お知らせ

米国株式市場のポイントや注目銘柄として個別株5銘柄をご紹介いたします。コンテンツは毎月1回の更新予定ですので、ぜひご参考になさってください。10月のコンテンツのテーマは「テンバガー」です。

レポート作成日:2024/10/01

9月の米国株式市場を振り返ると、月前半はISM製造業景況指数や非農業部門雇用者の増加数が市場予想と比ベて弱い内容で景気懸念を背景に軟調な展開でしたが、その後は、①エヌビディアのCEOがカンファレンスで需要は非常に強いとコメントしたこと、②小売売上高が予想外のプラスになったこと、③FOMC(米連邦公開市場委員会)において0.5%ポイントの大幅利下げが発表されたこと等を好感して、NYダウとS&P500指数が史上最高値を更新しました。ナスダックも8月高値を上抜ける動きを見せており総じて強いモメンタムとなりました。中国の景気刺激策発表もサポート材料になりました。月間ベースではNYダウとS&P500が5カ月続伸で、ナスダックが2カ月続伸となりました。セクター(S&P500の11業種)は一般消費財・サービスや公益、コミュニケーション・サービス等が上げ、エネルギーやヘルスケア等が下げました。個別株ではアメリカン エキスプレス(AXP)やインターナショナル ビジネス マシーンズ(IBM)、ロッキード マーチン(LMT)等が上場来高値圏で、ホーム デポ(HD)やベライゾン コミュニケーションズ(VZ)等が52週高値圏です。

10月の米国株の注目点は、①ISM製造業景況指数と雇用統計(10月1日、4日発表予定)、②決算発表シーズン(7-9月期)、③7-9月期実質GDP速報値(10月30日発表予定)と考えています。マーケットの注目点がインフレから「米経済がソフトランディングに向かうかどうか」に移行しつつある中、ISM製造業景況指数は市場予想で前回から改善が見込まれています。雇用統計は非農業部門雇用者の増加数は前回から改善見通しで、失業率は横ばいの見通しです。これらの経済指標がソフトランディングシナリオに沿った内容になるかどうか注視されそうです。一方、10月半ば以降は決算発表シーズン入りで個別企業の業績への注目が高まると思われますが、7-9月期のS&P500指数採用銘柄のEPSは前年比4.7%増が見込まれています。セクター別では情報技術やコミュニケーション・サービス、ヘルスケアがこれを上回る好業績見通しです。特に主力ハイテク企業の決算発表が注目されそうです。なお、7-9月期実質GDPはアトランタ連銀のGDPNowによると3.1%の成長が見込まれており、プラスの経済成長を確保する見通しです。

今回のコンテンツではテーマとして「テンバガー」を取り上げます。過去10年でS&P500指数はおよそ3倍に上昇していますが(9月30日時点)、今回のテンバガー銘柄はこれを大きく上回る10倍以上の株価上昇を達成しており、また、足元の株価パフォーマンスも好調で、投資家の注目を集めやすいと考えられます。

当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

投資情報部 齊木 良

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.テンバガー関連銘柄(過去10年で株価が10倍以上)

2. 今期・来期が市場予想で増収見通し

3.年初来パフォーマンスがS&P500指数の20.8%高を上回る(9月30日時点)

  1. 1アリスタ ネットワークス(ANET)

    カリフォルニア州に本社があり、大規模データセンター向けクラウドネットワーキングを提供しています(スイッチとルーティング・プラットフォーム)。顧客はハイパースケーラー(巨大クラウド企業)やインターネットプロバイダー、政府機関等、多岐にわたりその数は数千社に上ります。売上高比率はマイクロソフト18%、メタ プラットフォームズ A21%です(2023/12期)。地域別では米州が79%、欧州・中東・アフリカ11%、アジア・太平洋9%です。高速データセンタースイッチング市場においてシスコ システムズからシェアを奪っています。AI関連銘柄として注目されており、株価は史上最高値圏で推移しています。

    1.過去10年で株価は約17倍

    2. 24/12期16%増収、25/12期18%増収見通し(市場予想)

    3.年初来パフォーマンスは63.0%高

  2. 2アクソン エンタープライズ(AXON)

    アリゾナ州に本社がある法執行技術ソリューションプロバイダーです。2023/12期の売上高比率はテーザー銃等(スタンガンの一種)が39%、ソフトウェア&センサー(クラウドベースのデジタル証拠管理ソフトウェアスイートやボディカメラ等)が61%です。地域別では米国が86%、その他14%です。顧客は州・地方政府、連邦政府、海外政府、民間企業です。米国における警察と市民間の銃関連の死亡数を2033年までに半減させることを目標にしています。会社側は2024/12期の売上高及び調整後EBITDA見通しを上方修正しています。株価は史上最高値圏で推移しています。

    1.過去10年で株価は約26倍

    2. 24/12期30%増収、25/12期22%増収見通し(市場予想)

    3.年初来パフォーマンスは54.7%高

  3. 3シンタス(CTAS)

    オハイオ州に本社があり顧客数は米国をメインに100万超です。製品・サービスはユニフォーム、マット、モップ、消火器、安全トレーニング等。2024/5期の売上高比率はユニフォームレンタル&施設サービスが78%、応急処置&安全サービス11%、その他11%です。9月下旬に発表された6-8月期は売上高とEPSがいずれも市場予想を上回り、ビジネス環境が良好で会社側は2025/5期の売上高とEPS見通しを上方修正しました。なお、40年以上の連続増配企業で株主還元に前向きな企業としても評価されそうです。株価は史上最高値圏で推移しています。

    1.過去10年で株価は約12倍

    2.25/5期7%増収、26/5期7%増収見通し(市場予想)

    3.年初来パフォーマンスは36.7%高

  4. 4フェア アイザック コーポレーション(FICO)

    モンタナ州に本社がある分析企業です。同社ソフトウェアと消費者の信用リスクを図る代名詞である「FICOスコア(300-850のレンジで数値化)」は世界100カ国以上において数多くの企業(銀行やクレジットカード発行会社、通信プロバイダー等)で意思決定の際等に利用されていて、例えば、米国の大手金融機関100行のうち90行で利用実績があります。2023/9期の売上高比率はスコアが51%、ソフトウェア49%です。地域別では米州が85%、欧州・中東・アフリカ9%、アジア・太平洋6%です。今回のテンバガー5銘柄の中で最も株価上昇が顕著で、また、株価は史上最高値圏で推移しています。

    1. 過去10年で株価は約35倍

    2.24/9期13%増収、25/9期15%増収見通し(市場予想)

    3.年初来パフォーマンスは67.0%高

  5. 5イーライ リリィ(LLY)

    インディアナ州に本社がある大手製薬会社です。糖尿病治療薬「マンジャロ」が主力薬の1つで、肥満症治療薬「ゼップバウンド」も注目されています。2024年7月にはFDA(米食品医薬品局)が「キスンラ」をアルツハイマー病治療薬として認可しました。また、9月には日本の厚生労働省も同薬を承認しており、将来的な業績貢献に期待が高まりそうです。2023/12期の地域別売上高比率は米国が64%、欧州18%、日本5%、中国5%、その他海外9%です。治療薬候補のパイプラインが豊富で、市場予想による長期EPS成長率は33%とファンダメンタルズは良好と考えられます。

    1.過去10年で株価は約14倍

    2.24/12期35%増収、25/12期26%増収見通し(市場予想)

    3.年初来パフォーマンスは52.0%高

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