NISAとは?旧NISAとの違いをわかりやすく解説!
松岡 紀史
2024/11/06
2024年1月からNISA制度が新しくなり、2023年までの旧NISAと比べると、非課税投資枠の拡大や非課税保有期間の無期限化など、より自由度の高い投資ができるようになりました。
しかし、制度が拡充されたぶん複雑になり、旧NISAとの違いを正確に理解できていない人もいるかもしれません。
この記事では、新NISAと旧NISAでは具体的に何が変わったのかと、そのメリット・デメリットを詳しく紹介していきます。
NISAとは?制度の概要を紹介
NISAには成長投資枠とつみたて投資枠があります。これまでの一般NISA、つみたてNISAとの共通点や違いを見てみましょう。
成長投資枠
NISAの成長投資枠とは、旧NISAにおける一般NISAを引き継いだ投資枠です。年間投資枠は240万円で、購入は一括(スポット)と積立方式が選べます。
非課税保有限度額は1,200万円ですが、後述のつみたて投資枠との合計額が1,800万円までという制限があります。
成長投資枠では、国内外の上場株式や投資信託、ETFなど、さまざまな商品が購入できます。しかし、長期的な保有に向かない株式や投資信託などが一部除外されたため、一般NISAに比べると購入可能な商品は減っています。
つみたて投資枠
NISAのつみたて投資枠とは、旧NISAにおけるつみたてNISAを引き継いだ投資枠です。「つみたて投資枠」という名前からわかるように、購入は積立方式のみで、年間投資枠は120万円、非課税保有限度額は成長投資枠と合わせて1,800万円です。
つみたて投資枠で購入可能なのは、金融庁の基準を満たした長期の積立・分散に適した一定の投資信託で、対象の商品は2024年6月7日時点で293本に厳選されています。そのため、投資初心者でも選びやすく、投資の第一歩として始めやすいのが特徴です。
NISAと旧NISAの5つの違い
NISAと旧NISAの違いをまとめると、次のようになります。
|
NISA(2024年以降) |
旧NISA(2023年まで) |
||
---|---|---|---|---|
|
つみたて投資枠 |
成長投資枠 |
つみたてNISA |
一般NISA |
制度の併用 |
併用可 |
併用不可(選択制) |
||
年間投資枠 |
120万円 |
240万円 |
40万円 |
120万円 |
非課税保有期間 |
無期限 |
無期限 |
最大20年 |
最大5年 |
非課税保有限度額 |
1,800万円*1 |
1,200万円(内数)*2 |
800万円 |
600万円 |
口座開設期間 |
恒久化 |
恒久化 |
2023年まで |
2023年まで |
投資対象商品 |
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
上場株式・投資信託等*3 |
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
上場株式・投資信託等 |
買付方法 |
積立 |
スポット、積立 |
積立 |
スポット、積立 |
対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
18歳以上 |
18歳以上 |
- ※1簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)
- ※2つみたて投資枠と合わせて1,800万円まで
- ※3①整理・監理銘柄②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託を除外
制度の変更に伴い、大きく変わった5つの違いを詳しくご紹介します。
成長投資枠とつみたて投資枠が併用可能
旧NISAでは、一般NISAとつみたてNISAは選択制で、どちらか1つしか利用できませんでした。しかし、新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方が利用できます。
これにより、投資の自由度が上がりました。例えば、つみたて投資枠で毎月数万円を投資信託に積立投資しながら、成長投資枠で個別株の売買を行うといった投資も行えます。
もちろん、必ずしも併用する必要はなく、成長投資枠だけ、あるいはつみたて投資枠だけの利用も可能です。
年間投資上限額が引き上げ
旧NISAの年間投資上限額は、一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円でした。一方、新NISAの年間投資上限額は、成長投資枠で240万円、つみたて投資枠で120万円に拡張されました。
