初級- 積立投資は何日に設定すべき?

初級- 積立投資は何日に設定すべき?

毎月何日に日経平均を買うか問題

■相場の神様はカレンダーを見ているの?

投資信託やETFで積立設定をするとき、多くの場合に手が止まりやすいのが「毎月何日に買う設定にするか」です。「1日がよいのか、10日がよいのか」「給料日が多い25日前後は逆効果なのか」と、投資初心者のみならず、ベテラン投資家にとっても、某ラーメン店で「麺の硬さ、味の濃さ、脂の量」を聞かれたときのように、急に自分の選択が将来を左右する重大決定に思えてくるかもしれません。

「月初は新しい資金が入って株価が高い?」「米国の雇用統計発表後や日経平均先物・オプションの最終決済期日は荒れるらしい」「月末は機関投資家のリバランスで荒れるのでは?」「給料日後なら無理なく投資できるからおすすめ」など諸説あるようで、判断に困ってしまいます。

■過去10年間の日経平均株価では上旬に荒れているが、特定日の影響も大

そこで、2016年1月4日から2026年5月11日までの約10年4ヵ月について、毎日の騰落率(単純)の分布を調べました(図表1)。この期間の結果を見る限りでは、日経平均株価は上旬に下落した日が多く、中旬は比較的安定し、下旬には27日に高く、30日に安いようではあるもののおおむね堅調というように見えます。

なお、あくまで平均値をみれば傾向があるように見えるというだけで、月初だから必ず強い、月末だから必ず弱い、というものではありません。また、株式相場ではクラッシュも大幅高もあり、1日で大きく動くことが珍しくありません。図表2は、同期間で、最大値(最も上昇した日)と最小値(最も下落した日)を併せて表示したものです。

例えば、「5日」の最小値は-12.4%ですが、これは2024年8月5日で、この日があることで「5日」の平均騰落率は0.10%下落しています。逆に、「6日」の最大値は+10.2%で、この日は2024年8月6日で、暴落の翌日の戻りでした。このように平均で見る際には、10年という長期間であっても、大きく相場が動いた日の影響を大きく受けていました。

図表1 日経平均株価の日ごとの平均騰落率(2016/1/4~2026/5/11)

図表2 日経平均株価の日ごとの騰落率の最大値・最小値(2016/1/4~2026/5/11)

S&P500の積立設定は何日が良かった?

■S&P500の場合

積立投資を行っている方が多いS&P500についても同様に調べました。S&P500については、指数をそのまま見るのではなく、実際に日本の投資家が投資する感覚に近づけるため、米ドル建の指数とみなしてその日の米ドル/円レートを使って円換算※しています。つまり、米国株の値動きだけでなく、為替の揺れも加えた“日本国内の投資家目線”です。

※S&P500終値に同日の米ドル/円レートの終値を乗じた数値を用いて分析しています。配当、税金等は考慮していません。

図表3の円換算したS&P500の場合、平均値を見る限りは日経平均株価よりも押しなべて上昇している日が多いことに加えて、中旬には下落しているように見えます。しかし、日経平均株価と同様に特定日の影響は無視できません。図表4の最大値、最小値を見ればどの日も上下に突出していて、平均値とは水準が異なっています。中でも「16日」の最大下落率12.0%はコロナショック時の2020年3月16日のものでした。

図表3 S&P500(円換算)の日ごとの平均騰落率(2016/1/4~2026/5/11)

図表4 S&P500の日ごとの騰落率の最大値・最小値(2016/1/4~2026/5/11)

過去10年の積立試算

■2016年1月から毎月積立を始めていた場合

以上のように日経平均株価もS&P500も、日付ごとの平均騰落率を見ると、多少の傾向はあるように見えます。また、特異点ともいえる特定日の影響が大きく、「毎月この日に買えば勝てる」とは言い切れません

