初級- なぜ買うと下がるの?株の流れを知る第一歩

初級- なぜ買うと下がるの?株の流れを知る第一歩

買うと下がるのはなぜ?

■見えざる手

「なんで買ったら、さらに下がるの~」

「私が売った時に限って、どんどん株価が上がってしまう」

「影の組織が、私の取引を観察していて、私が損をするように株価を動かしているに違いない!」

株式投資を始めると、まるで“見えざる手”が作用しているかのように、自分のポジションとは逆方向に株価が動いていると感じてしまうことがあります。

■この後、株価はどう動く?

図表1は、2025年1月から2025年6月までの東証上場A社株の値動きを示したものです。A社は、主力であるアジア市場での競争激化により、増益予想が一転して減益予想となり、大きく売り込まれました。もっとも、減益ではあるものの赤字ではありませんでした。A社は知名度の高い企業であるため、株価水準が下がったことで割安と受け止めた投資家の取引も少なくなかったと考えられます。その結果、急落局面の出来高は図表1下段で確認されるように急増していました。

その後の値動きを見てみましょう。図表2を見ると、2025年5月にも大きく下落しています。以降、一時的な戻しはあったものの、下落トレンドは継続しました。A点、B点、C点と時間の経過とともに株価水準は切り下がり、仮に購入していたとしても、後になるほど安く買えたことになります。しかし結果的には、どこで購入しても、その後の下落によって損失となっています。文字どおり、「なんで私が買ったら、さらに下がるの~」と感じてしまうような状況だったといえるでしょう。

■知らないのは私だけ

過去の株価は、将来の株価を約束するものではありません。これはスポーツにも似ています。野球やサッカーでは、過去の試合データや記録をもとにさまざまな分析が行われていますが、明日の勝敗を完全に予測することはできません。

将来のことは、明日のことでさえ誰にも分かりません。少しでも参考になる材料が、スポーツでは過去データであり、投資の世界では過去の値動きや業績なのです。株式投資において、各社の資産や売上といった数値は把握できます。しかし、企業風土や競争環境、非公開ノウハウ、経営者の性格、現在企画中の新製品など、機関投資家であっても投資先企業を完全に理解しているとは言えません。

日米欧ともに、一定割合以上の大株主だけでなく、企業の取締役等が行う自社株の売買について開示が義務付けられています。内部者の取引情報が重視されるのは、彼らが最も多くの企業情報を持つ当事者だと考えられているからです。では、企業関係者の次にその会社のことをよく知っているのは誰でしょうか。取引先や金融機関なども考えられますが、インサイダー取引規制や情報管理の徹底により、通常こうした情報が外部に伝わることはありません。

投資家の立場で見れば、他の投資家、とりわけ真っ先に売買というアクションを起こしている投資家は、公開情報をもとに業績への影響を素早く判断している可能性があります。同じ公開情報であっても、前提となる知識や業界理解の深さによって、判断が異なるのは当然です。

株価が大きく下がっているにもかかわらず、その理由が分からない場合、「知らないのは私だけで、実は大変な事態になっている」という可能性も否定できないのです。

図表1 A社株の値動き2024/1-2024/11 株価急落の場合

図表2 A社株の値動き2024/1-2026/1 その後の値動き

流れに乗る「順張り」と我が道を行く「逆張り」

図表3は、東証上場B社株の2024年12月から2026年1月までの値動きです。2025年5月、「国策銘柄」として注目が集まり、出来高を伴って急騰しました。この時点では期待が先行し、業績への影響はまだ見えにくい状況でした。

B社株は2025年初から下落が続いていたため、「やっと戻った」とホッとして売却した投資家が増えたためか、大商いとなっていました。しかしその後、さらに注目度が高まり、業績の上方修正とともに株価の上昇トレンドが継続します。株価が大きく上昇したD点、E点、F点のいずれで購入しても、結果を見れば利益となった局面が多くなっていました。逆に言えば、それまで保有していた方が、これらの時点で売却してしまっていた場合、「私が売ったら、さらに上がる」という状況になっていたともいえます。