新NISAで成長投資枠とつみたて投資枠を併用した場合、合計で年間最大360万円まで投資が可能です。
非課税保有限度額が拡大
旧NISAの非課税保有限度額は、一般NISAで600万円、つみたてNISAで800万円でした。一方、新NISAの非課税保有限度額は1,800万円と大幅に拡大されています。ただし、成長投資枠の非課税保有限度額は1,800万円のうち1,200万円までに制限されています。
また、新NISAでは非課税保有限度額の再利用が可能です。つまり、1,800万円の非課税保有限度額を使い切ったとしても、そのうち取得価格で500万円分を売却すれば、500万円の非課税保有限度額が復活し、また投資が可能になります。
「取得価格で500万円分」の意味を詳しく説明すると、例えば500万円で買った投資信託が800万円まで値上がりしたタイミングで売却したとします。このとき、復活する非課税投資枠は800万円ではなく、買った時の価格500万円分ということです。
非課税保有期間が無期限に
旧NISAでは、非課税保有期間は一般NISAで5年、つみたてNISAで20年でした。したがって、運用する際は非課税保有期間内での売却を意識する必要がありました。
新NISAでは非課税保有期間が無期限に変更となったため、より長期的な利用が可能になりました。例えば、20代から老後を見据えてコツコツとNISA口座で積立投資をする、といった制度の利用もできるようになっています。
いつでも口座開設が可能に
旧NISAでは、一般NISAの投資可能期間は2014年から2023年まで、つみたてNISAは2018年から2037年までと決まっていました。しかし新NISAへの移行に伴い、旧NISAの投資可能期間は2023年までと変更になり、現在は新規で口座を開設することはできません。
このように旧NISAでは、口座開設できる期間が決まっていたため、口座開設が遅くなるとその分制度を利用できる期間と金額が少なくなりました。
一方、新NISAでは制度が恒久化されたため、いつでも口座を開設できるようになりました。また、いつ始めても非課税保有限度額まで、長期にわたって活用することができるようになっています。
NISAの注意点・デメリット
新NISAでは投資の自由度が増すため、毎月いくら投資に回すべきか、売却のタイミングはいつが適切かなど、考えることが多くなったことをデメリットに感じる人もいるかもしれません。
制度が拡張されたことで、「全部活用しなければ損」と考えてしまうと、投資の難易度はとても高くなり、自分で決めなければいけないことが大幅に増えてしまいます。
例えば、毎月3万円程度の積立投資なら問題ないけど、月々10万円だと生活が苦しくなる人もいるはずです。投資にお金を回しすぎて、いざという時すぐ使えるお金が足りなくなる恐れも出てきます。
制度が恒久化されたことで、売却するタイミングもいくらでも先延ばしにできますし、そもそも2つの投資枠は両方使った方がいいのか迷う人もいるでしょう。
特に投資初心者の方であれば、月々の投資額は慎重に決めましょう。現在の家計の支出額を正確に把握するのはもちろんですが、近い将来(3〜5年以内)にお金が必要になるライフイベントなども見通しを持っておくことが大切です。
結婚や出産、教育にかかるお金は失敗ができない資金なので、それらに必要な資金は貯金で準備し、その上で月々お金に余裕があれば、その余剰資金を投資額と決めましょう。
また、売却のタイミングを迷わないためにも、投資を始めるときは目標金額を設定しておくことが大切です。目標が不明確だと、「まだ上がるかもしれない」と考えいつまでも売却できないからです。
例えば住宅リフォームに400万円、老後の生活費に1,000万円などとゴールを決め、目標に達したら売却するとルールを決めておきましょう。
課税口座からNISAへの移行はできない
非課税保有限度額が大幅に拡大されたことで、今まで課税口座(特定口座や一般口座)で運用していた金融商品をNISAに移行したいと考える人もいるでしょう。
しかし残念ながら、課税口座で保有している金融商品をそのままNISA口座に移行することはできません。NISAに移したい場合、課税口座の商品を一旦売却し、NISA口座で新たに同じ商品を買い直す手続きが必要です。
課税口座で含み益が出ている商品を売却する場合には、利益に対して約20%の税金が課されます。
一方、含み損が出ている商品を売却しても税金はかかりません。また、その他の商品の利益と損益通算ができる可能性もあります。
NISAへの切り替えは自動で!
