暗号資産市場 週刊レポート(2025年12月4日〜12月10日)

株式会社HashHub
2025/12/11
価格動向
ビットコイン
ビットコインは、概ね8.9万〜9.5万ドルのレンジでもみ合いとなりました。12月4日時点で約9.2万ドル台の水準から始まり、5〜6日にかけて9万ドル割れ目前の8.9万ドル近辺まで押し込まれたものの、その後は買い戻しが入り、9日終値時点では約9.28万ドルと、週初水準をやや上回る水準まで回復しています。
トレジャリー企業のストラテジーは12月8日、先週約9億6,270万ドル(約1,500億円)で10,624BTCを追加購入したと発表しました。1ビットコインあたりの平均購入価格は9万615ドルで、7月以来最大規模の購入となります。今回の購入資金は、クラスA普通株式MSTRと無期限優先株式STRDの随時売出しによる資金で賄われ、相場の下落を支える機能を果たしたと言えます。
イーサリアム
イーサリアムは今週、3,050〜3,350ドルのゾーンで推移しました。4日に3,100ドル台半ばからスタートした後、5日にかけて一時3,000ドル割れを試す場面があったものの、3,000ドル前後で下値を固めたあと再び買い戻しが優勢となり、9日には3,300ドル台前半まで反発しています。
週間での上昇幅はビットコインを上回り、これまで弱かったアルトコインをショートして利益を得るトレーダーのポジションが巻き戻ったことが想定されます。
XRP(リップル)
XRP(リップル)は2.0〜2.2ドルのレンジで上下しました。4日に2.10ドル前後からスタートした後、5日にかけて2.03ドル台までじり安となり、6〜8日は2.03〜2.07ドルでの小幅な値動きをしました。9日時点では2.11ドル前後まで戻しており、週中の安値からはやや反発した格好です。
ドージコイン
ドージコインは0.135〜0.15ドルと、比較的狭いレンジでの推移となりました。4日の0.147ドル近辺から一旦0.139ドル台まで押し込まれた後、7日にかけて0.138〜0.140ドルでの底固めを経て、9日には0.148ドル台まで切り返しています。週間ではおおむね横ばい〜わずかなプラス圏の値動きです
ソラナ
ソラナは130〜145ドルのレンジで推移しました。4日に約139ドルで始まった後、5〜6日にかけて133〜132ドル台までじわりと下げたものの、127〜130ドル近辺での支持を確認しつつ、9日には138ドル台まで戻しています。
テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
ビットコイン
【支持】
・第1支持:9万ドル前後(9.0万〜8.9万ドル)
・次の支持:8.8万ドル前後
・さらに下では8.2〜8.5万ドル帯が11月クラッシュ時の押し目候補
【抵抗】
・直近の上値目処:9.3〜9.5万ドル
・その上に9.8〜10万ドルの心理的・テクニカル抵抗帯
イーサリアム
【支持】
・3,070ドル近辺(直近テクニカルで最重要支持)
・その下に3,020ドル、さらに2,870〜3,000ドル帯
【抵抗】
・第1抵抗:3,220〜3,250ドル
・次の抵抗:3,430〜3,450ドル
・さらに上では3,670ドル前後
XRP(リップル)
【支持】
・短期の分水嶺:2.05ドル付近
・割り込むと1.95〜1.98ドル帯
・中期的な重要支持:1.8〜1.9ドル
【抵抗】
・第1抵抗:2.17〜2.20ドル
・その上に2.27〜2.35ドル
・中期的節目として2.7ドル台
ドージコイン
【支持】
・直近の押し目候補:0.133〜0.135ドル
・次の支持:0.128ドル前後
・さらに下では0.12ドル付近
【抵抗】
・足元の戻り上限:0.142〜0.15ドル
・その上に0.157ドル前後が短期の重要ゾーン
ソラナ
【支持】
・直近支持:127ドル前後
・その下に120ドル台前半
・中期サポート帯:112ドル付近
【抵抗】
・第1抵抗:133〜134ドル
・次の抵抗:138〜144ドル
・上抜ければ150ドル台後半が次のターゲット
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
RSI(相対力指数)
日足RSI(14期間)の水準を俯瞰すると、今週の暗号資産市場は「過熱でも底値圏でもない中立〜やや回復基調」という位置づけとなります。
- ビットコイン:RSIは50台後半〜60前後に位置し、11月のクラッシュ後に40台から回復した状態。トレンドはやや上向きで「買い優勢だが、明確な過熱感はまだ出ていない」水準です。
- イーサリアム:RSIは約59前後と、主要銘柄の中では比較的強め。3,000ドル台前半での下値固めを経て、戻り基調が再確認された格好です。
