暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月27日〜12月3日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月27日〜12月3日)

株式会社HashHub

2025/12/04

今週の暗号資産市場は、11月の急落相場の揺り戻しから、底値を探る展開となりました。11月末〜12月初にかけてビットコインは8万ドル台半ばまで下落後、9万ドル台前半へ反発をしました。背景には、日銀の利上げ観測をきっかけとした円キャリートレードの巻き戻し、米製造業景況感の悪化と金利上昇、そして11月を通じて続いたスポットビットコインETFからの過去最大級の資金流出などが重なり、暗号資産全体にリスク回避の売りが広がったことが挙げられます。

価格動向

ビットコイン

ビットコイン(BTC)は週初、9.09.2万ドル前後での比較的落ち着いたレンジ推移でスタートしました。112730日にかけては9.09.2万ドル台での小幅な上下が中心で、11月中旬から続いていた下落トレンドの一服局面という位置づけでした。

しかし121日には、日銀の利上げ観測をきっかけとした世界的な金利上昇とリスクオフの流れが強まり、ビットコインは一時8.38.4万ドル台まで急落しました。11月の高値からは3割超の調整幅となり、202122年のベア相場以来の大きな下げ局面との比較も報じられました。

一方、その後にトレジャリー企業のストラテジー社が当座2年分の優先株配当と社債利払いのためのドル資金をリザーブすることを発表して、市場は一旦の切り返しを見せました。ドルリザーブの資金は、普通株式を売却して確保されました。これによって、ストラテジー社が配当支払いのためにビットコインを売却するトレジャリー企業の逆流シナリオの懸念が緩和されました。

イーサリアム

イーサリアムは3,000ドル前後での持ち合いが続いた後、BTC同様に121日にかけて急落し、一時2,700ドル台後半まで下押し。その翌日には3,000ドル台をほぼ回復する大幅なリバウンドとなりました。11月の月間では2割超の下落となっており、マクロ環境の不透明さやビットコインのデスクロスを意識したリスク回避が上値を抑える一方、イーサリアムETFへの資金流出はビットコインほど大きくないとのデータもあり、相対的には底堅さも見られます。

XRP(リップル)

XRP(リップル)2.2ドル前後からスタートし、週を通じて2.02.25ドルのレンジ内での推移となりました。11月末にかけてはじり安基調で2.03ドル近辺まで下落したものの、122日には2.17ドル台まで反発し、週初水準にほぼ戻しています。イーサリアムサイドでは、新設されたXRP ETFへの資金流入がビットコイン・イーサリアムより相対的に好調であるとの報道もあり、現物市場の値動きが軟調な一方で、中長期の機関マネーが段階的にポジションを積み上げているとの見方も出ています。

ドージコイン

ドージコインは0.15ドル前後からじりじりと水準を切り下げ、11月末にかけて0.14ドル台半ばまで軟化。その後、121日にかけて0.13ドル台前半まで一段安となった後、2日には0.145ドル近辺まで戻すなど、ボラティリティの高い展開となりました。

ソラナ

ソラナは140ドル台前半からスタートし、11月末にかけて130ドル台前半まで下値を切り下げました。121日には一時120ドル台前半まで押し込まれた後、2日には140ドル近辺まで急反発するなど、上下10%超の振れ幅となりました。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン

  • 直近支持帯:8.48.6万ドル(今週安値〜12月初の下値ゾーン)、次の重要支持として8.0万ドル前後と、アナリストが注目する8.2万ドル水準が意識されます。
  • レジスタンス:9.29.5万ドル(今週戻り高値帯)、その上は心理的節目10万ドル、および10月に付けた史上高値12.6万ドル近辺が中長期の上値目処。
  • 中長期トレンド:11月中旬に50日線が200日線を下抜ける「デスクロス」が確認されており、トレンドフォロー勢には慎重姿勢が続きやすい環境です。

イーサリアム

  • 支持線:2,7002,800ドル(121日の下値レンジ)、次は2,600ドル台。
  • 抵抗線:3,0503,100ドル(足元の戻り高値〜短期のレジスタンス帯)、その上はテクニカル分析サイトが示す3,0803,100ドル台のレジスタンスが意識されます。
  • 日足ベースでは200日移動平均線が上向きを維持している一方、50日線は上値抵抗として機能しており、「長期上昇トレンドの中の中期調整」という位置づけです。

XRP(リップル)

  • 支持線:2.0ドル前後(今週の安値ゾーン)、次は1.81.9ドル(調整幅拡大時の目線)。
  • 抵抗線:2.202.25ドル(直近レンジ上限)、その上は2.30ドル台。ETFへの資金流入が続けば、このレンジ上抜けトライのきっかけとなり得ます。

ドージコイン

  • 支持線:0.130.135ドル(12月初の安値圏)、次は0.12ドル近辺。足元では0.14ドル近辺で下げ止まりを探る動き。
  • 抵抗線:0.150.16ドル(11月後半のレンジ上限)、その上は0.170.18ドルに20日・50EMAが集中しており、上値の厚いゾーンとなっています。

ソラナ

  • 支持線:125130ドル(121日前後の押し目ゾーン)、次は120ドルおよび100ドルを節目とする長期サポート。
  • 抵抗線:140145ドル(足元で何度も上値を抑えられているゾーン)、その上は150ドル、さらにはテクニカルレポートで指摘される142ドル超のブレイクが次のトレンド発生ポイントと見られています。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

RSI(相対力指数)

