政策&株価も急動意!?~「旅行」「インバウンド」関連銘柄をご紹介

政策&株価も急動意!?~「旅行」「インバウンド」関連銘柄をご紹介

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/09/14

信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

主力銘柄が物色され、上昇基調が続く

9/6(火)~9/13(火)の東証マザーズ指数は3.0%上昇しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは+3.6%、およびTOPIXのパフォーマンスは+3.1%であり、株式市場全般に好調に推移しました。

米10年国債利回りは、8/30(火)3.10%から9/6(火)3.34%まで上昇した後、9/8(木)~9/12(月)は3営業日連続で3.3%台での推移になりました。インフレ・金利上昇に対する懸念は続いたものの、動きが落ち着いたことで、日米の株式には広範囲に見直し買いが入る展開となりました。

ちなみに、東証マザーズ指数は8/17(水)に一時765ポイントまで上昇して短期的高値を付けた後、9/5(月)に一時710ポイントまで下落。その後戻す展開となり、9/13(火)には一時760ポイントまで上昇しました。8月の高値水準まで戻したことで戻り売りも増え、売り買いが交錯する中、売買代金は4/7(木)以来の高水準となりました。

物色的には、東証グロース市場の時価総額上位10社のうち、半数の5社が10%以上の値上がり率(9/6~9/13)となっており、主力銘柄が素直に買われました。時価総額トップのビジョナル(4194)は、8/16(火)の短期的な高値(終値ベース)を上回ってきています。ティーケーピー(3479)に至っては9/6(火)~9/13(火)に6営業日連続高となり年初来高値を更新しています。9/1(木)に「アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張」のブライダル施設や宴会場の運営を受託したと発表しており、事業拡大への期待が高まった形です。

個別には、建設図面・現場管理アプリを開発・販売するスパイダープラス(4192)の上昇が目立ちました。9/7(水)に建設現場での情報共有に関する基本特許を取得したと発表し、それが好感される形で9/8(木)にストップ高。それ以降、4営業日続伸となりました。

なお、9/14(水)の東京株式市場では、消費者物価の上振れを嫌気した米株価急落のあおりを受け、日経平均株価は大きく売りが先行する展開となりました。ただ、東証マザーズ指数は相対的に底堅い動きになっているように思われます。情報通信およびサービスのウェイトが高いグロース市場は、グローバル景気の悪化に対し、ディフェンシブな側面が指摘されます。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証グロース指数構成銘柄の値動き

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証グロース指数構成銘柄の時価総額上位10銘柄について、9/13時点での各種騰落率を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証グロース指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/9/6~2022/9/13の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と9/13時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※ANYCOLORおよびM&A総合研究所は、2022年の新規上場銘柄であるため、年初来の騰落率が計算できず「-」で表示されています。

図表3 9/6(火)~9/13(火)で株価上昇が大きかった東証グロース指数構成銘柄

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証グロース指数構成銘柄(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証グロース指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/9/6~2022/9/13の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と9/13時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

政策&株価も急動意!?~「旅行」「インバウンド」関連銘柄をご紹介

米国のインフレ・金利動向を中心に、目が向かい勝ちですが、国内市場では前向きな動きが強まっています。新型コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍り始める一方、政府による経済再開への取り組みも本格化してきました。

中でも、外国人観光客の受け入れに関する動きは加速する方向にあります。政府は観光を除く1日当たりの入国者数上限を3/1の5,000人から段階的に引き上げ、6/1には2万人に拡大。6/10からは、添乗員付きのツアー客に限定し、およそ2年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開しました。1日当たりの入国者数については9/7から5万人に拡大されました。

こうした中、政府は10月をメドに、(1)1日当たり入国者数の制限撤廃、(2)個人観光客の受け入れ解禁、(3)短期旅行のビザ取得免除等を核とする大幅な規制緩和を検討する方向であると伝えられています。国内旅行についても、政府は月内にも「全国旅行支援」なる旅行促進策を検討する方向と報道されています。

海外から日本に入国しやすくなることは、海外旅行しやすくなることも意味しています。今後はインバウンドを含め、旅行需要が一気に回復する可能性が出てきました。東証プライム市場ではすでに、百貨店株や空運株、陸運株が年初来高値を更新する等、「インバウンド」や「旅行」に関連した銘柄が急動意をみせています。そこで「新興株ウィークリー」でも以下のようなスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場、または同スタンダード市場に上場。
(2)SBI証券WEBサイトの銘柄検索ウィンドウに「インバウンド」または「旅行」と入力し、出力される銘柄。
(3)直近四半期が営業黒字、かつ最終黒字。
(4)9/12(月)まで直近20営業日の1日当たり平均出来高が2万株超。
(5)事業のすべて、または一部が、インバウンド需要または旅行需要が増加した際、恩恵を受けるとみられる銘柄。
(6)「継続企業の前提」に関する重要な不確実性が存在していないこと。
(7)9月中に、本決算または四半期決算の発表を予定していないこと。
(8)信用規制の行われている銘柄でないこと。

