暗号資産市場 週刊レポート(2025年10月9日〜10月15日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年10月9日〜10月15日)

株式会社HashHub

2025/10/16

今週(10/910/15)は、米中通商摩擦の再燃を背景にリスク回避の揺り戻しが強まり、10/1011にかけて暗号資産の全銘柄でフラッシュクラッシュが発生しました。清算規模は過去最大級に膨らみ、ビットコイン(BTC)は一時10.48万ドル近辺まで急落したものの、その後は自律反発で持ち直し、週後半はヘッドライン次第で神経質な往来を繰り返しています。また低位アルトコインの最大下落幅は50%前後になるものもありました。

フロー面では13日に米スポット型のビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)で合算約7.5億ドルの純流出が観測され、短期の需給は悪化しましたが、直近の週次統計では依然として資金流入超のデータも見られ、資金はニュースに振らされながら往来している格好です。構造面では、米最大のビットコイン(BTC)現物ETFIBIT)の運用資産が1,000億ドルに迫る水準まで拡大し、伝統金融マネーの受け皿は確実に厚みを増しています。

価格動向

ビットコイン

先週は史上高値圏(10/512.5万ドル超え)からの利食いをこなしつつ推移したものの、10/1011の急落局面では一時10.48万ドル近辺まで下押しをしました。このときの動きを他のアセットクラスと比較すると、ゴールドは価格上昇し、米国株も下落しましたが、最も下落幅が大きいNASDAQ指数も3%前半下落にとどまりました。その中でビットコインの最大下落幅は10%なので、やはりまだ相対的にボラティリティが高い資産であるということは認識すべきイベントであったと言えます。

また過去1年ー1年半くらいの間は大幅な下落局面でもストラテジー社などのトレジャリー企業が買い支える動きが見られましたが、現在は株価プレミアムが縮小しており、このような企業の資金調達能力が低下しています。日本で最も代表的なトレジャリー企業であるメタプラネットについては一時ディスカウントプライスにまで売り込まれています。これらトレジャリー企業が買い支える構図がなくなっている点も市場環境の変化として認識すべきでしょう。

その後は11.5万ドル前後まで自律反発、執筆時点で11.2万ドル近辺で推移しています。

イーサリアム

イーサリアムもフラッシュクラッシュの影響を強く受け、10/11前後に3,400ドル台半ばまで下落。その後は4,100ドル近辺まで戻すも、10/13にはスポットETFからの大幅流出が報じられ、戻りは重い展開となっています。

イーサリアムについてはビットコイン以上にDeFi市場で担保資産として採用されているため、このような大規模精算イベントのときに大きな急落となる点に注意が必要です。

XRP(リップル)

XRPは3ドルの大台を割り込み、10/1112にかけて一時2.38ドル近辺まで軟化しています。その後は2.6ドル台へ切り返すなど、ボラティリティは高止まりしています。

ドージコイン

ドージコインは0.25ドル圏からの急落で0.19ドル近辺まで下押し、週後半は0.21ドル前後での戻り待ちといえるでしょう。

ソラナ

ソラナは220230ドルの高値帯から急落し、週末にかけ180190ドル台での推移。値動き自体は相対的に粘り強いが、先物・オプションのポジション調整の影響を受けやすい局面といえます。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン:支持5万ドル(フラッシュクラッシュ安値圏)心理的節目 10万ドル。抵抗 11.8万〜12.2万ドル(戻り高値帯)→12.5万ドル(史上高値圏)。

イーサリアム:支持 3,4003,600ドル 3,8003,900ドル。抵抗 4,2004,300ドル → 4,500ドル。

XRP(リップル):支持2.352.40ドル。抵抗 2.803.00ドル。

ドージコイン:支持0.190.20ドル。抵抗 0.220.24ドル → 0.25ドル。

ソラナ:支持 175185ドル。抵抗 205210ドル → 220230ドル。

RSI(相対力指数)

BTC50前後で中立圏へ収れん。モメンタムの再強化には新規材料(マクロ/フロー)が必要。

イーサリアム40台後半でやや弱含み。ETFフローが改善すれば中立圏回復の余地。

XRP(リップル)/ドージコイン40台前半〜中盤。レンジ下限では反発しやすい一方、上値では売りが出やすい。

ソラナ50近辺で相対的に底堅いが、出来高を伴う上抜け確認が焦点。

いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

市場に影響を与えたニュースや経済要因

先週の最大のトピックは米中摩擦の激化観測でした。金曜日の米国株式市場の引け間際に、中国のレアメタル規制に対する米国側の強硬姿勢を示す報道が伝わると、グローバル市場全体でリスク回避が波及し、暗号資産はレバレッジの巻き戻しを伴って急落しました。

ビットコインは10/11前後に10.48万ドル近辺まで下押し、イーサリアムや主要アルトも連鎖安となりました。清算規模は過去最大級に膨らみ、ビットコインは一時10.48万ドル近辺まで急落したものの、その後は自律反発で持ち直し、週後半はヘッドライン次第で神経質な往来を繰り返しています。また低位アルトコインの最大下落幅は50%前後になるものもありました。

週明けにはトランプ大統領が若干態度を軟化させたような投稿をSNSに行い、今月に行われる米中首脳会談も予定通り行われそうという見通しが強くなり、市場のムードは反発しました。

需給面では、米スポットETFの資金動向がボラティリティを増幅しました。13日にはビットコインとイーサリアムの合算でまとまった純流出が確認され、特にイーサリアムでの資金引き揚げが目立ちました。一方で、週次ベースでは依然として純流入が続く統計もあり、長期マネーの受け皿としてのETFの存在感は低下していません。象徴的なのが、米最大のビットコイン現物ETFIBIT)のAUM1,000億ドルに迫る規模へ拡大している点で、短期の振れに対しても中長期の需給面で下支えが意識されやすい状況です。

日本国内では、PayPayによるBinance Japanへの出資が報じられ、決済基盤と暗号資産サービスの接続が進む可能性が注目されました。ユーザーベースの拡大や利便性向上への期待は、現物市場の裾野を広げる要因となり得ます。

今週以降の見通し

大規模な精算があったためトレーダーの資金は傷んでおり、米国株式市場も高値圏ではあるものの若干のリスクオフ姿勢がでてきています。基本的にはこのような条件の中でビットコインがすぐに高値を狙いに行くことは難しいのがメインシナリオだろうと思われます。一定の日柄調整が求められると考えられます。

弱気シナリオも意識すると、米中摩擦の長期化やETFからの継続的な資金流出が重なり、リスク資産全体の巻き戻しに暗号資産も連動する可能性があります。この場合、ビットコインは心理的節目の10万ドル近辺までの下押しリスクを意識し、イーサリアムは3,400ドル台の支持再テスト、アルトは相対的に下落弾性が大きくなることが想定されます。テクニカル的には、直近安値割れの有無と、その局面での出来高・清算規模の拡大がトレンド転換の分岐点となります。

イベント面では、米SECの上場基準や承認プロセスの更新動向が引き続き焦点です。アルトコイン銘柄ETFへの波及可能性や、先物・オプションを含む商品設計の拡充は需給に直結します。

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