暗号資産市場 週刊レポート(2025年8月27日〜9月3日)

株式会社HashHub
2025/09/04
価格動向
ビットコイン
週初は11.1万ドル台でスタートし、月末月初は複数回にかけて一時10.7万ドル近辺まで軟化するも、反発を繰り返しました。その後は11.0万ドル前後で持ち合い、週末にかけて11.0万〜11.1万ドルへ切り返し。週次騰落は0.6%、週内レンジは約10.7万〜11.35万ドルでした。直近の株・金利動向に連動しつつも、売り一巡後は買い戻しに支えられた格好です。
ゴールドなどの貴金属相場が好調であり、同様に無国籍アセットでありデジタルゴールドの地位が確立されつつあるビットコインが連想買いされている背景もあるといえます。先週金曜日には、連邦巡回控訴裁判所が相互関税を憲法違反と判断しました。発端は5月に国際貿易裁判所が相互関税は違憲だという判決を下したことにあります。これに対しトランプ政権側は連邦巡回控訴裁判所に上訴しましたが、これを棄却した形になります。
もし相互関税が違憲となるとすれば、連邦政府の赤字は向こう10年で2兆ドル以上増える計算になります。これは米国債の信任を低下させる圧力となり、ゴールドやビットコインへの資金を向かわせるきっかけになり得るといえます。

イーサリアム
イーサリアムは▲6.2%と調整しました。8/27の4,660ドル近辺から、月末にかけて4,230ドル台まで下押し後、4,270ドル前後で引け。レンジは4,230〜4,660ドル。イーサリアムへのマネーフローは好調ながら、短期的には過熱の反動や株安・金利上昇局面での換金売りが重荷となりました。
過去数ヶ月においてイーサリアムの価格上昇は転換社債などを市場で調達するいわゆるトレジャリー企業の買いに支えられていました。しかしながらレイバーデーの三連休を挟んだ先週のマーケットは、機関投資家が少なく、社債発行も閑散としています。従ってETHの直近の価格モメンタムが維持されにくかったのではないかと振り返れます。レイバーデー明け以後にこの状況が変化するかに注目されます。

XRP(リップル)
週間での騰落率は▲6%超。8/27の3.0ドル近辺から2.70ドル台まで軟化。レンジは2.70〜3.04ドルで、法的リスクの後退を織り込んだ先の上昇後、ひとまずの持ち高調整が継続。8/7でSECとの訴訟が正式終結したこと自体は中長期の不確実性を低下させています。

ドージコイン
▲3.7%。レンジは0.205〜0.226ドルで、短期フローに振らされる展開。ビットコインの方向感が鈍ると、短期筋の往来が増え、終盤は0.21ドル前後へ収れんしました。

ソラナ
週間で5%高を記録して主要暗号資産で最も良いパフォーマンスとなりました。8/29に217.9ドルまで買われた後は利食いも、200ドルを割り込むと押し目買いが入り205ドル台**で終了。レンジは194〜218ドル。
強さの背景にはETF観測の強まりがあります。フィデリティ、ヴァンエック、フランクリン・テンプルトンを含む複数の主要資産運用会社が、SECに提出したソラナETFの申請を修正したことがあります。アナリストは、ソラナETFの承認の可能性が90%を超えたと見ています。承認可否の決定は10月中旬までに行われる予定です。

テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
- ビットコイン:支持帯= 10.8万〜11.0万ドル、次に10万ドル。抵抗帯= 11.3万〜11.6万ドル、次に12.0万〜12.3万ドル。戻り売りと押し目買いの綱引きでレンジ上限・下限の攻防が続きやすい地合い。
- イーサリアム:支持= 4,200〜4,300ドル。抵抗= 4,550〜4,700ドル。ETFフローが支えだが、株・金利次第で上値は重くなりやすい。
- XRP(リップル):支持= 2.75〜2.85ドル。抵抗= 3.00〜3.10ドル。3ドルの節目を挟んだレンジ推移が基本線。
- ドージコイン:支持= 0.205〜0.210ドル。抵抗= 0.225〜0.240ドル。出来高を伴うブレイク確認まではレンジ意識。
- ソラナ:支持= 198〜202ドル。抵抗= 206〜218ドル。トレンドは相対強いが値動きは荒く、追随はストップ明確化が無難。
RSI(相対力指数)
日足ベースでは40〜60の中立圏に収れん。イーサリアムは前週までの上昇過熱が解消して中立下限寄り、ビットコインは中立下限、XRP(リップル)/ドージコインは横ばい圏、ソラナはやや強含み(中立上限寄り)。時間軸整合(4時間・日足)と出来高確認、移動平均との併用を推奨。
市場に影響を与えたニュースや経済要因
市場に影響を与えた要因として、まず注目すべきはイーサリアムフローの偏りです。8月はイーサリアム現物ETFへの強い資金流入が継続し、特に25日前後には単日で3億ドルを超える純流入が観測されました。一方で、ビットコイン現物ETFは週次で流出超となる局面が目立ち、投資資金のシフトが鮮明となっています。この流れが直近のイーサリアム相対強・ビットコイン相対弱というパフォーマンス差を説明する一因となりました。
また、ソラナ現物ETFを巡る動きも市場心理を刺激しました。8月30日にはVanEckやFranklin、Grayscale、21Shares、Fidelity、Bitwise、CoinSharesといった主要な運用会社が一斉にS-1を改訂。SECとの前向きなやり取りが進んでいることを示唆し、秋口の承認可否判断に向けた思惑が強まっています。この観測報道に先回りする形で買いが入りやすく、ソラナ相場は材料先行の展開となりました。
資本市場の話題としては、取引所Geminiが米国IPOで最大約3.17億ドルを調達すべく申請したことも注目されます。暗号資産関連企業の上場が再び動き出す兆しは、投資家センチメントの下支え要因となりました。
一方で、マクロ環境には向かい風が吹いています。9月入り後、長期金利の上昇、ドル高、株安、金価格の上昇という「リスクリバーサル」が同時進行しました。米国関税を巡る法廷判断や財政・政治要因への不安が絡み、リスク資産全般のボラティリティが高まっています。
見通し(1〜2週間)
統計的に9月は米国株式市場は歴史的に最も弱い月とされています。米国株式市場と一定程度の相関がある暗号資産市場は注意が必要で、ボラティリティが高まる可能性があります。
9月5日に予定されている8月の米雇用統計発表が市場の次なる方向性を決定づける可能性があります。雇用統計が悪すぎる場合はリセッションが懸念されてマーケットが荒れる可能性があり、逆に良すぎる雇用統計が発表されると利下げが遠のくため無難な数値が発表されることをマーケットは望んでいます。
また機関投資家の夏休みシーズンが終わり、トレジャリー企業の資金調達が再開される可能性について考察することは最近の暗号資産マーケット特有の事情になっています。これらの企業が資金調達できれば新たなフローとなります。あるいは社債引き受け手が希薄であったり調達コストが上昇すると、マーケットの雰囲気が変わる可能性もあります。
足元の価格動向をみると、9月2日時点でビットコインは約11万ドルを回復し、イーサリアムは4,400ドル前後で推移しています。9月相場特有の季節性を意識しつつも、市場は重要イベントを前に様子見姿勢を強めている印象です。
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