暗号資産市場 週刊レポート(2025年12月11日〜12月17日)

株式会社HashHub
2025/12/18
今週の暗号資産市場は、12月10日のFOMCで政策金利3.75%への引き下げが発表されて、金利・ドルの織り込みが一巡する一方、スポットETFフローの弱含みが上値を抑える展開となりました。米金利の低下方向は中期的にリスク資産に追い風となり得るものの、年末に向けた流動性低下やポジション調整が入りやすく、主要銘柄はレンジ推移が中心です。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは、12/11の終値88,169ドルから、12/16時点で87,804ドル近辺と週間では概ね横ばい(約-0.4%)。一方で週中には安値83,635ドルまで下押しし、その後は87,000ドル台へ戻すなど、下値では押し目需要が確認されました。上値は89,683ドル近辺が意識され、9万ドル台回復にはETFフローの改善や米金利低下の追い風が必要とみられます。
ストラテジー社が二週連続でビットコインを大きく購入しており、下落相場の中で主要な買い手となっています。
イーサリアム
イーサリアムは、ビットコインに連動しつつもリスク・リワードの悪化局面では売りが先行しやすく、ボラティリティが大きくなっています。12/16時点の参照価格は2,955ドル付近で、心理的節目の3,000ドルを挟んだ攻防が中心です。米スポットETFに関しては、ビットコイン・イーサリアム双方で資金流出が目立つ日があり、短期センチメントの抑制要因となりました。
XRP(リップル)
XRP(リップル)は、12/11終値2.41ドルから12/15終値2.20ドルへと下落しました。
ドージコイン
ドージコインは、12/11の終値0.140ドル台から12/15には0.129ドル台まで調整し、12/16時点では0.132ドル近辺へ持ち直していますが、週次リターンはマイナス圏です。
ソラナ
ソラナは、12/13〜12/16にかけて132〜135ドル台から127〜129ドル台へ軟化しつつも、急落局面では買いが入りやすい印象です。
テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
- ビットコイン:支持8.3〜8.4万ドル(週中安値圏)、次は8.0万ドル。抵抗 8.95〜9.0万ドル、次は9.2万ドル。
- イーサリアム:支持 2,850〜2,900ドル、次は2,700ドル。抵抗 3,050〜3,150ドル、次は3,300ドル。
- XRP(リップル):支持2.20ドル、次は2.10ドル。抵抗 2.30〜2.35ドル、次は2.50ドル。
- ドージコイン:支持0.13ドル、次は0.12ドル。抵抗 0.14〜0.15ドル。
- ソラナ:支持 125〜127ドル、次は120ドル。抵抗 135ドル、次は145ドル。
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
RSI(相対力指数)
- ビットコイン:50近辺を挟み、下押し局面でも過度な売られ過ぎには至りにくい。
- イーサリアム:45〜55のレンジを想定。3,000ドルを明確に回復できない場合は下向きバイアスに注意。
- XRP(リップル)・ドージコイン:下落局面を反映し40近辺まで低下しやすく、反発はあっても戻り売りが出やすい。
- ソラナ:中立〜やや弱め。125ドルを割り込むとRSI低下が加速しやすい。
(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)
市場に影響を与えたニュース
今週の市場環境を整理すると、金融政策イベント通過後の織り込み一巡と、暗号資産ETF需給の振れに集約されます。
12月10日のFOMCで政策金利が3.75%となったことで、マーケットは追加利下げのペースや景気減速の度合いを改めて見極める局面に移行しました。一般に、金利低下は利回りを生まないビットコインなどの資産に追い風です。
しかしながら、需給面では、米国のスポットETF(ビットコイン・イーサリアム)で純流出が目立つ日があり、短期センチメントの重石となりました。ETFのフローは現物需給に直結しやすく、日次でまとまった流出が出る局面では、先物・オプション市場を含むレバレッジ調整を通じて価格変動が拡大しやすくなります。
短期金利が低下しても長期金利はほとんど下がっていないことや、トレジャリー企業が近く指数から除外される可能性などの懸念もマーケットのセンチメントを悪化させています。
今週以降の見通し
今週以降のメインシナリオは、サプライズのニュースがない限り、まずはレンジ継続を基本線として捉えるのが妥当です。BTCは8.3万ドル台が当面の重要な支持帯として意識され、ここを維持できるかがセンチメントの分岐点になります。上方向は9万ドル近辺が心理的・テクニカル的に重くなりやすいです。
一方、弱気シナリオは、ETF流出が継続し、年末特有の流動性低下の中で下方向に走るケースです。薄商いの局面では、まとまった売りが入りやすく、支持線を割り込むとストップロスやレバレッジ解消が連鎖して下落が加速しやすくなります。
来年1月に新しいFRB議長を発表予定であるとトランプ大統領は既に述べていますが、その人事が明らかになりはじめると、ビットコインの価格にも影響を与えるでしょう。トランプ大統領はケビン・ハセットを指名したい考えですが、ウォール街はハセットは大統領と関係が近すぎるためFRBの独立性を損なうので反対をしています。またそれらの反対の声を受けて、現在他の候補者も再検討されている段階です。そのため本稿を執筆している時点で、ケビン・ハセットが就任することはまだ織り込まれていないと考えられます。
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