■順張りと逆張り

株価のトレンドに従って取引する手法を「順張り(じゅんばり)」、トレンドに逆らって取引する手法を「逆張り(ぎゃくばり)」といいます。順張りは、上昇している株を買い、下がり始めたら売るという、流れに乗る投資手法です。一方、逆張りは、大きく下落した株を買い、反転上昇を待つ手法です。

※現物取引を想定しています。信用取引の空売りの場合は異なります。以下、同じ前提で説明します。

一般的に、順張りは多数派の見方に沿った取引であるため、トレンド相場では有効とされています。ただし、相場が過熱している局面で高値掴みとならないよう注意が必要です。株価が上昇トレンドにある場合でも、「なぜ買われているのか」「業績への貢献は見込めるのか」「極端に割高ではないか」といった点を確認してから参加することで、失敗を減らすことができるでしょう。

逆張りは、「他の人が投げ売りしている局面で、異なる視点から買い集め、上昇を辛抱強く待つ」という、我が道を行く投資手法です。見立てが正しければ高いリターンにつながることもありますが、見逃していた要因によって損失を被るリスクもあります。

逆張りで成功するには、他の誰よりも銘柄を深く調べ、「現在の株価は間違っている」と確信できる場合にのみ投資する規律が必要です。

図表3 B社株の値動き2024/12-2026/1 株価急騰の場合

まずは順張りで、失敗しにくい個別株投資をめざす

■森を見る

2012年末にアベノミクスが始まると、多額の海外資金が流入し、11月中旬に9,000円を割れていた日経平均株価は、安倍首相が退陣した2020年9月までに23,000円台まで上昇し、およそ2.5倍となりました。このように市場全体が大きく上昇する局面では、多くの銘柄が一斉に上がり、個々の業績を押し流すような大きな資金の流れを俯瞰することが重要です。 この観点から注目されるのが、2026年2月の衆議院選挙です。選挙結果次第で、海外資金がさらに日本市場に向かうのか、あるいは「日本売り」へと転じるのか、その分岐点となる可能性があります。 なお、市場全体が下落している中でも、一部の銘柄が逆行高となることもありますが、逆風の中での投資となる点には注意が必要です。「木を見て森を見ず」ではなく、まず「森を見る」ことが、株式投資の大前提といえるでしょう。

■株価指数は「倒産」しないが、個別企業は破綻リスクがある

日経平均株価やTOPIXに連動する投資信託やETFに投資する場合において、株価指数がゼロになる、あるいは投資対象の指数構成銘柄すべてが同時に破綻するというような事態は想定しづらいものがあります。

一方、個別株は状況が異なります。業績不振、不祥事、不正会計、海外事業の失敗など、さまざまな要因で破綻に至った企業は少なくありません。企業が破綻すれば、株式はほとんどの場合、無価値になります。これが株価指数との大きな違いです。

■個別株投資はまず順張りを学ぶ

個人的な見解ではありますが、これから個別株投資を始める方には、まず順張りの手法をしっかり身につけることをお勧めします。これが失敗を避けるために役立つと私は考えています。 以下、具体的な手順を説明します(図表4)。

1.市場全体に影響を与えるイベントを確認します。海外資金が流入している局面は追い風ですが、「日本売り」の状況では厳しい環境になります。

2.投資対象が上昇トレンドにあることを確認します。日足(ひあし)に加え、週足(しゅうあし)や月足(つきあし)もチェックし、中長期の流れを把握しましょう。

3.急騰している場合は、その理由が現実的か、業績への寄与が見込めるかを確認します。赤字であったり、極端に割高な水準であれば見送ります。

4.購入後に下落し始めた場合は売却します。直近高値から7~10%を目安にするなど、自分なりの基準を持ちましょう。

5.当面はこの手順に徹し、安易に逆張りをしないことが大切です。

■ まとめ

・株価が自分の売買と逆に動くと感じるのは、情報や判断の差があるから

・上昇している銘柄には、何らかの背景や評価の変化が織り込まれていることが多い

・下落が続いている局面にも、それなりの理由が存在している場合が少なくない

・上向きの流れでは無理に逆らわず、下向きの局面では距離を取る順張りは妥当な選択肢となりうる

・十分な根拠を伴わない逆張りは、結果として大きな判断ミスとなる可能性がある

図表4 ドイマサの投資レシピ 失敗しにくい個別株投資は順張りから

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