お知らせ

米国株式市場のポイントや注目銘柄として個別株5銘柄をご紹介いたします。コンテンツは毎月1回の更新予定ですので、ぜひご参考になさってください。7月のコンテンツのテーマは「半導体」です。

レポート作成日:2025/07/02

6月の米国株式市場を振り返ると、貿易協議と中東の地政学リスクがマーケットの大きな関心を集めました。イスラエルとイランの攻撃応酬やイランへの米軍介入に伴う中東の地政学リスクの高まりが懸念される場面がありました。6/23にトランプ大統領がイスラエルとイランが停戦で合意と発表したことを背景に中東の地政学リスクは後退して、貿易協議の進展期待や半導体株の牽引、大型税制・歳出法案の可決期待などがサポート材料になりました。なお、パウエルFRB議長は議会証言で政策金利は当面据え置く考えを示しました。恐怖指数で知られるVIX指数は7/1時点で16.83と20を下回っており、S&P500指数とナスダックが史上最高値圏です。月間ベースではS&P500指数が続伸、ナスダックは3カ月続伸です。セクターパフォーマンス(S&P500の11業種)では情報技術やコミュニケーション・サービス、エネルギーなどが上げて、生活必需品や不動産が下げました。個別株ではマイクロソフト(MSFT)やブロードコム(AVGO)、JPモルガン チェース(JPM)などが上場来高値圏で、ウォルト ディズニー(DIS)やシスコ システムズ(CSCO)などが52週高値圏です。新規上場したボイジャー テクノロジーズ A(VOYG)やチャイム フィナンシャル A(CHYM)は公開価格比で取引初日の終値が大幅高となる好スタートとなり、IPO銘柄への投資家の高い注目が示唆されました。

7月の米国株の注目点は、①相互関税上乗せ部分の発動猶予期限(9日予定)、②CPI(15日発表予定)、③債務上限問題、④FOMC(29-30日予定)、⑤決算発表シーズンと考えています。相互関税については上乗せ部分が発動されるのか先送りされるのか注視され、期限までに各国と合意に至るかどうかがそのポイントになりそうです。コアCPI(消費者物価指数)は市場予想で前年比3.0%増と前回(同2.8%増)からインフレ高進の見通しです。NY連銀の5月調査では関税のコスト転嫁のスピードは1-3カ月までが多く、夏ごろにインフレへの影響が表面化する可能性がありますので、ここ数カ月がインフレへの影響を見極める正念場と考えられます。一方、債務上限問題は米議会の夏季休会前までに合意に達するかどうか注視されます。FOMC(米連邦公開市場委員会)は市場予想では政策金利の据え置きが見込まれています。また、今月は4-6月期決算発表シーズンとなりますが、S&P500指数採用銘柄では情報技術などの牽引により市場予想で前年比約3%の増益見通しです。M7や半導体株の足元の株高が業績面で正当化されるかどうかを確認するフェーズになります。このほか、中東情勢に関してイスラエルとイランの停戦がより長期化して安定に向かうのかどうか注目されます。そのため米国とイランの協議が早期実現するかどうか注目されます。雇用統計は非農業部門雇用者数の増加が市場予想で前月比11.0万人増と前回(同13.9万人増)から減速見通しで、失業率は4.3%と前回(4.2%)からやや悪化の見通しです。雇用者数増加が市場予想と大きく乖離するようだと利下げ観測が急変動する可能性がありそうです。

今回のコンテンツのテーマは「半導体」です。AI以外にも市場回復の兆しが見られており、SOX指数は6/27まで週間ベースで5週続伸し、12カ月先予想EPSは上昇傾向です。半導体関連で5銘柄をピックアップいたします。

当コンテンツはBloombergデータ、NY連銀、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

投資情報部 齊木 良

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.SOX指数採用銘柄

2. 直近四半期実績(売上高、EPSまたは純利益)が市場予想を上回る

3.アナリスト評価が「買い」と「中立」で全体の5割以上

  1. 1ブロードコム(AVGO)

