暗号資産市場 週刊レポート(2025年10月16日〜10月22日)

株式会社HashHub
2025/10/23
今週は、月後半に備えたCPI発表とFRB金融政策発表などのイベント前の持ち合いが続く中、ETFフローの弱含みが目立ちました。短期はヘッドラインに振らされやすいものの、制度面の前進(スポットETFの一般基準整備やソラナETFの上場登録進展)とマクロの緩和方向が中期的な下支えとなる構図は維持されています。テクニカル面では各銘柄とも中立的なRSIと明確な支持・抵抗を形成しており、出来高を伴う水準ブレイクの成否が次のトレンド起点となるでしょう。
価格動向
ビットコイン
週初は10.8万〜11.3万ドルのレンジで神経質な戻りを試す展開。
21日には貴金属の急落とドル高の反動で買い戻しが優勢となり、一時11.3万ドル近辺へと切り返しました(当日レンジ:107,538–113,925ドル)。月間では「Uptober(10月に価格が上昇しやすい傾向のこと)」らしからぬ上値の重さが続き、10月としては近年で相対的に弱い推移になっています。
暗号資産市場は先週の10月10日、史上最大のレバレッジ精算によるフラッシュ・クラッシュを経験してまだそこから日が浅いです。この下落ではポジションを痛めた投資家が多く、中期の上昇トレンドを継続できるにしても一定の日柄調整が必要であることは先週のレポートで述べた通りです。まさに今、日柄調整の最中といえるでしょう。

イーサリアム
イーサリアムは3,850〜4,100ドルの持ち合いが継続しています。スポットイーサリアムETFは前週にかけて断続的な資金流入も見られた一方、週明け20日には資金流出が観測され、価格は4,000ドル前後での値固めに移行しました。足元の地合いはビットコインの方向感に連動しやすい一方、個別材料としてETFフローが需給面の下支え/上値抑制の両方に作用しています。
なおETH系トレジャリー企業のNAVは1倍割れも目立っており、これらの企業の新規購入にはもはや期待できないでしょう。

XRP(リップル)
XRP(リップル)は2.40〜2.55ドル中心のレンジ相場を形成しています。相場全体のリスクオフの影響を受けつつも、節目2.50ドル前後で下値は粘り、レンジ下限では押し目買いも散見されます。個別の新規材料は限定的でした。

ドージコイン
ドージコインは0.19〜0.21ドルの狭いレンジで推移。出来高はところどころ膨らむものの、上値0.20ドル台前半では戻り待ちの売りに押されやすい地合いが続きました。短期的には0.194ドル近辺の攻防が焦点です。こちらも個別の材料は限定的でした。

ソラナ
ソラナは182〜197ドルでの高ボラ持ち合い。米国では21SharesのSolana ETFが上場登録(Form 8‑A)を進めるなど制度面の前進が観測される一方、実際の取引開始時期は当局オペレーションの正常化次第で読みづらく、思惑で振れやすい局面が続きました。

テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
ビットコイン:支持 108,000→105,000→心理10万ドル。抵抗 113,000→115,000→120,000。中期トレンドは200日線上で上向き基調を維持。
イーサリアム:支持 3,850→3,700。抵抗 4,100→4,300(直近高値帯)。
XRP(リップル):支持2.40→2.30。抵抗 2.70→3.00(大台)。
ドージコイン:支持0.19→0.18。抵抗 0.22→0.25(出来高伴うブレイク確認が鍵)。
ソラナ:支持 185→175。抵抗 200→210→240(イベント見極め待ち)。
(※いずれも日足ベースの目安、単位はドル。)
RSI(相対力指数)
ビットコイン:日足RSIはおおむね50前後で中立。戻り試しには新規材料が必要。
イーサリアム:50台前半で過熱感はやや後退、ETFフローが下支え。
XRP(リップル) / ドージコイン:40後半〜50前後に収れん。レンジ上下限での反応が明確。
ソラナ:50台後半で相対的に底堅さを示唆。
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
市場に影響を与えたニュース
基本的には10月10日の大規模フラッシュクラッシュ後の日柄調整が続く1週間といえます。この日の下落ではレバレッジをかけたトレーダーが大きな損失をだしています。日本の大口投資家インフルエンサーでも「実はこの日に損失を出した」という告白がこの数日に散見されます。こういったトレーダーが世界中にいて、いずれも新規ポジション建てに神経質な状態が続くと考えるべきでしょう。
また10月21日にかけて上昇を続けていた金相場が大幅に急落し、同時にドルが反発したことで、暗号資産には一時的な逆相関の買い戻しが入る場面がありました。ただし、総じては「イベント前の持ち合い」色が濃く、方向感は限定的でした。需給面では、米スポット型ETFからの資金流出が続き、センチメントの重石として作用した一方、銘柄別にはイーサリアムやソラナ、XRP(リップル)に資金が向かう動きも観測され、セクター内ローテーションの兆しが見られました。
今週以降の見通し
今後1〜2週間は、まず米9月CPIの公表と月末FOMCを控えた「様子見レンジ」の延長が基本シナリオとなると考えます。ETFフローのマイナス幅が縮小し、市場機能が平常化すれば、ビットコインは108,000〜115,000ドル、イーサリアムは3,850〜4,300ドルのコアレンジでの推移が見込まれます。
今週は消費者物価指数(CPI)の発表を控え、これをもとにFRBは金融政策判断をします。前後ボラティリティが大きくなる可能性があります。
中期では、制度整備の前進とマクロの緩和方向が下支えとなる構図は不変であり、イベント通過後のトレンド再開に向け、支持・抵抗に基づくリスク管理が引き続き有効と考えます。
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