「バイデン氏大統領選撤退!大統領選は確トラとなるか!?」
小次郎講師
2024/07/22
バイデン氏が大統領選を撤退、後継候補にハリス氏を支持
7月21日、バイデン大統領は11月の大統領選から撤退することを正式に表明しました。そして後継候補として、ハリス副大統領を支持することを明らかにしました。バイデン大統領は、2025年1月までの任期を全うすることが、党にとっても国にとっても最善の利益になると考えているとの声明を出しました。
バイデン氏は、前回のTV討論会での力の無い態度や演説での言い間違い、さらにはコロナ感染と健康面も含めて強いリーダーシップを示すことができませんでした。一方、トランプ氏は銃撃による暗殺未遂事件にもかかわらず、ガッツポーズを見せて戦う強いリーダーシップを示し、バイデン氏にとって厳しい選挙戦が予想される中での大統領選撤退という決断となりました。
現職の大統領が再選出馬を断念するのは1968年の大統領選への出馬を見送った民主党のジョンソン氏以来、56年ぶりのことだそうです。いずれにせよ、バイデン氏撤退により、超大国アメリカの大統領選の構図が激変することは間違いありません。
今後の流れとしては、8月19日~22日に民主党大会が開催されます。党としては、まだ正式に大統領候補を指名していないため、代議員が指名投票で新たな候補を選出することになります。今後、バイデン氏が推薦するハリス氏以外に、名乗りを上げる候補者が出てくるかに注目が集まります。米メディアによる後継候補として、ハリス氏のほか、西部カリフォルニア州のニューサム知事やミシガン州のウィットマー知事、ブティジェッジ運輸長官らが挙げられています。11月5日の投開票の大統領選まで4カ月を切っており、民主党が早く後継候補を決めて選挙戦を立て直せるかが焦点となります。大統領選を戦う民主党の候補を選ぶ予備選はすでに終了し、バイデン氏が代議員の大半を獲得して指名が確定していただけに、民主党が候補差しかえの手続きを円滑に進めることができなければ、党内分裂につながり、共和党有利に働く可能性もあります。
確トラを意識し始めたマーケット
11月5日の投票日まで4カ月を切りました。バイデン氏の遅すぎた決断がトランプ氏の復権に勢いを与え、「確トラ(確実にトランプ前大統領が勝利する)」に向けて動き始めたかもしれません。民主党内で分断が起きてしまうと、大統領が共和党になるだけでなく、連邦議会の上下両院選においても共和党が制する「トリプルレッド」になるという危機感も浮上します。なぜなら、トランプ氏がフリーハンドで政策を遂行することが可能になるからです。
トランプ氏への銃撃事件が起きた後のマーケットでは、「トランプ・トレード」といわれる取引が席巻しました。トランプ氏が推進する業種が買われ、逆風が吹きそうな業種が売られるという動きがトランプ・トレードです。エネルギー大手や金融に資金がシフトする一方、米国の半導体ビジネスを台湾が奪ったと発言している「トランプ・トレード」により、半導体関連株が軒並み急落し、ハイテク株の時価総額は円換算で150兆円以上消失しました。市場関係者の間では、テック株の急落は極めて有望な押し目買いのチャンスであり、AIブームは終わらないとの見方もあるようですが、大統領選を優位に進めるトランプ氏の発言がマーケットを揺さぶる構図は当面続きそうですので注意が必要です。
まとめ
バイデン氏撤退により、米国の大統領選の構図が激変しました。米国の混乱は、中国やロシアなどの国々に付け入る隙を与えかねません。とはいえ、マーケット関係者の間では、9月の利下げシナリオにより米国市場のソフトランディング(軟着陸)が可能となり、株式市場の好調が維持されるとの見方もあるようです。それでも世界のマーケットは、トランプ前大統領時代の「米国第一主義」的な政策運営への警戒が広がっているのは事実です。トランプ氏は米製造業の復権を掲げ、特に自動車部品分野に拘っています。マーケットの乱高下や不安定な動きが続きに中止しながら、リスク管理を徹底し、マーケットに振り回されないようにしましょう。
著者プロフィール
小次郎講師
岡山県出身。チャート分析の第一人者として、投資セミナー、書籍などを通じて個人投資家向けの投資教育活動を精力的に展開している。
40年以上の投資キャリアを持つ。
【出演】
・ラジオNIKKEI「小次郎講師のチャートラボラトリー」レギュラー番組
【受賞暦】
・みんなの株式「コラムアワード2013、2014」2年連続大賞受賞
・パンローリング社「ブルベア大賞2016」大賞受賞、
「ブルベア大賞2015、2019」準大賞受賞、「ブルベア大賞2017、2018」特別賞受賞
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