まちまちの展開。FRB議長会見では、追加利上げに関して否定的な見方を示唆。ドル円は一時、1ドル153円台に。為替介入か

ダウ小幅高。S&P500とナスダックは小幅安。前日引け後に決算発表を通過したスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が大幅安した影響等で、半導体株の下落が重い。FOMC後の議長会見中、S&P500は上昇する場面もあった。

セクター別では、エネルギーや情報技術の下落率が大きい。半面、公益を筆頭にディフェンシブセクターは上昇。

FOMCでは、市場予想の通り6会合連続で政策金利の現状維持と、量的引き締め(QT)の減速方針を決定。会合後の議長会見では、インフレ指標が予想を上回っており、利下げを開始するにはさらなる証拠が必要と述べた。また、追加利上げに関しては、否定的な見方を示した。

4月ISM 製造業総合景況指数は49.2(前回値50.3、予想50)と再び縮小圏に転じた。仕入れ価格指数は2カ月連続で上昇し、根強いインフレ圧力を示唆する結果となった。

年限の短いものを中心に、債券利回りは低下(価格は上昇)。FOMC後の議長会見で追加利上げに対し否定的な見方が示され、想定よりもハト派寄りと市場で受け止められたもよう。

ドル指数は下落。対円では、一時1ドル153円台をつけ、急速な円高ドル安が進行する場面も。日本当局による為替介入が実施されたとの観測が浮上した。

原油価格は3日続落。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間統計で、米原油在庫が前週比で大幅増となり、昨年6月以来の高水準となったことが意識された。

個別株では、引け後に半導体大手のクアルコム(QCOM)が1‐3月期決算を発表。時間外で株価は一時5％強上昇。自動車向けの好調を背景に、売上高と1株利益が予想を上振れた。また、スマホ需要の回復を背景に、4‐6月期のガイダンスも予想を上回ったことも好感された。

日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は+4.5％。タルク(滑石)を使用したベビーパウダーによる集団訴訟で、110億ドル(約1兆7,400億円)の和解案を提示した。

【5月2日(木)の米国市場】

主な経済指標の発表　　　　　　：　　 OECD経済見通し

　　　　　　 　　　　　　　　　　　　チャレンジャー人員削減数（4月）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　米新規失業保険申請件数（4月27日に終わる週）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　製造業受注（3月）

主な企業決算の発表　　　　　　：　　引け後　アップル(AAPL)、コインベース・グローバル(COIN)　

～見通し～

雇用統計の発表を前日に控え、様子見姿勢の展開が予想される。FRB議長会見で言及された、利下げ開始のための“更なる証拠”を確認するためにも一層注目が集まるだろう。また、中国経済に対する軟調な見通しが強まる中、引け後のアップル(AAPL)の決算発表にも警戒感が漂う。

SBI証券　 投資情報部　栗本奈緒実

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