暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月20日〜11月26日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月20日〜11月26日)

株式会社HashHub

2025/11/27

暗号資産市場は、ビットコイン(BTC)の大幅な調整が一巡しつつも、依然として上値の重さが意識される展開となりました。ビットコイン(BTC)10月の史上最高値から約3割下落した水準での推移が続き、112021日にかけては9万ドル台前半から一時8万ドル前半まで急落した後、執筆時点では8万ドル台後半での戻り歩調となりました。

他の主要銘柄も総じて軟調な推移で、イーサリアム(ETH)、XRP(リップル)、ソラナ(SOL)などは週間だけでも一時10%前後の下落率となる場面もありましたが、週末にかけては下げ止まりから自律反発が優勢となりました。

価格動向

ビットコイン

ビットコイン(BTC)は、20日にかけて9万ドル台前半から売りが加速し、21日には一時87,000ドルを割り込む場面も見られるなど、7カ月ぶりの安値圏を試す展開となりました。その後はショートカバーや押し目買いも入り、2224日にかけては84,00088,000ドル台でのレンジ推移となり、2526日は87,000ドル前後での小動きとなっています。10月の12万ドル台からのドローダウンは30%超と、2022年半ば以来の大きさに達しており、短期的なセンチメント悪化の大きさがうかがえます。

イーサリアム

イーサリアムは、ビットコインに連れ安する形で11月中旬から調整色を強めており、今週も一時2,900ドルを割り込む場面がありました。21日前後には2,6002,800ドル台まで売り込まれた後、週後半は再び2,8003,000ドル近辺まで戻すなど、下方向へのボラティリティの大きさが目立ちました。

XRP(リップル)

XRP(リップル)は、今週もETF関連の話題が続く中で、2ドル台前後を中心とした荒い値動きとなりました。ビットコイン急落局面では2ドルを割り込む場面も見られましたが、その後は2ドル台前半まで切り返しており、週全体としては高値からの調整をこなしながらも一定の底堅さを維持しています。

ドージコイン

ドージコインは、高β銘柄らしく今週も大きな値動きに見舞われました。ビットコインの急落に連動する形で、一時0.13ドル台まで下押しした後、週末にかけては0.15ドル前後まで戻す展開となっています。市場全体のセンチメントが極端に悪化した局面では真っ先に売られやすい一方で、短期的な反発局面では出来高を伴って戻りやすく、典型的な投機色の強い値動きが続いています。

ソラナ

ソラナは、10月までの急騰局面からの反動安をこなす形で、今週も130ドル台を中心とした推移となりました。ビットコイン下落局面では一時120ドル台前半まで売られたものの、その後は130ドル台半ばまで回復しています。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン

  • 支持線:08.2万ドル(21日の急落安値ゾーン)、次の下値メドは7.5万ドル近辺(春先の高値帯)。
  • 抵抗線:09.3万ドル(20日高値を含む戻り天井帯)、その上は心理的節目の10万ドルおよび10.3万ドル前後(200日移動平均線が位置する水準)が中期的な壁として意識されます。

イーサリアム

  • 支持線:2,7002,750ドル(2021日の安値帯)、次は2,600ドル近辺。
  • 抵抗線:3,000ドルが目先の心理的節目、その上は3,2003,300ドル(今月前半のレンジ上限)を意識。

XRP(リップル)

  • 支持線:1.902.00ドル(21日の下ヒゲを含む反発ゾーン)。
  • 抵抗線:2.302.40ドル、次は2.60ドル近辺(10月末高値帯)。

ドージコイン

  • 支持線:0.1350.14ドル(21日安値周辺)、次は0.120.13ドル。
  • 抵抗線:0.160.17ドル、さらに上は0.180.20ドル(10月以降の主要戻り高値帯)。

ソラナ

  • 支持線:125130ドル(2122日の安値帯)、次は120ドル近辺(足元レンジの下限)。
  • 抵抗線:145〜150ドル、その上は160〜170ドル、および200ドル(10月高値)と段階的にレジスタンスが控えています。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

RSI(相対力指数)

ビットコインRSI50台前半と中立ゾーン。急落後の自律反発により売られ過ぎシグナルは解消されたものの、明確な「トレンド再開」と言えるほどの強さはまだ乏しい水準です。

イーサリアムRSI50台後半で、主要銘柄の中では相対的に強め。下落トレンドの中で一旦落ち着きを取り戻した格好ですが、3,000ドル台回復後は過熱感にも留意する局面です。

XRP(リップル)RSI50をやや下回る水準で、レンジ内でのもみ合いを示唆。ETF上場を背景とした中長期の資金流入期待はあるものの、短期的にはニュースフローに左右されやすい地合いが続きます。

ドージコインRSI60前後と、「やや買われ気味」の水準。急落からの戻りが速かったことを反映しており、短期的には上値トライ余地と同時に、利食い圧力にも注意が必要です。

ソラナRSI60台前半と、主要アルトの中で最も強い部類。200日線を上回る水準で推移しており、中長期トレンドはなお上向きと評価できますが、直近の反発ピッチが速い分、調整を挟みながらの上昇となる可能性が高いでしょう。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

