投資情報部 齊木 良

レポート作成日:2026/10/09

お知らせ

米国株式市場のポイントや注目銘柄として個別株5銘柄をご紹介いたします。コンテンツは毎月1回の更新予定ですので、ぜひご参考になさってください。10月のコンテンツのテーマは「アンソロピック関連」です。

9月の米国株式市場は金利動向に左右される展開となりました。一方、メタ プラットフォームズが発表したパーソナルAIエージェント「Muse(日常的なタスクを任せることができる)」への高い関心を受けて、同社株は月間で約27%上昇しました。半導体大手アドバンスト マイクロ デバイシズの月間上昇率がおよそ30%になるなどAI・半導体関連株も回復を見せて、ナスダックが史上最高値を更新する場面がありました。月間ベースではNYダウとS&P500が下落する中、ナスダックは続伸しました。S&P500の月間セクターパフォーマンス(11業種)は情報技術やコミュニケーション・サービスが上げて、金融や素材、不動産などが下げました。

10月の米国株は次の4点がポイントになると考えています。

①金利動向(米10年債利回り)

②CPI(10/14発表予定)

③7-9月期決算発表シーズン

④FOMC(米連邦公開市場委員会、10/27-28開催予定)

インフレ懸念が根強い中、米10年債利回りは一時2002年以来の高水準となりました。金利上昇は株価の上値を抑制する要因としてみなされやすいですが、AI・半導体需要への期待感や雇用統計を受けた利上げ観測後退を背景に、10/6には終値ベースでS&P500とナスダックが史上最高値を更新しました。金利上昇を懸念する見方は続いており、引き続き米10年債利回りは注視されそうです。なお、米10年債入札では堅調な需要が見られ、これまでの急ピッチな利回り上昇がトーンダウンに向かう可能性もあります。

今後の金利動向に影響を与えそうなのがCPI(消費者物価指数)とFOMCです。CPIは市場予想で前年比3.6%増の見通しで、前回(同3.4%増)からインフレはやや加速することが見込まれています。一方、10/2発表の非農業部門雇用者数は市場予想を下回る増加にとどまったほか、米金融当局者(ジェファーソンFRB副議長やNY連銀のウィリアムズ総裁)のコメントからは利上げを急ぐ必要はないとの見方が示唆され、10月FOMCでの利上げ観測は大きく後退しています。なお、中東情勢の不透明感は依然としてありますが、NY原油先物価格は91ドル前後と9月高値からは低位で推移しています。


10月半ば以降は、金利動向に加えて、決算発表シーズンに入るため企業業績にも関心が集まりやすいと思われます。7-9月期のS&P500指数採用銘柄の市場予想EPSは前年比およそ24%増の見通しです。セクター別では、エネルギーや情報技術、素材の牽引が見込まれています。特に注目されるのが、主要ハイパースケーラーのクラウド売上高と設備投資、フリーキャッシュフローの動向と思われます。AI減速懸念を払しょくするような力強い内容が見られるかどうか注視されます。


今回のコンテンツのテーマは「アンソロピック関連」です。11月に超大型のIPOを実施するとの観測が報じられており、関連銘柄も投資家の関心を集める可能性があります。



当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.アンソロピック関連

2. 次四半期のEPSが市場予想で増益または黒字見通し

3.アナリストの投資判断が買いで過半数

  1. 1アマゾン ドットコム(AMZN)

    ・ネット通販事業を米国のほかドイツ、日本、英国などを中心に展開する世界的な大手です。クラウドサービスでも高い市場シェアを誇っています。セグメント別売上高比率は北米が59%、海外が23%、AWS(クラウド)が18%です(2025年12月期)。

    ・営業損益では北米事業が296億ドルの黒字、海外事業が48億ドルの黒字、AWSが456億ドルの黒字と利益面ではAWSが最も重要となっています(2025年12月期)。なお、OpenAIやアンソロピックなどとのAWS契約を発表済みです。

