暗号資産市場 週刊レポート(2025年12月18日〜12月23日)

暗号資産市場 週刊レポート(2025年12月18日〜12月23日)

株式会社HashHub

2025/12/25

今週の暗号資産市場は、12/18公表の米11CPI(前年比+2.7%)が市場予想(+3.1%)を下回ったことを受け、マクロ面での過度なインフレ警戒が後退し、リスク資産に買い戻しが入りやすい地合いとなりました。また12/19の日本銀行の政策金利発表も予想通りの金利引き上げで滞りなく通過して、年内の主要経済イベントは出尽くしとなりました。

もっとも、米国スポットETFは日次で流出超の日もあり、上値追いは限定的で、BTC9万ドル台の上抜けでいったん壁に当たっています。

価格動向

ビットコイン

ビットコインは12/1885,510ドル(8.55万ドル)から反発し、12/2290,457ドル(9.05万ドル)まで上伸後、12/2388,765ドル(8.88万ドル)で引けました。週間では約+3.8%と自律反発が優勢です。レンジとしては8.459.05万ドルが意識され、9万ドル台は戻り売りが出やすい水準です。

この水準のレンジの期間も長くなっており、上では9.4万ドル、下では8.5万ドルを明確に抜けたときは動きが急激になることが予想されます。

イーサリアム

イーサリアムは12/182,828ドルから切り返し、12/223,072ドルまで上昇しました。12/233,009ドルで3,000ドル台を回復し、週間騰落は約+6.4%とビットコインを上回りました。

XRP(リップル)

XRP(リップル)は12/181.8076ドルから、12/201.9574ドルまで上昇する局面があったものの、その後は1.90ドル前後へ収れんしました。12/231.9047ドルと、週間では約+5.4%でした。

ドージコイン

ドージコインは12/180.122058ドルから12/190.132219ドルへ急伸し、その後は0.13ドル台での小動きが中心です。

ソラナ

ソラナは12/18119.597ドルから反発し、同日に一時128.913ドルまで急伸。その後は125127ドル中心の持ち合いとなり、12/23126.700ドル、週間では約+5.9%でした。

テクニカル分析

サポート・レジスタンス水準

ビットコイン:支持 8.458.55万ドル(12/18安値圏)、次は 8.0万ドル(心理的節目)。抵抗 9.009.05万ドル(12/22高値圏)、次は 9.259.35万ドル(12月上旬高値帯)。


イーサリアム:支持 2,7802,830ドル、次は 2,700ドル台前半。抵抗 3,070ドル近辺、次は 3,2003,330ドル(12月上旬の戻り高値帯)。


XRP(リップル):支持 1.771.81ドル、次は 1.70ドル。抵抗 1.951.96ドル、次は 2.00ドル(心理的節目)。


ドージコイン:支持 0.1200.123ドル、次は 0.115ドル。抵抗 0.135ドル近辺、次は 0.1400.145ドル。


ソラナ:支持 117120ドル、次は 123124ドル。抵抗 128129ドル、次は 130ドル、上抜け後は 133134ドル帯。

(※いずれもチャート上の参考レンジ、単位はドル。実運用では時間軸の整合、出来高、移動平均・ボラティリティ系指標との併用を推奨)

RSI(相対力指数)

日足(14日)では、下落局面の影響が残り「売られ過ぎ寄り(30台)」が目立ちます。

ビットコイン:36前後

イーサリアム:29前後

XRP(リップル):32前後

ドージコイン:34前後

ソラナ:32前後

市場に影響を与えたニュース

最大の材料は、12/18公表の米11CPIです。前年比+2.7%と市場予想(+3.1%)を下回り、インフレ再加速への警戒がいったん後退しました。インフレ減速の数値は、政府閉鎖の影響で前月比が公表されないなど特殊要因はあるものの、センチメント面の改善に寄与して金融市場が全体的にリスクオンになりました。BTC8.8万ドル台まで持ち直す背景の一つになりました。

需給面では、米国スポットETFのフローが強弱混在で、ビットコインスポットETF12/17に大幅な純流入(+457.3百万ドル)が入った一方、12/1812/19は純流出(-161.3百万ドル、-158.3百万ドル)に転じています。

個別材料では、Coinbaseが株式・ETF取引の提供開始を打ち出し、予測市場(prediction market)領域への展開も加速させています。暗号資産取引所がマルチアセット・プラットフォームへ進化する流れは、中長期的にユーザー基盤の拡大余地を示します。また、金融機関サイドでも、JPMorganが機関投資家向け暗号資産取引サービスを検討していると報じられ、制度・インフラ整備への期待が相場の下支えとなりました。

今週以降の見通し

ベースシナリオでは、年末特有の流動性低下(薄商い)のなか、BTC8.5万ドル台〜9.0万ドル台のレンジ取引が継続しやすいと見ます。RSIが低下しているため急落局面では買い戻しが入りやすい一方、ETFフローが流出に傾く局面では上値も重くなりがちです。来年に向けては、1/13の米CPI12月分)や1/27-28FOMCなど主要イベントを前に、リスク量を落とすフローも出やすいでしょう。

米国の金融市場では、サンタクロースラリーと呼ばれる、年末最後の5営業日と年初の最初の2営業日が強いというアノマリーがあります。もし今年サンタクロースラリーが訪れるならば、強気シナリオでは、ETFフローが再び純流入に転じ、米金利・ドルが落ち着くことでリスク選好が強まる場合もあるでしょう。BTC9.05万ドルを明確に上抜ければ、9.259.35万ドル帯のレジスタンス再トライが視野に入ります。

弱気シナリオでは、年末年始の流動性低下のなかでドル高・金利高が再燃し、ETFの流出が継続するケースもありえます。

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