四半期大幅増益の中小型株は?

四半期大幅増益の中小型株は?

投資情報部 鈴木 英之/栗本奈緒実

2022/08/10

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東証マザーズ指数は続伸基調

8/2(火)~9(火)の東証マザーズ指数は2.0%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンス(+1.5%)およびTOPIXのパフォーマンス(+0.6%)を2週連続で上回っています。

8/5(金)に発表された米雇用統計(7月)は、非農業部門雇用者数が事前予想を上回るなど、米国経済の粘り強さをみせる結果となり、米長期金利もやや上昇する展開となりました。ただ、米ナスダック市場が比較的堅調に推移したこともあり、東証マザーズ指数も底堅く推移しました。

時価総額上位銘柄では、通信設備のシェアリング事業を手掛けるJTOWER(4485)の上昇が目立ちました。8/8(月)に今年度第1四半期決算を発表し、純利益は前年同期比2.5倍弱の1.3億円となりました。今期は先行投資で赤字が見込まれており、市場コンセンサスでは第1四半期も最終赤字が見込まれていただけに、黒字確保自体が好感されました。特に8/9(火)の上昇率は10%を超えました。

ベンチャー企業支援のフォースタートアップス(7089)が大幅高しました。8/4(木)に今年度第1四半期決算を発表し、純利益は約1.3億円となりました。前年同期は現行の連結決算ではなく単独決算であったため比較はできませんが、通期会社予想純利益に対する進捗率は33.3%に達し、買い安心感が強まりました。音声認識技術のアドバンスト・メディア(3773)も買われました。8/5(金)に今年度第1四半期の決算を発表し、純利益が371%増えたことが好感されました。投資用不動産のタスキ(2987)やアズーム(3496)も好決算を契機に上昇するなど、決算発表後に動く銘柄が増えています。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

  • ※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※2022/3/31終値を1として指数化。 期間:2022/3/31~2022/8/9

図表2 主な東証マザーズ指数構成銘柄の値動き

コード 銘柄名 株価(8/9) 週間 年初来
4194 ビジョナル 7,650 5.2% -21.2%
4478 フリー 3,450 6.8% -45.8%
5032 ANYCOLOR 6,230 2.8%
4485 JTOWER 7,480 11.1% -22.5%
4565 そーせいグループ 1,659 10.6% -12.9%
3479 ティーケーピー 2,475 1.7% 79.6%
4480 メドレー 3,185 -0.5% 34.3%
4071 プラスアルファ・コンサルティング 2,584 1.9% -18.7%
7342 ウェルスナビ 2,080 1.8% 1.8%
4180 Appier Group 932 9.3% -30.1%
【ご参考】 日経平均株価 27,999.96 1.5% -2.7%
  TOPIX 1,937.02 0.6% -2.8%
  東証マザーズ指数 730.60 2.0% -26.0%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証マザーズ指数構成銘柄の時価総額上位10銘柄について、8/9時点での各種騰落率を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証マザーズ指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/8/2~2022/8/9の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と8/9時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※ANYCOLOR(5032)は2022/6/8に新規上場をした為、年初来の数値なし。

図表3 8/2(火)~8/9(火)で株価上昇が大きかった東証マザーズ指数構成銘柄

コード 銘柄名 株価(8/9) 週間 年初来
4582 シンバイオ製薬 881 33.3% -23.1%
7089 フォースタートアップス 2,971 31.5% -31.6%
3773 アドバンスト・メディア 910 19.7% 41.5%
2987 タスキ 1,066 18.4% -18.3%
3496 アズーム 8,340 17.3% 36.7%
4051 GMOフィナンシャルゲート 16,160 13.4% -42.4%
4596 窪田製薬ホールディングス 286 12.6% 91.9%
3628 データホライゾン 1,816 12.2% -1.8%
4592 サンバイオ 1,177 11.9% 16.9%
7095 マクビープラネット 8,090 11.6% 26.4%
  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証マザーズ指数構成銘柄(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証マザーズ指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/8/2~2022/8/9の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と8/9時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

四半期大幅増益の中小型株は?

