K-POP、成長のバトンは次世代へ

K-POP、成長のバトンは次世代へ

LS証券リサーチセンター

2026/2/6

K-POPの世代交代は成功局面へ

BTS、BLACKPINKに続く新世代アーティストの台頭は、K-POPの新たな成長ドライバーとなっています。近年、エンターテインメント大手4社(HYBE、YGエンターテインメント、JYPエンターテインメント、SMエンターテインメント)は、いずれも世代交代を見据えた新人アーティストを相次いでデビューさせており、その成長スピードは過去と比べても顕著に加速しています。

▶ HYBE(銘柄コード:352820)

2025年下半期にデビューしたCORTISは、デビューアルバムの累計販売枚数が100万枚を突破しており、グローバルでの認知度も急速に高まっています。このほか、BOYNEXTDOOR、ILLIT、TWSなど、若手アーティストを中心とした多様なポートフォリオを構築しています。

▶ YGエンターテインメント(銘柄コード:122870)

2024年4月にデビューしたBABYMONSTERを主要IP(知的財産)として保有しています。BLACKPINKというスーパーIPの活動空白期により業績下振れが懸念されていましたが、日本および欧米を中心にBABYMONSTERの認知度が急速に拡大し、その影響を補っています。

▶ SMエンターテインメント(銘柄コード:041510)

RIIZE、Hearts2Hearts、NCT WISHなど、複数の若手IPを保有しています。欧米市場での影響力は競合他社と比べると限定的ですが、アジア圏での認知度は着実に拡大しています。

▶ JYPエンターテインメント(銘柄コード:035900)

NEXZ、KickFlipといった若手IPを擁しており、主な活動地域は韓国および日本を中心とするアジア市場です。

若手アーティストの直近ツアー実績からも、成長スピードの速さが確認できます。成長性に対する市場評価が進むことで、K-エンターテインメント業界は中長期的にバリュエーション面でプレミアム評価を受けやすいと判断しています。

表1 エンターテインメント大手4社の主要若手アーティストツアー(ファンコンサート)実績

所属事務所 アーティスト デビュー年数 ツアー名 期間 公演回数 動員数(万人) 1公演当たり動員数(人)
HYBE BOYNEXTDOOR 4年目 KNOCK ON Vol.1 2024.12 ~ 2025.07 25 14.2 5,680
TWS 3年目 24/7:WITH:US 2025.06 ~ 2025.08 19 8.4 4,421
ILLIT 3年目 2025 ILLIT GLITTER DAY 2025.06 ~ 2025.11 8 5 6,250
SMエンターテインメント RIIZE 4年目 RIIZING DAY 2024.05 ~ 2024.09 24 9.5 3,958
RIIZING LOUD 2025.07 ~ 2026.02 34 39.3 11,559
NCT WISH 3年目 LOG in 2024.11 ~ 2025.06 25 7.6 3,040
INTO THE WISH: Our WISH 2025.10 ~ 2026.04 31 21.1 6,806
JYPエンターテインメント NEXZ 3年目 One Bite 2025.06 ~ 2025.08 18 3.8 2,111
YGエンターテインメント BABYMONSTER 3年目 HELLO MONSTERS 2025.01 ~ 2025.09 33 37.4 11,333

資料:各社、LS証券リサーチセンター

K-POPのMDグッズと商業的機会

K-POPは、MD(マーチャンダイジング/グッズ)事業を軸に、持続的な成長が可能な収益基盤を構築しています。音源・アルバムや公演はアーティストの活動時期に左右されやすい一方、MD事業はアーティストの認知度やファンダムが維持される限り、安定した需要が発生します。ペンライト、アパレル、フォト商品といった定番MDに加え、シーズンごとに発売される限定MDはファンの継続的な購入を促し、エンターテインメント企業の売上基盤を下支えしています。海外市場においても、現地流通企業との協業やポップアップストア、オンラインモールを通じて、物理的な制約を比較的受けずに販売が可能です。

K-POPコンサートの規模拡大は、MD事業の構造的な成長ドライバーとなっています。単独公演やツアーと連動したオン・オフラインのポップアップストアを中心に限定MDが販売されるケースが多く、近年ワールドツアーの増加に伴いMD売上も大きく伸びています。2026年末時点では、エンターテインメント大手4社すべてにおいて、MD売上高が総売上高の20%を上回ると予想しています。