    カリフォルニア州に本社があり、ネットワーキングやワイヤレス分野などの設計・開発・供給を行う大手半導体メーカーです。2024年10月期の売上高比率は半導体ソリューションが58%、インフラストラクチャ・ソフトウェア42%です。地域別では米国25%、中国20%、シンガポール19%、その他36%です。25年2-4月期は売上高が前年比20%増で過去最高、EPSが同44%増となり市場予想を上回る増収増益でした。AIネットワーキングの需要を背景にAI売上高が同46%増と牽引しており、また、設備投資環境が堅調で会社側は5-7月期もAI半導体は好調を見込んでいます。上場企業の世界時価総額ランキングでは第8位とトップ10入りしています(7/1時点)。

    1.SOX指数採用銘柄

    2. 直近四半期実績(売上高、EPS)が市場予想を上回る

    3.アナリスト評価は買い46人、中立5人、売り1人

  2. 2マーベルテクノロジーグループ(MRVL)

    デラウェア州に本社があり、データセンターやネットワーキング、自動車・産業向けなどに事業展開する半導体ソリューション企業です。AI向けなどにカスタム半導体を開発しています。2025年1月期の売上高比率はデータセンター72%、ネットワーキング11%、自動車・産業6%などです。アマゾン ドットコムが主要顧客の1社と推測されています(昨年12月に同社はAWSとの提携拡大を発表)。会社側は2028年のデータセンター潜在市場規模見通しを従来予想の750億ドルから940億ドルへ大幅に上方修正しました。AIコンピューティング市場の拡大で恩恵を受けやすい1社と考えられます。

    1.SOX指数採用銘柄

    2. 直近四半期実績(売上高、EPS)が市場予想を上回る

    3.アナリスト評価は買い40人、中立9人、売り0人

  3. 3ON セミコンダクタ(ON)

    アリゾナ州に本社があり、自動車や産業向けにインテリジェント・パワー及びインテリジェント・センシング・ソリューションを提供しています。エネルギー・インフラストラクチャーやAIデータセンター、EVなどの分野で事業展開しています。2024年12月期の売上高比率はパワー・ソリューション47%、アナログ&ミックスド・シグナル37%、インテリジェント・センシング(CMOSイメージセンサーなど)16%です。最終市場別では自動車55%、産業25%、その他20%です。地域別では香港やシンガポール、英国、米国が大きいです。会社側は自動車向けと産業向けの改善見通しを示しました。なお、過去5年の7月平均株価上昇率はS&P500をアウトパフォームしており、この点も注目材料として意識される可能性があります。

    1.SOX指数採用銘柄

    2.直近四半期実績(売上高、EPS)が市場予想を上回る

    3.アナリスト評価は買い16人、中立17人、売り1人

  4. 4台湾セミコンダクター ADR(TSM)

    台湾に本社がある世界最大のファウンドリー(半導体受託生産)です。2024年には522の顧客にサービスを提供し、ハイ・パフォーマンス・コンピューティングやスマートフォン、IoT、自動車、デジタル家電など様々な最終市場をカバーする11,878の製品を製造しました。日本の熊本県の第1工場が完成し、2024年末には量産を開始しました。第2工場は今年後半に着工する予定です。また、米国アリゾナ州の第1工場も量産を開始しています。なお、25年3月には米国への外国直接投資として過去最大級となる1,000億ドルの投資計画を発表しました。25年5月の売上高はAI需要などを背景に前年比約4割の増加で好調を持続しています。

    1.SOX指数採用銘柄

    2.直近四半期実績(売上高、純利益)が市場予想を上回る

    3.アナリスト評価は買い30人、中立1人、売り0人

  5. 5テキサス インスツルメンツ(TXN)

    テキサス州に本社があり、半導体の設計・製造を手掛ける大手半導体メーカーです。2024年12月期における売上高比率はアナログが78%、組み込み16%、その他6%です。エンドマーケット別では産業及び自動車向けの売上高比率が合わせて約70%で(産業34%、自動車35%)、2013年のおよそ40%から大幅拡大しています。地域別では米国が38%、中国19%、その他アジア11%、欧州・中東・アフリカ22%、日本8%などです。25年1-3月期は需要回復などを背景に売上高成長率が10四半期ぶりに前年比でプラスに転換し、ファンダメンタルズが回復中です。21年連続増配中で、今期市場予想配当利回りはおよそ2.6%(7/1時点)と好配当銘柄としても評価できそうです。

    1. SOX指数採用銘柄

    2.直近四半期実績(売上高、EPS)が市場予想を上回る

    3.アナリスト評価は買い15人、中立25人、売り4人

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