ビットコイン:日足RSI14)は、121日時点で30台前半と「やや売られすぎ」水準まで低下し、その後の急反発に伴い中立圏へ戻しつつあります。ビットコインのボラティリティRSIも過去のベア相場終了局面で見られた水準まで低下したとの指摘があり、市場センチメント面では「悲観のピーク」に近づきつつある可能性も示唆されています。

イーサリアムETH11月末時点で日足RSI60台前半とやや強気寄りの中立圏にあったところから、122日の大幅反発で一時80台の過熱圏に入ったとされており、短期的にはオーバーシュート気味のリバウンドと言えます。

XRP(リップル)XRPの短期RSIは、中立〜やや売られすぎ水準からの戻り局面にあります。週足レベルでは、RSIが歴史的な低水準から反発し始めたとのリポートもあり、ETFフローに支えられつつ中長期トレンドの転換を探る局面です。

ドージコインDOGE11月の調整局面でRSI30近辺まで低下した後、足元では40前後へ戻ってきており、「売られすぎから中立圏への戻り」という位置づけです。1212日の急落と反発の中で、一時的にRSI30を割り込んだとの指摘もあり、短期的にはオーバーシュートを起こしやすい地合いが続いています。

ソラナSOLについては、4時間足ベースでRSI50台半ばに位置しており、日足のトレンドが弱含む中でも短期的にはやや買い優勢に傾きつつあるとされています。一方、長期チャートではRSIMACDに明確な強気シグナルは出ておらず、戻り売り優勢との見方も根強い状況です。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

市場に影響を与えたニュースや経済要因

12月入りにかけて、日本の長期金利が17年ぶりの高水準に達するなど、日銀の利上げ観測が一気に強まりました。これにより、低金利の円を借りて高リスク資産に投資していた「円キャリートレード」の巻き戻しが起こり、暗号資産を含むリスク資産全般の売り圧力が強まったと指摘されています。

ビットコインは11月の高値から3割超下落する中で、1日には6%超の急落を記録し、レバレッジポジションの大量清算が発生しています。強制ロスカットが現物売りを誘発する悪循環となったことが報じられています。

米国では、11月の製造業指数が景気後退ラインを下回る水準での低迷が続く一方、インフレと関税動向を巡る不透明感から長期金利が乱高下しており、1210日のFOMCでの利下げペースを巡って見方が交錯しています。通常であれば利下げ期待は暗号資産に追い風となるところですが、今回は株式市場と比べてもビットコインのパフォーマンスが大きく劣後しており、アセットクラスとしての暗号資産が「ハイベータ・リスク資産」としてマクロショックを先取りしやすい性質が改めて意識されています。

11月の米スポットビットコインETFは、月間で約3540億ドル規模の過去最大級の資金流出となり、価格下落と相まって純資産残高も2割以上縮小しました。一方で月末には小幅ながら再び純流入に転じており、売り一巡の兆しが出始めたとの見方もあります。また、122日には世界有数の運用会社であるVanguardが、これまで自社プラットフォーム上で制限していた暗号資産関連ETF・投信の取り扱いを解禁しました。自社で暗号資産ファンドを組成する計画はないものの、他社のビットコイン・イーサリアム・XRP(リップル)・ソラナ連動商品へのアクセスを提供することで、顧客流出を防ぎつつ投資機会を広げる狙いとされています。

今週以降の見通し

今週以降の暗号資産市場は、マクロ要因とETFフローの行方をにらみながら、当面はボラティリティを伴うレンジ相場が続く可能性が高いと考えられます。日銀とFOMCという二つの重要な政策イベントを目前に控えるなか、市場は急激な政策変更は避けられるとの見方をベースにしつつも、データ次第でセンチメントが振れやすい不安定な状況が続いています。金利や為替の変動が徐々に落ち着きを取り戻すようであれば、過度なリスクオフは後退し、暗号資産市場も大きなトレンドを伴わない「値固め」の局面が主戦場となりそうです。

このベースシナリオのもとでは、ビットコインは8.4万〜9.5万ドルのレンジ内で上下を繰り返しながら、8万ドル割れのリスクは一旦後退しやすいと見込まれます。イーサリアムからの資金フローが大幅なマイナスに転じない限り、11月の急落で形成された下値ゾーンが中期的なサポートとして意識されやすく、オプション市場のポジション動向なども相まって、下方向へのオーバーシュートは限定的となる可能性があります。

一方で、強気シナリオとしては、12月の政策イベントがクリスマスラリーのきっかけとなる展開も想定されます。FOMCが市場の想定以上にハト派的なメッセージを発し、2026年に向けた利下げペースの加速に含みを持たせる一方、日銀が急激な利上げには踏み込まず、円キャリートレードの巻き戻しが小康状態となるようであれば、リスク資産全般に安心感が広がる可能性があります。加えて、ビットコインETFからの資金流出が止まり、再び純流入基調へと転じるような動きが見られれば、相場のセンチメントは一気に改善するでしょう。

反対に、弱気シナリオとしては、日銀の利上げが市場の想定以上のペースで進み、円キャリートレードの巻き戻しが長期化するケースが考えられます。そのうえで、FOMCがインフレ再燃への警戒を強め、追加利下げに慎重なスタンスを示せば、米長期金利とドルインデックスが再び上昇し、リスク資産全般には向かい風となります。

テクニカル上の支持・抵抗水準やRSIの水準だけでなく、先物・オプション市場におけるレバレッジの偏り、流動性の厚み、主要銘柄間の資金シフトといった複数の指標を組み合わせてリスク管理を行うことが、これまで以上に重要な局面にあると言えるでしょう。

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