出遅れのアナログ半導体もついに拡大局面へ!!-テキサスインスツルメンツ、アナログデバイセズなどに注目-

出遅れのアナログ半導体もついに拡大局面へ!!-テキサスインスツルメンツ、アナログデバイセズなどに注目-

投資情報部 榮 聡

2026/02/12

(1)この局面でアナログ半導体に注目する理由

生成AIが注目を集めた2023年以来、AI半導体など“デジタル半導体”銘柄の業績が拡大、株価も大幅に上昇する中、“アナログ半導体”は出遅れてきました。しかし、足元ではアナログ半導体にも業績回復の兆しが出ており、注目できそうです。

〇株価出遅れが著しいアナログ半導体にも動意

生成AIが注目を集めた2023年以来、アナログ半導体の株価はフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)に著しく出遅れてきました。図表2は、これを確認するためにアナログ半導体の代表銘柄であるテキサスインスツルメンツとアナログデバイセズを指数化したものです。

この期間にAI半導体関連のエヌビディア、ブロードコム、AMDなどの株価が何倍にも上昇する中、データセンター投資からの恩恵が限定的であった一方、アナログ半導体の主要向け先である産業機器、自動車、スマホ、PCなど向けの需要低迷が続いたためです。

一方、昨年末頃からアナログ半導体株にも動意が出ています。2026年に入ってから2/11(水)までのパフォーマンスは、S&P500指数の1.4%、フィラデルフィア半導体株指数が17.1%の上昇であるのに対して、これを上回る26.7%の上昇となっています。

〇決算情報がアナログ半導体市場の回復を示唆

アナログ半導体は、新型コロナ禍のもとでPCやスマホの需要が拡大し、また、サプライチェーンの混乱が続いた反動を受けて、ここ数年は市場の停滞が続いていました。

実は昨年前半にもアナログ半導体市場の回復が期待された局面がありました。テキサスインスツルメンツが1-3月期決算で市場が回復していると述べたためです。しかし、この時はトランプ関税に備えた在庫積み増しであったことが後に判明して株価は反落しました。

しかし、昨年後半からスマホ、PCとも買い替えサイクルを迎えていると言われており、今回は本物の回復である可能性が高くなっています。自動車に関しては、電気自動車(EV)の需要が冷え込んで警戒されている部分もありますが、長期的な自動車装備の電化の流れがあるため、アナログ半導体全体の回復を邪魔するほどではないと考えられます。

10-12月期の決算発表でも、アナログ半導体各社は市場の改善を見込んでいます。まず、1/5(月)に10-12月期売上を上方修正したマイクロチップテクノロジーは、「コロナ禍の期間に積み上がった半導体の過剰在庫を顧客が消化し終えたことから回復局面を迎えている」とコメントしました。

また、日本のディスコの決算説明会では、「27年3月期も広帯域メモリー(HBM)の投資は引き続き強い。スマートフォンやパソコン向けの半導体需要も以前よりも明るくなっている」としました。

一方、クアルコムが「半導体メモリー価格の上昇を受けてスマホの販売見通しを慎重に見ている」、などアナログ半導体需要に逆風となり得る情報もありました。

しかし、全体的には新型コロナの時期に販売が増えた最終製品が買い替え時期を迎えていること、新型コロナの後に積み上げられた部品在庫が解消されたことなどを背景にアナログ半導体需要は安定した回復局面に入っているとみられます。

〇フィジカルAIへの注目

フィジカルAIは、生成AIで進歩したAIを現実世界の機械や自動車に適用することを指します。現実世界の温度、湿度、明るさなどのデータはアナログであるため、これを扱うことができるアナログ半導体の需要を刺激することが期待されます。

ただし、実際にフィジカルAIによってアナログ半導体の需要が拡大するには時間がかかると考えられます。というのは、当初フィジカルAIの効果は人員の削減という形で出て、その後徐々に台数増加による恩恵へシフトすると考えられるためです。

それでも、株式市場の投資テーマにのりやすく、市場の注目を集めやすいという効果は期待できるでしょう。

図表2 株価の出遅れが著しいアナログ半導体

図表3 主要アナログ半導体銘柄の株価

(2)改めて、アナログ半導体とは?

株式市場において、アナログ半導体銘柄の存在感はあまり大きくありません。

米国株に投資している方でも、あまり内容を知らないという方も多いかもしれません。そこで、以下では改めてアナログ半導体について解説いたします。

〇アナログ半導体とは?

アナログ半導体と対になる言葉は、デジタル半導体です。デジタル半導体は、離散的に変化する信号(デジタル信号)のみを処理する半導体です。以下にあげたものを含み、一般的に半導体といってイメージするのはこちらだと思います。

・CPU(中央演算処理装置)・・・PC、サーバーに使われる

・GPU(画像処理装置)・・・画像処理に使われ、最近では主にAI半導体として使われる

・メモリー・・・データの一時保持に使われるDRAMや記憶装置として使われるフラッシュメモリー

一方、アナログ半導体は、連続的に変化する信号(アナログ信号)の処理もできる半導体を指します。アナログ信号を処理する場面では必ず使われる半導体で、現実世界との情報のやり取りが必要なスマホ、自動車、産業機器などに多く使われます。

デジタル半導体は、大量のデータを高速に処理して、最近ではAI半導体が株式市場の花形として注目を集めています。一方、アナログ半導体はデジタル半導体に比べると地味な役回りです。ただ、株式市場は変化に反応しますので、アナログ半導体も停滞から拡大局面へ変化すれば、それ相応の株価上昇が期待されます。

