暗号資産市場週刊レポート(2026年3月19日〜3月25日)

株式会社HashHub
2026/03/26
今週の暗号資産市場は、3月18日のFOMCで政策金利が3.50〜3.75%に据え置かれ、インフレ見通しが上方修正されたことに加え、中東情勢の緊迫化を背景とする原油高が重しとなり、週前半は全般にリスク回避が優勢でした。一方で、米国が対イラン攻撃をいったん見合わせるとの観測が広がる場面では過度な警戒感がやや後退し、ビットコインを中心に自律反発も入りました。市場心理はなお不安定ですが、下値ではETF資金フローや機関投資家需要が相場を支える構図が続いています。
価格動向
ビットコイン
ビットコインは週初の76,000ドル近辺から急反落し、週明けには68,000ドル前後まで下押す場面がありました。その後は24日時点で70,000ドル台を回復しており、短期的には売り一巡後の戻りを試す展開です。FOMC後の「利下げ急がず」の受け止めと原油高が上値を抑えた一方、米上場現物ビットコイン ETFには24日に1.67億ドル超の資金流入が入りました。
イーサリアム
イーサリアムは一時2,300ドル台を回復したものの、2,390ドル近辺で明確に上値を抑えられ、足元では2,100ドル台前半を中心に不安定な推移です。ビットコイン比では戻りが鈍く、50日線近辺での戻り売り圧力が意識されています。需給面でも、3月20日には現物イーサリアム ETFから1.36億ドルの純流出が観測されており、価格の戻りの鈍さと整合的です。
XRP(リップル)
XRPは前週の1.61ドル近辺から調整基調が続き、3月20日時点では1.45ドル前後、週明けには1.36ドル台まで押した後、24日には1.40ドル台へ持ち直しました。ただし、ETF・デリバティブ需要の鈍さが意識されており、反発しても値幅は限定的です。相場全体がリスクオフに傾くと、XRPは中立圏の中でも戻り待ち売りを受けやすい状態にあります。
ドージコイン
ドージコインは3月半ばに0.10ドルの節目を試した後、今週は0.09ドル台前半へ反落しました。ビットコインの調整局面では高ベータ銘柄らしく下押し圧力が強まりやすく、今週もその特徴が目立っています。デリバティブ建玉の弱さもあり、短期の投機マネーが戻るまでは主力通貨以上に方向感の出にくい地合いとみられます。
ソラナ
ソラナは先週半ばの94〜95ドル近辺から、週明けに86.5ドル前後まで調整しました。24日には90ドル近辺まで戻したものの、地政学リスクに伴う市場全体のリスクオフが強く、戻りの勢いはまだ限定的です。もっとも、足元まで現物ソラナ ETFには連続流入が続いていたほか、MastercardやWestern Unionなどを巻き込むSolana開発基盤の公表は、中期的な材料としては前向きに評価できます。
テクニカル分析
サポート・レジスタンス水準
ビットコインは67,800〜65,900ドルが目先の支持帯で、ここを割り込むと64,000ドルが次の節目となります。上値は72,200〜72,600ドルが戻りの壁で、これを明確に超えると3月17日高値の76,000ドルが次の目標です。
その他の銘柄としては、イーサリアムは2,110ドルが一次支持、次は2,000〜1,740ドル帯、上値は2,390ドル、さらに2,500〜2,746ドルが抵抗として意識されます。XRPは1.30〜1.25ドルが下値支持、戻りは1.45〜1.54ドルが重い水準です。ドージコインは0.090〜0.092ドルが支持、0.0955〜0.098ドルから0.10ドルが抵抗帯、ソラナは86.6ドルと77.1ドルが支持、92.1ドル、98.4ドル、さらに108ドル近辺が戻りの目安になります。
RSI(相対力指数)
RSIを見ると、ビットコインは週前半に40台半ばまで鈍化した後、24日時点では50近辺まで戻しており、中立圏へ回帰しています。イーサリアムは45から50台半ばへ推移し、過熱感は解消したものの、強い上昇再開にはなお材料不足です。XRPは43前後で勢いに乏しく、ドージコインも14日RSIが50%前後と明確なトレンドを示していません。ソラナは46近辺まで低下しており、売られ過ぎではない一方、積極的に上値を追うには力不足という評価が妥当です。総じて、主要銘柄のRSIは「全面弱気」ではないものの、「強い上昇再開」と呼べるほどの強度にも達していません。
市場に影響を与えたニュース
金融市場の値動きは、中東情勢のヘッドラインに左右されています。ホルムズ海峡を巡るエネルギー供給不安が意識され、原油価格は急伸しました。エネルギー高はインフレ再燃懸念を通じて金利低下期待を後退させやすく、暗号資産市場にとっても逆風です。もっとも、米国が対イラン攻撃の一時停止を示した局面では原油が急反落し、市場全体のリスクオフもいったん緩和されました。
しかしながらビットコインを中心とした暗号資産の値動きは、株式やゴールド、債券と比べると穏やかな週が続いており、金融市場がこれだけボラティリティがある中で珍しい局面だと言えます。考えられるのは、昨年10月から40%超の調整をしているビットコインの現物売りは相当でており、ひとまずは売り枯れという側面が強いと言えます。
また3月18日のFOMCでは、FRBは政策金利を据え置いた一方、2026年のPCEインフレ見通しを2.7%へ引き上げ、原油高を含む地政学リスクの影響を強く意識しました。これを受けて市場は「ハト派転換」よりも「慎重姿勢の継続」と受け止め、暗号資産を含むリスク資産の上値を抑える要因になりました。
規制・制度面では、SECが3月18日にナスダックのトークン化証券売買を認め、24日にはNYSEもSecuritizeと組んでトークン化証券基盤の構築を公表しました。これは直接的にビットコインやイーサリアムを押し上げる材料ではないものの、ブロックチェーン技術が既存金融インフラへ浸透する流れを改めて示したという意味で、中長期のセンチメント改善材料です。
今週以降の見通し
ベースシナリオでは、地政学リスクがなお高止まりする一方、ETFフローや押し目買いが下値を支え、ビットコインは65,900〜72,600ドルのレンジを中心にもみ合う展開を想定します。この場合、イーサリアムは2,110ドル近辺の攻防、XRPは1.30〜1.25ドルの支持維持、ドージコインは0.09ドル台の定着、ソラナは86.6ドルを維持できるかが焦点になります。相場の方向感は、金融政策そのものよりも、原油と中東情勢のヘッドラインに左右されやすい時間帯が続きそうです。
強気シナリオでは、中東情勢がこれ以上悪化せず、ビットコイン ETFへの資金流入が継続するケースです。この場合、ビットコインが72,600ドルを明確に上抜き、76,000ドル再挑戦へ向かうことで、イーサリアムの2,390ドル、XRPの1.54ドル、ドージコインの0.10ドル、ソラナの98.4ドル突破が順次視野に入ります。制度面の前進や企業・機関投資家の関与拡大は、押し目買いの理由として引き続き機能しやすいでしょう。
一方、弱気シナリオでは、原油高の長期化や対立再燃によって、年内利下げ1回すら疑問視される展開です。この場合、ビットコインが66,000ドルを目指すことを意識すると思われます。
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