- XRP(リップル):RSIは指標によって46〜55程度とブレがありますが、おおむね50前後の中立圏。売り主体だったモメンタムは弱まりつつあるものの、強いトレンドが出ているとは言えません。
- ドージコイン:日足RSIは40台後半と、やや弱含みの中立圏。チャート上も下降三角形の中での値動きとなっており、0.133ドル近辺の支持を維持できるかがポイントです。
- ソラナ:日足RSIは高40〜50台前半で、やや売り優勢から中立へ戻りつつある状況。依然として中長期では調整トレンドのなかの戻りと評価されます。
市場に影響を与えたニュース
今週の暗号資産市場の値動きに最も大きな影響を与えたのは、やはり米FOMC(12月9〜10日)を控えた金利見通しでした。市場では、FRBが今年3回目となる0.25%の利下げに踏み切り、政策金利を一段と引き下げるとの見方が優勢となっており、金利先物やエコノミスト調査でも同様の見解が広がっています。もっとも、利下げ自体はすでにかなり織り込まれており、実際にはドットチャートの示す来年以降の利下げペースや、パウエル議長の会見トーンが、米長期金利やドル指数、ひいては暗号資産全般の方向性を決定づけるとの認識が強まりました。パウエル議長の講演では、前回同様「利下げはしても、今後の見通しはデータ次第」というタカ派的な利下げ姿勢になるであろう点もマーケット参加者には相当織り込まれているようにも伺えます。
こうしたマクロ環境に加え、ビットコインの中長期見通しを巡るニュースも投資家心理に影響を与えました。スタンダードチャータード銀行が、ビットコインの2025年末価格予想を従来の20万ドルから10万ドルへ、2026年末予想を30万ドルから15万ドルへと引き下げた一方で、2030年に50万ドルに到達する可能性は維持したことが報じられています。短期的には期待値をやや冷ます内容であるものの、「長期の強気ストーリーは残る」というメッセージと受け止められ、直近の売り圧力を増幅させるほどのネガティブサプライズとはなりませんでした。
一方で、機関投資家の動きとしては、TetherとBitfinexが支援するビットコイントレジャリー企業「Twenty One Capital XXI」がNYSEに上場し、上場企業によるビットコイン保有の新たな受け皿として注目されました。すでに数万BTCを保有する大型プレーヤーとなっており、ストラテジー社に続く「上場企業のバランスシートを通じたビットコイン蓄積」という流れが拡大していることを象徴する出来事と言えます。
またマーケットでは、ストラテジー社がビットコインを売却せざるを得なくなるリスクシナリオもある程度警戒が進んでいましたが、先週の時点で同社はむこう2年分の利払いおよび配当支払い用のドルリザーブを行ったことを発表しました。この発表が安心感を誘発して、足元では、ストラテジー社の株価のボトムとなりました。
今週以降の見通し
今週以降の暗号資産市場を展望するうえでは、まず「FOMCの結果が市場コンセンサス通りに収まるかどうか」が重要な分岐点になります。ベースシナリオとしては、FRBが予想通り0.25%の利下げを実施しつつ、「今後は経済指標次第で柔軟に対応する」といった中立的なメッセージを維持するケースが想定されます。この場合、米長期金利やドル指数は上値が重くなりやすく、リスク資産には緩やかな追い風となります。ビットコインは9万ドル近辺の支持を維持しながら、9.3〜9.5万ドルのレジスタンス帯を試す展開が続くと見込まれ、イーサリアムも3,070ドル前後の重要支持線を守りつつ、3,200〜3,300ドル台のレンジ上限を試す動きが意識されます。アルトコインについても、XRP(リップル)は2.05ドル、SOLは127ドル、DOGEは0.133ドルといった支持帯を維持できる限り、レンジ下限で押し目買いが入り、上値では戻り売りが出やすい「レンジ相場」が続く可能性が高いでしょう。
一方で、想定よりもハト派的な結果となる場合、つまりFRBが今後のドットチャートを下方修正し、2026年までの利下げペース加速を示唆するようであれば、リスク資産全般でリリーフ・ラリー(安心感による上昇)が広がるシナリオも考えられます。この強気シナリオでは、ビットコインが9.5万ドルの抵抗帯を明確に突破し、心理的節目である10万ドル台への再接近を試みる可能性があります。弱気シナリオとしては、FRBが利下げを実施しつつもインフレ再加速リスクを強調し、2026年以降の利下げペースを抑制するタカ派的なメッセージを発する場合、あるいはサプライズで利下げを見送る場合が考えられます。このケースでは、米実質金利とドル指数が反発し、暗号資産を含むリスク資産全般に再び調整圧力がかかる可能性があります。
