『鍵』は地政学、割安是正で10万円も!?

武者 陵司

2024/07/19

【日経平均5万円への道】日本株展望について武者氏が解説!

  • 武者 陵司
    (むしゃ りょうじ)
    ゲスト
    株式会社 武者リサーチ 代表
    1973年 横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。1988年大和総研アメリカでチーフアナリストとして米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券調査部長兼チーフストラテジスト2005年ドイツ証券副会長を経て、2009年株式会社武者リサーチを設立。
    2021年9月までドイツ証券株式会社アドバイザーを務める。
  • 大橋 ひろこ
    インタビュアー
    フリーアナウンサー/個人投資家。福島県出身。
    アナウンサーとして経済番組を担当したことをきっかけに自身も投資を始め、個人投資家目線のインタビューに定評がある。ラジオや動画でのレギュラーを多数抱える他、経済講演会ではモデレーターとしても活躍。
    出演番組
    ラジオNIKKEI「マーケット・トレンドDX」
    TBSラジオ「トレードアイランド学園」
    YouTubeチャンネル なるほど!投資ゼミナール

地政学を見落すな!? 変化の2大要因、超円安と半導体投資著増は米中対決が原因

大橋 ひろこ(以下、大橋): 皆さんこんにちは。大橋ひろこです。日経平均5万円への道。本日は武者リサーチ代表、武者陵司さんにお越しいただいております。さて5万円への道という企画なんですが、武者さん、この5月に上梓されました本の中で、もう10年で10万円へと書かれていらっしゃいますね。

武者 陵司(以下、武者氏):早ければ5年、遅くても10年ぐらいで10万円にはなるんじゃないかと見ています。

4万円とか5万円とか、レベルはともかくとして、まあ日本の株は馬鹿げているほど割安だから、必ず是正されるということを、もう10年以上前からずっと言っていたわけです。今それが起こっているんですが、不思議なことに馬鹿げているほど割安な状態がまだ全然解消されてない。だから10万円は早晩達成するだろうと思うんですよね。

大橋:この24年に入ってから2月22日に歴史的な高値を更新して、3月22日には4万円の大台でとりあえずの高値をつけているわけですが、この今年前半の勢いっていうのはどういう背景があったとご覧になりますか?

武者氏: 様々な要素があると思います。最大の理由は、やはり「地政学」だと思うんですよ。米中対立が起こってですね、アメリカが手のひら返しで日本の産業の供給力を必要とするようになった。それにより、半導体工場建設の話は日本に来る、円安は容認と大きな変化を招いたわけです。

武者氏: 今まで散々日本を叩いていたそのアメリカが全部手のひらを返したわけですよね。そういうことによって、いよいよ日本に大きな追い風が吹いてきたということが、年初の大相場の一番大きな要素だと思うんですね。

日経平均5万円。達成をけん引するであろう銘柄とセクター

大橋: 今の日本株。バリエーション的にはだいぶ上昇してきたという方々もおられるようですが、武者さんからご覧になられていかがでしょうか。

武者氏:馬鹿げてるほど割安。
今PERで大体16倍、益回りで6%ですよ。国債の金利は上がったとはいえ1%ですよね。
「6%」と「1%」って、これどちらを選びます?

大橋:株の方がいいですね。

武者氏: 証券会社だから断定的なことは言ってはならないわけですが、極端なミス・プライシングが起こっていると見ております。
おそらく業績相場と需給相場が一気にやってくるのが、今年の後半から年末、来年にかけてだと思いますね。

大橋: そうやって日本株がこれから大きく飛躍していく中で、これまでは結構半導体セクターが沸いておりました。ここからはどういったセクターが牽引役になっていくとお考えですか?

武者氏: たくさんあると思います。ただ、やはり一番大事なのは、中国に集中していたハイテク製造業を安全な日本に移すということ。ですから、この米中対立と円安の恩恵を受けて、半導体を中心としたハイテク製造業が、大きな柱になると思いますね。

大橋:製造装置とか…。

武者氏:製造装置もそうですね。材料もそうですよね。それから、EVなどの自動車関連もそうですし、機械もそうです。日本はハイテク製造業の王国ですから、これがどんどん強くなるという意味でですね、これが一つの柱になるでしょうね。それから2つ目に、馬鹿げているほど割安なのは株だけじゃなくて、不動産もそうですよね。

大橋:不動産ですね。

武者氏: そういった割安な資産がまともな水準に是正されるという意味で、アセット・プレーが起こると思います。したがって、証券、銀行、不動産、あるいはそれに関連する資産保有会社なども狙い目ですね。

大橋: 日本がデフレから、インフレの時代に入るということは資産効果が見込まれる。資産がどんどん膨らんでいくと…。

武者氏: あとは値上げ出来る企業。ホテル業界なんかは好例でしょうね。

大橋: 価格転嫁が上手にできている企業が良いと…。

武者氏: そうですね。いわゆるリフレ・プレーというのがこれから大きな主役になり得ると思います。

それからもう一つ。忘れてはならないのは、ソフトバンクを中心としたAI、あるいは新たな産業革命の担い手です。

私はソフトバンク、非常にいいと思うんですけどね。その理由は、日本で一番このAI革命の知見のある孫さんが旗頭であり、たっぷりお金を持っていると。日本は依然として資本コストは1%以下の安い国ですからね。こんな安い資本を使って、AIに投資をすると非常に大きなギアリングがかかるわけですよね。

ソフトバンクをはじめとした日本のグローバルプレーヤー、AIなどに投資するプレーヤーは魅力があると見ております。日立がアメリカの企業を買いましたけど、グローバルな有望企業を日本企業が買っていくということも可能ですよね。

個人投資家に向けたメッセージ

大橋: 新しい気づきもたくさんあると思います。最後に、日経平均5万円というのはもう年内あるいは来年ということでお話を伺ったんですが、この10万円というところの、中長期の見通しについて、どのようなストーリーがございますか。

武者氏: 過去10年間で日経平均は年率14%上がっているんです。ですがこれから10年間で10%日経平均が上がると、10年後には10万円なんですよ。

大橋: そうすると、個人投資家の皆さん、これから新NISAということで入ってきた方がいっぱいいらっしゃると思うんですけど、一番はやっぱり日本株でしょうか

武者氏: 日本株です。
世界の中で一番割安な日本株、しかも過去1年半で一番値上がりしたのは日本株。世界の主要投資家が一番アンダーウェイトにしてきたのは日本株ですから。

こういった意味で、メンタリティーに関しても、あるいは需給に関しても、バリュエーションに関しても、あらゆる点でこんな投資チャンスはそうそうあるものではない。日本株が最も有利とみています。

※本インタビューの内容は出演者個人の見解であり、将来の運用成果を保証又は示唆するものではありませんのでご留意ください。

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