図表4の銘柄は、上記のすべてを満たしており、コード番号順に並べたものとなっています。

図表4 政策&株価も急動意!?~「旅行」「インバウンド」関連銘柄をご紹介

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(9/13) 事業の概要(旅行との関連性)
2780 2780 2780 2780 コメ兵ホールディングス 3,135 ブランド品他の中古販売でインバウンドに期待
3815 3815 3815 3815 メディア工房 375 中国消費者に医療インバウンドと越境ECを提供
4691 4691 4691 4691 ワシントンホテル 866 ビジネス・観光客向けにホテルを運営
6030 6030 6030 6030 アドベンチャー 12,080 オンライン旅行代理店
6176 6176 6176 6176 ブランジスタ 432 「旅色」を中心とした電子雑誌を発行
6182 6182 6182 6182 メタリアル 1,173 訪日客増加ならば翻訳ビジネスに追い風も
6565 6565 6565 6565 ABホテル 1,845 東海地区を中心にビジネスホテル展開
8225 8225 8225 8225 タカチホ 1,732 観光土産品などの卸・小売事業を展開
9696 9696 9696 9696 ウィザス 949 外国人への日本語教育
9726 9726 9726 9726 KNT-CTホールディングス 1,765 近鉄系旅行代理店大手
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※コメントはSBI証券が作成。

以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

コメ兵ホールディングス(2780)~「リユース」を「思想」から「文化」に

★週足チャート(3年)

  • ※データは2022/9/14(週足) 13:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■インフレに強い事業内容

当社は、「リユース」を「思想」から「文化」にすることをVISION(目指す姿)としている企業グループです。売上構成比(2022/3期・調整前)の93.4%が「ブランド・ファッション事業」で、他は「タイヤ・ホイール事業」(同6.1%)、「不動産賃貸事業」(同0.5%)となっています。

主力である「ブランド・ファッション事業」の国内事業では、中古品をメインとした宝石、貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器等を買い取り、あるいは仕入し、販売(店舗・EC)したり、仲介やオークション等を通じて顧客に提供したりしています。また海外事業では、香港・台湾において宝石、貴金属、時計等の販売を行っています。

「タイヤ・ホイール事業」では、グループ企業を通じ、乗用車用タイヤ、アルミホイール、自動車用品・部品の企画、研究開発、製造、販売等を行っています。

訪日外国人の増加が業績に寄与してきた経緯もあり、政府による水際対策の抜本的な緩和でインバウンド需要が回復すれば、強い追い風になると期待されます。円安は海外からの輸入ブランド品が割高になる反面、中古品の買い取りが上昇することで、商品を持ち込んだ人が別の商品を買って帰る好循環にもつながるようです。

インフレ懸念が強まり、貴金属価格が上昇基調になった場合、当社の販売価格も上昇する傾向にあるようです。そもそも、インフレの傾向が強まると、消費者はリサイクルやリユースを、より重視するようになると考えられ、当社はインフレに強い面が多い企業と言えそうです。

■株価は「インバウンド」需要に期待して堅調

当社は8/12(金)に2023/3期・第1四半期決算を発表。売上高は187.5億円(前年同期比32.4%増)、営業利益7.39億円(同45.3%増)と大幅な増収・増益決算となりました。

当社は、中古品の仕入れについて、イベント買取や新規出店を中心に個人客からの買取を強化する一方、AI(人工知能)による真贋(しんがん)・型番判定を全買取店に導入し、顧客とのコミュニケーションを重視した安心できる買取サービスの促進に努めたようです。こうした施策の効果もあり、個人買取が好調に推移し、法人販売が増えたことで大幅営業増益になりました。

2023/3期は、中間期末段階で売上高385億円(前期比25.7%増)、営業利益15.5億円(同39.5%増)が会社計画です。さらに通期計画では売上高825億円(前期比16.0%増)、営業利益43.5億円(同17.1%増)を目指しています。

株価は6/30=2,965円、7/20=3,045円、8/31=2,934円等を短期的な高値とするボックス相場を推移してきましたが、政府による水際対策緩和の方向性が伝わる中、それらを上回り年初来高値更新の動きとなっています。

会社計画の今期予想1株利益258円30銭に対し、9/13(火)終値3,135円で計算される予想PERは12.1倍であり、特に割高感もなく、上値余地は十分ありそうです。

アドベンチャー(6030)~「skyticket」を運営。インターネット旅行会社

★週足チャート(3年)

  • ※データは2022/9/14(週足) 13:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「skyticket」を運営。インターネット旅行会社

