グロース市場「反発相場」の「主役」銘柄を探る

投資情報部 鈴木 英之 栗本 奈緒実

2022/08/03

7/26(火)~8/2(火)の東証マザーズ指数は2.1%上昇しました。米景気・企業業績が鈍化の兆しをみせ、原油価格がピークアウトの様相を呈しており、インフレ・金利上昇懸念は後退しつつあります。金利上昇に弱いグロース株を中心に組み入れる東証マザーズ指数の反発も当面続くかもしれません。

そこで、「新興株ウィークリー」では、さらなる株価上昇が期待される「反発相場の主役」銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

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東証マザーズ指数は続伸基調

7/26(火)~8/2(火)の東証マザーズ指数は2.1%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンス(-0.2%)およびTOPIXのパフォーマンス(-0.6%)を大きく上回りました。

現地時間7/27(水)に結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、米政策金利が0.75%引き上げられることが発表されました。事前の市場予想通りだったことに加え、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が今後の利上げペース緩和を示唆したこともあり、米10年国債利回りは7/26(火)の2.80%から8/1(月)には2.57%に低下しました。

長期金利低下はグロース銘柄にとっては追い風になります。米10年国債利回りの低下傾向を受け、米国市場ではナスダックがしっかりとなり、日本でも東証マザーズ指数が堅調となりました。

グロース銘柄への追い風が強まったことを反映し、東証マザーズ指数を構成する時価総額上位銘柄もおおむね全銘柄が買われる展開となりました。7/26(火)~8/2(火)の期間では、時価総額トップのビジョナル(4194)が8.2%上昇し、第2位のフリー(4478)が10.8%上昇しました。

個別には、M&A仲介を手掛けるM&A総合研究所(9552)の値上がり率が圧倒的でした。同社は6/28(火)に初値2,510円で新規上場し、同じ日に2022/9月期の会社予想営業利益を12.7億円とすると発表をしていました。しかし、7/29(金)には同利益を17.4億円に上方修正し、株価はこれを好感する形で、8/1(月)・8/2(火)だけで40%超上昇する展開となりました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2022/3/31終値を1として指数化。
  • 期間:2022/3/31~2022/8/2

図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(8/2) 週間 年初来
4194 ビジョナル 7,270 8.2% -25.1%
4478 フリー 3,230 10.8% -49.2%
5032 ANYCOLOR株式会社 6,060 -2.1% -
4485 JTOWER 6,730 8.5% -30.3%
4565 そーせいグループ 1,500 13.0% -21.2%
4480 メドレー 3,200 3.1% 34.9%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,536 4.9% -20.3%
3479 ティーケーピー 2,433 13.2% 76.6%
7342 ウェルスナビ 2,043 5.3% 0.0%
4180 Appier Group 853 1.9% -36.0%
【ご参考】 日経平均株価 27,594.73 -0.2% -4.2%
  TOPIX 1,925.49 -0.9% -3.4%
  東証マザーズ指数 716.46 2.1% -27.5%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証マザーズ指数構成銘柄の時価総額上位10銘柄について、8/2時点での各種騰落率を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証マザーズ指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/7/26~2022/8/2の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と8/2時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※ANYCOLOR株式会社(5032)は2022/6/8に新規上場をした為、年初来の数値なし。

図表3 7/26(火)~8/2(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄

コード 銘柄名 株価(8/2) 週間 年初来
9552 M&A総合研究所 3,335 48.8% -
3793 ドリコム 770 18.6% 68.5%
7061 日本ホスピスホールディングス 1,625 15.2% -29.6%
3479 ティーケーピー 2,433 13.2% 76.6%
4565 そーせいグループ 1,500 13.0% -21.2%
5031 モイ 834 12.4% -
4417 グローバルセキュリティエキスパート 4,485 11.8% 33.5%
7050 フロンティアインターナショナル 3,970 11.2% 66.2%
3900 クラウドワークス 1,598 11.1% 31.5%
4371 コアコンセプト・テクノロジー 7,300 10.9% 106.2%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証マザーズ指数構成銘柄(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証マザーズ指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/7/26~2022/8/2の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と8/2時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※M&A総合研究所(9552)は2022/6/28、モイ(5031)は2022/6/8に新規上場をした為、年初来の数値なし。

グロース市場「反発相場」の「主役」銘柄を探る

上記したように、東証マザーズ指数は、米長期金利の低下を追い風に、反発局面になっています。同指数は6/20(月)の615.35ポイントを年初来安値(終値ベース)とし、8/2(火)終値は716.46ポイントと16.4%の反発となっています。

