1月活躍のグロース銘柄~2月も上昇期待の銘柄は?

1月活躍のグロース銘柄~2月も上昇期待の銘柄は?

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/02/01

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上昇後の一服場面~1月・月間では上昇

1月(昨年12/30~本年1/31)の東京株式市場では、日経平均株価が4.7%、TOPIXが4.4%、東証グロース市場指数が6.0%それぞれ上昇し、総じて堅調な動きになりました。インフレや金利上昇に対する懸念が一巡し、米国ではナスダックや半導体SOX指数が堅調に推移し、東京株式市場にも追い風となりました。

そうした中、東証グロース市場指数は、1/24(火)~1/31(火)に0.5%上昇しました。同期間に、日経平均株価、TOPIXは0.1%上昇していました。パフォーマンスに大きな差はなく、各市場とも上昇後の一服場面となった印象です。主力大型株から決算発表が本格化し、自社株買いや株式分割が活発化した分、市場の関心が主力大型株に集まった形です。

東証グロース市場が上昇一服となったことで、同市場の時価総額上位銘柄(図表2)はおおむね軟調に推移しました。そうした中で、時価総額上位銘柄では、M&A仲介を手掛けるM&A総合研究所(9552)の上昇が目立ちました。同社は1/27(金)に2023/9期第1四半期決算を発表し、営業利益は14億円弱(前年度は四半期業績の開示なし)となり、通期会社予想営業利益31.5億円に対する進捗率は44%に達しました。好業績が好感され、同決算発表前から1/30(月)・1/31(火)の2営業日で、株価は40%上昇しました。

時価総額100億円超の幅広い銘柄の中では、人工知能開発のpluszero(5132)の上昇が目立ちました。特に1/25(水)から1/30(月)には4連騰し、その間には42%も上昇しました。1/24(火)の取引終了後「事業計画及び成長可能性に関する事項」を発表し、その中で中期経営目標を提示しています。営業利益については2022/10期の1.27億円から2026/10期には13.84億円に増やす計画としました。株価連騰は、この翌日からとなっています。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 1/24(火)~31(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

1月活躍のグロース銘柄~2月も上昇期待の銘柄は?

上記したように、東証グロース市場指数は1月・月間で6.0%の上昇となりました。10月7.3%、11月6.4%、12月-8.0%と推移した後の反発局面となりました。物色的には、2022年にIPO(新規上場)した銘柄の活躍が目立ちました。

2月以降はどのような銘柄が物色されるのでしょうか。1月相場のように全般的な反発相場の中、逆に下がっているようでは、当面は好パフォーマンスを期待しにくいかもしれません。また、信用取引について、注意を促されたり、売買が規制されているようでは、相場が過熱している可能性も否定できないとみられます。無論、業績拡大が見込めないようでは、株価上昇に持続力を期待しにくいとみられます。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、1月に値上がりした銘柄から、業績面での裏付けがあり、2月以降も上昇が期待できる銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場に上場

(2)時価総額100億円超~1,000億円未満(1/31時点)

(3)株価上昇率(2022/12/30~2023/1/31)が10%超。

(4)1営業日当たりの平均出来高が5万株超(1/27までの20営業日)

(5)決算発表予定日が2/3(金)以前の銘柄は除く

(6)直近四半期の営業利益(黒字)が以下の条件のいずれかを満たしていること

 ・直近四半期(累計)の営業増益率が通期会社予想営業増益率を上回っていること

 ・直近四半期(累計)の営業利益の通期会社予想営業利益に対する進捗率が「標準」(第3四半期の場合は75%)超

 ・直近四半期が第4四半期の場合、同四半期(3ヵ月)の営業利益が通期(実績)の25%超

(7)信用取引で注意を促す、または売買を規制する措置が取られていないこと

図表4は、上記の条件をすべて満たしています。また、銘柄の掲載は株価上昇率が高い順となっています。以下、掲載銘柄について投資ポイントをご紹介します。

図表4 1月活躍のグロース銘柄~2月も上昇期待の銘柄は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(1/31)
月間騰落率 投資のポイント
9558 9558 9558 9558 ジャパニアス 3,025 33.4% 上場企業等にシステム開発。1/10に好決算&今期営業利益22%増の予想を発表
9218 9218 9218 9218 メンタルヘルステクノロジーズ 1,380 29.5% 「産業医クラウド」サービス提供。Q3累計で営業利益進捗率121%
9565 9565 9565 9565 ウェルプレイド・ライゼスト 4,320 25.2% eスポーツイベントの企画・運営他。前期はQ4の営業利益が通期の63%を占める
7373 7373 7373 7373 アイドマ・ホールディングス 4,980 24.2% 中小企業向け法人営業支援。今期24%営業増益予想。Q1は同利益が前年同期比83%増
4074 4074 4074 4074 ラキール 1,463 23.6% システム開発。22/12期20%営業増益予想。Q3累計49%同増益
4055 4055 4055 4055 ティアンドエス 1,624 22.3% キオクシア、東芝、日立向け開発から展開。今期も2桁の営業増益予想
5038 5038 5038 5038 eWeLL 4,345 19.5% 訪問看護ステーション向けにSaaS。Q3累計営業益進捗率は92%
9563 9563 9563 9563 Atlas Technologies 2,100 19.0% フィンテック領域でコンサル等。Q3累計営業益進捗率は約77%
6255 6255 6255 6255 エヌ・ピー・シー 532 15.7% 米First Solar社等に太陽光パネル製造装置。通期減益予想も上半期は増益転換
6030 6030 6030 6030 アドベンチャー 10,380 11.9% オンライン旅行会社。今期営業37%増益予想。Q1は145%増益
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※「Q」は四半期を意味しています。たとえば、Q1は「第1四半期」を示します。
  • ※月間騰落率は2022/12/30~2023/1/31の株価騰落率です。
  • ※増益率は前期比、または前年同期比。「進捗率」=四半期(累計)利益/通期会社予想利益
  • ※「SaaS」は「Software as a service」の略。クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービス。