上場企業の決算発表もいよいよ佳境を迎えています。今後は、発表された業績数値をベースに、銘柄間比較が本格化するため、銘柄ごとに明暗が分かれてくる可能性が大きそうです。

そこで、「新興株ウィークリー」では、銘柄選別が進む今後、東証スタンダード、またはグロース市場構成銘柄のうち、好業績銘柄として選別され、株価上昇が期待される銘柄を抽出すべく、以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証スタンダード、またはグロース市場に上場
(2)時価総額100億円以上1,000億円未満
(3)3月、9月、12月決算銘柄
(4)8/8(月)までに2022/4~6期の決算発表を実施済み
(5)8/8(月)まで20営業日の1営業日当たりの平均出来高が2万株超
(6)直近四半期(2022/4~6期)の営業増益率が前年同期比で10%超
(7)直近四半期(2022/4~6期)の営業増益率が通期会社予想営業増益率を上回っていること
(8)直近の四半期累計営業増益率(3月決算銘柄を除く)が10%超
(9)通期会社予想営業利益が増益予想

図表4の銘柄は、これらの条件をすべて満たしています。また、直近四半期(2022/4~6期)の営業増益率(前年同期比)が大きい順に並べています。

図表4 四半期大幅増益の中小型株

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名(決算月) 株価(8/9) 2022/4~6期営業増益率 会社予想通期営業増益率
6565 6565 6565 6565 ABホテル 1,347 1238.9% 25.1%
8029 8029 8029 8029 ルックホールディングス(12) 1,691 784.0% 24.8%
6023 6023 6023 6023 ダイハツディーゼル 520 352.5% 29.0%
2987 2987 2987 2987 タスキ(9) 1,066 166.7% 25.5%
3773 3773 3773 3773 アドバンスト・メディア 910 116.2% 21.5%
7908 7908 7908 7908 きもと 242 95.7% 43.8%
3784 3784 3784 3784 ヴィンクス(12) 1,586 53.3% 3.7%
6882 6882 6882 6882 三社電機製作所 849 31.6% 21.5%
4051 4051 4051 4051 GMOフィナンシャルゲート(9) 16,160 30.4% 25.1%
4800 4800 4800 4800 オリコン 826 14.9% 8.5%
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名横のカッコ内数字は決算月。3月決算銘柄に関しては、記載なし。
  • ※2022/4~6期営業増益率は前年同期比。
  • ※ABホテル(6565)、ルックホールディングス(8029)の各数値は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

アドバンスト・メディア(3773)~AI音声認識首位。成長軌道回復か

★月足チャート(過去5年)

  • ※データは2022/8/10(月足) 11:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■領域特化型・高精度のAI音声認識

当社が開発したAIによる音声認識技術(AmiVoice)は、高精度の自動文字起こしが可能です。それを用いたソリューションサービスの提供やアプリのライセンス販売等を軸に事業を拡大しています。

コールセンターや電子カルテ等の作成が必要な医療現場、自治体の議会といった専門用語が飛び交うような現場でも文字起こしが可能で、作業時間減や品質向上等の業務効率化につながっています。東京都議会や多数の名立たる大企業でも使用されており、近年のDX化推進が一層の追い風となっています。

音声認識市場でのシェアは7年連続第1位です。
特に専門性の高い医療文書向けにおいてのシェアは72.2%と2位の2.3%を圧倒的に引き離しており、当社の競争優位性が見て取れます。

■大規模な自社株買いと増収増益

収益面では2018/3期に黒字転換を達成し、株価は一時2,800円弱まで上昇していましたが、その後は利益成長の鈍化や中期計画の未達等が嫌気され下落基調が長らく続いていました。

2022/3期の決算発表があった本年5月半ばを起点に株価は上昇基調になっています。8/5(金)に発表された2023/3期第1四半期決算では売上高、営業利益、経常利益において第1四半期過去最高を実現し利益成長の水準も高く好感されました。
ストック比率も稼ぎ頭であるコンタクトセンター向け、議事録作成向けで前期末比で上昇し、特に医療事業部においては前期末29.6%であったのが43.4%まで伸びています。

また、2022/6/28に今後1年、発行株式数の16%超に当たる上限300万株の大規模な自社株買いを実施すると発表しています。これも株価の下支え要因となりそうです。