    ・アンソロピックとの関係は2023年から続いており、主要なクラウドパートナー企業です。2026年4月にはアンソロピックへのこれまでの80億ドルの出資に加えて、50億ドルの追加出資とさらに最大200億ドルの出資計画を発表しました。一方、アンソロピックは向こう10年でAWS技術に1,000億ドル超を投じる計画です。

    1. アンソロピック関連

    2. 26年7-9月期の市場予想EPSはおよそ1%増(前年比ベース)

    3.買い:77人、中立:4人、売り:0人

  2. 2アルファベット A(GOOGL) 

    ・Google検索やユーチューブなどを通じて広告を展開し、インターネット広告分野で世界大手です。主力の検索に加えて、クラウド、AIがビジネスモデルの中核になっています。

    ・クラウドが業績の成長ドライバーで、2026年4-6月期のクラウド売上高は前年比82%増加しました。傘下のGoogleが開発するAI半導体「TPU」は顧客データセンター向けに納入が始まり、今後、新たな収益機会として期待されます(なお、半導体大手ブロードコムがTPUの設計を支援しています)。2026年4月には、アンソロピック向け「TPU」の供給契約を締結しています。また、グーグルはアンソロピックに出資していると報じられています。

    ・時価総額はエヌビディアとアップルに次いで、世界第3位です(10/8時点)。AI関連の主要企業としての評価が定着しつつあります。

    1.アンソロピック関連

    2.26年7-9月期の市場予想EPSはおよそ5%増(前年比ベース)

    3.買い:64人、中立:7人、売り:0人

  3. 3マイクロン テクノロジー(MU) 

    ・半導体メモリーのDRAM(高速なデータ読み出しが可能で、電源OFF時にデータが消える)とNAND(大容量で、電源OFF時もデータを保持)を手掛ける大手半導体企業です。

    ・AIの進化でより多くのメモリーが必要になると考えられており、中長期的な成長機会として注目されます。2026年6-8月期は需要旺盛で売上高が前年比およそ4.8倍、調整後EPSは同11倍と好調でした。また、調整後粗利益率は約87%、同営業利益率は約82%と高収益を実現しています。会社側はタイトな需給が2027年と28年も続くとの見方を示しており、高成長の持続が期待されます。

    ・2026年6月に、アンソロピックへのメモリー供給契約や戦略投資を発表しました。

    1.アンソロピック関連

    2.26年9-11月期の市場予想EPSはおよそ8倍(前年比ベース)

    3.買い:58人、中立:4人、売り:0人

  4. 4スペース エクスプロレーション テクノロジーズ A(SPCX)  

    ・イーロン・マスクCEOが率いる宇宙・衛星通信・AI関連企業です。2002年に設立され、2026年にxAIを買収しました。2025年12月期の部門別売上高比率は、①宇宙(ロケット打ち上げなど)が22%、②コネクティビティ(衛星通信サービスのスターリンク)が61%、③AI(広告やAIソリューション&インフラ:GrokやXなど)が17%です。

    ・NASAやアンソロピックなどを顧客に持ちます。アンソロピックとは、データセンター利用料として月12.5億ドルを受け取る契約を締結しています。

    ・同社大型ロケット「スターシップ」はスターリンク衛星26基を搭載して、9月下旬に初めて軌道到達に成功しました。また、来年にはエヌビディアの半導体を搭載したStarmind AI衛星を打ち上げる計画です。宇宙空間でのAIデータセンター構築に向けた計画が前進するか注目されます。

    1.アンソロピック関連

    2.26年4-6月期のEPSは赤字でしたが、7-9月期は市場予想で黒字見通し

    3.買い:37人、中立:7人、売り:4人

  5. 5KraneShares AI テクノロジーETF(AGIX) 

    ・上場・未上場のAI関連銘柄に投資するETFです。

    ・ユニークな点は未上場のアンソロピックに投資していて、保有銘柄とみられます。

    ・設定は2024年7月で、経費率は1.00%です。

    ・年初来上昇率は約31%(10/8時点)。



    1. ナスダック上場のETFで、アンソロピック関連

    2. ー

    3. ー

著者プロフィール

齊木 良 (さいき りょう)

シニア・マーケットアナリスト(米国株担当)
(日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 

名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から米国株を分析する。初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。

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