暗号資産市場 週刊レポート(2025年10月30日〜11月5日)

株式会社HashHub
2025/11/06
本稿は11月5日(日本時間7時)までの市場データを反映しています(11月5日の値動きは取引継続中)。今週は米FOMC後の金利低下にもかかわらず、リスク回避が強まりビットコイン(BTC)が一時10万ドルを割り込むなど、全体に軟調でした。パウエル議長の会見では、「12月利下げは既定路線ではない。」という発言があり、継続利下げを織り込んでいたリスク資産は売られた形です。ETF資金フローとトレジャリー企業の暗号資産購入のどちらもが鈍っています。
価格動向
ビットコイン
週前半は11万ドル前後でもみ合いでしたが、11/4にかけて下落が加速し、瞬間的に10万ドルを割り込む場面がありました。終値は10万ドル近辺で引け、中盤以降は戻り売りが勝る地合いでした。今回の下押しで、10/30の約10.83万ドル終値から週次ベースで7〜8%安の水準になっています。
今週は米FOMC後の金利低下にもかかわらず、リスク回避が強まりビットコインが一時10万ドルを割り込むなど、全体に軟調でした。パウエル議長の会見では、「12月利下げは既定路線ではない。」という発言があり、継続利下げを織り込んでいたリスク資産は売られた形です。ETF資金フローとトレジャリー企業の暗号資産購入のどちらもが鈍っています。直近数カ月にわたり、米国株式・日欧の株式・新興国株式・貴金属を中心としたコモディティなど全てのアセットに対して、暗号資産はアンダーパフォームしています。投機的な資金も、米国のテーマ性とミーム性を持った株式(量子コンピュータや小型原子炉、ネオクラウド)などに吸収されていて、暗号資産市場は新しいカタリストを探しています。
イーサリアム
イーサリアムは3,900ドル台から3,100ドル台まで下落。日中のボラティリティも大きく、10/30終値3,803ドルから、11/4終値3,171ドルと週次で約17%安となっています。ビットコインに対して相対的な弱さが目立ちました。
イーサリアム上のDeFi(分散型金融)プロトコルのBalancerで約200億円規模のハッキングが起こったことも市場センチメントの悪化に拍車をかけています。同プロトコルは比較的堅実に運営されていたにも関わらずハッキングが起こったことは、DeFiユーザーの警戒感を中期にわたって高めるイベントになりそうと言えます。
XRP(リップル)
XRP(リップル)は2.30ドルの節目を明確に割り込み、2.20ドル近辺まで軟化しました。10/30の2.439ドルから1/4の2.197ドルで週次約10%安となっています。大台の2.00ドルが意識される展開です。
ドージコイン
ドージコインは0.19ドル台から0.15ドル台に下落しました。10/30の0.1827ドル→11/4の0.1531ドルで週次約16%安で、短期資金の手仕舞いが優勢となりました。
ソラナ
ソラナは200ドル手前の上値が重く反落しています。10/30の184.7ドル→11/4の154.3ドルで週次約16〜17%安となりました。強いトレンドの一服局面とみられます。
テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
ビットコイン:支持=10万ドル(心理的節目)/直近安値=約99,700ドル、抵抗=5〜11.0万ドル(先週の戻り高値帯)。10万ドル攻防が焦点。
イーサリアム:支持=3,100〜3,200ドル(11/4安値近辺)/抵抗=3,600〜3,900ドル(週初のレンジ上限)。
XRP:支持=15〜2.20ドル(11/4安値帯)/抵抗=2.30〜2.50ドル(直近レンジ上限)。
ドージコイン:支持=15〜0.16ドル(11/4安値帯)/抵抗=0.17〜0.19ドル。
ソラナ:支持=150〜155ドル(11/4の引け・安値帯)/抵抗=165〜170ドル、次いで185〜190ドル。
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
RSI(相対力指数)
全般に中立圏の下側(40〜50前後)へ低下。
ビットコイン/イーサリアム:モメンタムは中立下限。一段の材料なしに上値追いは鈍い。
XRP/ドージコイン:レンジ下限での反発余地は残るが、戻りは限定的になりやすい。
ソラナ:強い上昇トレンドの調整局面入り。RSIが40台半ばを維持できるかに注目。
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
市場に影響を与えたニュースや経済要因
2025年10月30日〜11月5日の週は、金融政策の方向性、需給面の変化、そしてマクロ経済データの不確実性が暗号資産市場のセンチメントを大きく左右しました。まず、米連邦準備制度理事会(FOMC)が行った0.25%の利下げは一見するとリスク資産にとって追い風となるはずでしたが、声明中の「追加緩和は経済データ次第」という慎重な文言が投資家の期待を抑え、当該週の上値追いを抑制しました。つまり、利下げそのものは既定路線と見なされていたものの、今後の利下げ幅やタイミングに関する不透明感が残ったことで、暗号資産の上昇材料として十分に機能しにくかったと考えられます。
同時に、ETFを含む資金フローは短期需給に直結する重要ファクターとして作用しました。週中に観測されたデジタル資産投資商品の純流出は、特にビットコイン現物ETFからの資金逆流が顕著であり、需給面での重しが継続しました。流出が続いたことはテクニカル的に重要な支持帯(ビットコインの心理的節目やアルトの直近支持)を脆弱にし、短期的な下押し圧力を強める要因となりました。
また、米国の行政面での混乱(政府機関の閉鎖やデータ公表の遅延)が市場の情報流を滞らせ、指標の空白が投資判断を難しくした点も無視できません。主要なマクロ指標が予定通りに公表されない、あるいは公表の遅れが続く状況は、金利見通しや企業業績見通しの確度を下げ、リスク回避的なポジション取りを誘発しやすくなります。こうしたマクロ要因が重なった結果、株式市場のリスクオフが暗号資産へ波及し、ビットコインをはじめ主要アルトコインも軟調となりました。
今週以降の見通し
今後の展開は、短期的な需給動向と主要マクロ指標公表の再開状況に大きく依存すると考えます。現時点のベースシナリオとしては、ビットコインは10万ドル付近を中心とした神経質なレンジでの推移を続けやすく、ETFの資金フローが回復しない限り明確な上昇トレンドへ移行しにくいと見ています。イーサリアムや主要アルトコインもビットコインの先行きに連動する動きから抜け出せず、戻りは限定的になる可能性が高いです。投資家は短期的なテクニカル節目(主要支持線の堅さ)とファンドフローの改善の有無を注視する必要があります。
ただし、強気シナリオも排除はできません。ETFフローがプラス転換し、かつ香港などの制度面での具体的な進展や他地域での市場インフラ改善が相次げば、需給面の改善と参加者拡大が期待できるため、ビットコインは心理的抵抗帯を上抜けて上昇し、イーサリアムやソラナなどの主要アルトも比較的早期に回復する可能性があります。特に機関投資家マネーの再流入はボラティリティの低下と価格の実体的な上振れをもたらしやすいです。
一方で弱気シナリオとしては、10万ドルの明確な割れがトリガーとなるケースが警戒されます。テクニカル上の下方ブレイクが続けば深押しが加速するリスクがあり、ETF流出が継続したうえに主要マクロ指標が想定外に悪化するような結果となれば、金利見通しの悪化を通じて暗号資産は追加の下落圧力にさらされやすくなります。こうした局面では主要アルトが相対的に大きく下落することが予想され、短期的なリスク管理が一層重要になります。
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