投資情報部 齊木 良

レポート作成日:2026/08/07

お知らせ

米国株式市場のポイントや注目銘柄として個別株5銘柄をご紹介いたします。コンテンツは毎月1回の更新予定ですので、ぜひご参考になさってください。8月のコンテンツのテーマは「ポジティブサプライズ銘柄」です。

7月の米国株式市場は中東情勢の不透明感や半導体株の高いボラティリティ、また、堅調な企業業績がそれぞれ株価に影響を与える展開となりました。月間ベースではNYダウが4カ月続伸と好調な一方で、S&P500とナスダックは続落、半導体のSOX指数が4カ月ぶり反落となりました。過剰投資懸念や競争激化懸念などを背景に、特に半導体株の下落が目立ち、SOX指数は一時弱気相場入りしました。7月前半にはNYダウやS&P500資本財・サービス株指数が史上最高値を更新したほか、月後半にはS&P500ヘルスケア株指数や同金融株指数が史上最高値を更新する場面があり、セクターローテーションが見られました。

なお、企業業績に関しては総じて堅調です。8/6時点でS&P500指数採用銘柄のうち、439社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は約87%とヒストリカルにみても高水準です。マーケットの注目度が高いM7の中では、マイクロソフトやアマゾン ドットコムはクラウドの高い成長が見られて、決算発表後の株価は堅調に推移しています。一方、テスラは設備投資拡大で4-6月期のフリーキャッシュフローがマイナスになったほか、メタ プラットフォームズも設備投資拡大で4-6月期のフリーキャッシュフローが前年比およそ91%減と急減したことなどからアンダーパフォームする動きが見られます。設備投資とフリーキャッシュフローは、今後の決算発表の注目点として引き続き意識されそうです。

8月の米国株は次の4点がポイントになると考えています。

①中東情勢とNY原油先物価格

CPI812日発表予定)

③エヌビディア決算発表(同26日予定)

④ジャクソンホール会議(同27-29日予定)

今後、ホルムズ海峡開放で合意に至る場合、NY原油先物価格は下落が見込まれインフレ懸念が後退すると考えられます。一方、合意がまとまらない場合は、原油価格に再度上昇圧力がかかりやすいため、原油価格動向には引き続き注意が必要です。また、金融政策の見通しを占う上でマーケットの注目度が高いCPI(消費者物価指数)に関しては、市場予想で前年比3.4%増と前回(同3.5%増)からインフレがやや緩和すると見込まれています。8月末にかけては経済シンポジウムのジャクソンホール会議が開催予定です。各国・地域の中央銀行総裁による発言が注目されそうです。CPIとジャクソンホール会議を受けて、次回9月FOMCにおける利上げ観測の織り込み度合いが大きく変化する可能性があります。なお、半導体のSOX指数はピーク比で約18%安と弱気相場から脱却しています(8/6時点)。エヌビディアが力強い業績見通しを示せるかどうか注目されます。

今回のコンテンツのテーマは「ポジティブサプライズ銘柄」です。直近四半期決算において、市場予想を上回る業績を示したり(ポジティブサプライズ)、会社側が業績見通しの上方修正を発表した関連企業に関してはファンダメンタルズの安心感から、投資家の注目を集めやすいと考えられます。また、年初来のS&P500指数の上昇率をEPSPERの要因に分解してみると、EPSの成長で説明できる部分が大きく、企業業績改善が株高をサポートしています。この観点でも注目されやすいテーマと思われます。

なお、当社Webサイト>マーケット>ランキング>外国株式から米国株式の売買代金ランキングなどが確認できますので、ぜひご活用ください。

当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成

SBI証券 アナリスト注目銘柄

今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。

1.S&P500指数採用銘柄

2. 直近四半期決算の売上高とEPSが市場予想を上回る

3.アナリストの投資判断が買いと中立で過半数

  1. 1キャタピラー(CAT)

    ・世界最大級の建設機械メーカーです。エンジンや産業ガスタービンなども手掛けています。電力&エネルギー向けや建設向け、資源向けに事業展開しているほか、金融サービスも提供しています。

    ・2025年12月期の地域別売上高比率は北米が約54%と主力です。AIブームによるデータセンター投資のメリット享受が期待される企業として注目されます。8/6までの年初来株価パフォーマンスは約49.6%高と好調です。

    ・2026年4-6月期は売上高が前年比24%増の205億ドルで過去最高となりました。EPSは同73%増で増収増益の好業績でした。受注残高は同92%増の720億ドルと過去最高です。