米景気・企業業績が鈍化の兆しをみせ、原油価格がピークアウトの様相を呈しており、インフレ・金利上昇懸念は後退しつつあります。金利上昇に弱いグロース株を中心に組み入れる東証マザーズ指数の反発も当面続くかもしれません。

そこで、「新興株ウィークリー」では、反発局面継続が期待される東証マザーズ指数構成のグロース市場銘柄のうち、さらなる株価上昇が期待される「反発相場の主役」銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証マザーズ指数構成銘柄
(2)時価総額100億円以上
(3)6/20(月)-8/1(月)の株価上昇率が20%超・・・反発局面で上昇率が鈍い銘柄では「主役」と呼びにくいと思われるため
(4)同期間の1営業日当たり出来高が20万株超
(5)SBI証券チャート形状分析ツールにおいて、7/4(月)~8/1(月)のチャートがポジティブな形状
(6)8/3(水)~8/10(水)に決算発表を予定する銘柄に該当しない
(7)前四半期(3ヵ月)の営業損益が黒字で、前年同期比増益
(8)継続企業の前提に疑義が生じていないこと、また信用規制が実施されていないこと

図表4の銘柄は、これらの条件をすべて満たしています。また、株価上昇率(6/20~8/1)の大きい順で掲載しています。

図表4 反発相場の「主役」銘柄を探る

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名(決算月) 株価(8/1) 騰落率(6/20~) 平均出来高
3479 3479 3479 3479 ティーケーピー(2) 2,456 53.6% 678,750
3491 3491 3491 3491 GAtechnologies(10) 1,403 37.1% 216,325
4194 4194 4194 4194 ビジョナル(7) 7,460 33.5% 267,405
6255 6255 6255 6255 エヌ・ピー・シー(8) 618 32.3% 676,195
3993 3993 3993 3993 PKSHA Technology(9) 2,269 20.1% 201,510
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名横のカッコ内数字は決算月。
  • ※株価騰落率は6/20(月)~8/1(月)。
  • ※平均出来高は、8/1(月)まで20営業日の1営業日当たり平均出来高(単位・株)。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

ティーケーピー(3479)~コロナ禍の逆境を乗り越え、再び成長軌道へ

★週足チャート(過去2年)
  • ※データは2022/8/3(週足) 10:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★通期業績推移(百万円)
  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■フレキシブルオフィス事業を展開

当社は「フレキシブルオフィス事業」を中核事業としています。取り壊しの決まったビルを会議室にしたり、業績悪の宿泊施設を研修施設にしたりするなど、遊休不動産を仕入れ(保有ではなく賃貸契約で確保)、付加価値を加えて再生し、企業に提供しています。

2005年に貸会議室の運営等を目的に設立され、着実に業績を拡大しています。2019/4には、シェアオフィス世界最大手のスイスIWG社から、日本でレンタルオフィスを展開する運営会社を買収しました。2020/2期の売上高は543億円、営業利益は63億円と5期連続2桁増収・営業増益を記録しました。

しかし、2020年初め頃から新型コロナウイルスの感染拡大の本格化に伴い、貸会議室需要が急減し、当社は2021/2期に35億円、2022/2期に32億円の最終赤字に転落しました。株価も2019年には一時6,000円手前まで上昇していましたが、2020/3には915円、本年1月には1,108円の安値を付けています。

足元の株価は反発基調となっています。

■業績は今後も拡大の見通し

株価は上記の本年安値を付けた後も一進一退でしたが、4/11(月)に2022/2期の予想営業損益等について、赤字が予想以下に収まるとの修正見通しを示し、7/14(木)に2023/2期第1四半期決算を発表しました。

  売上高 131.8億円(前年同期比28.3%増)

  営業利益 12.1億円(前年同期は8.29億円赤字)

宿泊・研修需要の回復により、貸会議室の「坪当たり売上高」が増加したことが貢献しました。

当社については、SBI証券企業調査部もレポートを作成しています。「坪当たり売上高」の回復、来春までの案件積み上げが順調なこと等を背景に、営業利益は2023/2期に35億円(会社予想は20億円)、2024/2期に55億円、2025/2期に75億円に拡大すると予想しています。

詳細は以下のレポートをご覧ください。

7/28 ティケーピー(グロース 3479)
目標株価 2,980→3,780円 投資判断「買い」
「採用・研修需要等により坪あたり売上高が本格回復へ」

ビジョナル(4194)~収益源を多様化した独自のビジネスモデルで急成長

★週足チャート(過去2年)
  • ※データは2022/8/3(週足) 10:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★通期業績推移(百万円)
  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■ハイクラス転職支援サイトの運営で急成長