ティアンドエス(4055)~東芝、キオクシア、日立向け中心にソリューションを提供

★日足チャート(1年)

★通期業績推移(百万円)

■ソリューション、半導体、先進技術ソリューションの3本柱

当社の事業は、(1)ソリューション(2022/11期売上構成比74.6%)、(2)半導体(同18.0%)、(3)先進技術ソリューション(同7.4%)という3つのカテゴリーから形成されています。

各々のカテゴリーの内容については以下の通りです。
(1)ソリューション・・・業務アプリケーションや医療システムなど、様々な技術やプラットフォームに対応するソリューションを提供。
(2)半導体・・・半導体工場(特にNAND型フラッシュメモリ)の運用や保守を支援。
(3)先進技術ソリューション・・・AI(人工知能)テクノロジー、ソフトウェア高速化、画像認識ソフトウェア等の開発。

主要顧客先は東芝グループ(2022/11期売上構成比24.4%)、日立グループ(同21.6%)、キオクシアグループ(同29.4%)、その他(同24.6%)となっており、主要取引先と安定的に取引が続いていることが当社の強みになっています。

■全カテゴリーが成長し、今期も増収・増益へ

前期(2022/11)は、売上高32.5億円(前期比19.2%増)、営業利益6.17億円(同49.6%増)と増収・増益になりました。全カテゴリーが成長しましたが、特に先進技術ソリューションが前期比44.9%増と大きく伸びました。日本電気等の既存取引先に加え、オムロンとの取引も増えるなど、収益基盤が拡大しました。
なお、第4四半期(2022/9~11)のみの業績も、営業利益が前年同期からおよそ4割増の1.9億円と好調でした。

会社側は今期(2023/11期)も、売上高37億円(前期比13.6%増)、営業利益7億円(同13.3%増)と増収・増益を予想しています。主力顧客からのシステム開発案件が堅調に推移する見込みです。先進技術ソリューションの売上構成比拡大も続くとしています。半導体の生産調整はありますが、工場は安定して稼働している上、工場増設計画も続いており、エンジジア人材の供給も続きそうです。

株価は1/25(水)に1,756円まで上昇した後の一服場面となっています。半導体関連企業を取引先としているため、それらの株価推移の影響を受けている可能性もありそうです。ただ、前記したように、半導体生産調整の影響は今の所、少ないと見受けられます。

直近の安値1,290円(22/12/29)から同高値1,756円(23/1/25)の3分の1押し水準は1,600円で、足元はそれを下回りつつあります。ここからの株価下落場面では、押し目買いが増える可能性もありそうです。

Atlas Technologies (9563)~cintechコンサルティング会社。創業来、業績は右肩上がり

★日足チャート(3ヵ月)

★通期業績推移(百万円)

■独立系Fintechコンサルティング会社

決済(ペイメント)関連分野を中心とした独立系Fintechコンサルティング会社です。戦略立案から実行までを一気通貫で支援を行っています。Fintechとは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせることで、新しいサービスや金融商品などが生まれた革新的な動きを指します。

国内DX市場規模は2030年までに現在の4倍弱まで拡大するとの調査があり、同社は成長産業で事業を展開しています。高い専門性やノウハウを強みとして挙げており、業界平均対比で高い収益性を誇ります(会社資料より)。

本年1月以降には、アジアのFintech中心地、シンガポールでの本格的な事業活動を予定しています。今期以降の材料として注目です。

■創業来、堅調な業績推移

2018年の創業来、同社の業績は右肩上がりで成長しています。2/14(火)に発表予定の2022/12期決算は、売上高26.9億円(前期比23%増)、営業利益6.5億円(同39%増)を見込んでいます。第3四半期時点での進捗率は、売上高78%、営業利益77%と順調です。同本決算をはさみ、好業績が再認識されれば、株価も一段高となることが期待されます。

ただ、懸念点を挙げると、売上高においてNTTドコモが占める割合がかなり高い点があります(20.12期:93%、21.12期:90%、22.12期中間期:81%)。そのため、新たな大口クライアントの獲得が課題になりそうです。逆に、新たなクライアントが獲得できれば、株高材料となり得ることが想定されます。2022/10に同社が提出した事業計画及び成長可能性に関する事項によると、NTTドコモが占める売上高の割合は、2023/12期以降、だんだんと低下する見込みです。

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