好業績が見込まれ、割安感の強い銘柄を探る

好業績が見込まれ、割安感の強い銘柄を探る

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2022/10/12

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全般低調も、東証マザーズ指数の相対的堅調さは継続

10/4(火)~10/11(火)の東証マザーズ指数は1.0%下落しました。同期間における日経平均株価のパフォーマンスは-2.2%およびTOPIXのパフォーマンスは-1.9%でした。株式市場全般が反落に転じる中、引き続き、東証マザーズ指数のパフォーマンスが優位となりました。

ちなみに、NYダウは短期的な高値を付けた9/12から10/10まで9.8%も下落しました。それを織り込むタイミングとなった9/13~10/11に、日経平均株価は7.7%下げ、東証マザーズ指数は4.9%の下落にとどまりました。この間にも米長期金利が上昇したことを考え併せると、東証マザーズ指数の相対的強さは特筆すべき現象であったかもしれません。年前半の下げが目立っていた分、反発力が大きくなったとみられることや、情報通信業やサービス業など、グローバル景気の変動の影響を受けにくい内需銘柄が多いこと等が影響している可能性もありそうです。

10/4~10/11の主力グロース銘柄については、米長期金利の上昇を背景にグロース株に逆風が強まった分、値を下げる銘柄が目立ち始めました。そうした中、7/29に業績予想を上方修正し、その直後から上昇基調が始まったM&A総研(9552)が引き続き堅調な株価推移となりました。

その他個別銘柄では、霞ヶ関キャピタル(3498)の上昇が目立ちました。10/4(火)発表の前期決算(2022/8期)では、営業利益が前期比61%増の21億円でしたが、第3四半期(累計)には営業赤字でしたので、意外感がありました。今期(2023/8期)も売上高で前期比27%増、営業利益48%増の会社予想を示しています。

図表1 日経平均株価と東証マザーズ指数の推移

図表2 主な東証グロース指数構成銘柄の値動き

図表3 10/4(火)~10/11(火)で株価上昇が大きかった東証グロース指数構成銘柄

好業績が見込まれ、割安感の強い銘柄を探る

株式市場全般に不安定な展開が続く中で10月となり、下旬からは7~9月期の決算発表が本格化してくるはこびとなっています。

世界的なサプライチェーンの混乱が続く中、インフレ高進や金利上昇が大きな影響を与え、活況を誇っていた半導体産業も曲がり角を迎えています。OECD(経済協力開発機構)やIMF(国際通貨基金)等の国際機関が相次ぎ、世界経済の成長率見通しを引き下げるなど、グローバル経済は明らかに曲がり角を迎えつつあります。決算発表は要注意のイベントとなり、株式市場ではますます、投資家のリスク許容度が縮小するかもしれません。

もっとも、もともと割安感の強かった銘柄が、市場のリスク許容度低下でさらに押し目を作るのならば、中長期的なスタンスから重要な買い場となるかもしれません。ただ、割安株というと大型株市場のバリュー銘柄の存在が一般的とみられます。逆に中小型株はグロース銘柄が多いという銘柄が多く、その中の割安株はいっそう、投資家の目に触れにくくなる可能性があります。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、分析対象を東証スタンダード市場まで広げ「好成長が期待できるにもかかわらず、現状では市場の評価が低く、割安圏にされている銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証スタンダード市場、または同グロース市場に上場
(2)時価総額100億円以上1,000億円未満(2022/10/11時点)
(3)今期・来期の市場予想純利益が10%超の増益(黒字転換含む)予想
(4)10/7(金)まで過去20営業日の平均出来高が2万株超
(5)今期市場予想PERが20倍未満
(6)直近発表の決算が四半期決算の場合、累計の営業利益・純利益が前年同期比で増益または黒字転換
(7)信用取引で取引規制が実施されていない
 
図表4の銘柄は、上記のすべてを満たしており、(5)の予想PERが低い順に並べています。

図表4 好業績が見込まれ、割安感の強い銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価(10/11) 今期市場予想PER 今期予想最終増益率 来期予想最終増益率
6668 6668 6668 6668 アドテック プラズマ テクノロジー 1,461 6.2 130.3% 11.9%
9726 9726 9726 9726 KNT-CTホールディングス 1,832 12.5 黒転 75.0%
2780 2780 2780 2780 コメ兵ホールディングス 3,215 13.6 17.7% 15.8%
7320 7320 7320 7320 日本リビング保証 2,038 15.2 25.4% 21.2%
6069 6069 6069 6069 トレンダーズ 1,543 18.8 56.3% 23.2%
4235 4235 4235 4235 ウルトラファブリックス・ホールディングス 4,615 19.0 92.7% 28.9%
  • ※当社Webサイト、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
  • ※市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。


