暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月6日〜11月12日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月6日〜11月12日)

株式会社HashHub

2025/11/13

週初は前週の急落後の戻りを試す展開でしたが、中盤にかけては米政府機関閉鎖の収束期待と株高でリスク選好がやや回復をしました。一方で、現物ETFのフローは日によって方向が入れ替わり、上値は段階的に重くなる場面も見られました。特に11/6には米ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)ETFへ小幅ながら資金流入が戻った一方、翌営業日は再び資金流出が拡大するなど、フロー主導の短期的な往来が続いています。 1週間を通しては流出超過となっています。

価格動向

ビットコイン

ビットコインは10万ドルの大台を下値メドに、10.3万ドル近辺でのもみ合いをしています。11/6ETFフロー改善(ネット流入)で一度は反発したものの、その後は再びフローが鈍化し高値追いは続かず、10.5万ドル前後での上値試しと押し目形成を反復しています。ETFフローが日替わりとなる中、短期はニュースに敏感な値動きです。

米国株式市場では、117日にウォール街の経営トップらが「株価は割高で調整は免れない」と相次いで発言したことや、サブプライムショックで空売りで巨額の利益を得たマイケルバーリ氏が米国株に弱気のポジション(パランティアとエヌビディアのプットオプションの購入)を構築したことが明らかになり、一時的に米国株が大きく下落して、世界中の株式市場も連れ安する局面がありました。この日、暗号資産市場も同様に下落をしています。

イーサリアム

イーサリアムは3,4003,600ドルのレンジを形成しています。11/6に米現物イーサリアムETFへ小幅な純流入が確認され、下値の底堅さを示しました。一方で、直近のDeFiハック(Balancer)の余波でセンチメントがやや慎重になり、戻りは鈍い印象です。12月初旬に予定される大型アップグレード(Fusaka)を前に、押し目拾いとイベント待ちが交錯しています。

重要なニュースとしては、1111日に、米財務省と内国歳入庁(IRS)が、暗号資産上場投資商品(ETP/ETF)がデジタル資産をステーキングし、ステーキング報酬を個人投資家と共有できる新ガイダンスを発表しました。スコット・ベッセント財務長官はXで「この措置は投資家の利益を拡大し、イノベーションを促進し、米国のリーダー的地位を維持する」と述べました。新ルールはイーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、ソラナ(SOL)など、ステーキング可能で規制基準を満たす暗号資産銘柄を保有または追跡する暗号資産ETPに適用されます。

これまでETF経由でこれらの資産を購入する個人投資家および機関投資家にとって、ステーキング報酬を得られないのは逸失利益の状態になっていました。今後それが改善して、新たな資金フローが少しばかり生まれることが期待されます。また現在の利下げ局面で短期金利が下がり、配当銘柄としてステーキング報酬に期待される動きもでるかもしれません。

XRP(リップル)

XRP(リップル)は2ドル台半ばを中心に往来。発行元のRipple11/55億ドルの資金調達を実施し、評価額400億ドルが報じられるなど、基盤事業の強化が注目材料となりました。もっとも、現物ETFの正式承認はまだ流動的で、思惑先行の値動きには留意が必要です。

ドージコイン

ドージコインは0.170.18ドル台で推移。Elon Musk氏の「It’s time」投稿で思惑が広がる場面はあったものの、持続的な買いにはつながらず、ビットコインや主要アルトの地合い次第という位置づけが続きます。

ソラナ

ソラナは160ドル台後半での攻防。10/28に米国初の現物ソラナETFBitwiseBSOL)が上場し、初週に4.2億ドルの資金を集めたとの報が支えとなる一方、11/11165ドルのテクニカル支持を割り込む場面も見られ、目先は値固めが焦点です。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン:支持10.0万ドル前後、次に9.79.8万ドル。抵抗 10.610.8万ドル、次に11.0万ドル台。中期トレンドはなお上向きだが、フロー次第で上値叩かれやすい地合い。

イーサリアム:支持 3,4003,450ドル、次に3,300ドル台。抵抗 3,6503,800ドル、次に3,900ドル台。大型アップグレード前の「材料待ち上昇/悪材料待ち下落」が交錯。

XRP(リップル):支持2.30ドル近辺、次に2.10ドル台。抵抗 2.602.70ドル、次に3.00ドル(心理的節目)。企業ニュースは下支えだが、ETF報道は不確実性を伴う。

ドージコイン:支持0.160.17ドル、抵抗 0.190.20ドル。イベント性の上げは続きにくく、出来高伴うブレイク待ち。

ソラナ:支持 155160ドル、次に145ドル台。抵抗 175180ドル、次に200ドル。ETF関連の思惑と短期の利食いが綱引き。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

RSI(相対力指数)

日足ベースでは、ビットコイン・イーサリアムは概ね中立域(50±10)に収れんしつつ、上値でややダイバージェンス気味。XRP(リップル)・ソラナはイベントドリブンの振れが大きく、60近辺からの過熱感が剥落し、再エントリー待ちの状態です。ドージコインは4050台で推移しやすく、明確なトレンド発生には材料が必要となります。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

市場に影響を与えたニュースや経済要因

金融市場では、117日にウォール街の経営トップらが「株価は割高で調整は免れない」と相次いで発言したことや、サブプライムショックで空売りで巨額の利益を得たマイケルバーリ氏が米国株に弱気のポジション(パランティアとエヌビディアのプットオプションの購入)を構築したことが明らかになり、一時的に弱気に傾きました。

しかし、週末の間に、米国の一時的な政府機関閉鎖リスクが緩和方向に向かったことがリスク選好回復のきっかけとなりました。上院のつなぎ予算可決により政府再開の見通しが強まったことで、株式をはじめ比較的リスクの高い資産群に資金が戻る動きが確認され、暗号資産への短期的な追い風となり、一時、16,000ドル台にまで値を戻しました。一方で、米消費者物価等の今後のマクロ指標発表が引き続き意識されており、これらの発表次第で市場センチメントが急変する余地は残ります。

需給面では、米国で上場済みの現物型ビットコイン・イーサリアムETFのフローが断続的な動きを示したことが市場の中心的なテーマでした。週初に一時的なネット流入が確認されたものの、日によって流出に転じるなど、フローの安定性に欠ける状況が続きました。こうした不安定な資金動向は、主要銘柄の短期的な上下振幅を大きくし、上値追いの抑制要因となった。加えて、ソラナ関連では米国での現物ソラナETF上場が資金流入を誘引しましたが、ETFによる資金受け皿化が持続的に機能するかは今後のフロー動向次第と言えます。

今週以降の見通し

暗号資産市場の上値は重くなっていて、95000ドル〜16000ドル台のレンジが長く続いています。また直近の相場状況を加味すると、米国株式市場の行方次第で、レンジを下抜けすることはあっても、上抜けするモメンタムが中々見つけにくいというのが現状と言えるでしょう。

少なくとも今見えている時点で、暗号資産市場に強気のカタリストとしては以下です。

12月以降の継続的な利下げ

・米国で関税配当金が実施されて、コロナ禍のような投機資金流入が価格を押し下げる

・政府閉鎖が終わり、暗号資産市場の規制整備などが進む

一方でこれらの期待が剥落すると、価格の下押し要素となります。

米国株式市場は強く投資資金は主にそちらに向かっています。また無国籍アセットとして貴金属も強く、ビットコインなどを大幅にアウトパフォームしています。ゴールドなどの逆相関が強まり、ゴールド下落時にビットコインが相対的に強いなどの傾向が今後強くでると機関投資家にとっては、ビットコインのポジション形成を強くする合理性が生まれるので、この点は注意深く観察する必要があります。

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