目指せ「テンバガー」~収益力・成長力ともに高いグロース株は?

目指せ「テンバガー」~収益力・成長力ともに高いグロース株は?

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/09/21

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時価総額トップ銘柄がマザーズ指数を下支え

9/13(火)~9/20(火)の東証マザーズ指数は3.4%下落しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは-3.2%、およびTOPIXのパフォーマンスは-2.0%であり、株式市場全般が軟調に推移しました。

米10年国債利回りは、9/12(月)に3.35%でしたが、9/13(火)に発表された8月米CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回り、インフレ・金利上昇懸念が強まったことから、金利上昇が加速。9/20(火)には米10年国債利回りは3.56%まで上昇しています。これにより同国債利回りは6月の本年最高を上抜けており、金利上昇の加速が懸念される局面となりました。

こうなると、グロース銘柄、その構成比率の高い東証マザーズ指数は下落しやすくなります。政府による水際対策の緩和方針等があり、東証プライム市場では、陸運や空運、百貨店等のインバウンド銘柄が買われましたが、そうした業種の銘柄がないに等しい東証グロース市場は相対的にも下げが目立つ展開となりました。

ただ、東証マザーズ指数を構成し、その時価総額上位第1位のビジョナル(4194)、および第2位のANYCOLOR(5032)がともに大幅高したこともあり、その分、東証マザーズ指数は下支えされる形になりました。

このうち、ビジョナルは9/14(水)の取引終了後に2022/7期の決算発表を実施。前期実績について売上高前期比53.2%増、営業利益同251.3%増と発表しました。2022/7期第3四半期の決算発表日であった6/13(月)に上方修正した数字をも上回ったのに加え、今期についても営業利益は50.2%増との強気な会社見通しを公表し、株式市場はこれを素直に好感しました。

ANYCOLORも好決算でした。9/14(水)に2023/4期第1四半期の営業利益が21.2億円になったと発表しました。前年同期の数字がないため、増減を比較することはできませんが、年間の4分の1(25%)を過ぎたにとどまる同四半期に、営業利益の通期計画に対する進捗率が38.5%にも達し、業績予想上方修正の可能性が膨らみました。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証グロース指数構成銘柄の値動き

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証グロース指数構成銘柄の時価総額上位10銘柄について、9/20時点での各種騰落率を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証グロース指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/9/13~2022/9/20の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と9/20時点の株価比較。
  • ※指数の「年初来」は株価による単純計算。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※ANYCOLORおよびM&A総合研究所は、2022年の新規上場銘柄であるため、年初来の騰落率が計算できず「-」で表示されています。

図表3 9/13(火)~9/20(火)で株価上昇が大きかった東証グロース指数構成銘柄

  • ※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
  • ※銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
  • ※東証グロース指数構成銘柄(前月末時価総額100億円以上)において、週間の株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
  • ※新規上場銘柄は東証グロース指数への組み入れ後に掲載開始となります。
  • ※「週間」は2022/9/13~2022/9/20の騰落率。
  • ※個別銘柄の「年初来」は昨年末株価と9/20時点の株価比較。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
  • ※ANYCOLORおよびINTLOOPは、2022年の新規上場銘柄であるため、年初来の騰落率が計算できず「-」で表示されています。

目指せ「テンバガー」~収益力・成長力ともに高いグロース株は?

前項でご説明したように、足元の株式市場はやや不安定な動きとなっています。ただ、年度ベースで見た場合、間もなく前半が終わることもあり、年度下期の相場の方向感が気になり始めるタイミングでもあります。

年度後半は、どのような銘柄が物色の中心になるでしょうか。東証グロース市場を対象に考えた場合はやはり、企業として、高い利益成長が期待でき、その結果として「テンバガー」やそれに迫るような大幅上昇を遂げる銘柄を発掘するというのが醍醐味のように思われます。そこで、以下のようなスクリーニングをおこなってみました。

(1)東証グロース市場に上場
(2)2017/9/1以降に新規上場した若い企業である
(3)売上高が以下の条件をすべて満たしていること
 ・過去3期の増加率が平均で10%超
 ・前期の増加率が20%超
 ・今期の会社予想増加率が10%超
(4)経常利益が以下の条件を満たしていること
 ・過去3期連続10%超の増益
 ・前期の増加率が20%超
 ・今期の会社予想増加率が10%超
(5)前期・今期会社予想ともに売上高経常利益率が10%超
(6)9/16(金)まで直近20営業日の1日当たり平均出来高が3万株超
(7)信用規制の行われている銘柄ではないこと

図表4の銘柄は、上記のすべてを満たしており、予想経常増益率順に並べたものとなっています。これらの銘柄は、高い成長を続けてきた実績を有するのみならず、今期もその持続が期待できるため、「テンバガー」を目指す時の条件の多くを備えていると、筆者は考えています。