以下、一部の銘柄について、ポイントをご紹介します。

KNT-CTホールディングス(9726)~近畿日本鉄道傘下の旅行大手で、旅行需要回復が追い風に

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/10/12(週足)10:10 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■業績は底打ちから改善傾向

「近畿日本ツーリスト」と「クラブツーリズム」を主要子会社とする持株会社です。前者では個人、団体、法人向け旅行商品を、後者では会員向け旅行商品を主力としています。近鉄グループホールディングス(9041)が同社株の53.56%を保有する親会社となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、同社の営業損益は2019/3期の25億円黒字から、20/3期16億円赤字、21/3期270億円赤字と急速に悪化しました。22/3期は、第3四半期以降、四半期(3ヵ月)ベースで営業黒字に転じたものの、通期では76億円の赤字が残り、厳しい状態でありました。

そうした中、当社は21/3期に96億円の債務超過となり、「継続企業の疑義」が生じる状態になりました。しかし、22/3期に資本増強を実施し、流動資産は21/3期の511億円から22/3期は919億円に増え、流動比率は同じ時期、74.8%から122.6%に改善し、純資産も243億円を確保して債務超過を解消しました。

さらに、2023/3期第1四半期、売上高521億円(前年同期比3.2倍)、営業利益7.35億円(前年同期74.3億円の赤字から黒字転換)と業績は回復傾向です。通期では売上高2,590億円(前期比85.1%増)、営業利益40億円(76億円の営業赤字から黒字転換)の予想です。会社側では、「継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められない」(第1四半期決算短信)としています。

■旅行需要の回復はここからが本番か

外国人観光客の受け入れに関する動きは加速する方向にあります。政府は観光を除く1日当たりの入国者数上限を3/1の5,000人から段階的に引き上げてきましたが、10/11(火)からは1日当たり入国者数の制限は撤廃され、個人観光客の受け入れが解禁されます。制限はほぼ「コロナ禍発生以前」に戻ることになります。水際対策の緩和は同時に、海外渡航の回復を促すことになりそうです。

国内旅行についても「全国旅行支援」が実施され、早くも予算終了のサイトが出てくるなど、旅行需要は急拡大が見込めそうです。

2023/3期、当社の旅行取扱額(4~8月)は前年同期比比3倍に回復していましが、20/3期からは61%減の水準にとどまっています。逆に言えば、まだ回復の余地は大きいといえそうです。

コメ兵ホールディングス(2780)~「リユース」を「思想」から「文化」に

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/10/12(週足)09:10時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■インフレに強い事業内容

当社は、「リユース」を「思想」から「文化」にすることをVISION(目指す姿)としている企業グループです。売上構成比(2022/3期・調整前)の93.4%が「ブランド・ファッション事業」で、他は「タイヤ・ホイール事業」(同6.1%)、「不動産賃貸事業」(同0.5%)となっています。

主力である「ブランド・ファッション事業」の国内事業では、中古品をメインとした宝石、貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器等を買い取り、あるいは仕入し、販売(店舗・EC)したり、仲介やオークション等を通じて顧客に提供したりしています。また海外事業では、香港・台湾において宝石、貴金属、時計等の販売を行っています。
「タイヤ・ホイール事業」では、グループ企業を通じ、乗用車用タイヤ、アルミホイール、自動車用品・部品の企画、研究開発、製造、販売等を行っています。

訪日外国人の増加が業績に寄与してきた経緯もあり、政府による水際対策の抜本的な緩和でインバウンド需要が回復すれば、同社業績にとって強い追い風になると期待されます。円安は海外からの輸入ブランド品が割高になる反面、中古品の買い取り金額が上昇することで、商品を持ち込んだ人が別の商品を買って帰る好循環にもつながるようです。

インフレ懸念が強まり、貴金属価格が上昇基調になった場合、当社の販売価格も上昇する傾向にあるようです。そもそも、インフレの傾向が強まると、消費者はリサイクルやリユースを、より重視するようになると考えられ、当社はインフレに強い面が多い企業と言えそうです。

■株価は「インバウンド」需要に期待して堅調

当社は8/12(金)に2023/3期・第1四半期決算を発表。売上高は187.5億円(前年同期比32.4%増)、営業利益7.39億円(同45.3%増)と大幅に増収・増益となりました。

当社は、中古品の仕入れについて、イベント買取や新規出店を中心に個人客からの買取を強化する一方、AI(人工知能)による真贋(しんがん)・型番判定を全買取店に導入し、顧客とのコミュニケーションを重視した安心できる買取サービスの促進に努めたようです。こうした施策の効果もあり、個人買取が好調に推移し、法人販売が増えたことで大幅営業増益になりました。