図1 ジャンル別コンサート来場者1人当たりMD支出額および購入率

ジャンル別コンサート来場者1人当たりMD支出額および購入率

資料:atVenu、LS証券リサーチセンター

図2 エンターテインメント大手4社の総売上高に占めるMD売上比率

エンターテインメント大手4社の総売上高に占めるMD売上比率

資料:各社、LS証券リサーチセンター

K-POPのプラットフォーム化

K-エンターテインメント業界は、公演・アルバム中心の従来型ビジネスから、プラットフォームを中核とするビジネスモデルへと移行しつつあります。HYBEの「Weverse」やDearUの「Bubble」は代表的なファンプラットフォームであり、アーティストとのDM(ダイレクトメッセージ)、ライブ配信、映像コンテンツ、オンラインMDモールサービスなど、グローバルファンダムが集い活動できる多様な機能・サービスを提供しています。ファンプラットフォームは、単なるコミュニケーション手段にとどまらず、高収益モデルへと進化しています。有料メンバーシップや独占コンテンツ、オンラインイベントを通じてファンの滞在時間を伸ばし、安定的な売上成長と収益確保が可能となります。また、プラットフォーム上に蓄積されるデータは、ファンの嗜好や消費行動の分析に活用され、MD企画やコンサート需要の予測にも寄与しています。

WeverseのMAU(月間アクティブユーザー数)は、2023年3Q以降横ばいで推移していましたが、BTSのカムバックやグローバルアーティストの参加を背景に回復し、2025年3Qには1,100万人を超えました。Bubbleについても、競争激化により2023年以降加入者数が減少していましたが、積極的なグローバル事業拡大を進めた結果、2025年3Q時点で219万人まで回復しています。

図3 Weverseの四半期別MAU推移

Weverseの四半期別MAU推移

資料:HYBE、LS証券リサーチセンター

図4 DearU Bubbleの四半期別加入者数推移

DearU Bubbleの四半期別加入者数推移

資料:DearU、LS証券リサーチセンター

K-POPのグローバル化 - ローカライズ型アイドルの拡大

韓国のエンターテインメント業界が高いバリュエーションを維持・拡大していくためには、グローバル市場における持続的な基盤拡大が不可欠です。近年は、多国籍メンバーで構成されるローカライズ型アイドルを投入し、グローバルファンダムの拡大を図る動きが加速しています。現地の音楽市場や文化特性を反映することで参入障壁を下げつつ、K-POP特有の制作システムを維持することで、収益性の向上が見込まれます。また、近年米国や欧州を中心に「多様性」への関心が高まる中、多国籍メンバーで構成されたグループの必要性は一段と高まっています。

代表例として、HYBEが2024年にデビューさせた米国ローカライズ型アイドルKATSEYEは、「多様性」を掲げたマーケティングによりグローバルで幅広い支持を獲得し、現地市場での存在感を着実に高めています。代表曲「Gabriela」はBillboard Hot 100に25週連続でランクインし、グラミー賞のノミネートにもつながりました。このほか、HYBEはラテンアメリカ向けローカライズ型アイドルSANTOS BRAVOSを展開しており、JYPエンターテインメントも中国向けローカライズ型アイドルCIIUを公開しています。

図5 KATSEYE Spotify月間リスナー数推移

KATSEYE Spotify月間リスナー数推移

資料:Spotify、LS証券リサーチセンター

表2 エンターテインメント大手3社の主要ローカライズ型アイドル

所属事務所 アーティスト デビュー 活動地域
HYBE &TEAM 2022.09 日本
aoen 2025.04 日本
KATSEYE 2024.08 米国
SANTOS BRAVOS 2025.1 メキシコ/中南米
MUSZA 2025.1 メキシコ/中南米
SMエンターテインメント WayV 2019.01 中国
NCT WISH 2024.02 日本、韓国
dearALICE 2025.02 英国
JYPエンターテインメント BOYSTORY 2018.09 中国
NiziU 2020.06 日本
CIIU 2025.08 中国
GIRLSET 2025.08 米国