図表4 目指せ「テンバガー」~収益力・成長力ともに高い中小型銘柄は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(9/20) 過去3期平均増収率 前期経常増益率 今期予想経常増益率
7373 7373 7373 7373 アイドマ・ホールディングス 3,860 57.5% 278.5% 93.4%
7794 7794 7794 7794 イーディーピー 13,050 51.9% 95.0% 83.1%
4417 4417 4417 4417 グローバルセキュリティエキスパート 6,710 51.8% 73.2% 69.1%
7792 7792 7792 7792 コラントッテ 915 16.9% 28.3% 44.7%
2987 2987 2987 2987 タスキ 1,048 44.1% 113.0% 39.4%
7082 7082 7082 7082 ジモティー 2,042 20.6% 21.5% 21.7%
7370 7370 7370 7370 Enjin 2,638 35.1% 104.7% 21.2%
6521 6521 6521 6521 オキサイド 6,180 22.4% 85.5% 16.2%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※アイドマ・ホールディングスは2019/8期以降が連結決算で、2018/8以前は単独決算となっています。売上高および経常利益の前期比増減数値は、2021/8期と2020/8期が連結ベース、2019/8期は単独ベースの前期比増減率を使っています。


以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

イーディーピー(7794)~人工ダイヤモンドの原材料を製造。成長拡大のグローバル企業

★日足チャート(3ヶ月)

  • ※データは2022/9/21(日足) 10:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■人工ダイヤモンドの大元(種結晶)を製造。産総研発ベンチャー

宝飾用人工ダイヤモンドを合成する際に不可欠な原材料が、売上高の9割超を占める会社です。同様の原材料を半導体基板材料等、工業用素材としての製造も行っており、宝石分野以外への将来的な事業拡大意向も示しています。

当社が製造する人工ダイヤモンドの原材料である種結晶(たねけっしょう)は、天然ダイヤモンドに勝る高純度な人工ダイヤモンドの製造を可能とします。また、当社に匹敵する「低コスト且つ大量」に種結晶の製造が可能な他企業は日本におらず、世界的にも非常に数が少ないとされています。技術力と革新性の高さは産総研発ベンチャーであることから折り紙つきです。加えて、当社代表は28年間、民間企業で製造から販売まで携わった経験があることも経営者として心強い材料と捉えることができます。

世界各国に種結晶の販売を行っており、前期時点は売上高の94%超が海外というグローバル企業です。基本的にドル建て収益を得ているゆえ、グロース市場ではかなり珍しい円安の恩恵が大きく期待できる一面を有しています。


■増収増益で業績見通しを上方修正。生産能力の拡大に注力

過去5年間での売上高成長率は年平均で50%以上、新規上場後に初の決算となった本年度第1四半期の売上高経常利益率は47%と、製造業の中では驚異の高水準を示しました。この8/12(金)に行われた第1四半期決算の発表と同時に会社側は、人工ダイヤモンド市場の拡大や受注増を理由に今期業績見通しの大幅な上方修正を示し、株価は窓を空けての大幅高となりました。

また、当社は通期ベースでも4期連続の経常増益を達成しているのみならず、前期は年間ベースでも経常利益率は33%に達しています。製造業は人件費や生産場所を要すること等から高コストとなる傾向が強く、経産省の企業活動基本調査によると業界平均での経常利益率は7%にも満たない水準です。前述した当社の経常利益率33%という数値は、当社技術の優位性並びに市場からの高い需要があるという証左になると考えられます。

新規上場で得た資金は、当社の生産能力以上に高まっている市場需要に対応するため、工場や設備の新設に充当されています。計画通り本年10月より新工場の稼働が開始されれば、1ヵ月当たりの売上高は39%増(2022/3時点の月生産能力比)となる見込みです。また、来年度も同新工場に本年より大規模な設備投資がなされる予定で、1ヵ月当たりの売上高もこれまた44%増の見込みとしています。

同じ宝飾品の代表格である真珠は、1世紀以上前に宝飾用の養殖技術が開発されてから、現在流通するそのほとんどが養殖物です。ダイヤモンドもいずれ同じ状況となるだろうと当社代表が新規上場時のインタビューで回答していました。

上述より、当社は製品に対しての市場需要の強さ、当社固有の技術力の高さ等から成長ストーリーを描きやすい企業の一つであると考えられます。今後の決算では、生産能力拡大によりどれだけ売上・利益が変化したのかに着目したいところです。

コラントッテ(7792)~特許を有する医療機器メーカー。今期は、5期連続増益かつ過去最高益を見込む

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/9/21(週足) 10:00 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■“特許”と“医療機器認証”を有する医療機器メーカー
  ~ネックレスタイプの磁気式製品が有名~

独自製法の磁気配列技術を有する医療機器メーカーです。

ネックレスタイプの製品が有名で、今年の北京五輪でも活躍したフィギュアケートの宇野昌磨選手や鍵山優真選手、卓球の伊藤美誠選手等、著名アスリート達が契約選手として同社製品を愛用しています。