とはいえ、過去データでの試算は可能です。そこで、2016年1月から投資を始めて2026年4月まで毎月同じ日に日経平均株価またはS&P500への連動を目指す投資信託を用いて月額3万円の投資を行った場合の、積立設定日による投資成果の違いを試算しました(図表5)。※

※現金決済(買付余力/銀行引落等)で毎月一定額(3万円)を積み立てるとして、1日、2日、3日……29日まで、それぞれの日に投資した場合の結果を試算しています。土日祝日などで取引がない日は、次の取引日に買ったものとして扱っています。現実の投資信託でも、注文日と約定日がずれることがあるため、ここでは厳密な売買タイミング当てではなく、「積立設定日を選ぶときの傾向を見る」ための試算です。なお、保有期間は積立設定日にかかわらずほぼ同じとなるので、信託報酬、分配金、および税金は考慮していません。また、2026年5月時点ではSBI証券では1日、30日、31日を投資信託の積立設定日とすることができないのでご注意ください。さらに、決済方法がクレジットカードの場合は積立設定日が7~9日のみに限定される等の制約があります。1日についてはSBI証券では設定できませんが、既に設定されている方も多いため、比較対象に含めています。

■日経平均株価で約2.4倍、S&P500で約2.9倍

この計測期間では、日経平均株価(図中赤線)で積立設定日にかかわらず積立元本合計額に対して時価評価額が2.43倍~2.46倍、S&P500(図中青線)で2.89倍~2.92倍という結果となりました。10年4ヵ月の積立回数が124回、月額3万円で元本総額が372万円に上っていたので、それぞれ大きく資産を増やせていたことになります。

また、日経平均株価、S&P500(円換算)への連動をめざす投資信託の積立投資においても、ともに月初寄りの積立設定日の結果が良好でした。一方で、中旬から下旬を積立設定日としていた場合は、10年4ヵ月で1%ポイントから2%ポイント程度の違いではありますが、やや見劣りする結果となりました。原因としては、①たまたまこの計測期間だけこの結果となった、②月の前半に相場が荒れることが多い構造的な要因が存在していた、③日米ともに株価の上昇トレンドが継続したので、結果として早めに市場に資金を入れた方がパフォーマンスが良かった、といった理由が推察されます。

以上から、日米ともに今後も似たような値動きとなるという前提の場合は、月の上旬の複数日に投資信託の積立設定日を分散させることが一案といえます。具体的には、①同じ投資信託であれば口座区分(特定/一般、NISA成長、NISAつみたて)を変えて積立設定日を変える②同じ株価指数を対象とする投資信託を併用して積立設定日を分散する、といった対応が考えられるでしょう。

■今後は異なる結果になる可能性にも注意

なお、ここで注意すべきなのは、この計測期間の結果だけを見て「3日◎、15日〇、27日△」などと決めつけないことです。積立投資は短距離走ではなく、10年、20年と続ける長距離走です。今後長期間にわたって相場全体の値動きがさらに激しくなって特定の日の影響が大きくなったり、相場が長期的に下落して後から買う方が有利になったりすることもあり得ます。過去10年間の結果は参考になりますが、将来も同じとは限りません。毎月きちんと積み立てる効果に比べれば、積立設定日選びは脇役という点に留意しましょう。

■まとめ

多くの方が迷う積立設定日に関して、過去10年4ヵ月ほどの試算を行ったところ、以下のことが言えそうです。

・日経平均株価とS&P500(円換算)で、日付別の平均騰落率には傾向が見られるが、急落や急反発など特定日の影響大

・2016年1月から2026年4月までの積立試算では、月初寄りの設定日が中旬・下旬よりやや良好かもしれない

・ 積立設定日の差は10年4ヵ月でも1~2%ポイント程度であり、日付選びよりも長期で毎月継続することが重要

図表5 積立設定日別の累積投資元本に対する時価評価額試算(2016.1~2026.4)

図表6 ドイマサの投資レシピ 積立投資は何日に設定すべき?

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