半導体の多層化進展で恩恵が期待されるラムリサーチ

半導体の多層化進展で恩恵が期待されるラムリサーチ

投資情報部 榮 聡

2026/05/13

(1)ラムリサーチに注目する理由

AIデータセンターへの投資が拡大する中で、幅広い半導体銘柄が恩恵を受けていますが、今回は半導体製造装置大手のラムリサーチをご紹介いたします。

〇半導体製造装置の大手

ラムリサーチは、世界の半導体製造装置メーカーの中で、オランダのASML、米国のアプライドマテリアルズに次ぐ、売上3位の会社で、4位には日本の東京エレクトロンが位置します(2025年データ)。

1位のASMLは露光装置に特化した会社(装置売上の97%が露光装置)です。これまで数十年間に半導体の微細化は主に回路線幅の縮小によって達成されてきましたが、その微細化を実現するためのキーデバイスが露光装置です。

特に最先端の半導体製造に使われるEUV(極端紫外線)露光装置では市場を独占したことから、露光装置だけで半導体製造装置業界の売上トップに上り詰めました。

一方、売上2位以下の3社はいずれも成膜装置、エッチング装置、コータ・デベロッパ、洗浄装置など幅広い半導体製造装置を提供して、お互いに競争しています。

〇ラムリサーチは成膜装置、エッチング装置に強く、半導体の多層化で恩恵

幅広い半導体製造装置を提供する3社の中で、ラムリサーチは、成膜装置、エッチング装置を中心に手掛け、特にエッチング装置ではトップの市場シェアを持っています。

現在半導体は能力向上のために多層化が進みつつありますが、多層化で多用される成膜装置、エッチング装置に恩恵が大きくなると考えられ、そこに強いラムリサーチへの恩恵は相対的に大きくなると期待できます。

半導体の多層化については、構造が比較的単純なフラッシュメモリーでは既に数百層の多層化が実現しています。一方、回路構造が複雑なDRAMではウエハ上の多層化(※)は実現していませんが、業界では研究開発が進んでおり、これから多層化が進む可能性があります。また、ロジック半導体でも回路線幅が2ナノメートルになると、多層化されると言われています。

※ここで言う多層化は、ウエハ上での多層化を示します。よく言われるHBM(高性能のDRAM)の多層化は、半導体チップを垂直方向に積み上げるもので、ウエハ上での多層化とは内容が異なります。

〇半導体製造装置大手4社の売上推移

図表2に半導体製造装置大手4社の売上推移をプロットしました。

ASMLが最も成長すると見込まれていますが、ラムリサーチはその次に成長期待が高く、幅広い半導体製造装置を提供する3社の中では最も成長期待が高いことがわかります。

ASMLは成長期待が高いものの、露光装置というほぼ単品に依存することから、技術の変化に影響を受けやすく、比較的リスクが高い会社と考えられます。そういう意味では、ラムリサーチにも注目する意味があると考えられます。

図表2 半導体製造装置大手4社の売上推移

(2)半導体の製造工程と各工程の主要プレーヤー

半導体の製造工程には、ウエハに回路を形成する「前工程」と、ウエハをチップに切り出して製品として完成させる「後工程」がありますが、以下ではラムリサーチに関係が深い前工程の主要部分について解説いたします。

1. ウエハの上にエッチングするための、膜を形成する。

原子レベルで薄い膜を形成します。成膜の方式には、CVD(化学気相成長)、PVD(スパッタリング)、ALD(原子層堆積)などがあり、アプライドマテリアルズASMインターナショナル(ASMLの源流となったオランダ籍の会社)、ラムリサーチなどが主要プレーヤーです。

2. 膜の上にフォトレジスト(感光性樹脂)を塗布する。

コータと呼ばれる装置が使われます。下の4.で使われるデベロッパと合わせて、東京エレクトロンスクリーンホールディングスなど日本メーカーが高いシェアを持っています。

3. 露光によってフォトマスクの回路をフォトレジストに転写する。

フォトマスク(回路パターンを描いた原版)を露光装置によってフォトレジストに転写します。露光装置ではASMLが圧倒的に強く、最先端の半導体に不可欠なEUV露光装置では独占しています。

4. 現像してフォトレジストの光が当たった部分を削除する。

露光によって性質が変化した部分のフォトレジストを削除して、エッチングのために被膜を露出させます。デベロッパが使用されます。

5. フォトレジストのない部分をエッチングする。

エッチング装置は、除去する物質の性質によって誘電体(電気が通る物質)を除去するコンダクター・エッチ(Conductor Etch)と誘電体と絶縁膜を選択的に除去するダイエレクトリック・エッチ(Dielectric Etch)の2種類があります。

コンダクター・エッチでは、ラムリサーチが約5割の市場シェア持ち、ダイエレクトリック・エッチでは東京エレクトロンが約6割のシェアを持って、それぞれ強みを有します(2024年、Bloombergアナリストのレポートより)。ラムリサーチはダイエレクトリック・エッチでのシェア上昇に注力しています。

6. フォトレジストを除去して、回路が完成する。

図表3 半導体の製造工程

(3)ラムリサーチのご紹介

ラムリサーチ(LRCX)

【会社概要】

半導体製造装置で世界3位。1980年にデイビッド・ラム氏が創業しました。半導体製造の前工程で用いる成膜装置、エッチング装置、洗浄装置に強く、エッチング装置では世界トップシェアを誇ります。

【業績動向】

AI利用の広がりによる半導体の能力に対する要求の強まりを背景に、半導体製造工程での多層化の進展(higher deposition)とエッチング強度の高まり(etch intensity)が同社の成長機会となっています。同社は、半導体製造装置市場のSAM(同社が対応可能な市場規模)が、2026年の30%台半ばから長期的に30%台後半に上昇していくと見込んでいます。

1-3月期の売上は前年同期比24%増で市場予想を2%ポイント上回り、4-6月期の売上ガイダンス中央値は前年同期比28%増と加速となる見通しです。営業利益率は業界での競争力の強さを背景に、2025年10-12月期34.3%、1-3月期35.0%から、4-6月期36.5%へ改善が続く見通しです。

【株価情報】

5/12(火)終値289.24ドルの予想PERは、2026年6月期予想EPS基準で50.9倍、2027年6月期予想EPS基準で36.8倍、2028年6月期予想EPS基準で30.4倍です。

5/12(火)時点のアナリストによる目標株価平均値は314.58ドルで、投資判断は買い/中立/売りがそれぞれ30/8/0となっています。

図表4 業績推移

図表5 顧客種類・製品別売上構成比(2026年1-3月期)

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