また来週には日本銀行も政策金利を引き上げることが見込まれており、その会見の内容次第ではグローバルの金融市場が影響を受ける可能性も見込まれます。
免責事項・注意事項
・本記事は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。
・提供される情報は信頼性のある情報源から得ておりますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。
・万一、本記事およびリンク先の内容に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社および情報提供者は一切その責任を負うものではありません。
・本記事は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。
店頭CFD取引に関するご注意事項(株式会社SBI証券からのご留意事項)
・本取引を行うにあたっては、「店頭CFD取引約款」および「店頭CFD取引の契約締結前交付書面」をご精読、ご理解の上、お取引を行ってください。
・取引手数料は無料ですが、株価指数CFD、コモディティCFDのうち先物が原資産である銘柄において、当社が定める日に建玉を保有していた場合には、当社で定めた価格調整額が発生します。また、取引時間終了時点で建玉を保有していた場合には、当社がカバー取引を行う際に発生する金利および貸株料として金利調整額が建玉に発生します。暗号資産CFDではロールオーバー時に保有している建玉ごとに毎取引日ファンディングレートが必要です。価格調整額および金利調整額、ファンディングレートは当社が取引日単位で指定する料率が適用されます。なお、料率は相場状況によって日々変動するため、固定値として事前にお示しすることができません。詳細は取引ツール内および当社ホームページよりご確認ください。
・取引価格には、売値と買値に価格差(スプレッド)があります。スプレッドは相場急変時等に拡げる場合がございます。
・本取引に際しましては、あらかじめ証拠金を差し入れる必要がございます。必要証拠金の計算にはその時点のCFDの価格および原資産が外貨で取引されているCFDの場合にはその時点の為替レートを使用します。
・本取引は、取引額(約定代金)に対して少額の必要証拠金をもとに取引を行うため、必要証拠金に比べ多額の利益を得ることもありますが、その一方で短期間のうちに多額の損失を被る可能性があります。
・本取引の取引対象である株価指数、商品現物、商品先物、暗号資産は、需給関係、対象株価指数等の相場状況、為替並びに金利相場の変動により損失が生ずるおそれがあり、かつその損失の額が預託した証拠金の額を上回ることがあります。加えて相場の急激な変動等により、意図した取引ができない可能性があります。
・店頭CFD取引に必要な証拠金の最低額は、株価指数CFDは各建玉の対価の額の10%、コモディティCFDは5%、暗号資産CFDは50%に相当する円価格です。また、相場の状況により必要証拠金率を変更する場合がございます。
・毎取引日取引終了時の清算価格で値洗いを実施し店頭CFD取引口座の時価評価額が必要証拠金額を下回ると証拠金不足が確定します。 値洗いで証拠金維持率が一定値(100%等)を下回った場合、メール等で自動通知します。
・各CFD取引口座の時価評価額が必要証拠金額の50%を下回ると自動ロスカットが発動し、全未約定注文が取消されかつ全建玉が強制返済されることがあります。なお、ロスカットの判定は一定の間隔で実施します。自動ロスカット注文は、損失が一定の割合にとどまることを保証するものではなく、証拠金以上の損失が発生する場合があります。
・本取引は元本及び利益が保証されるものではありません。
・店頭CFD(SBI CFD)は、取引所CFD(くりっく株365)とは異なる商品です
・暗号等資産は本邦通貨または外国通貨ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号等資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。
・お客さま相談窓口:カスタマーサービスセンター
平日(年末年始を除く)8:00~17:00 固定電話の方 0120-104-214(携帯電話の方0570-550-104)
・特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC):0120-64-5005
・日本商品先物取引協会相談センター 03-3664-6243
・当社企業情報は、当社ホームページおよび日本商品先物取引協会ホームページ等で開示されております。