米国株投資家必見!?銘柄レポート、決算リリースを読むときに必要な基礎知識

米国株投資家必見!?銘柄レポート、決算リリースを読むときに必要な基礎知識

投資情報部 榮 聡

2026/03/25

(1)ファンダメンタルズの把握に重要な事柄

今回は、米国企業の銘柄レポートや決算リリースを読むときに知っておいたほうが良い会計用語や米国株式市場の慣行などについて解説します。普段のレポートでは、スペースの関係などから、本来説明したほうが良いケースでも、省略していることがありますので、この機会に親しんでいただければ幸いです。

〇「調整後EPS」は何を調整している?

米国株式市場では、一時的な要因による利益変動を排除して、経常的な収益力を示す「調整後EPS」がよく使われます。

米国企業の決算報告書は、GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)、つまり、一般に公正妥当と認められる会計原則に基づいて作成されます。しかし、この数字が企業の経営実態を的確に表していない場合に、Non-GAAP(GAAPでない)の数字が参考に併記されることがあります。

投資家は、一時的な要因によってゆがんだ利益よりも、一時要因を除いた基調利益によって業績予想や投資判断を行うため、通常GAAPよりもNon-GAAPの数字を重視します。

例えば、事業のリストラ費用によってGAAPベースのEPSは赤字に落ち込んでいても、リストラ費用の計上が前期で終了して、今期以降には影響を与えない場合には、リストラ費用を除いた「調整後EPS」をベースに企業を評価するといった具合です。

具体的な事例としてブロードコム(AVGO)の2025年11月-2026年1月期決算を見てみましょう。GAAPのEPSは1.50ドルに対してNon-GAAPでは2.05ドルと30%以上の乖離です。乖離の主因は、役職員に対する株式報酬費用と企業買収に伴うのれん代の償却費をNon-GAAPでは除いて計算していることです。テクノロジー企業によくある典型的な事例です。

Non-GAAPの数字を決算リリースで提示するためには、GAAPからNon-GAAPの数字に至るまでに、どのような調整を行ったかを説明しなければならないというルールがあります。

ただし、Non-GAAPの数字は、「こちらの数字のほうが会社の実態に近いと思いますので、ご参考ください。」という会社の意見だという点は注意が必要でしょう。アナリストや投資家によっては、会社が提示したNon-GAAPの数字は実態を表していないと考えて、GAAPの数字を使うとか、Non-GAAPの数字に独自の調整を施した数字で評価するということも起こりえます。

なお、日本企業の場合には、企業の利益の増減を評価する場合に、営業利益や経常利益が使われるのは、米国のような「調整後EPS」が普及していないためと考えられます。特別損益の影響を受ける前の利益を使って利益の変化を把握するためです。「調整後EPS」を提供してくれる米国市場は便利にできています。

〇「オーガニック売上成長」ってどういうこと?

米国では企業合併や事業売却が活発なため、これらの影響を除いた既存事業の売上成長はどうなっているかという問いに答える数値です。これも調整後EPSと同じように、企業の成長の基調で評価しようという考え方です。日本語では、「内部成長」や「同一組織での成長」などと訳せます。

例えば、「前期中に企業を買収したために売上の伸び率は前年比20%増に高まったが、買収効果を除くオーガニック売上成長でも同10%増と好調だった」というふうに使われます。

買収によって売上成長が高くても、オーガニック売上成長が市場の期待を下回ると、コアの事業は思っていたほど良くないのではないかという疑念が生じて株価が下落する要因になることはよくありますし、反対にヘッドラインの売上成長はマイナスでもオーガニック売上成長が堅調であれば好感するというケースもあります。

また、海外への事業展開が大きいコカ-コーラ(KO)プロクター & ギャンブル(PG)のケースでは、為替変動の影響を除いた売上成長を言う場合に、オーガニック売上成長を使うこともあります。為替変動は企業がコントロールできないため、これによって変動した利益については、割り引いて評価しようという考え方が背景にあります。

例えば、コカ-コーラの2025年10-12月期決算では、売上成長が前年比2%増で、オーガニック売上成長は同5%増だったと説明されています。同社は各要素の寄与も分解して、オーガニック売上成長の内訳は濃縮液の売上が同4%増、価格/製品ミックスが同1%増で、為替変動が同2%減、M&Aが同1%減と詳しく開示しています。

〇「EBITDA(イービットディーエー)」を持ち出すのはなぜ?

償却費を差し引く前の営業利益に相当する利益の一種です。Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略語で、「利払い前、税金前、償却前利益」と訳します。

利益の指標として企業がなぜこれを持ち出すかですが、償却費が大きい企業がこれを差し引く前の利益水準を見てほしい場合が多いです。償却費はキャッシュの変動を伴わないため(過去に支払った代金を各年度に費用として割り振っているため)、キャッシュフロー(現金収入)に相当します。

「税前利益や純利益は赤字だけれど、EBITDAは黒字を確保しています」、つまり、「現金収入はプラスを確保していますよ」、ということを強調したい場合に使われる傾向があります。

また、EBITDAは、企業買収のときの企業評価尺度である「EV/EBITDA」倍率として出てくることがあります。これは、EV(エンタープライズバリュー=株式時価総額+有利子負債-現預金等)をEBITDA(キャッシュフロー)で割って、年間に稼得しているキャッシュフローの何倍に評価して企業を買おうとしているかという指標になります。

(2)決算発表にまつわるテクニカルな知識

〇コンセンサス予想との比較

米国企業の決算数字(実績の売上・EPS、売上ガイダンスなど)は、まず、市場のコンセンサス予想より良いか悪いかで判断されます。コンセンサス予想というのは、企業アナリストが公表している業績予想数字を、Bloomberg、ファクトセット、リフィニティブなどの情報ベンダーが集計したものです。