2023年末までに旧NISA口座を開設していた人は、2024年に自動的に同じ証券会社でNISA口座が開設されているため、自分で切り替え手続きを行う必要はありません。
この際、つみたてNISAの積立設定がつみたて投資枠に引き継がれている証券会社もありますが、つみたてNISAで購入していた投資信託は、NISAの非課税投資枠(最大1,800万円)とは別(外枠)で管理されます。
まだ新NISAの口座を確認していない方は、旧NISA口座を開設していた証券会社にて確認してみましょう。
NISAを始めるならSBI証券
新NISAは、年間投資上限額や非課税保有限度額が拡大したことや、制度が恒久化されたこと、また成長投資枠とつみたて投資枠が併用できることになった点などから、旧NISAに比べ非常に自由度が高い投資が可能な制度になっています。
NISAを最大限活用するのであれば、取扱商品の豊富さや手数料の安さから、SBI証券がおすすめです。ネット銀行との連携のしやすさや、クレジットカードを使った投資でポイントが付与されるのもメリットです。
投資を考えている人はSBI証券のNISAから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者プロフィール
松岡 紀史
ライツワードFP事務所代表
日本FP協会認定CFP。筑波大学大学院でファイナンスを学ぶ。ファイナンシャル・プランナーのライフプラン提案が金融商品の販売を前提としていることに疑問を感じ、2010年、保険・投資信託を販売しない独立系FP事務所を兵庫県神戸市に設立。「節約・貯金」「保険」「投資」いずれかに偏ることのない、バランスを重視した包括的なライフプランの提案をおこなっている。
NISAのご注意事項
次に掲げる事項は、それぞれ2024年以降のNISA(成長投資枠・つみたて投資枠)のことをいいます。 • 配当金等は口座開設をした金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。NISAの口座で国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
• リスク及び手数料について
SBI証券の取扱商品は、商品毎に所定の手数料や必要経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等は価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。各商品等への投資に際してご負担いただく手数料等及びリスクは商品毎に異なりますので、詳細につきましては、SBI証券WEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示又は契約締結前交付書面等をご確認ください。
• 同一年において1人1口座(1金融機関)しか開設できません
NISAの口座開設は、金融機関を変更した場合を除き、1人につき1口座に限られ、複数の金融機関にはお申し込みいただけません。金融機関の変更により、複数の金融機関でNISA口座を開設されたことになる場合でも、各年において1つの口座でしかお取引いただけません。また、NISA口座内に保有されている商品を他の年分の勘定又は金融機関に移管することもできません。なお、金融機関を変更される年分の勘定にて、既に金融商品をお買付されていた場合、その年分について金融機関を変更することはできません。NISAの口座を仮開設して買い付けを行うことができますが、確認の結果、買付後に二重口座であったことが判明した場合、そのNISA口座で買い付けた上場株式等は当初から課税口座で買い付けたものとして取り扱うこととなり、買い付けた上場株式等から生じる譲渡益及び配当金等については、遡及して課税いたします。
• NISAで購入できる商品はSBI証券が指定する商品に限られます。
SBI証券における取扱商品は、成長投資枠・つみたて投資枠で異なります。成長投資枠の取扱商品は国内上場株式等(現物株式、ETF、REIT、ETN、単元未満株(S株)を含む※)、公募株式投資信託(※)、外国上場株式等(米国、香港、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、海外ETF、REITを含む※)、つみたて投資枠の取扱商品は長期の積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託となります。取扱商品は今後変更する可能性があります。
※SBI証券が指定する制限銘柄(上場株式等)、デリバティブ取引を用いた一定の商品及び信託期間20年未満又は毎月分配型の商品は除きます。
• 年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。
N年間投資枠は成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円までとなり、非課税保有限度額は成長投資枠とつみたて投資枠合わせて1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円までとなります。非課税保有限度額は、NISA口座内上場株式等を売却した場合、売却した上場株式等が費消していた非課税保有限度額の分だけ減少し、その翌年以降の年間投資枠の範囲内で再利用することができます。 投資信託における分配金のうち特別分配金(元本払戻金)は、非課税でありNISAにおいては制度上のメリットは享受できません。
• 損失は税務上ないものとされます
NISAの口座で発生した損失は税務上ないものとされ、一般口座や特定口座での譲渡益・配当金等と損益通算はできず、繰越控除もできません。
• 出国により非居住者に該当する場合、NISA口座で上場株式等の管理を行うことはできません。 出国の際には、事前に当社に届出が必要です。出国により非居住者となる場合には、NISA口座が廃止され、当該口座に預りがある場合は、一般口座で管理させていただきます。なお、海外転勤の場合にNISAで継続保有することが可能な特例措置については当社では対応しておりません。
• つみたて投資枠では積立による定期・継続的な買付しかできません。
つみたて投資枠でのお取引は積立契約に基づく定期かつ継続的な方法による買付に限られます。
• つみたてNISAでは信託報酬等の概算値が原則として年1回通知されます
つみたて投資枠で買付した投資信託の信託報酬等の概算値を原則として年1回通知いたします。
• NISAでは基準経過日における氏名・住所の確認が求められます。
NISAでは初めてつみたて投資枠を設定してから10年経過した日、及び以後5年を経過するごとに氏名・住所等の確認が必要となります。当社がお客さまの氏名・住所等が確認できない場合にはお取引ができなくなる場合もございますのでご注意ください。
• 2023年までのNISA・つみたてNISAのご注意事項
• ジュニアNISAのご注意事項
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