暗号資産市場 週刊レポート(2025年9月18日〜9月24日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年9月18日〜9月24日)

株式会社HashHub

2025/09/25

今週は、「利下げと規制整備」という中期的追い風と、「先物清算」による短期的逆風が同時に作用し、主要銘柄はレンジ内での振れを強いられました。価格面では引き続き支持・抵抗の帯を意識したレンジ戦略が機能しやすく、ファンダメンタルズ面ではPCEETF/デリバティブの拡充度合いが次のトレンドの芽を決定づけるとみます。中立〜やや強気のスタンスを維持しつつ、清算リスクとイベントリスクに配慮した機動的なポジション管理を推奨します。

価格動向

ビットコイン

FOMCの利下げ決定を好感したリスク選好で上値を試す場面があったものの、週明けにかけて先物ポジションの急速な解消が進み、一時 11.2万ドル前後まで下落。その後は 11.3万ドル近辺での持ち合いに移行しました。週内レンジは概ね 11.1万〜11.8万ドル。9/22頃には先物で約1517億ドル規模の清算が発生し、短期のレバレッジ過多が是正される形となりました。

NASDAQによる株主資本を使っての暗号資産購入に対する監視強化が始まっており、ストラテジー社を初めとした暗号資産トレジャリー企業の市場でのバイイングパワーが低下していることも相場下落に影響していると考えられます。日本においてもメタプラネットは一時期は3倍以上で推移していたNAVが現在は1.1-1.3程度で推移しており、以前のように資金調達を伴ったビットコインの購入がスムーズに行えない状況になっています。

相場下落局面で機動的にビットコインを購入してきたこれらの企業がビットコインを買えていないため相場の下支え要因が以前と比べて1つなくなっているのは気になるところです。

イーサリアム

イーサリアムは 4,600ドル近辺から軟化し、週明けの清算局面で一時 4,075ドル近辺まで下押し。その後は 4,2004,300ドル帯での戻り待ちの展開に。相対的にはボラティリティが高く、日中の値幅が拡大しました。

イーサリアムについてもビットコインと同様にトレジャリー企業の購入は停止しており、6月から8月にかけての資金流入は見られなくなっています。

XRP(リップル)

XRPとドージコインへのエクスポージャーを提供する米国初のETF(上場投資信託)が、18日に取引を開始しました。 Rex SharesOsprey Fundsが提供する商品は、Cboe BZX Exchangeに、DOJEXRPRのティッカーシンボルで上場しました。

しかしながらこれはブラックロックなどが提供するビットコインETFなどと異なり、XRPやドージコインを直接保有しません。代わりに、ケイマン諸島に拠点を置く子会社を利用して、先物やその他のデリバティブを通じてエクスポージャーを獲得します。そのため擬似的に価格をトラッキングする投資商品と理解するのが実態に近いでしょう。

一時的に注目されて価格も反応しましたが、その後でチャートは失速しています。

ドージコイン

同じくドージコインも9/18に米国初のドージコインETFDOJE)が上場したものの、翌週の清算加速で急反落。0.24ドル割れまで下落し、0.230.26ドルの間で荒い往来となりました。ETF上場自体はテーマ性を高めた一方、短期の過熱を冷ます格好になりました。

ソラナ

ソラナは一ヶ月単位で見れば相対的に底堅さを保ちつつも、今週は清算に連れて 230ドル台から 210ドル台後半まで押し目を形成しました。その後は 215230ドルのレンジで下値を探る動き。来月に向けたデリバティブ面の材料(後述)が意識されています。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン:支持11.0万〜10.8万ドル/心理的節目 10万ドル。抵抗 11.6万〜11.8万ドル、上抜けで 12.0万〜12.3万ドル。週明けの清算で過熱が一巡しつつも、戻り売り圧力は残存。