5年間の価格帯別売買高をみると最たるボリュームゾーンが2,000円弱で、次が900円前後です。8/9(火)時点の株価は910円であることから、このゾーンを完全に上抜ければ更なる上昇可能性があると考えます。

GMOフィナンシャルゲート(4051)~ストック型収益拡大の兆し有

★週足チャート(過去2年)

  • ※データは2022/8/10(週足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■有人でのキャッシュレス決済領域を担う

GMOグループの一角で、キャッシュレス決済システムの中でも実際に人が店舗等に赴いて使用する『有人型の対面決算分野』を担う会社です。PC・スマホへカード情報を入力する無人型のEC決済は連結親会社のGMOペイメントゲートウェイ(3769)等が取り扱っています。

加盟店(お店)と決済事業者(カード会社や銀行等)の間で、端末の販売から決算処理や清算まで、決済にかかわる全ての業務をワンストップで提供しているのが当社です。
当社サービスではクレジットカード以外もQRコードや電子マネー等複数の決算手段を提供しています。あらゆる決済手段で仲介業務が発生するため、収益を得られるタイミングを複数有していることが当社の強みです。


■ストック型収益拡大が成長の肝

当社は、端末販売を起点としたストック型収益の拡大を目指しています。8/8(月)に発表された2022/9期第3四半期決算では、決算端末販売によるイニシャル売上(売上構成比70.3%)が前年同期比50.3%増、ストック型売上(同29.7%)が同63.5%増と急拡大しました。

また、今後のストック収益拡充のため、当社は稼働端末台数を重視しており、この数字も前年同期比1.6倍と右肩上がりとなりました。

同上決算発表では、売上高・利益がともに前年同期比増となり、通期(2022/9期)見通しに対しての進捗率も順調でした。それを受けて会社側が、売上高見通しを約12.5億円上方修正をしたことが好感され、翌8/9(火)の株価は13%高となりました。

上方修正の要因として、決済端末販売による売上増を挙げています。利益に関しての上方修正は端末の粗利益の低さ等を理由に行っていませんが、売上増が当社のストック型収益に今後寄与してゆくことが期待されます。

オリコン(4800)~「オリコンチャート」で有名。長期的にも利益率が向上中

★週足チャート(過去2年)

  • ※データは2022/8/10(週足) 11:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「コミュニケーション事業」が中核

当社は、音楽ヒットチャートや各種ランキングで有名な会社です。主力事業は売上高の77.5%(2023/3期第1四半期)を占める「コミュニケーション事業」で、顧客満足度調査事業とニュース配信・PV事業から構成されています。その他「データサービス事業」や、「モバイル事業」にも展開しています。

顧客満足度調査事業では、保険、金融、塾、スクール他、実に幅広い分野のランキングを提供しています。「データサービス事業」では、全国の調査協力店から音楽・映像ソフトの実売データを収集し、マーケティングデータやランキング情報を配信しています。

8/5(金)に発表された2023/3期第1四半期決算では、売上高が11.75億円(前年同期比6.6%増)、営業利益4.1億円(同14.9%増)と増収・増益を確保しました。
主力の「コミュニケーション事業」では顧客満足度調査が、ブランド価値と認知度の向上に伴って、商標利用を中心に収益が拡大しました。

通期では売上高48.5億円(前期比7.7%増)、営業利益16.5億円(同8.5%増)が会社予想です。本年度の第1四半期は順調なスタートを切ったといえそうです。会社予想EPS(1株当たりの純利益)78.83円に対し、8/9(火)終値826円ではPER10.5倍と、割安感が強くなっています。

■生産性の向上が株価に織り込まれていない?

予想PERの低さは、市場がその会社の成長性をあまり評価していないことの裏返しである場合もあります。当社の場合も、左図にあるように、売上高減少が続いた局面もありました。ただ、それに対して営業利益は著しく回復しています。

当社の売上高営業利益率は2016/3期9.0%から、今期は34.0%まで拡大する見込みです。生産性の回復は顕著と言えそうです。

特質すべきは財務体質の改善と収益力の向上が同時進行で実現していることです。

2014/3期・・・ROE9.9% 自己資本比率49.8%
2022/3期・・・ROE26.1% 自己資本比率82.2%

こうした生産性の向上は経営努力の一環とみられますが、PERは低く、評価不足であるように思われます。

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