ハイクラス向け転職支援サイト「ビズリーチ」の運営で急拡大した会社です。一般的な転職サイトと異なる、独自の成長要因が大まかに2点あると考えられます。

(1) ユーザー(求職者)の絞り込み

⇒ おすすめのユーザーは経営幹部・管理職などのいわゆるプロフェッショナル人材であることを喧伝しています。このブランディングが功を奏し、企業の求める採用人物像とユーザーが求める転職先企業のミスマッチを減少させ、利用者拡大に繋がりました。ユーザーからは求人情報を見るための定額制課金料を徴収しており、これはユーザーの質の高さの担保にも繋がっています。

(2) 多方面の収益構造 

⇒ 一般的な転職支援サイトは、採用を依頼する企業からプラットフォーム(ビズリーチのサイト)利用料や採用支援の成功報酬を受け取るという、一者のみからの収益構造が多くなっています。

当社は、ユーザー(求職者)とヘッドハンター(採用企業とユーザーの仲介者となる人材紹介会社)からも収益を得ています。すなわち、収益源が合計3方向ある形です。

あくまでもビズリーチという、企業と求職者間の直接採用の為のプラットフォーム(箱)を経営し、多方面から収益を得ている構造です。

■2022/7期業績見通しを売上高・利益ともに大幅上方修正

当社の株価は、2021/9/13に、2022/7期の増収・増益予想を示した後、2021年末にかけて大幅高していました。しかし、2022年に入り、 グロース株にとって向かい風となる米長期金利上昇を嫌気して株価は下落に転じ、6/13(月)には年初来安値5,300円まで下落しました。

当社株は東証グロース市場で時価総額首位、マザーズ指数の構成割合3%超と中小型グロース株の筆頭的存在となっているため、グロース市場全般の動きを反映しやすい傾向にあります。

こうした中、6/13(月)に、2022/7期第3四半期の決算発表と通期業績見通しの上方修正を発表しました。

〇2022/7期(通期) 業績見通し

  ・売上高 410億円→436億円(前期比51.9%増)

  ・営業利益 60億円→80億円(同237.8%増)

上記の業績見通し上方修正に加え、米長期金利低下を受けたグロース市場への追い風を受け、株価は反発に転じました。

株価推移のポイントとして、6月までの下落要因が当社の個別要因ではなく、グロース銘柄全体への逆風である点です。現在、年初来の下落圧力となってきた米長期金利も、景況感の悪化で低下気味となってきました。

次回の四半期決算は通期決算にあたるため、市場の注目をより集めることとなりそうです。発表予定日は、2022/9/14(水)です。

PKSHA Technology(3993)~買収効果の発現で増益加速に期待のAI関連銘柄

★週足チャート(過去2年)
  • ※データは2022/8/3(週足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
★通期業績推移(百万円)
  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■AIアルゴリズムを開発し、SaaS製品化

JR東日本、SONY、ANA、東京海上日動、資生堂…etc

上記は当社グループが開発したアルゴリズムやプロダクトが稼働する企業の一例です。日本を代表する大手企業が並び、錚々たる顔ぶれです。

AI(人工知能)アルゴリズムの開発から始まり、それらを用いたSaaS型ビジネス(顧客がクラウド経由で提供されるソフトウェアを利用)で近年売り上げを急成長させています。

当社の展開するAIサービスは、顧客問合せの自動回答サービスや業務効率化等、様々な分野で生産性の向上に役立っています。

■セールス強化で増益加速に期待

事業は主に2つに分かれており、
「AI Research & Solution事業」で研究開発や大手企業との共同プロジェクトを行い、そこで得た研究成果を社会実装させ「AI SaaS事業」で製品として提供し収益を得ています。

実はこの2事業構成となるのは、今期(2022/9期)からです。

当社は売上高が順調に右肩上がりとなる一方、営業利益や経常利益がやや伸び悩んでいました。利益成長が課題となり、株価は長らく下落基調となっていました。

直面した課題に対処するため、セールス強化の一環で2021/9にSaaS型にビジネスで顧客基盤を持つ2社を買収しました。当社はその前の2019/6にも1社を買収しています。そのため、のれん代がかさみ、利益が停滞する要因となっていました。
ただ、3社ともに売上高増に貢献しており高いシナジー効果が期待されています。SaaS型ビジネスを展開し、ストック収入の伸びも順調で、利益増のイメージも持ちやすくなった印象です。

今期(2022/9期)は通期の会社予想営業1,000億円に対し、中間実績は916億円と90%超の進捗率です。次の2022/9期第3四半期(2022/8/12発表予定)での決算発表では、上方修正に期待が持てそうです。

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