%
4478 フリー 2,889 0.3% -54.6%
4485 JTOWER 5,500 -11.1% -43.0%
7342 ウェルスナビ 2,009 7.7% -1.7%
4565 そーせいグループ 1,142 -1.0% -40.0%
4480 メドレー 2,658 -1.4% 12.1%
6027 弁護士ドットコム 3,805 5.0% -37.5%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 1,987 -7.9% -37.5%
4180 Appier Group 781 -9.8% -41.4%
3479 ティーケーピー 1,732 1.4% 25.7%
【ご参考】 日経平均株価 27,943.95 2.4% -2.9%
  TOPIX 1,947.03 1.8% -2.3%
  東証マザーズ指数 661.42 -1.5% -33.1%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場の時価総額上位10銘柄について、6/7時点での各種騰落率を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/31~2022/6/7の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と6/7時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 5/31(火)~6/7(火)で株価上昇が大きかったグロース市場銘柄

コード 銘柄名 株価(6/7) 週間 年初来
4591 リボミック 218 28.2% -47.0%
3979 うるる 1,289 20.1% -28.7%
4883 モダリス 542 19.6% -11.6%
3914 JIG-SAW 6,080 18.1% -4.3%
6612 バルミューダ 3,370 14.8% -19.4%
4593 ヘリオス 380 12.4% -70.4%
4936 アクシージア 958 10.4% -14.7%
7683 ダブルエー 2,628 10.2% -17.9%
6232 ACSL 2,061 9.2% -1.8%
7774 ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 572 8.7% 1.1%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※グロース市場(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※「週間」は2022/5/31~2022/6/7の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と6/7時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

「メルカリ」に続け!~アナリストが高成長を予想しているグロース銘柄は?

前項でご説明したように、東証マザーズ指数は一旦底入れし、じわじわと底値を切り上げる形になっています。
そのような中、これまでグロース市場時価総額トップであったメルカリ(4385)が東証プライム市場に「指定替え」になりました。そもそも、グロース市場に投資する醍醐味は、将来プライム市場に格上げされるような成長企業を発掘し、中長期的視野で
投資することにあると思います。現在、アナリストは、どのような銘柄の成長を予想しているのでしょうか。

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場上場銘柄であること。
(2)業績予想を公表しているアナリストが2名以上。
(3)前期営業損益が黒字。
(4)今期・来期との市場予想営業利益(Bloombergコンセンサス)が10%超の増益予想。
(5)来期の市場予想営業利益が、前期比で50%超の増益。
(6)過去20営業日(5/10~6/6)の1営業日当たり平均出来高が3万株超。

図表4の銘柄は、これらの条件をすべて満たしており、(5)の条件となった来期市場予想営業利益の前期営業利益に対する増益率が高い順に掲載しています。

図表4 「メルカリ」に続け!~アナリストが高成長を予想しているグロース銘柄は?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価(6/7) 来期/前期増益率 平均出来高(万株)
4194 4194 4194 4194 ビジョナル 5,730 281.1% 16.08
4480 4480 4480 4480 メドレー 2,658 154.5% 33.95
4479 4479 4479 4479 マクアケ 1,843 152.2% 11.27
4475 4475 4475 4475 HENNGE 965 151.5% 239.24
7351 7351 7351 7351 グッドパッチ 1,443 125.3% 8.60
7094 7094 7094 7094 ネクストーン 3,375 106.5% 14.73
4493 4493 4493 4493 サイバーセキュリティクラウド 1,931 74.8% 21.46
9270 9270 9270 9270 バリュエンスホールディングス 1,775 73.2% 6.55
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート 12,250 71.3% 4.62
6069 6069 6069 6069 トレンダーズ 1,442 71.0% 22.80
7320 7320 7320 7320 日本リビング保証 1,531 56.0% 3.14
  • ※Bloomberg、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※来期/前期増益率は、前期営業利益に対し、来期市場予想営業利益が何%増益になっているかを示しています。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

ビジョナル(4194)~東証グロース市場の時価総額トップは、予想増益率もトップクラス

  • ※データは2022/6/8(日足) 14:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■会員制転職プラットフォーム「ビズリーチ」を展開

当社は、プロフェッショナル人材(管理職・専門職等)に特化した会員制転職プラットフォーム「ビズリーチ」の運営会社を傘下に持つ持株会社です。「ビズリーチ」においては、求職者が職務経歴書を当社データベースに登録し、企業は登録された情報をもとに、人材会社を通さず、求職者に直接アプローチできる仕組みとなっています。企業によるシステム利用料や、採用時の成功報酬が収益源です。他の人材会社やヘッドハンターのシステムの利用料も収益化しています。

当社の手法は、企業が直接求職者にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」と言われ、日本では当社が先駆け的な存在になっています。


