目指せテンバガー!(2)~業績拡大傾向の直近IPO銘柄は?

目指せテンバガー!(2)~業績拡大傾向の直近IPO銘柄は?

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2023/03/08

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グロース市場も、保ち合い放れの日経平均にツレ高

2/28(火)~3/7(火)の東京株式市場では、日経平均株価が3.1%、TOPIXが2.6%、東証グロース市場指数が3.3%それぞれ上昇しました。前週までは米金利上昇・インフレ懸念が強く、株式市場全般に下落基調が続きました。

しかし、米10年国債利回りが4%台まで上昇したことで、金利上昇に対する過熱感が生じました。さらに、アトランタ連銀総裁が「0.25%の利上げを支持する」と発言し、3/22(水)結果発表のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅が0.5%になるとの懸念が後退したこと等が、株式の買い直しにつながりました。

日経平均株価については、2/6(月)高値27,821円を上限とする保ち合い場面となっていましたが、3/3(金)終値で上回ると、保ち合い放れとなり、本年高値を更新し、3/7(火)には昨年12/1(木)以来の高値水準を回復しました。東証グロース市場も、ツレ高となり、2/27(月)を底値とする反発局面となりました。

なお、現地時間3/7(火)の議会証言で、パウエルFRB議長が、最近発表の経済指標が強いことを受けて利上げを加速する可能性を示唆。それを嫌気して、この日のNYダウは574ドル安となりました。しかし、金利上昇に強いバリュー株が人気化している東京市場の3/8(水)は底固い展開の寄り付きとなっています。

2/28(火)~3/7(火)の東証グロース市場の時価総額上位銘柄では、BuySell Technologies(7685)の上昇が目立ちました。2/13(月)に好調な本決算と増益予想を発表し、好感された模様です。2/13(月)終値5,840円に対し、2/14(火)には高値6,840円、2/16(木)にも高値6,830円を付けました。しかしその後は反落に転じ、2/17(金)~3/1(水)には8営業日続落となり、一時5,270円の安値を付けました。ただ、好業績であったことから、アナリストの好評価が続き、その後の反発に転じたようです。

同期間、時価総額100億円超の幅広い銘柄の中では、note(5243)の上昇が目立ちました。2/8(水)にチャットGPTに搭載されているオープンAIのサービスを採用した新しい機能を追加すると発表。AI(人工知能)関連の一角として人気化するようになりました。同関連銘柄では、AI inside(4488)も物色されました。

図表1 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

図表2 主な東証グロース市場指数構成銘柄の値動き

図表3 2/28(火)~3/7(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

目指せテンバガー!②~業績拡大傾向の直近IPO銘柄は?

前項でご説明したように、日経平均株価は保ち合い放れとなり、当面強い相場展開が期待できる形状となりました。これに対し、東証グロース指数は反発に転じたものの、年初来高値は回復できていない状態です。

ただ、広く東証スタンダード市場まで目を当てると、同指数は年初からほぼ一方的に、ジリジリと上昇する展開で、年初来高値の更新を続け、年初来の上昇率(3/7時点)は7.2%に達しています。日経平均株価(年初来の上昇率は8.6%)に対する中小型株の出遅れを察知した資金が、旧ジャスダック銘柄を中心に形成されるスタンダード市場に、先行して流れ込み始めているのかもしれません。

仮に、今後東証スタンダード市場および同グロース市場の出遅れ修正が本格化するならば、上場して間もない直近IPO(新規上場)株が選好される可能性もありそうです。そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、業績拡大が続いており、テンバガーに象徴される大幅上昇期待の銘柄の条件を備えた、業績拡大傾向の直近IPO銘柄を抽出すべくスクリーニングを行ってみました。

(1)東証グロース市場、またはスタンダード市場に上場

(2)過去半年内(昨年9月以降~本年2月)に新規上場した銘柄

(3)過去2期に売上高がいずれも前期比10%超増加

   (過去データが2期のみの場合は前期売上高のみ増加でも可)

(4)過去2期の営業利益がいずれも黒字転換、営業赤字縮小、または前期比10%超の営業増益

   (過去データが2期のみの場合は前期営業利益のみ増加でも可)

(5)直近四半期(3ヵ月)の営業利益が通期会社予想営業利益に対する進捗率が25%超

   (直近四半期が第4四半期の場合は前期の通期営業利益に対する比率が25%超)

(6)信用取引に関し、各種規制(日々公表、注意喚起も含む)が実施されていない

(7)継続企業の前提に疑義が生じていない

図表4は、上記の条件をすべて満たし、銘柄の掲載は、新規上場日の新しい順となっています。次項では、掲載銘柄について、投資ポイントをご紹介いたします。

図表4 目指せテンバガー!(2)~業績拡大傾向の直近IPO銘柄は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価(3/7) 初値比騰落率
7115 7115 7115 7115 アルファパーチェス(12/26) 830 -4.5%
2937 2937 2937 2937 サンクゼール(12/21) 3,895 77.0%
5527 5527 5527 5527 property technologies(12/13) 2,438 -38.7%
9565 9565 9565 9565 ウェルプレイド・ライゼスト(11/30) 3,650 -41.1%
5136 5136 5136 5136 tripla(11/25) 3,085 90.4%
5127 5127 5127 5127 グッピーズ(10/7) 2,628 25.6%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとに、SBI証券が作成。
  • ※銘柄名右カッコ内の数字は上場月日(上場年はすべて2022年です)。
  • ※ウェルプレイド・ライゼスト(9565)の上場日は11/30(水)ですが、初値を付けたのは12/1(木)です。