イーサリアム:支持 4,1004,300ドル/抵抗 4,6004,800ドル。清算後のリバウンドの強度を見極める局面。

XRP(リップル):支持2.852.90ドル/抵抗 3.103.30ドル。ETF初動のフローは出たが、持続的トレンド化には追随資金の確認が必要。

ドージコイン:支持0.220.23ドル/抵抗 0.250.27ドル。イベント通過で短期筋の手仕舞いが進み、出来高を伴う再上昇の可否が焦点。

ソラナ:支持 200206ドル/抵抗 230240ドル。相対強度は維持するが、急伸後の値固めが必要。

RSI(相対力指数)

清算を経てビットコイン/イーサリアム/ソラナRSI4050の中立圏に後退、ドージコインは一時30台後半で短期的な売られ過ぎシグナル、XRP(リップル)40台半ばで横ばい。方向性はファンダメンタルズ次第で出やすく、移動平均・出来高プロファイル等との併用を推奨します。(CoinDesk)

市場に影響を与えたニュースや経済要因

今週はまず米金融政策がセンチメントを左右しました。FOMC9/17に政策金利の誘導目標を4.004.25%へ25bp引き下げ、今後についてはデータ依存を強調しました。利下げ観測そのものはリスク資産の支えとなる一方、イベント通過後のポジション調整や先物市場の過熱解消が重なり、短期的にはボラティリティを高める要因となりました。併せて、ゴールド相場が史上高値圏まで上昇ました。

また米国株もS&P500NASDAQFOMC後に最高値を更新しています。暗号資産だけが8月から9月にかけて主要アセットに対して明確に出遅れをしています。本連載では複数回指摘していますが、この傾向はトレジャリー企業による投資余力がなくなっていることが大きな影響ではないかと筆者は考えています。1年以上に渡り、トレジャリー企業による暗号資産購入を相場のエンジンにしてきたためその反動が顕在化しており、それをこなす期間なのかもしれません。

規制・商品面では重要な進展が相次ぎました。SECがスポット商品(デジタル資産を含む)ETPの「汎用的上場基準」を承認し、個別の19b-4審査を経ずに上場できる道筋が整備されたことは、中期的な銘柄多様化と資金流入の裾野拡大につながる可能性があります。実際に9/18には、XRPとドージコインの米国初のスポット連動ETFXRPR/DOJE)がCboeで同時上場。さらにデリバティブではCMEがソラナとXRP先物のオプションを10/13に上場予定と発表し、機関投資家のヘッジ手段の拡充が進みつつあります。これらの制度面の変化は、現物・先物・オプション・ETFのエコシステムを接続し、価格発見と需給の受け皿を厚くする方向に働きました。SEC+2Cboe Global Markets+2

フロー面では、直近週にETFに約19億ドルの資金流入が観測され、ビットコインとイーサリアムを中心に機関投資家への広まりが進んでいます。

今週以降の見通し

基本シナリオは「レンジ継続からのエネルギー蓄積」です。マクロではFOMCが小幅利下げとデータ依存を明確化したことで、極端な金融環境の引き締め・緩和のいずれにも振れにくい地合いが意識されます。テクニカルには、ビットコインは11.0万〜11.8万ドルのレンジで出来高を伴うブレイク待ち、イーサリアムは4,1004,600ドルでの持ち合いが基本線といえるでしょう。

強気方向のトリガーとして考えられる要因として、一に米PCEデフレーター(9/26発表予定)が市場予想の範囲内に収まり、利下げペースの不確実性が後退すること。第二に、SECの汎用基準を土台としたETFパイプラインの拡充で、相場に盛り上がりを見せることです。

一方、弱気シナリオはPCEが上振れして、米金利とドル反発、株式市場も調整・暗号資産市場では再度の清算増幅という連鎖です。特に週明けにみられたような先物主導の大口清算(1.51.7億ドル規模)が再発すると、ビットコインは11.0万ドルの支持を割り込み10.8万が弱気シナリオとして考慮するべきでしょう。

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