2023/3期は、中間期末段階で売上高385億円(前期比25.7%増)、営業利益15.5億円(同39.5%増)が会社計画です。さらに通期計画では売上高825億円(前期比16.0%増)、営業利益43.5億円(同17.1%増)を目指しています。

株価は6/30=2,965円、7/20=3,045円、8/31=2,934円(いずれも取引時間中の高値)等を短期的な高値とするボックス相場を推移してきましたが、政府による水際対策緩和の方向性が伝わる中、それらを上回り、9/20(火)には年初来高値の3,390円まで上昇しています。

今期市場予想純利益をベースとする予想PERは13.6倍(2022/10/11時点)と、割安感も強くなっています。

日本リビング保証(7320)~保証サービス事業をメインに活躍。15期連続で増収予定

★週足チャート(2年)

  • ※データは2022/10/12(週足) 11:20 時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★通期業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■保証サービス事業。
創業来の住宅・不動産領域から、現在は非住宅領域も展開

保証サービス事業をメインに活躍する会社です。

当社の事業は主に2つに分かれています。

1つ目は住宅・不動産領域に特化した「HomeworthTech(ホームワーステック)事業」で、売上高構成比は58%を占めます。同事業では、住宅分野のアフターサービスをフルラインナップかつワンストップで、顧客対象である住宅事業者や住宅オーナーに提供できることが強みです。

事業のイメージを持っていただくために、創業来展開するサービスの一つをご紹介すると、住宅設備機器の長期保証サービスがあります。住宅設備とは、具体的にはキッチン、バス、トイレ等の水回りの機器を主に指します。これらの設備に関しては、通常のメーカー保証が1~2年である場合がほとんどですが、当社は5・10年間の保証サービスとして提供しています。他にも点検やアフターサービスのコールセンター受付等、あらゆる面から住宅事業者や住宅オーナー向けの支援サービスを展開しています。

2つ目は、「ExtendTech(エクステンドテック)事業」です。売上高構成比は37.6%で、年々増加傾向です。同事業は、前述にて紹介した「HomeworthTech(ホームワーステック)事業」で培われた損害保険会社との提携関係や専門ノウハウを基に、不動産領域以外からの業者やクライアント向けに、保証サービスを提供しています。

同事業では、太陽光発電・蓄電システム等の再生可能エネルギー領域から、小中学校などの教育機関向けのタブレットやノートPCといった教育ICT領域まで、幅広く展開しています。

(売上高構成比は全て、2022/6期時点のデータ)


■15期連続の増収予想。積極的な先行投資も行う

「HomeworthTech(ホームワーステック)事業」と「ExtendTech(エクステンドテック)事業」では会計処理の方法が異なります。

「HomeworthTech(ホームワーステック)事業」では、事業で得た保証料は、保証期間を基に保証契約残高(前受収益+長期前受収益)として振り分けられます。よって、“将来的な確定利益”として売上高を下支えており、契約数が増えるごとに収益基盤がより強固になる構造です。当社の自己資本は12億円と、総資産に対する比率は7.7%程ですが、保証契約残高が約78億円と、潤沢といえるほど積みあがっています。加えて、流動比率も232.9%と健全性が確保された水準といえそうです。(データは全て、2022/6期時点)

「ExtendTech(エクステンドテック)事業」では、フロー型ビジネスで当期一括計上が中心となっています。同事業では、近年GIGAスクールや再生エネルギーが主力領域で、社内でも成長事業として位置付けられています。

当社の事業は、安定基盤となる「HomeworthTech(ホームワーステック)事業」と成長につながる「ExtendTech(エクステンドテック)事業」の両輪からなるハイブリット型経営といえそうです。

前期(2022/6期)においては、第1四半期でコロナ後に急成長したタブレット端末保証業務がピークを迎えたと捉えられたことが嫌気されたのか、同社株は下落傾向となりました。そして、直近の決算発表では、「ExtendTech(エクステンドテック)事業」において、GIGAスクール構想に伴うタブレット端末を含む家電領域の案件が好調に推移して売上増を後押し、14期連続での増収を達成しています。一方で、人件費や採用費、システム開発費等の先行投資がかさんだことを理由に、中間期の決算発表時に上方修正された営業・経常利益の会社見通しは、8/12発表の本決算では未達になりました。

今期(2023/6期)の会社見通しでは、上期は前期同様の積極的な先行投資によって前年同期では減益予想ですが、通期の予想営業利益は前期比32%増の8.6億円となっています。また、GIGAスクール構想に関しても、教育ICT機器関連は今後、3~5年ごとに端末入れ替えが予定されており、引き続き底堅い売り上げが見込める予定としています。

次回の決算は2023/6期第1四半期で、11/11(金)に発表予定です。

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