OTA(Online Travel Agent)=インターネット上のみでサービスを展開する旅行会社です。「skyticket」という格安航空券予約サイトの運営で有名です。

現在の主な収益源は航空券予約ですが、ツアーやレンタカー、ホテル等に成長余地を見込みながらサービス範囲の拡大をしており、最終的には総合予約プラットフォームを目指しています。

収益構造は主に成果報酬型で、予約成約に対して航空会社やレンタカー会社等のクライアントから手数料を受け取る仕組みです。

日本含む東南アジア市場を中心としたグローバルマーケットをターゲット市場としており、国内OTAで最多の言語対応をしています。なお、東南アジアには市場を寡占している同業他社が存在せず、旅行事業が大きく成長中の米国と比較するとオンライン比率が依然として低水準があることから事業成長ポテンシャルは十分にあるとしています。

新型コロナ拡大以降、業績は悪化しましたがOTA業界にとっては旅行人数の少人数化や対面型店舗の閉鎖が追い風となった側面もあります。「skyticket」のアプリは本年7/29(金)に累計1,800万ダウンロードを達成しています。

■コロナ前を上回る大幅増益が続く

同社の業績で着目したい点は、2021/6期にはコロナ前である2019/6期比で大幅増益となり、前期(2022/6期)は前々期からさらに弾みをつけての増益を達成していることです。経済再開銘柄として注目される企業ではコロナ前と比べ“どこまで回復したか”に注目が集まることが多いですが、当社の場合は“さらにどれだけ成長性を示せるのか”が注目点となっています。

2022/8/12(金)に発表された前期決算(2022/6期)は、営業利益が前期比2.37倍にあたる20.2億円となりました。売却子会社の収益が「非継続事業」となり、その分営業利益が0.5億円減りましたが、旅行関連事業の好調がそれを上回りました。この数字は新型コロナ織り込み前の2019/6期の営業利益である5.4億円と比較すると3.7倍にあたります。

また、今期(2023/6期)の業績見通しに関しても、会社側は営業利益を前期比1.37倍にあたる28億円と大幅増益を計画し、その後の8/23(火)には日本の出入国時規制緩和の検討入りが報じられ株価は大幅高しました。

9/13(火)には株価が一時12,880円まで上昇し、2018/9につけた上場来高値11,790円、および2021/11につけた直近高値11,420円を更新してきました。重要な節目を抜け、株価上昇に弾みが付きやすくなる一方、過熱感の台頭には注意したいところです。

ABホテル(6565)~事業環境は回復途上でも、一足早く「最高益(第1四半期)」更新

★週足チャート(3年)

  • ※データは2022/9/14(週足) 13:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■愛知県を中心にホテル事業。東祥(8920)の子会社

愛知県を中心に、各地でホテル事業を展開しています。1979年に東和建設として創設され、99年に東祥に商号を変更。当社はその後の2014年に、新設会社分割により設立されました。現在も東祥は52.77%を保有する親会社です。

駅前などビジネスで利用ができる場所を中心に、多店舗展開を行っています。原則、支配人や副支配人を直接雇用するのではなく、業務委託契約の形とし、コスト管理を行っています。

左図にもある通り、当社は2020/3期まで順調に売上高を拡大させてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2021/3期には売上高が急減、営業利益も0.4億円まで縮小してしまいました。
株価は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が懸念される中、2020/3/23に753円の安値を付けています。

■第1四半期の営業利益は、すでに中間期会社計画を超過

2023/3期の会社予想業績は売上高70億円(前期比10.3%増)、営業利益12億円(同25.1%増)と増収・増益を見込んでいます。そうした中、7/29(金)に発表された第1四半期決算では、売上高が18.8億円(前年同期比35.2%)、営業利益4.92億円(単純計算で同13.6倍)となりました。

第1四半期の営業利益進捗率は、中間期の会社予想に対し104%、同通期に対して41%に達しており、至極順調なスタートになったといえそうです。第1四半期としては、営業利益、経常利益、純利益が過去最高益更新となりました。

訪日外国人の回復は遅れているものの、宿泊事業の延べ宿泊数は回復傾向にあるようです。そうした中、感染症拡大防止対策の強化、インターネット広告の強化、長期宿泊者用プランの販売等の営業努力により、既存店の宿泊稼働率の低下を抑えることができたことが業績改善に寄与した形です。

事業環境は回復途上でも、一足早く「最高益(第1四半期)」を更新できたことは高く評価できそうです。政府は、水際対策を抜本的に緩和する方向である上、国内旅行についても支援策の発動が期待されます。事業環境のさらなる改善(経済再開の本格化)、および高い進捗率から業績予想の上方修正に期待もできそうです。

チャートにもあるように、株価は長いボックス圏から上振れるなど、強い展開になっていると見受けられます。

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