「トランプ2.0」に備えよ!日本株に起こり得るシナリオは?

「トランプ2.0」に備えよ!日本株に起こり得るシナリオは?

投資情報部 鈴木英之

2024/03/01

2016年大統領選時の株式相場を振り返る

2024年は米大統領選挙の年で、11/5(火)に本選挙が予定されています。それに先立ち、3/5(火)には各州の予備選や党員集会が集中し、民主・共和両党の候補者指名の流れが決まる「スーパーチューズデー」を迎えます。今の所、民主党はバイデン大統領、共和党はトランプ前大統領優位の状況です。さらに、最新の米世論調査では、トランプ前大統領がバイデン大統領に対し優位となっています。

市場では「トランプ前大統領が再び大統領に返り咲いた時にはどうなるか」について、関心が深まりつつあります。そこで今回は、トランプ氏が民主党のクリントン氏に勝った2016年11月の大統領選挙前後に、市場で何が起きたのか振り返ってみたいと思います。

2016年の大統領選挙では、市場参加者にとって意外な出来事がいくつも重なりました。もっとも意外だったのは、トランプ氏が大統領選挙に勝利したことだと思われます。

市場では「トランプ氏が当選した場合は株価が大きく下げる」と予想されていましたが、その見方が当たったのは11/9(水)の東京市場を含むアジア市場だけで、同じ日の米国市場では逆に株価が大幅高という意外な結果になっています。その他、米10年国債利回りが急上昇したことや外為市場で円安・ドル高が進んだことも、市場にとっては予想外であったと考えられます。

米大統領選挙の開票作業時間と取引時間が重なった2016/11/9(水)の東京市場では、日経平均株価の下げが一時1千円超に達し、終値も919円安の16,251円となりました。外為市場では一時円高・ドル安が進みました。しかし、11/10(木)の東京市場では日経平均株価が1,092円高と急反発し、終値も17,344円と11/1(火)の高値水準近くまで回復しました。一方11/10(木)の外為市場では一時1ドル105円95銭まで円安・ドル高が進み、10/28(金)に付けたドル高水準を超えてきました。

さらに11/10(木)の米国市場ではNYダウが続伸し、8/15(月)の過去最高値を上回る18,807ドルで引けるとともに、外為市場では1ドル106円台後半まで円安・ドル高が進みました。これを受けて11/11(金)の東京市場では午前中に日経平均が17,500円を超え、取引時間中レベルとしては11/1(火)の高値を超える動きになっています。結局、日経平均株価は11/9(水)終値16,251円54銭から翌年1/4(水)終値19,594円16銭まで20.6%の上昇となりました。

2016年11月大統領選挙前後の日経平均株価

  • 日経平均株価データをもとにSBI証券が作成

2016年の「トランプ氏当選」で買われた銘柄は?

米大統領選挙の選挙戦が続き、トランプ氏優位が続いた場合、またはトランプ氏が当選した場合、どのような銘柄が買われるのでしょうか。それについては、今後、同氏の政策を見極める形で、さまざまご紹介していければと思います。

ただ、トランプ氏の本質的な面はあまり変わっていないように思われます。すでに、中国からの輸入について高関税を示唆している他、環境政策を重視しない面等も変わらないと思います。

ご参考までに、2016年11月11日付「日本株投資戦略」(「トランプ大統領」誕生へ!ここから「買える銘柄」と「買えない銘柄」は?)でご紹介した銘柄のパフォーマンスを調べてみました。下記のテーマのうち、選挙戦を経て、注目度があがるテーマも、そうでないテーマも出てくると思います。また、下記に取り上げていないテーマが浮上してくる可能性もあります。

今後の「2024年 米大統領選挙」の情報を追いながら、ご紹介を重ねていこうと思います。

2016年11月「トランプ氏当選」と「トランプ関連銘柄(当時)」

  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※2016年11月11日付「日本株投資戦略」(「トランプ大統領」誕生へ!ここから「買える銘柄」と「買えない銘柄」は?)でご紹介した銘柄をそのまま掲載し、その株価推移を示したものです。
  • ※株価は過去の推移を示したもので、将来の株価を示唆したものではありません。
  • ※当図表は、客観的データの提供を目的としており、銘柄の推奨を意図するものではありませんので、ご注意ください。

著者プロフィール

鈴木 英之(すずき ひでゆき)

SBI証券 投資情報部長
(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

早稲田大学卒。旧日栄証券(現SBI証券)入社、リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。ウエルスアドバイザー株式会社(調査分析部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。
ラジオNIKKEI(月曜日)、ストックボイス(木曜日)等でコメントを発信中。
ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

免責事項・注意事項

・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

【手数料及びリスク情報等】

SBI証券で取り扱っている商品等へのご投資には、各商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります(信用取引、先物・オプション取引、商品先物取引、外国為替保証金取引、取引所CFD(くりっく株365)では差し入れた保証金・証拠金(元本)を上回る損失が生じるおそれがあります)。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。