会社名である『コラントッテ』は、大阪弁の「肩、こらんとって(=こらないで)」が由来です。元々、代表者が病身で寝たきりの父親のためにサポーターを開発したことが創業のきっかけであり、今では日本のみならず、EUや韓国等の世界各地で同社の製法は医療機器認証や特許を取得するに至ります。

販売チャネルは主に3つあり、国内外の代理店や小売店への卸売販売をメインとするホールセール部門が売上高構成比の71%(2022/9期第3四半期累計時点)を占め、直営店舗での直接販売であるリテール部門が8%(同)です。

そして、残りの21%(同)が、目下成長中であるイーコマース部門になります。イーコマース部門はテレビCMや契約選手の北京オリンピックでの活躍による認知度向上、新たな中国の越境ECサイトへの進出を理由に拡大し、前年同期比で売上高は94%増となっています。

■全利益項目で前年比40%超の増益予想

同社は9月決算企業のため、次の決算発表は本決算の発表にあたります。(同社HPによると11月予定)

8/10(水)に発表された今期第3四半期決算の内容は、通期予想に対しての売上高の進捗率は79%超、利益に関しては87%超と非常に好調なものでした。また、全利益項目においては前年同期比で40%超の増益となりました。加えて、通期見通しに関しても全利益項目で前年比で40%以上とこれまた高い成長率を示しており、5期連続での経常増益達成に向けて弾みをつけた形です。

同社は昨年2021/6に新規上場をした直後に上場来高値2,005円をつけた後はグロース市場全体の地合いが悪かったこともあり、本年2022/1の上場来安値521円まで下落の一途をたどっていました。

一方で上場来安値521円をつけてからは、今期中間決算での通期見通しの上方修正や、それに伴った予想配当金の上乗せ等があったことで、見直し買いが徐々進んでいるような状態です。ただ、現時点(2022/9/20終値)での株価は915円と依然として上場来高値の半値以下の水準です。また、予想PERも13.4倍と、グロース市場全体の予想PER97.4倍と相対してかなり低く、割安感が強いといえそうです。

Enjin(7370)~企業や医療機関向けPR支援事業が中核

★週足チャート(1年)

  • ※データは2022/9/21(週足) 13:30 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■企業や医療機関向けPR支援事業が中核

当社は法人・経営者、および医療機関・医師を対象にPR支援サービスを行っています。前者向けが売上高(2022/5期)の75.0%を、後者向けが同16.4%を占めています。

PR支援サービスでは、当社プランナーが複数メディア(Web、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、オウンドメディア=自社保有メディア)の中から、顧客ニーズに合わせて露出することをサポートしています。法人/経営者向けは、サービス、建設・建築・土木、製造他、医療機関・医師は、一般診療、配車、福祉・介護他、多種多様な分野を網羅し、経営情勢に左右されにくい構成になっています。

その他、メディアマッチングサービス「メディチョク」が売上高(同)の6.9%、決裁者アポイントマッチングサービス「アポチョク」が1.8%を占めています。このうち、前者は、取材したいネタを募集しているメディアによる投稿と、情報発信や宣伝を希望する法人/経営者、医療機関/医師による投稿を、マッチングさせてメディア掲載につながるようサポートするプラットフォームになっています。

■高い利益率、高い成長率、大きな潜在市場

2019/5期以来2022/5期まで、顧客ごとの平均契約単価は94.9万円~101.4万円のレンジで安定的に推移し、顧客当たりの平均契約数は2019/5期1.52件→2022/5期1.69件と漸増傾向になっています。そうした中、顧客数は2019/5期937社から年平均28%のペースで伸び、2022/5期には1,985社と累計で2.1倍に増えています。

これを反映し、当社の売上高は過去3期、年平均35%のペースで拡大しています。2022/5期の売上高は30.6億円となり前期比41.7%増と伸長。若手社員の想定以上の退職があり、事前の業績予想に対しては若干下振れたものの、高い成長率をキープしました。高い利益率を有するプラットフォームビジネス(メディチョク・アポチョク)の売上構成比(合計)が2021/5期の3.7%から2022/5期は8.7%に拡大し、売上総利益が78.4%から82.1%に拡大、売上高経常利益率も27.9%から40.3%に急拡大したことで、経常利益は前期比98.1%増の12.0億円に急増しています。

会社側は、2023/5期も売上高40.5億円(前期比32.3%増)、経常利益14.9億円(同21.2%増)と高い成長を計画しています。顧客数は29.9%増の2,580社を計画。平均契約単価や平均契約数も一定水準を維持することで、安定した収益の確保を目指します。成長の源泉となる社員についても、2022/5期の179人から2023/5期は240人を目指すとしています。

当社が展開する「PR事業」の市場規模は1,111億円(2021/5期)あるとみられます。その中で当社がターゲットとする中小・中堅企業及び医療機関は47万社超あるとみられ、まだまだ潜在市場は大きいと考えられ、当社にとり開拓余地は大きいとみられます。そのためにも、社員育成の充実が今後も重要な経営課題になりそうです。

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※信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

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