    1. S&P500指数採用銘柄(資本財・サービス)

    2. 2026年4-6月期の売上高とEPSは市場予想を上回る

    3.買い:16人、中立:11人、売り:0人

  2. 2ゴールドマン サックス(GS) 

    ・幅広い金融サービスを提供するグローバルな大手金融機関です。M&Aや引受などに強みがあります。

    ・2025年12月期の営業収益比率は主力のグローバルバンキング&マーケッツ(投資銀行業務や株式トレーディング業務、金利・為替業務など)が71%、アセット&ウェルスマネジメント29%などです。地域別では米州が63%、欧州・中東・アフリカ24%、アジア13%です。

    ・2026年4-6月期は営業収益が前年比39%増、EPSは同92%増で大幅増収増益の好業績でした。株式トレーディング業務収入が同72%増、投資銀行業務収入が同55%増と牽引しました。特に、株式引受収入はスペースXのIPO引受などで、同2.3倍と急増しました。

    1.S&P500指数採用銘柄(金融)

    2.2026年4-6月期の営業収益とEPSは市場予想を上回る

    3.買い:11人、中立:16人、売り:1人

  3. 3マイクロソフト(MSFT) 

    ・米国のソフトウェア大手です。クラウドやAIなどの分野で競争優位なポジションにあると考えられます。ビジネス上の競争優位性を背景に、業績成⾧とバランスシートの安定性を兼ね備えた米国を代表する優良企業です。

    ・クラウドサービスの「Azure(アジュール)」が業績ドライバーで、マーケットの注目度が高いです。2026年6月期のAzure売上高は初めて 1,000億ドルを超えました。

    ・2026年4-6月期は2桁増収増益となりました。Azure&その他クラウドサー ビス売上高は顧客の需要が好調で、前年比43%増となり市場予想を上回ったほか、伸び率が拡大しました。

    1.S&P500指数採用銘柄(情報技術)

    2.2026年4-6月期の売上高とEPSは市場予想を上回る

    3.買い:69人、中立:4人、売り:0人

  4. 4パランティア テクノロジーズ A(PLTR) 

    ・意思決定などをサポートするビッグデータ分析企業です。対テロ対策支援として米国諜報機関向けにソフトウェアの提供を始めたのがビジネスの起源で、米軍などが顧客です。

    ・提供するソフトウェア・プラットフォームは、①ゴッサム(政府機関向け)、②ファウンドリ(民間向け)、③アポロ(ソフトウェアをほぼあらゆる場面で配布・更新するシステム)、④AIP (生成AIプラットフォーム)の4つです。顧客数は954(2025年末)、うち民間が780です。幅広い産業で導入が進んでいます。

    ・2026年4-6月期は前年比93%の大幅増収でした。売上高と伸び率は拡大傾向で、業績には勢いがみられます。主力の米国が約2.1倍の増収。特に米民間向けがおよそ2.5倍と牽引しました。会社側は26年12月期の業績見通しを上方修正しました。

    1.S&P500指数採用銘柄(情報技術)

    2.2026年4-6月期の売上高とEPSは市場予想を上回る

    3.買い:23人、中立:8人、売り:2人

  5. 5スターバックス(SBUX) 

    ・直営店舗とライセンス店舗を通じて、世界各地で高品質なコーヒーの焙煎・マーケティング・販売を行っています。

    ・2025年9月期の売上高比率は北米が74%、海外21%、チャネル開発5%です。24年9月に就任したブライアン・ニコルCEOの下、「Back to Starbucks(スターバックスへの回帰)」戦略で、顧客体験向上やブランド強化などの事業再建を推進しています。

    ・マーケットの注目度の高い世界既存店売上高の伸びが改善しています。2026年4-6月期は顧客の購入回数と平均単価上昇で前年比7.9%増となり、4四半期連続の既存店売上高増加を達成しました。

    ・会社側は26年9月期の業績見通しを上方修正しました。8/6までの年初来株価パフォーマンスは約24.9%高で、S&P500指数の約12.6%高をアウトパフォームしています。

    1. S&P500指数採用銘柄(一般消費財・サービス)

    2.2026年4-6月期の売上高とEPSは市場予想を上回る

    3.買い:18人、中立:18人、売り:4人

著者プロフィール

齊木 良 (さいき りょう)

シニア・マーケットアナリスト(米国株担当)
(日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 

名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から米国株を分析する。初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。

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