市場に影響を与えたニュースや経済要因

今回のビットコインの価格の急落には、明確な理由が1つと言えるものはありません。すでに様々な指摘がなされており、実際にはその全てが複合したものと言えるでしょう。主には下記です。

・マーケットメイカー等の流動性が低下

10月10日以降、暗号資産市場の流動性が弱体化しています。

10月10日に、トランプ米大統領が中国への関税を大幅に引き上げると警告したことを受けて市場が下落、この際の清算イベントが大規模であったために、マーケットメーカーを機能不全に陥らせた可能性があります。マーケットメイカーは、暗号資産市場で流動性を提供する上で不可欠な存在ですが、彼らは大きな損失を受けた場合、資本を調達するためにバランスシートを縮小し、取引を減らす必要があります。1010日前後に発生したショックは、Binanceで特定のステーブルコインの価格が、1ドルから0.65ドルまで急落したタイミングがあり、この際にダメージを負ったマーケットメイカーや、ヘッジファンドなどは一定数いると考えられます。

・トランプ支持率低下

トランプ大統領の支持率に低下が見られます。

FOXニュースが19日に発表した世論調査によると、トランプ米大統領の支持率が41%に落ち込みました。これはバイデン大統領の終盤の支持率と重なります。またニューヨーク知事選をはじめ、アメリカ各地で行われている州知事選挙などでは、民主党系候補者が相次いで勝利していることもトランプへの不満を連想させます。

来年11月の中間選挙で共和党が失速するシナリオもよぎると、2025年を通してトランプ期待に後押しされたビットコインは値を下げる結果になりました。

・利下げ観測が後退

12月の利下げ確率はある程度高いことを市場は見込んでいました、1118-22日頃に、地区連銀総裁から利下げに慎重な発言が相次ぐと市場は下落を加速させました。政府閉鎖で経済指標も限られていることが利下げの不透明感をさらに後押ししています。次回のFOMCの政策金利の投票はかなり割れることが予想され、事前予想が上下にぶれることはあっても、正確な予想は困難でしょう。

・ストラテジー社の指数からの除外懸念

デジタル資産をバランスシートの50%以上保有する企業は指数から除外するかもしれない方針検討がMSCIで行われているとJPモルガンのリサーチレポートによってマーケットに伝わると、ビットコインのセンチメントは大きく悪化しました。もし現在NASDAQ100などに組み込みされているストラテジー社が、指数から除外されると、最大で90億ドルの資金がストラテジーへの売り圧力になります。この方針の最終決定は1月中旬になされる予定ですが、この懸念が実現するとビットコインも大きく売られる可能性があるという連想がなされ、値を下げました。

・米ドルの流動性枯渇

米国の金融市場でドルの流動性が大きく低下しつつあります。

10月1日〜114日の連邦政府閉鎖による短期国債(Tビル)発行の5週間停止、FRBQTによる銀行準備預金が9月から11月中旬までに約3,000億ドル急減して3兆ドルを割り込んだこと、大規模な国債入札決済(111315日)、ビッグテック各社のAI投資を目的とした巨額の社債発行などが要因です。

つまり市場からドルが吸い上げられる構造が続いています。121日以降のQT停止や、財務省による国債買い戻しのオペレーションが戻ることが期待され、今後少しずつの改善が見込まれます。

今週以降の見通し

今後数週間のシナリオとしては、まずベースケースとして、ビットコインが8万〜10万ドルの広いレンジ内での推移を続ける展開を想定します。ETFからの資金流出は既に相当程度進んでおり、足元のペースが鈍化してくれば、現物の売り圧力も次第に落ち着くと考えられます。最近の下落局面では、アメリカCoinbaseでのディスカウントが見られ、つまりアメリカ投資家の現物売りが目立っていましたが、このディスカウントは週末明けからほとんど解消したことも、センチメントを若干改善させています。一方で、10万ドル超の水準では、10月高値での高値掴みポジションの戻り売りが控えていると見込まれるため、当面はレンジの中での反発と押し目を繰り返しながら、下値を固めていく展開がメインシナリオとなりそうです。

アメリカではビットコインで税金を納付できる法案や、テキサス州でビットコインの準備金が実際に購入されたなど良いニュースもありますが、下落したビットコインの戻りは緩やかになっています。直近の下落が非常に急だったために、リスクオンで買いに行く投資家も限られているのが現状でしょうが、中期的なビットコインのファンダメンタルズに追い風となるニュースが出ているのはプラスといえるでしょう。

一方、弱気シナリオとしては、インフレ指標が市場予想を上回り、12月の利下げ期待が後退するケースが挙げられます。また、AIバブルの懸念が市場に燻っており、高PERで取引されている株式市場の脆さも留意しておきます。株式市場が崩れる際、当然にビットコインがそれ以上に売られる構図は最近の相場で印象付けされてしまっているのが、難点と言えます。

総じて、今週の暗号資産市場は「ETF主導の上昇相場の巻き戻し」が佳境にある局面と位置づけられます。短期的なボラティリティは依然として高い一方で、マクロ面では利下げサイクル入りが近づきつつあるとの見方も根強く、長期投資家にとっては段階的なエントリー機会となる余地もあります。ただし、いずれのシナリオにおいても、レバレッジの取り過ぎや単一銘柄への過度な集中は回避し、ポジションサイズ管理とリスク分散を徹底することが重要です。

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