関連銘柄

▶ HYBE(銘柄コード:352820)

2026年の連結売上高は3兆7,296億ウォン(前年比+40.9%)、営業利益は4,593億ウォン(前年比+825.1%、営業利益率12.3%)を予想しています。スーパーIPであるBTSが約3年ぶりに3月20日のカムバックを予定しており、2026年の業績を大きく押し上げる見通しです。BTSのワールドツアーは第1次日程として79公演が予定されており、動員数は約470万人と推定しています。これはK-POP史上最大規模となる見込みです。加えて、北米を中心に認知度が急速に拡大しているKATSEYEや、デビューアルバム販売100万枚超のCORTISなどが成長を下支えしています。

図6 HYBEの年間部門別売上高予想

HYBEの年間部門別売上高予想

資料:HYBE、LS証券リサーチセンター

図7 HYBEの年間営業利益予想

HYBEの代表アーティスト「BTS」

資料:HYBE、LS証券リサーチセンター

▶ YGエンターテインメント(銘柄コード:122870)

2026年の連結売上高は6,588億ウォン(前年比+19.3%)、営業利益は884億ウォン(前年比+22.7%、営業利益率13.4%)を予想しています。2025年のBLACKPINKワールドツアーにより前年実績が高水準となった反動はあるものの、直近のツアーを通じて高い成長性を示したBABYMONSTERおよび再契約に成功したTREASUREが、こうした影響を補完すると判断しています。MDおよびIPライセンス事業を中心とした収益構造の改善が進んでおり、海外流通企業を通じたロイヤルティ収入の拡大により、利益率は徐々に改善する見通しです。

図8 YGエンターテインメントの年間部門別売上高予想

YGエンターテインメントの年間部門別売上高予想

資料:YGエンターテインメント、LS証券リサーチセンター

図9 YGエンターテインメントの年間営業利益予想

YGエンターテインメントの年間営業利益予想

資料:YGエンターテインメント、LS証券リサーチセンター

▶ SMエンターテインメント(銘柄コード:122870)

2026年の連結売上高は1兆3,145億ウォン(前年比+12.9%)、営業利益は2,099億ウォン(前年比+19.6%、営業利益率16.0%)を予想しています。主要IPであるaespaおよびNCTが業績成長を牽引するほか、RIIZE、Hearts2Heartsなどといった若手アーティストの活動拡大が期待されます。これまで欧米市場での影響力が相対的に弱かったことから、競合他社と比べてバリュエーション・ディスカウントを受けてきましたが、2026年はaespaを中心とした北米展開の進展が評価見直しの材料になるとみられます。加えて、EXOのカムバックも業績に追い風となる見通しです。

図10 SMエンターテインメント(単体)の年間部門別売上高予想

SMエンターテインメント(単体)の年間部門別売上高予想

資料:SMエンターテインメント、LS証券リサーチセンター

図11 SMエンターテインメント(単体)の年間営業利益予想

SMエンターテインメント(単体)の年間営業利益予想

資料:SMエンターテインメント、LS証券リサーチセンター

▶ JYPエンターテインメント(銘柄コード:035900)

2026年の連結売上高は8,170億ウォン(前年比+3.9%)、営業利益は1,783億ウォン(前年比+25.2%、営業利益率21.8%)を予想しています。ベテランアイドルであるTWICEおよびStray Kidsが引き続き活発に活動しており、業績成長を牽引しています。TWICEは2026年上半期に欧州・北米を中心としたワールドツアーが30公演予定されており、NMIXXやITZYも公演を通じてグローバルでの存在感を高める見通しです。一方、2025年のStray Kidsスタジアムワールドツアーにより前年実績が高水準となっている反動から、2026年の成長ペースはやや鈍化すると見込んでいます。2026年においては、下半期のStray Kidsのカムバックの有無に加え、初のワールドツアーを実施するNMIXXの成果が注目点となります。

図12 JYP エンターテインメントの年間部門別売上高予想

JYP エンターテインメントの年間部門別売上高予想

資料:JYPエンターテインメント、LS証券リサーチセンター

図13 JYP エンターテインメントの年間営業利益予想

JYP エンターテインメントの年間営業利益予想

資料:JYP エンターテインメント、LS証券リサーチセンター

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