〇世界半導体市場統計のアナログ半導体

世界の半導体市場の動向をとりまとめている世界半導体市場統計(WSTS)でアナログ半導体の位置を図表4で確認してみましょう。

AIデータセンター投資の拡大によって、AI半導体として使われるGPUを含む「ロジック」、AI半導体とともに使用されるHBM(高性能なDRAMです)を含む「メモリー」の市場が2024年からデジタル半導体が急拡大してきたことがわかります。

これによって「アナログ」は、半導体市場の中で占める割合が小さくなっています。「アナログ」の売上は、2022年から2023年、2024年と売上は減少しましたが、2025年、2026年とも前年比8%の売上増加が予想されています(2025年12月2日公表の秋季半導体市場予測)。

AIブームによってロジックやメモリーが急拡大したのに比べると変化は小さいものの、確実な市場回復が期待されます。ただし、AI半導体の売上が2年で2倍以上に拡大したような華々しい拡大は期待できません。これまで低迷していた需要が増加基調に転じるくらいの変化です。

ちなみに、デジタル半導体に分類される「マイコン」の需要も低迷してきて、アナログ半導体と似た動きになっています。「マイコン」は小型のCPUで、アナログ半導体を動かす頭脳としてセットで使われることが多いため、売上の動きが似ています。

〇アナログ半導体の銘柄

S&P500指数に採用されているアナログ半導体の7銘柄を、各社の分野別売上構成比とともに、図表5にリストアップしました。

銘柄数ではS&P500指数の半導体銘柄(製造装置の銘柄を除く)14銘柄の半分を占めますが、デジタル半導体銘柄のエヌビディアやブロードコムの時価総額が非常に大きくなったため、時価総額では6%を占めるに過ぎません。

テキサスインスツルメンツ、アナログデバイセズは業界の大手で、幅広い産業にアナログ半導体を供給します。モノリシックパワーシステムズは、データセンターに関連する分野の売上が大きいことから、図表3の株価動向も他のアナログ半導体銘柄に比べて好調に推移してきました。

NXPセミコンダクターズとONセミコンダクタは自動車向けの比率が高いのが特徴です。スカイワークスソリューションズはスマホ向けの比率が高いのが特徴です。

図表4 世界半導体市場統計(WSTS)の半導体種類別売上

図表5 アナログ半導体各社の分野別売上構成比(時価総額順)

(3)アナログ半導体の注目銘柄

図表5にリストアップしたアナログ半導体7銘柄から、時価総額が大きい5銘柄をご紹介いたします。

テキサス インスツルメンツ(TXN)

アナログ半導体の最大手で、マイコンも手掛けます。米国の半導体企業にはファブレス(製品製造工場をもたない)が多い中、米国の自社工場での生産が中心である点に特徴があります。10-12月期売上が前年同期比10%増となったのに対し、1-3月期の売上ガイダンスが同8~17%増で、業績の伸びが緩やかに改善しつつあります。

2025年の分野別売上は、インダストリアル(売上構成比は33%)が前年比12%増、自動車(同33%)が同6%増、パーソナルエレクトロニクス(同21%)が同7%増、データセンター(同9%)が同64%増、コミュニケーション(同3%)が同20%増でした。

アナログ デバイセズ(ADI)

テキサスインスツルメンツに次ぐアナログ半導体の大手です。2/19(木)引け後に発表予定の11-1月期決算は、売上が前年同期比28%増、EPSが同44%増と好調が見込まれています。

2025年8-10月期決算は、売上が前年同期比26%増、EPSが同33%増と好調でした。売上は全部門で増加、通信が前年同期比37%増、インダストリアルが34%増、自動車が同19%増、コンシューマーは7%増でした。

モノリシック パワー システムズ(MPWR)

ストレージ&コンピューティング、エンタープライズ・データなどデータセンターに関係する売上が約半分を占めるため(2025年12月期)、他のアナログ半導体銘柄と株価の動きが異なっています。2/5(木)引け後に発表の10-12月期決算は、売上が前年同期比21%増、調整後EPSは同17%増で、いずれも市場予想を1%上回って好調でした。

分野別売上は、エンタープライズデータが前年同期比20%増、ストレージ&コンピューティングが同19%増、自動車が同18%増、コミュニケーションが同31%増、コンシューマーが同15%増、インダストリアルが同34%増と全分野が高い伸びを記録しています。

マイクロチップ テクノロジー(MCHP)

マイコンが主力でアナログ半導体も手掛けます。2/5(木)引け後に発表の10-12月期決算は、売上が前年同期比16%増となり、7-9月期の同2%減から大幅に改善しました。ただし、同社は1/5(月)に売上見通しを上方修正していました。

1-3月期の売上ガイダンス中央値は12.6億ドルで前年同期比30%増と、さらに加速する見通しです。経営幹部は、幅広い最終製品市場の改善、受注モメンタムの好調維持、在庫削減と稼働率の向上など事業環境の改善を語りました。

NXP セミコンダクターズ(NXPI)

2006年にフィリップスの半導体部門から分社、自動車向け売上が58%と多いのが特徴です(2025年12月期)。2/2(月)引け後に発表された四半期売上の前年比伸び率は、2025年7-9月期が2%減、2025年10-12月期が7%増、2026年1-3月期ガイダンスが8~15%増と改善しつつあることが確認されました。調整後EPSも同様に、10%減、5%増、5~20%増と改善基調となっています。

10-12月期の分野別の売上は、主力の自動車が前年同期比5%増、インダストリアル&IoTが同24%増、モバイルが同23%増、通信インフラが同18%減と、通信インフラ以外は改善基調となっています。

図表6  注目アナログ半導体銘柄の投資指標

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