■当面は大幅増益が続く可能性

2022年7月期・第2四半期は売上高196.7億円(前年同期比61.7%増)、営業利益41億円(同171.3%増)と大幅増収・増益となりました。当社システムの累計導入企業数は2021年7月末「17,100社以上」から、2022年1月末は「19,000社以上」と順調に拡大しています。会社計画では2022年7月期・通期の予想営業利益は60億円(前期比153.4%増)となっていますが、市場では65億円と予想。さらに、2023年7月期の市場予想営業利益は90億円となっています。

2022/6/7(火)に、それまでの東証グロース市場時価総額トップ企業メルカリが東証プライム市場に指定替えとなり、同日からは当社が新しく時価総額トップになりました。しかし、当社は来期市場予想営業利益を前期営業増益率で割った、いわば2年分の予想増益率でも、グロース市場でトップクラスです。

なお、当社は6/13(月)に、2022年7月期・第3四半期の決算発表を予定しています。

HENNGE(4475)~高水準の出来高が続くセキュリティ関連銘柄

  • ※データは2022/6/8(日足) 14:40時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■単一ID・パスワードでログインできるサービスを提供

当社は「HENNGE One」を主要サービスとしています。このサービスは、企業が利用する複数のクラウドサービスに対して、単一のIDとパスワードで横断的なログインが可能になるサービスです。ID統合機能のほか、特定の場所や端末以外からのログインを制限するアクセス制限機能、メールの暗号化や保管、大容量ファイルの送受信といった情報漏洩対策機能などを備えています。

このサービスは、企業に対して利便性と安全性のバランスのとれたSaaS(クラウド事業者が提供するソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービス)を提供しています。収益はサービス料を年額で定額課金するサブスクリプション型が中心で、安定的な収益源です。


■市場は今期予想営業利益の上振れに期待

当社は5/12(木)に2022年9月期・第2四半期決算を発表し、売上高は27.0億円(前年同期比17.3%増)、営業利益3.5億円(前年同期は0.23億円の赤字)となりました。同四半期末の契約企業数は2,056社と、前年同期末の1,813社から順調に拡大しています。

2022年9月期・通期では、営業利益4.34億円(前期比14.2%増)が会社計画となっています、第2四半期末における営業利益進捗率は80%に達しており、その達成は比較的容易であると考えられます。

営業利益の市場コンセンサスは2022年9月期5.15億円、2023年9月期は9.5億円と順調な拡大が見込まれています。株価は落ち着きを取り戻し始めており、サイバーセキュリティ関連銘柄の一角として人気が続く可能性もありそうです。

グッドパッチ(7351)~クライアントの課題と並走し、同時に成長

  • ※データは2022/6/8(日足) 14:40時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■デジタルサービスのデザインを支援

当社は2020年6月に上場しました。主要な事業としては、「デザインパートナー事業」(2022年8月期・上半期の売上高構成比は67.3%)と、「デザインプラットフォーム事業」(同32.7%)の2事業があります。

デザインパートナー事業では、当社がデザインパートナーとして、プロダクト開発、新規事業立ち上げ、ブランド構築、組織支援など、クライアントの課題に並走し、ビジネス成長に貢献します。デザインプラットフォーム事業では、同社自らがデザインに関わる様々な課題に向き合い、自分たちで事業を作り、解決していきます。

2021/11/10(水)に伊藤忠テクノソリューションズ(4739)と資本業務提携契約を締結しました。伊藤忠テクノソリューションズは当社株を市場買い付けの形で6000万円を上限に購入しました。今後、サービスの共同開発や、共同での顧客営業、人材交流等を行う予定です。

■高成長を継続中も、第2四半期は足踏みの印象

2021年8月期までの3期、売上高成長率は年平均26.0%、前期の売上高営業利益率は14.8%と高めです。2022年8月期、会社側は売上高37.7億円(前期比37.8%増)、営業利益5.18億円(同27.5%増)を予想しています。

ただ、2022年8月期は第1四半期(2021年9月~11月期)が前年同期比91.4%の営業増益となったのに対し、第2四半期(2021年12月~2022年2月期)は同2.5%の営業減益でした。月額平均顧客単価の減少が影響した可能性もありそうです。

株価は第2四半期決算の発表日終値(4/14)2,664円から5/12(木)終値1,331円まで約50%下げ、現在は少し落ち着きを取り戻しています。当面は四半期単位での足踏みから早急に立ち直れるか否かが鍵になりそうです。

今後3年の営業利益については、2022年8月期は6.4億円、23年8月期は9.1億円、24年8月期は12.2億円と年平均44.8%の利益成長を市場では予想しています。人材が鍵となるビジネスとみられ、その確保の成否が成長を左右しそうです。

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