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米国株式市場のポイントや注目銘柄として個別株5銘柄の紹介を致します。コンテンツは毎月1回の更新予定ですので、ぜひご参考になさってください。4月のコンテンツのテーマは「IPOと株式分割」です。

レポート作成日:2024/04/03

3月の米国株式市場を振り返ると、CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)が市場予想を上振れる前年比の伸びとなりインフレの根強さを示しましたが、注目されたFOMCで年内3回の利下げ予想が維持されたことを背景にじり高の展開でした。NYダウとS&P500指数、ナスダックが終値ベースで史上最高値を更新した他、出遅れのラッセル2000指数(中小型株の指標)が52週高値を更新しました。セクター(S&P500の11業種)は全面高で、エネルギーや公益、素材等の上げが目立ちました。個別株ではマイクロン テクノロジー(MU)やキャタピラー(CAT)、JPモルガン チェース(JPM)等が上場来高値圏で、アマゾン ドットコム(AMZN)やウォルト ディズニー(DIS)等が52週高値圏です。

4月の米国株の注目点は、①CPI(4月10日発表予定)、②1-3月期決算発表シーズン、③FOMC(4月30日-5月1日)と考えています。CPIについては市場予想を下回りインフレ鈍化を示すかどうかが注視されます。また、S&P500指数採用銘柄の1-3月期EPS成長率は市場予想では前年比4.1%増が見込まれており、実績がこの予想を上回る堅調な内容になるかどうかが注視されます。FOMCは市場予想では政策金利の据え置きが見込まれています。この他、トランプ前大統領の口止め料を巡る刑事裁判(4月15日予定)も注目を集めそうです。

今回のコンテンツではテーマとしてIPOと株式分割を取り上げます。IPOは2021年を直近ピークに低迷していましたが昨年のアーム ホールディングス ADR(ARM)の大型IPO成功等を背景に徐々に改善の兆しが見られます。今年注目されていたアステラ ラボ(ALAB)とレディット A(RDDT)のIPOも好スタートとなっています(上場初日の終値は公募価格比で各72%高、48%高)。IPO銘柄のパフォーマンスを表すルネッサンスIPO指数も52週高値圏にあり、IPO関連銘柄に関心が集まりやすい地合いにあると考えられます。また、株式分割については特に個人投資家にとって買いやすさ等を提供するものと考えられ、投資対象としての魅力が高まる可能性があります。

当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

投資情報部 齊木 良

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.過去1年以内にIPOを実施、または、株式分割を発表

2. 年初来パフォーマンスがプラス、または、IPO間もない場合は公募価格比のパフォーマンスがプラス(4月2日時点)

3.時価総額が50億ドル以上(4月2日時点)

  1. 1アステラ ラボ(ALAB)

    カリフォルニア州に本社を置き、クラウドとAIインフラ向けのインテリジェント・コネクティビティー・プラットフォームを提供しています(マイクロコントローラー、センサーを統合した半導体ベースの高速ミックスドシグナルコネクティビティー製品等)。主要なハイパースケーラー(クラウドサービスを提供する大手テクノロジー会社)とAIプラットフォームプロバイダーに製品出荷しています。エヌビディアやアドバンスト マイクロ デバイシズ、インテル等と協業しています。なお、会社側はTAM(潜在市場規模)を172億ドルとみていますが、2027年までに274億ドルに拡大すると推定しています。

    1.3月20日にナスダックに新規上場

    2. 株価は公募価格比で2倍

    3.時価総額は約112億ドル

  2. 2アーム ホールディングス ADR(ARM)

    英国に本社があり、ソフトバンクグループ傘下の半導体設計会社です。 ビジネスモデルはライセンスとロイヤルティー(使用料)で、半導体企業にライセンスを供与した際のライセンス収入、チップ1枚当たりのロイヤルティー収入で構成されます。同社は半導体業界において重要なポジションを占めており、モバイル向けの市場シェアはほぼ100%です。また、クラウド向けは約10%、自動車向けは約41%、産業IoT及び組込向けは約65%、ネットワーキング機器向けは約26%です(2022年12月末)。顧客にはアップルやエヌビディア、アマゾン ドットコム、アルファベット A、アドバンスト マイクロ デバイシズ等が名を連ねています。会社側はAIブームはまだ初期段階との見方を示しました。

    1.2023年9月にナスダックに新規上場

    2. 年初来パフォーマンスは65.4%高

    3.時価総額は約1276億ドル

  3. 3チポトレ メキシカン グリル(CMG)

    ブリトーやブリトーボウル、タコス、サラダ等のメキシカンフードを提供するファスト・カジュアル・レストラン企業です。2023年末時点で米国内に3371店舗、海外に66店舗を有しています。2023年の飲食売上高の約37%はデジタル注文です(店舗ピックアップ等)。市場予想で24/12期は14%増収、25/12期が13%増収見通しです。EPSも増益基調見通しであり、ファンダメンタルズは健全と思われます。また、2024年3月にはNYSEにおいて過去最大級となる株式分割計画を発表しています。2006年の新規上場時の公募価格($22)に対して、4月2日の終値は約132倍と大幅上昇しており、史上最高値圏です。

    1.3月19日に同社は取締役会が1:50の株式分割を承認と発表(6月の株主総会で承認予定)

    2.年初来パフォーマンスは26.9%高

    3.時価総額は約796億ドル

  4. 4レディット A(RDDT)

    カリフォルニア州サンフランシスコに本社があるソーシャルメディア企業です(オンライン掲示板)。オープンAIのサム・アルトマン氏の関連団体が大株主に名を連ねています。2005年創業で、ネット上で雑談等ができます。2023年12月には5億人以上がウェブサイトあるいはアプリでの訪問を行い、ビジネスモデルはモバイルアプリとウェブサイト上における広告収入です(2023年12月期の売上高の約98%は広告収入)。地域別では米国が売上高の81%を占める主力です。2023年10-12月期のデイリーアクティブユニーク数(平均)は前年比27%増の7310万で、7-9月期の同15%増から伸び率が改善しています。同社プラットフォームから得られるデータへのアクセスをサードパーティにライセンスする初期の段階にあります(AIモデルのトレーニング等)。このデータライセンシングとユーザーエコノミー(商取引エコシステム等)が将来的にビジネスとして軌道に乗るかどうかが今後の注目ポイントと言えそうです。

    1. 3月21日にNYSEに新規上場

    2.株価は公募価格比で48.4%高

    3.時価総額は約82億ドル

  5. 5ウォルマート インク(WMT)

    アーカンソー州に拠点がある世界最大級の小売企業です。エブリデー・ロー・プライス(毎日低価格)戦略で事業展開しています。セグメントはウォルマート米国、ウォルマート海外(中国やインド等18カ国)、サムズクラブ(会員制)の3つです。広範な人口カバーが同社の強みで、店舗から約16キロ圏内に米国人の9割が暮らしています。ネット通販(売上高に対するネット通販比率は2019年1月期の5%がら2023年1月期に14%へ拡大)や自動化強化、サブスクリプションの「ウォルマート+(ガソリン割引や35ドル以上の購入で生鮮食品の配送無料等)」も期待されます。株価は史上最高値圏で推移しています。

    1.2024年1月に1:3の株式分割を発表(同2月実施)

    2.年初来パフォーマンスは12.6%高

    3.時価総額は約4767億ドル

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