株式市場には発表された決算に対してすぐに売りか買いで反応しなければならない参加者(証券会社のディーラー、トレーダーなどプロの参加者が主です)がいて、その人たちにはコンセンサス予想との比較が最も妥当な可能性が高い判断基準となります。

ただし、コンセンサス予想との比較ですべて決まるかというとそうでもなく、決算リリースに説明されている内容を吟味して、また、決算説明会を聞くことで市場の投資判断が変化していくことはよくあります。

さらに、大手の機関投資家では、業界他社の決算発表が一巡したところで、改めてどの銘柄が良いのかを選別することも多く、決算直後に売られた銘柄が、全体を見渡した中でトレンドが良いということで見直されることもあります。

〇業績ガイダンス

日本企業の場合は、決算短信に売上や営業利益の通期業績予想が単一の数字で表記される場合が多いと思います。一方、米国企業の場合は、業績ガイダンスを示す形式は企業によってまちまちです。

業績の変動が激しいハイテク企業の場合は、次の四半期の売上やEPS(1株当たり利益)のガイダンスを、それぞれ〇~〇百万ドル、〇~〇ドルといったレンジで示すのが典型的です。ハイテク企業ほど業績の変動が激しくない場合には、通期の売上やEPSのガイダンスが示される場合があります。

公表する方法も、決算リリースに「Outlook」という見出しのもとにまとめる企業、決算リリースには記載せず決算説明会資料に記載する企業、決算説明会で口頭で伝える企業など、まちまちです。ガイダンス情報がどこに掲載されているかは、日本企業ほどストレートではないため、注意を要する点です。

〇プロフィットウォーニング

企業が業績ガイダンスを発表しているケースで、業績動向がガイダンスから大きく乖離して推移している場合には、プロフィットウォーニングが発表されることがあります。

例えば、1-3月期決算の発表を控えている場合には、4月の第1週、第2週に発表されるケースが多いです。「ウォーニング」(警告)と言いますが、悪いときばかりではなく、ガイダンスよりも良い場合もウォーニングと言われます。

個別銘柄を保有しているときはもちろんのこと、相場全体の市場センチメントを推し量るうえでも、四半期決算期が終わったあとの、1~2週間にはプロフィットウォーニングが出ないか留意しておく必要があります。

〇業績に関する唐突な開示

特段のイベントがないにもかかわらず業績に関して急なリリースがあることがあります。一部のアナリストや投資家だけに重要な情報を開示することを避けるための措置であることが多いです。

典型的なパターンは、証券会社や企業自身が開催する投資家説明会において、講師がプレゼンの都合上、将来の事業計画について話したい、業績見通しをアップデートしたい、足もとの営業状況を話したい、といったようなケースで、これまでに開示していない重要な内容が含まれる場合にリリースが行われます。

開示はイベントが開催される直前に行われることが多いです。投資家デーの開催や証券会社のイベントに出席するなどの予定はIRサイトに開示されますので、チェックしておくと良いでしょう。

(3)決算について、その他の知っておきたい事柄

〇前期比と前年同期比

四半期業績の変動を示すときの対象として、直前の四半期との比較をするのが「前期比」で、4四半期前との比較をするのが「前年同期比」になります。

例えば、2025年7-9月期と2025年10-12月期を比べるのが「前期比」、2024年10-12月期と2025年10-12月期を比べるのが「前年同期比」です。

通常は前年同期比が使われますが、業界の動きが速いテクノロジー系の企業では、「前年同期比」では動きを見逃す可能性があるため、「前期比」を中心に業績の動きを説明する場合があります。

例えば、半導体メモリーのサンディスク(SNDK)の2025年10-12月期決算リリースでは、「前期比」「前年同期比」とも表示していますが、「前期比」の比較表を手前に表示しています。半導体メモリー業界は価格変動による業績の変化が激しいために、「前年同期比」を見ていては“遅すぎる”とか“誤解する恐れがある”というのが理由だと思われます。

〇会計年度と四半期

米国企業の会計年度は、1月~12月という企業が多いです。一方、小売企業や一部テクノロジー企業では1月が決算期末というものもあり、それ以外の月が決算期末という企業もあります。

注意が必要なのは、日本と米国で会計年度の呼び方が異なることです。2026年3月が決算期末の企業について、日本では2025年度になりますが、米国では2026年度になります。日本では決算期が始まる月を基準しているのに対して、米国では決算期が終わる月が基準になります。

例えば、エヌビディア(NVDA)の2026年1月期は、2026年度になります。ちなみに、年度をFY(Fiscal Year)と略すこともあります。ですから、エヌビディアの「FY27」といったら、2027年1月期のことになります。

12月が決算期末の企業では、第1四半期は1-3月期、第2四半期は4-6月期となります。これを第1Quarter(クウォーター)という意味で「1Q」や「Q1」と略して表記することがあります。2025年度の4Qというと、12月が期末の企業では2025年10-12月期、10月が期末の企業では、2025年8-10月期のことだということになります。

〇決算発表の時間帯

米国企業の決算発表は、「市場取引開始前(7:00~9:00頃)」か「市場取引終了後(16:00~17:00頃)」の2つの時間帯が中心です。

お気づきの方も多いと思いますが、米国では国内に時差があるため、本社が東海岸の企業は「市場取引開始前」、西海岸の企業は「市場取引終了後」に発表するというのが典型的パターンです。ハイテク大手の決算発表が「市場取引終了後」に多いのは、企業の本社が西海岸に多いためです。

「市場取引終了後」に発表する場合は、決算発表日の翌日の相場に影響を与えるケースがあるため、時間外取引でどのような反応になっているか要チェックです。

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