■サンクゼール (2937)~ 「久世福商店」を運営。イオンモールなどの商業施設に多数出店

■「久世福商店」を運営。Eコマースや米国事業も進出

食品製造販売会社です。全国各地の優れた逸品を、多様な販売チャネルを通じて販売しています。

一般的なスーパーなどでは売っていない、差別化されたユニークな商品群が同社製品の特徴です。少々贅沢な日常使いからギフト使いまでの中高価格帯の食品ブランドという位置づけとなっています。

2013年、主力ブランドである「久世福商店」の展開を契機に、売上高が拡大しました。

主力の店舗事業は、売上高の74%を占めています(22.3期)。施設年商150-500億円規模でイオンモールなどの商業施設を中心に、全国で156店舗を運営中です。

また、他社ブランドのOEM製造*を担うホールセール事業が売上高の17%です(同)。スーパーマーケットなどを展開する小売企業が主要顧客で、22.3期は売上高が前期比1.8倍の売上増となりました。

他には重点成長事象としてギフト商品が売れ筋のEコマース事業(売上高の6%)や、米国を中心としたグローバル事業(同3%)を展開中です。

*OEM製造:委託を受けた他社のオリジナル製品を製造すること。

■初の決算発表は堅調な内容

昨年12月に新規上場して以降、保ち合いの期間が続き、2月後半からは順調に右肩上がりの株価推移です。

2/7(火)、上場後初の決算発表である今期(23.3期)3Q決算では、売上高131億円、営業利益11億円でした。通期会社予想に対する進捗率は売上高が78%、営業利益が88%と好調な内容です。公式アプリ会員のデータから顧客ニーズを把握することで、既存店客単価・収益性の向上が奏功しました。

食品を取り扱う会社ということで、次回の本決算発表(5月中旬予定)では株主優待の実施も期待されています。

■tripla(5136)~宿泊業のDXを支援。黒字転換後「コロナ禍」一巡で収益拡大本格化に期待

■公式予約サイトシステム等を提供し、宿泊業のDXを支援

同社は、次のサービスを提供し、宿泊業のDX(ITによる業務・ビジネスモデル等の改善)を支援しています。
(1)triplaBook(公式サイト予約システム:前期売上構成比54.5%)
(2)triplaBot(AIで問い合わせに対応:前期売上構成比42.8%)
(3)triplaConnect(会員やポイント等を管理)
(4)triplaPay(宿泊施設はPC、タブレットがあれば導入可能な決済システム)

このうち、(1)については、4クリック、3つの顧客情報入力で予約につなげることができ、予約成立率を引き上げられるのがメリットです。当社の収益は、顧客が他の予約サイトで獲得していた宿泊実績を参考にきめられた予約数より予約が少なければ月額固定料金のみを、それを超えた分については所定の重量課金を受け取る仕組みです。

(2)は、顧客からの問い合わせにAI(人工知能)で対応する仕組みで、自社開発のAIが自然な言語でやりとりを処理し、問い合わせの95%に対応(残りはオペレーター対応)しています。機械学習機能を備え、日・英・中簡・中繁・韓の5言語に対応しています。同社としては、基本料金と従来課金からなる収入を得ています。

顧客である宿泊業者は、公式サイトによる顧客の獲得を増やすことができます。最近ではOTA(オンライン旅行代理店)を経由した予約獲得が主流ですが、宿泊業者は旅行代金の8~25%の手数料を支払い、得られる情報も氏名と電話番号にとどまるのが現実です。顧客は同社システムを使用することで、上記以外の顧客情報も獲得し、販促情報につながるよう情報も得ることが可能になります。

同社は2015年4月の設立の若い企業です。経営陣はみな、様々なIT企業を経由して現在に至っており、従業員(22年9月末・正社員数は71名)は世界15か国から集まっている多様性高い企業文化が強みとみられます。

■業績的には黒字転換した直後で利益拡大が加速しやすい?

売上高(営業収支)は、業績数値が確認できる2017年10月期をスタートとし、次年度以降5期連続で増加し、2022年10月期まで5期の増収率は単純平均で46%弱となっています。利益面では、営業利益が2020年10月期3.1億円の赤字、2021年10月期1.3億円の赤字から2022年10月には0.8億円の利益へと黒字転換しました。

同社自身の成長は続いているとはいえ、これまで顧客が「コロナ2019」の影響を受けていたことは確かでしょう。今後は内外からの旅行需要の回復で、従量課金制の部分が回復し、業績は拡大しやすくなるとみられます。

会社側は2023年10月期の売上高は11.7億円(前期比43.7%増)と高い増収率の維持を見込みます。予約システムの増収がけん引しそうです。営業利益は2.55億円と前期から約3倍になりそうです。営業損益が黒字転換した直後であり、利益率も大きく拡大が予想されます。

同社は昨年11/25(金)に新規上場しました。初値は1,620円で、3/7(火)終値は3,085円と上昇基調を辿ってきました。今後も業績の拡大傾向がメインシナリオとなれば、この株価上昇基調が続く可能性もありそうです。その意味で、2023年10月期・第1四半期の決算発表(3/13の予定)は試金石になりそうです。

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